カテゴリー「スパイ大作戦」の記事

「スパイ大作戦」の脚本がアカン

 BS放送の「スパイ大作戦」を第1シーズンから見続けているが、今までのところ、合点のいく話、納得できるストーリー展開が一つとして無い。バーニーが披露する小細工でも、特に無線技術のハードウェアは元アマチュア無線家の自分としては、あの当時では想定できないチャンチャラおかしいと思う物が幾つも出てくるが、こういうマニアックな物のエラーは目をつむろう。そもそも、ローランやパリスの顔をラバーで変装し、それで相手が騙されるというのもチャンチャラおかしいことで、それを言っちゃーお終いになるのだから。
 自分が特に気にしているのは、脚本があまりにも偶然の事態による極めて幸運な展開で進んでいくことで、それがとても納得いかないのである。必ず毎回、大きなツッコミドコロが発生している。
 
例えば先日放送された「キタラ」。
 
・バーニーは侵入先の軍上層部屋敷の隠し金庫を、彼はその在りかを知っていたのかそれとも偶然発見したのか、それをワザと自分が掴まるために音を立てて物色し、偶然廊下を通りかかった屋敷の執事に音を聴かれて捕らえられる。執事がその時間、部屋の前を通らなかったら、作戦は失敗に終わる。金庫に警報装置が付いているという脚本にすればこのツッコミはない。それにバーニーの屋敷に侵入した言い訳が「腹が空いていたから」はお粗末なセリフで、そんなコソ泥が軍上層部のお偉方屋敷にワザワザ警備をかいくぐって忍び込むのもヘンな話なのだから、捕まったときに将校が「コソ泥とは思えん、なにかある。拷問箱に入れて締め上げろ」というセリフ展開になれば、ストレートでバーニーはキタラの傍に接近出来たはずだ。又、軍内で処理せず、警察に突き出されることになったらこれも作戦は失敗し、バーニーの運命も尽きるので、極めて危険なやり方と言わざるをえない。
 
・そのバーニーはキタラとの音によるモールス信号によって金塊のありかを知るのだが、そのやりとりを偶然、警備兵に知られてしまう。これが、もし、金塊の所在が分かる以前にモールス行為を知られていたら作戦は失敗である。また、キタラの拷問ボックスとバーニーの拷問ボックスが隣どうしでなければキタラと通信できず、これも偶然の産物ではないか。これはIMFのブリーフィングでバーニーがツッコミを入れて確認すべきことだ。
 
・ダナはくだんの所長が後ろ側に向いた瞬間、所長の紅茶の中に特殊な錠剤を投入するのだが、所長が紅茶を飲むというのも偶然であり、これもブリーフィングで所長に紅茶の習慣があることを確認するべきこと。
 
・疑いを持ち始めた所長の直属の部下が、骨董店の場所を知るのも、偶然、執事がダナと所長の電話を取り継いだ電話で盗み聞きし、部下に伝えたものによる。
 
 ・・・と、偶然の展開や、各ピソードでも幸運による作戦進行があり、納得いかないことずくめなのである。自分が中学生のころまでこの番組は観ていたのだが、パリスが出演するシーズンから記憶に残るエピソードが無いのも、あの当時から納得いかなかったからかもしれない。
 
「そりゃ納得いかんのう」
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「スパイ大作戦」の日本車

 BSで放送されている「スパイ大作戦」は2017年11月初旬現在、第5シーズンを放送中であるが、第1シーズンから今までに画面に登場した日本車は、自分が発見したものでは次の車があった。
 トヨタ・ランドクルーザー、トヨタ・クラウン、トヨタ・コロナ、トヨタ・コロナマーク2?、ニッサン・ブルーバード。
 他に何かありましたっけ。
 みんなランクルを除き日本の高度成長期、60年代、70年初頭の、自分の世代から今や高齢になられた世代までみんな愛着のある四ツ目のオヤジ・カーばかり。懐かしいのなんの。
 ところが先日観たばかりのエピソードでは、なんとホンダNコロが登場したではありませんか。
 この、当時18歳で免許を取ったばかりの高校生から・・・・(歌手の辺見マリさんは16歳で当時存在した軽免許を取り、高校通学やドライブでNコロを運転していたそうですね)・・・・大学生のヤングに人気爆発だったあのかわいらしいN360が「スパイ大作戦」で登場、大活躍するとは思いもよらなかった。しかも、ピカピカでカッコイイ。
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ただし、これはN360ではなく、輸出用のN600であります。もちろん左ハンドル仕様。
追記: 日本が舞台のエピソードでも走っている日本車は左ハンドル。
 
 第5シーズンが制作されていた70年同時、ジムのピーター・グレイブスは日本でホンダのCMに出演(ホンダ・クーペ9)していて、そのつてでNコロが番組に採用されたかもしれません。
 
 自分が憶えているCMは、蝶ネクタイで正装したジムが、クーペ9で夜のパーティー会場に現れるというものでした。たしか若山弦蔵氏吹き替えのセリフ「FFだからウンヌン・・・」というのもあったはず。
 
 
 
 

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「スパイ大作戦」・傑作選1

・第三シーズン「処刑作戦」または「死刑執行1時間前」
原題「 The Execution 」
 
 「 おはよう、フェルプス君。 その男は名前をルイス・パーマといい、搾取・脅迫・誘拐・殺人などあらゆる手段を弄して全米の食料品卸業界を牛耳に至ったその方面のボスである。しかも最近のパーマは、食料品の値段を思いのままにできる力を利用して、政界にまでその魔手を伸ばそうとする気配を見せている。                                 
 そこで君の使命だが、このルイス・パーマを再起不能に陥れることにある。例によって君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する。 成功を祈る。 」   
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 今回のエピソードはシリーズの中でも異色の作品で、技術的な面ではテレビカメラで撮影した画像の拡大投影に非現実性・・・(人に本物と騙せるかどうか)・・・があるのみで、「それはネーダロ」というような説明不足などもみられず、納得できる内容となっている。
 まず、作戦遂行の舞台がアメリカ国内で、民間団体が対象というのが、あまり見られないシチュエーションだ。よくありがちな、東側某国における国家間の問題解決という深刻な事態ではなく、単純に悪い奴を再起不能にするという勧善懲悪の進行でスッキリしている。その悪い奴らは刑務所行き、その殺し屋は極刑間違いなしの結果となる。
 
 しかし、今回は、ジムが殺害される可能性大という危険をはらんでいて、いつものブリーフィングにて作戦すべてを予定どおり実行するのではなく、その危機回避のため、殺し屋の動きをメンバー同志で考え推測して作戦を組み立てていくという、いつもとちょっと違ったリアルタイム的面白さを含ませている。
 
 特筆すべきはローランがいつもの変装をしないことで、彼のその手のテクニックは電話で声色をちょっと使って相手を騙すだけ。その代り演技力で見せてくれた。
 元々、ローラン・ハンドは俳優が本業なのであるが、死刑囚に扮したローランがガス室で死刑執行されるときの目を真っ赤にして泣き叫ぶ演技力は、流石ローラン、いやマーチン・ランドーがアクターズ・スタジオ出身であることを彷彿とさせる。ここは「スパイ大作戦」シリーズでも名シーンの一つと言える。
 
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 悪党・ルイス役の俳優も名演で、憎々しいあの顔と、ふてぶてしい態度の演技は忘れられないを印象を与える。アメリカ悪役商会のボス的存在かと思えるほど。あのツラで善人役はムリ。
 
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 死刑執行ガス室の描写も見応えあった。殺人ガスが単純に執行室に満たされるのではなく、いくつかの薬品をいくつかの工程で混ぜ合わされガスが発生するという、まさにジワジワと殺されていく恐怖を死刑囚に与えるというやり方。たぶん実際はあんなことは無く、殺し屋を白状させるためのIMFの演出なのだろう。
 撮影では掛け時計のガラスに反射したガス室の様子を殺し屋に見せるというテクニックを使う。緊張感の持続するよく考えられたシーケンスは目が離せなかった。ガス室でとうとう白状する殺し屋役の俳優も名演。
 
 冒頭部分で、青果商に扮したジムの店へ悪党の手下が嫌がらせにやってきて、トマト、モモ、キャベツなどの入った大量の箱積みを威勢よくぶちまけ、おまけに消火液をまき散らすというシーンは、テレビで見せていいのかと感じるほどの、ちょっとした衝撃を視聴者に与える。なにか映画「ゴッドファーザー」のマフィアのやり口を思わせる陰湿なやり方も印象に残るシーン。
 
 
 
 

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「スパイ大作戦」のやり方

↑エンドクレジットで流される音楽がレコード盤になっていたのね。日本ではカットされていたので知らなかった。
 
 BSで放送されている「スパイ大作戦」を放送開始からズーっとモレなく鑑賞しているが、今のところ「これはスゴイ」と唸るような合点のゆく脚本が無い。
 
 各エピソードには「それはネーダロ」とつい叫んでしまう技術的にも、脚本の流れにも可笑しなツッコミどころが、必ず随所見られる。
 
 例えば、先日放送の、ローランが枢機卿に扮して修道院に侵入するエビソード。結局、ローランはニセ枢機卿であることがバレ、悪事の輩に脱出不可能な石の棺桶に入れられ消されるという筋立なのだが、どうしてIMFは作戦検討段階で、ローランが地下室の石棺で殺されると予想できたのか。ブリーフィングでジムは「邪魔者はみんな窒息死させられる」と語っているけれど、窒息死にはいろいろな方法がある訳で、石棺を使うとは説明していない。また、殺されず監禁されるということもありうるはずで、そうなると予定していた作戦が実行不可能となってバーニーとウィリーの生命は危うくなってしまう。こういう脚本上の説明不足や首をかしげる事態が、たいがい、どのエピソードでも発生している。
 
 IMFが披露するスパイ・テクニックでも納得のゆくものが今のところ無いのだが、実際なら絶対見破られてしまうローランの変装はストーリーの構成上必要なので、これは目を瞑るとして、おそらく映画「007」などから影響された、彼らスパイのアリエナイ定石をメモしてみると。
 
・ カラテチョップを首筋に見舞い、相手を長時間気絶させる。・・・・まさにスポックのバルカンピンチ的効果。
 
・ 一定時間、人を仮死状態にする薬。・・・・そんな危険な薬品があるのだろうか。
 
・ 角砂糖大の無線盗聴器、メガネに仕込んだ受信機・・・・現在なら可能だろうが1960年代では無理。
 
・ マッチ箱、タバコの箱サイズの電波発信テレビカメラ・・・・これも1960年代では無理。
 
・ 先の長い小さな金具で簡単に鍵が開いてしまう。・・・・鍵穴にコチョコチョとやるだけで開いてしまうのね。
 
・ 隠密に実行するIMFでは今のところ見られないが、開錠するのに拳銃で一発ズトンとやって簡単に鍵を破壊する。・・・・ そんなもんで鍵は壊れないです。しかも跳ね返った弾で自分や仲間が負傷することもありえる。
 
・ その拳銃を一発相手に撃つだけで即死する。または倒れただけで死亡と判断する。・・・・ 心臓か頭を狙わなければ、まず拳銃の弾一発で即死はありえない。
 
・ 電話中継器のターミナルにワニ口クリップを並列につなぐだけで回線を乗っ取ることができる。・・・・並列じゃアカンでしょう。
 
・ エーテルなどの揮発性薬品を含ませたガーゼを相手の口にあてがうだけで、簡単に長時間気絶させられる。・・・・医学的にはこんな方法で気絶させるのは不可能らしい。
 
・ 電波発信機を車両・人物に取り付け、二次元マップ付小型探知器のランプの動きで相手の位置を調査追跡する。・・・・これも「007」あたりから始まったインチキ。これはGPSが使える現代で、やっと可能な方法で、1960年代ではとても不可能なシロモノ。
 当時だとしたら、VHFアンテナを伸ばした超短波発信機を取り付け、それを受信側は指向性アンテナを2か所以上設置し、振り回して探査、その結果、大雑把になんとか位置が分かる程度の頼りない技術。とてもディスプレイのランプの光で追えるなんて出来ない仕掛けである。
 この二次元マップ探知器は、スパイモノ、刑事モノの脚本では大変便利で安直な道具として、昔のテレビ、映画で大活躍する大嘘スパイ道具となった。
 
↓電波探知機付アストンマーチ。これがマチガイの始まり。
 
・・・・以後、気が付きしだい更新。
 

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「スパイ大作戦」のことなど

 テレビ「スパイ大作戦」がBSで放送され、毎回観ていて、青円盤にも保存している。
 
↓あのテープレコーダーは、永くアイワ製だと思っていたが、知らないメーカーの日本製だった。それともアイワのOEM製造か。
 
 
 ・・・・番組はCM付きで2本分を2時間とちょっとオーバータイムで放送しているので、そのまま番組表を使って録画すると、AFモードでも25ギガの円盤に番組4本分が収まらない事態となる。それを4本録画するには、番組データを利用せず、きっかり120分に指定録画すると無事4本が一枚の円盤に収まった。なお、ANモードは画質が落ちるので自分は利用しない。・・・・
 
 これをDVDソフトで全エピソードを購入すると4.5万は要るだろう。放送は有難いことだ。
 
 BS民放番組の約7割は再放送で、それを告知しないでダラダラと何回も流しているので、これにはいつも憤慨しているが、たまにこういう粋な事をしてくれる。
 映像はリマスターされていて、実に鮮明。50年前の番組とは思えないほど。シナモンのバストショットとなると、より色っぽく見せるため、ソフトフォーカスにされているのがハッキリと分かる。昔のテレビでは気が付かなかった。
 
 それにしても、番組内ではジムもバーニーも元気だけれど、二人とも、もう故人か。シナモンとローランもウィリーも自分の親くらいにご高齢となられた。感無量。
 
 この番組がリアルタイムで放送されていたのは、自分が小学4年生から中学生のころだった。小学生のときは、時間帯が夜10時台だったので、観るチャンスが無かったし、当時、両親が不和の為、ほとんど家庭崩壊していてテレビどころでは無く、親戚の家に退避していて、そこで偶然、この番組のオープニングを観た。カラー放送を観たのは人生これが最初で、真っ赤なタイトルと機関銃の効果音が強く印象にある。小学6年くらいから、再放送も含めてようやく落ち着いて鑑賞できた。
 その小学生4年のころから、友人の影響で電子工作を始めていたので、バーニーのエレキ仕掛けには目を見張って、彼に憧れもした。エレクトロニクスという言葉を覚えたのもこの番組がきっかけ。
 
 そういえば、5年生の時、テーマ音楽のドーナツ盤を買ってきてステレオに掛け、一人悦に入っていた。「おはようフェルプス君・・・」の大平透のナレーション後から始まるラロ・シフリンのレコード演奏は、テレビで流れるサウンドトラックとはオケの編成も違う凝った音楽だった。このテーマが5拍子のリズムを採用していることは、ずっと後で知った。
 
 
 その子供のころは、番組内のいろいろな小細工や解決法に「ホーッ!」と感心したものだが、今、再見してみると、ツッコミどころ満載。例えば、ニセの列車の窓のバックにリアプロジェクションで景色を映写して、列車が動いているかのように騙すなんて、ガキの使いやあらへんで。
 
 今後、いかに納得できるフェイクと脚本に出会えるか楽しみ。
 

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