日本の特撮は世界一だ!!!
・・・・・と大きな声でお叫びになった御仁がおられた。
今から35年ほど前だったか、日本テレビ「ほんものは誰だ」という土居まさる司会の番組でのことである。
その、プログラムの内容は、3人の紹介者のうち、だれが特撮のエキスパートであるかを当てるものであったが、正解により素性が明らかになったその特撮スタッフが、日本の特撮の一例として・・・
(多分にそれは、いかに日本の特撮技術がスゴイかという意思表示を感じさせた)
・・・スタジオでミニチュアをセットし披露したデモンストレーションは、円谷特撮で「ゴジラ」から延々と行われてきた以下のお馴染みのカットの再現であった。
↑1954年、「ゴジラ」
↑1956年、「ラドン」
このミニチュアの戦闘機に火薬を装填したミサイル(ロケット弾?)を発射させ、ワイヤーでガイドさせる特撮が、デモとして再現、紹介されていたのだが、これが意外であった。
はっきり言って自分は、円谷特撮映画を見始めた少年のころから、この特撮が、今さら、これ見よがしに再現するほどにスゴイ特撮だとは感じていなかったからである。
いや、それどころか、飛行機のミニチュアの造りと撮影は雑でオモチャっぽいし、ミサイルをガイドするワイヤーははっきり見えてしまっているし、ミサイルの発射・飛行方向がランダムでいい加減で動きがチョコマカしているので、円谷特撮のなかでも自分にとっては見たくない、嫌な特撮カットだったのである。
この、当時、既に「スターウォーズ」や「未知との遭遇」のsfxが巷で話題になっているときに、番組に出演した日本の特撮スタッフは、過去の使い古した特撮技術を「ゴジラ」から四半世紀近く経ったテレビ番組のスタジオで、相変わらず雑なミニチュアモデルを使い、ワイヤーを張ったミサイルを「パン・パン・パン」と飛ばして見せてくれたのである。得意げな顔で・・・。
当時、自分は高校生だったか浪人生だったかは憶えていないが、これにはあきれてしまい、顔が赤くなるのを感じたことだけは憶えている。
「円谷特撮でも他に優れたものがあるではないか・・・例えば高圧ガスの噴出を利用した爆発水柱など・・・、どうして今さら、こんなのを・・・・」という心境だった。
そして、番組終了間近、回答者席のゲストの一人がこう叫んだのである。
「日本の特撮は世界一だ!!!」・・・・
こう、大きな声で、お叫びになった御仁は、実は桂小金治さんであった。
「ああ、日本人の標準的な特撮というものの見方、評価はコンナものなのかな」と、当時自分は感じた。と同時に「井の中の蛙、大海を知らず」という言葉も頭をよぎった。
私は桂小金治さんになんの遺恨もない。たぶん、ああ叫ぶよう、放送作家が番組の台本に書いたのかもしれない。
最近、松竹「抱かれた花嫁」を観て、寿司職人を飄々とこなす小金治さんの演技力に感嘆して、もっと小金治さんの出演している映画を観たいと思っている。
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