サンダーバード2号を飛ばしたい
サンダーバード2号はデザインしたデレク・メディングス本人も、サンダーバードメカのなかではもっとも気に入っている航空機だそうで、テーパー翼なども使ってあって素人が見ても、ほんとうに飛びそうなスタイルをしている。実際に主翼を少し大きくしたラジコンが飛行している映像もあるくらいだから、航空工学的にも理屈が合致しているのだろう。
さて、模型でなく実物のサンダーバード2号を造るとしたら、どうすればいいか、自分なりに乏しい知識で想像してみた。
2号の重量は約400トン。仮に装備として30トンのジェットモグラを搭載すると総重量は450トン近くになる。これを垂直に持上げなければならない。すると4つのエンジンひとつあたりの推力は120トンくらい必要となる。これをジェットエンジンで賄うには、現在最大パワーを誇るボーイング777に搭載されているGEのファンジェットエンジンの3倍近い推力のものが必要となる。ジェットエンジンのサイズ・推力はもう限界に達していて、これ以上のパワーアップは望まれない。また、ガスタービンを使った大型のリフトファンは大推力を発生するが、あの狭い場所には載せられないのである。つまりロケットエンジンを使うしかない。
ロケットエンジンならば、小型なので傍を通るエア・インテークの空気流入を妨げない。エンジンは比推力の高い液酸・液水燃料のものがよく、三菱重工のLE-7A(推力110トン)が適当か。ただしメーカーに努力してもらい10トンほどパワーアップさせる。液酸・液水タンクは機体後部に重い原子炉がある構造上、バランス配分でコックピットの後ろにかなりの容積をもって置かざるをえない。尚、この燃料を消費するとまたバランスがくずれるので救助が終了して帰還するには、ジェットモグラのコンテナ設置位置を前方に寄せなければならない。
ロケットはあっという間に燃料を消費するが、あの燃料タンク容量ではどれくらいロケットを噴射できるだろうか。これはあてずっぽうだけれど、四つもエンジンがあるので、合計60秒間程度だろう。これはVTOLを10秒で終わらせ直ちに水平飛行に移行するのなら4回は使用できることになる。つまり発進と着陸が2往復で終了。現場には1回着陸して基地まで帰るのがやっと。もちろんロケットエンジンで空中のホバリングなど自殺行為となる。
40秒間ロケットを噴射してもまだ20秒分残っているが、これは水平飛行のラムジェット、スクラムジェットの燃料として使用する分となる。
水平飛行をどうするか。
まず亜音速で飛行させるには、原子力の熱を使うジェットエンジンを使う。原子炉を冷却した400度くらいの液体ナトリウムをエンジンの熱交換機まで導き、圧縮した空気を温め推力を発生させる。この原子力ジェットエンジンシステムはもう60年も前に考えられた間接サイクルという方法。熱交換機温度が低いので十分なパワーが発生するかが問題だが、そこはブレインズになんとかしてもらう。尚、緊急発進用に通常の化学燃料を使う燃焼室とアフターバーナーも装備させる。その燃料タンクは小さくてよい。
マッハ3までの超音速飛行をどうするか。
原子力ジェットエンジンの圧縮機とタービンはもう必要ないのでシャッターで閉じ、バイパスされたラムエアを熱交換器まで導き原子力ラムジェットエンジンにさせ推力を発生させる。これは超音速偵察機SR-71とほぼ同じ方法。
マッハ6.7の極超音速飛行をどうするか。
まず、メインの原子力ジェットエンジンは空力加熱の問題が発生するので停止。
↑モデルにあるインテークのシャッター状のものは必要ないが、停止した原子力ジェットエンジンの機体前部エア・インテークはシャッターで閉じられる。
メインジェットエンジン・排気口ナセル外側の空間を純ラム・ジェットエンジンとして機能させマッハ4あたりまで利用、合わせて水平尾翼部にスクラムジェットエンジンを稼働させ極超音速時の推力を発生させる。
尚、燃料は液体水素を使用。コックピット後部のタンクにある水素は空力加熱によって熱くなった機体先頭部と主翼・垂直尾翼を冷却した後、エンジンまで導かれる。
サンダーバード2号は現場まで30分で到着するので、極超音速飛行は20分ていどの時間となり、水素燃料は往復分足りると思う。
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