カテゴリー「邦画メモ」の記事

大巨獣ガッパ

邦画メモ、NO,103、NHKBS
1967年、日活、シネスコ、カラー、84分
監督: 野口晴康、 撮影: 上田宗男、 音楽: 大森盛太郎 
特撮協力: (株)日本特撮映画
出演: 川地民夫、山本陽子、和田浩治、藤竜也
 
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 対象は小学校低学年までの怪獣映画。
 そして日活最初で最後?の特撮怪獣映画。
 
 特撮シーンはどこかで見た記憶、東宝特撮シーンからのデジャブ現象が起こる。東宝怪獣映画をギュットと圧縮している感じ。
 
 その東宝特撮の欠点も踏襲してしまっている。それはミニチュア撮影シーンにおいて、ハイスピード撮影を省いたり、2、3倍程度の低回転でカメラを回していること。特に火山の噴火と船舶、潜水艦シーンのプール撮影や、工場群の破壊場面ではそれが顕著で、まるでオモチャのCM撮影のようだ。全然実写感が無い。炎と水の現象を本物らしく見せるのが特撮技術の一つなのだが、あれではヒドイ。第一、せっかく時間をかけてスタッフが精魂こめて制作した工場群などのミニチュアセットをアッサリと撮ってしまうのもモッタイナイ話ではないか。
 
 一方、唯一のフル・ハイスピード撮影で目立ったのは、孤島の巨大石造が地震で倒壊するシーンで、石造本体や岩山の岩石か落下する崩壊は実写感があり、迫力があった。たぶんカメラを5倍で回していると思う。
 
 ハイスピード撮影は高価なフィルムを大量使用するので、当時は予算の問題で泣く泣くノン・ハイスピード撮影としている事情もあったかと思うが、制作側は「子供が観るんだから、あれでいいだろう」とナメていなかったか。もし観客を小学校3年生以上も対象としていたならば、これは間違っている。
 
 そのノン・ハイスピード撮影は、日本の子供向け特撮テレビ番組の定番方法で、1960年代から70年にかけての当時の自分も、テレビ「高速エスパー」、「仮面の忍者赤影」、「空中都市008」などの特撮のオモチャ然としたシーンに腹を立てたり、学校で友達とそのひどさを語って笑いあったものだ。
 高価なフィルムを使わずに済むデジタル撮影となり、CG合成、VFXとなった現在でも、特撮番組のミニチュア撮影は、昔の旧態依然としたノン・ハイスピード映像のようなチョコマカした動きの物理現象を無視した映像で済ますという方針だったら、何度も言うが子供をナメないでもらいたい。
 
 「子供というものは、大人向けの特撮映像を見たがるものだ」、「だから、子供向け作品だからといって手を抜いてはいけない」・・・・シルヴィア・アンダーソン。
 
 これは映画「サンダーバード6号」DVDでの彼女のオーディオ・コメンタリーの言葉だが、現在活躍中の特撮マンにも、この言葉を知ってもらいたいものだ。
 
 本編の方では、いつも思うのだが、日活のシネスコレンズのシャープさに感心する。画面の端っこ、隅々までボケ、ニジミが一切無い。日活だけ他社と違うレンズなのだろうか。
 
 川地民夫、山本陽子、藤竜也さんたちがピチピチとして若いこと。
 
 映画の冒頭、船の中でモールス符号が鳴っているが、その内容は「VVV JAKMNEJJSH5T」だった。VVVは試験信号発射の意味だが、残りは心得のあるスタッフが適当に打ったものだろう。

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社長学ABC、続・社長学ABC

邦画メモ、NO,102、BS民放
1970年、東宝、シネスコ、単品92分、放送4時間
監督: 松林宗恵、 撮影: 長谷川清、 音楽: 宅孝二
出演: 森繁久彌、小林桂樹、加東大介、藤岡琢也、小沢昭一、司葉子、内藤洋子、関口宏、草笛光子、英百合子
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↑違う映画だけど、まあ、だいたいこんなものですな。
 
 東宝・社長シリーズ最後の作品ということで、青円盤に焼いてしまったが、これといって劇的盛り上がりのない、ダラダラと観続ける内容。これがこのシリーズの持ち味なんですけどね。
 速撮りテクニシャンの和尚、松林監督のそつない演出とベテラン俳優のセリフ捌きが見もの。安心して寝っ転がって観てられる。
 
 この最後の作品で、宴会部長だった三木のり平が居ない。・・・追記: 1968年以降のシリーズから不在・・・ なぜ出演していないのか、そのへんの事情は知らないけれど、彼が生前、インタビューで社長シリーズの自分の芝居などたいしたものじゃない、というような発言をしていたのを記憶している。自ら出演を断ったのかもしれない。
 その三木のり平の代わりに藤岡琢也が「ぱーっといきましょう」を演じている。この人の関西弁なまりの芝居も自分は好きなので、これもオモロかった。
 社長シリースの面白さの一つは、モリシゲと取り巻きとのシャベクリで、セリフを少しトチッたりしても構わずアドリブでやってしまうのが楽しい。その絶妙なタイミングに感嘆してしまう。
 めでたく社長に昇任される小林桂樹。物を食いながらセリフを喋らせたら日本一の俳優だと言われるが、それはこの映画で証明できる。食品会社の社長だけあって、まあ、よく食うこと食うこと。
 小沢昭一が「王そうかい」という名の台湾人を演じていて、中国語ナマリの日本語が笑わせる。
 草笛光子さんが相変わらずバーのマダムで、その流し目にゾクゾクさせられる。こういうのやらせるとウマイねこの人。
 小林桂樹の母親を長年演じてきた戦前からのベテラン女優、英百合子が、この映画の公開後亡くなった。シリーズの幕が閉じるのを案じたごとく。
追記: 森繁、小林、藤岡のお座敷宴会芸が披露されるが、衣装替えのたびにカット割りされる即興で作ったようなツマラナイ芸。ただし唯一、小林桂樹の女装を拝見できるが、これが最初にして最後のものだろう。
 
 

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飛べ!ダコタ

邦画メモ、NO,101、地上波民放
2013年、アッシュジャパン、109分
監督: 油谷誠至、 撮影: 小松原茂、 音楽: 宇崎竜童、
出演: 比嘉愛未、窪田正孝、柄本明、洞口依子、中村久美
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 映画が制作されている当時から注目していた作品。レンタル店でもDVDが見つからず、かといって円盤を購入するほど急ぐこともなく、そろそろテレヴィジョンで放送されるだろうと待機していたので、このタイミングで地方の民放局(ギフチャン)が放映してくれたのは、渡りに船だった。
 岐阜放送テレビはテレ東の番組とテレビ神奈川の「クルマでいこう」くらいしか自分には観るものはなく、やたら仏壇屋のCMだけが目立つ、自分にとっては存在意義の低い放送局であったが、たまにこういう粋なことをやってくれる。感謝。
 
 戦後まもなく、佐渡の村の砂浜にイギリス人クルーのDC-3が不時着する話で、自分のようなヒコーキ少年は絶対みのがせなかった作品なのである。
 ただし、ヒコーキ好きとしては、DC-3の不時着するカットはなく、最後の離陸シーンも出来の良くないCGで残念であった。(離陸時の機体後部で吹き荒れるプロペラの猛烈な風圧と飛び散る砂塵が表現されていない)
 
 イーストウッド監督「硫黄島からの手紙」では双発の実機が海岸に着陸する実写映像があり、あの迫力とハリウッドの撮影力にはマイッタが、この映画の監督さんも予算とスケジュールが間に合えばああいうシーンを撮りたかったに違いない。ただし、それは日本での撮影は無理と思われ、おそらくフィリピンあたりでロケしなければならないだろう。邦画ではそれだけで予算が無くなる。
 
 実際にあった話の映画。この映画が話題になるまで、自分は内容の事実をまったく知らなかった。戦後間際の出来事は、ネガティブな面ばかりネタされるが、こういう平和的な話もたまにはいいもんだ。
 
 若手、男優・女優の熱演が良い。
 
柄本明が村長を演じているが、彼に関するエピソードを一つ。
 
 柄本明も出演している「シャル・ウイ・ダンス」が台湾で公開されたとき、彼がスクリーンに顔を出すと笑うシーンでもないのになぜか劇場内で笑いが起こったという。周防監督は「なぜ笑うのか分からない」とDVDのオーディオ・コメンタリーで語っていた。
 
 この理由は私が思うには、台湾では日本のTV番組がいくつか放送されていて、その中でも特にバラエティーの志村けんは絶大な人気をはくしているそうな。おそらく台湾でも放送されている彼の番組「だいじょうぶだぁ」には、たびたび柄本明がゲスト出演して独特のお笑いを提供してくれている。それで柄本明は台湾では役者というよりはコメディアンとして知られているのではないだろうか。その彼がシリアス物で、思いもよらずクソ真面目に演技しているという、そのギャップに可笑しさを感じたのだろう。
 
 そういう自分も柄本明がドラマで乃木希典を演じていたのには、本人には失礼だけれど「だいじょうぶだぁ」での彼の大年増芸者を思い出し、乃木大将の顔にかぶさって笑ってしまった。ヘンなプライドを持たない彼の多才・多芸には敬服させられる。自分も生まれ変わったら彼のような役者になりたい。

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座頭市血煙り街道

邦画メモ、NO,100、BS民法
1967年、大映、シネスコ、カラー、87分
監督: 三隅研次、 撮影: 牧浦地志、 音楽: 伊福部昭
出演: 勝新太郎、近衛十四郎、高田美和、朝丘雪路、坪内ミキ子、伊藤孝雄、中尾ミエ、小池朝雄、小沢栄太郎、なべおさみ
 
↑顔にあたる照明がすばらしい。
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 タイトルにある「血煙り」という表現がスゴイ。こういう言い方は過去にあったのだろうか。
当時の大映の時代劇には、おそらく東宝「用心棒」「椿三十郎」から始まった血糊ブシューのシーンは無く、殺陣では切っても血は吹き出ないので血煙りは見えないのだが。
 
 その血煙が見えたようなこの映画の名シーンが最近の海外のネットで話題になっていた。観れば外国人も納得の迫力シーンですな。編者後付けの音楽は余計だけれど。
 
 近衛十四郎の殺陣は、まったくもって素晴らしい。ネットで評判だった座頭市との雪の決闘もすごいが、映画の前半で見せる湖畔での峰打ち五人斬りも一瞬の刀さばきが光っていた。時代劇名殺陣シーンの一つとして数えられると思う。
 三船敏郎の殺陣は、叩きつけるような迫力とスピード感を持ったものだが、近衛十四郎はスピード感に華麗さを伴ったもので、この二人はまさに双璧だと思う。
 
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↑そのシーンでは一コマだけ本当に刀がライトセーバーのように光っていた。
 
 近衛十四郎は当時、テレビの時代劇でアル中の素浪人を演じていて、そこでは普段はあまり強そうに見えないコミカルな一面のある武士だったが、この映画ではテレビのキャラなど吹っ飛ばしてしまう、クールで強い武士を見せつけてくれる。「これが本当のオレだ」と言わんばかり。
 
 
 
 

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座頭市 地獄旅

邦画メモ、NO、99、BS民放

1965年、大映、87分、シネスコ、カラー

監督: 三隅研次、 撮影: 牧浦地志、 音楽: 伊福部昭

出演: 勝新太郎、成田三樹夫、岩崎加根子、山本学・・

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 まさか、勝新の大映作品「座頭市」が再びテレビジョンで観られるとは思ってもみなかった。自分がテレビで観たのは、かれこれ40年も前の高校時代で、それも深夜放送であったが。

 この放送禁止用語満載の映画が今日テレビで放送出来るわけがない。この固定観念が崩れた。

 現在の公共放送の規制では、例えば農業従事者を「百○」・・・これを差別用語だとは自分は思わないのだけれど・・・ というのも過去の作品のセリフにあると音声を消してしまうものだが、「座頭市」の映画に頻繁に登場するセリフ「メク○」・「カタ○」問題も、こういうテロップを入れればなんとか放送できてしまうのがNHKも含めて現在の放送界の流れになっている。 

 これは昔の映画・テレビドラマファンにとっては有難いこと。こうしないと「座頭市」シリーズは全滅である。

 「どメク○と三度言ってみな、命ゃねーよ」が「ど(無音)と三度言ってみな」では勝新の迫力もあったものではない。

 規制をはずした完全版「座頭市」を提供する放送企画者の英断に座頭市ファンとして感謝するしかない。

 BSの番組や映画放送というのは再放送を5回も6回も流して放送業務はサボリのイメージしかないが、今回の放送は「BSもなかなかヤルな」と感じた。

 BS映画放送で有難いのは、画質が青円盤なみに良く、DVDソフトよりずっと良い映像で観られるということだ。

 ただし、BS放送サンよ、残りの座頭市シリーズも順次放送してよ。この映画だけを5回も6回も放送するんじゃないよ。そんなことしたらオメーさんたちの命ゃねーよ。

 映画の冒頭、市が乗り込む渡廻船の船頭に「身体障碍者には船賃の割引は無いのかい」というようなセリフを発する。アレ?、座頭市シリーズもとうとうこの映画から三文字言葉を自主規制したのか、身体障碍者という呼び方が江戸時代にあったのかと、まずここで笑わしてくれる。

 勝新の相手、浪人の成田三樹夫さんがカッコいい。劇の中で将棋を指すが、実際に彼の将棋の腕はプロ級。かつて、彼がNHK教育「将棋の時間」にマジメな顔してゲスト出演していたのを憶えている。

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八つ墓村

邦画メモ、NO、98、民放BS

1977年、松竹、151分

監督: 野村芳太郎、 撮影: 川又昴、 音楽: 芥川也寸志

出演: 渥美清、萩原健一、小川眞由美、山崎勉、山本陽子、中野良子、加藤嘉、市原悦子、花沢徳衛、下條親子・・・その他私の好きな俳優さんばかり

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 冒頭、落武者たちが村に逃げ落ちるシーンから旅客機の着陸カットと空港のシーンへと飛ぶ。ここで、原作の昭和20年代初期の話を捨て、現代劇に換えたと分かり、ちょっとガッカリした。

 金田一さんが事件を推理する環境は、百合の花を逆さにした三つ笠の裸電球で照らされ、手回し式の電話が壁に掛かっている薄暗い廊下のある家の時代でなければならない。(映画に使われた屋敷にはこれに近い間取りもある)

 と、自分のように思われた方々もおられようが、映画的に面白いシーンが一杯あるので、これはこれで許してしまう。寅さんの下駄顔・金田一に違和感を感じるが、元々原作には金田一さんの出番が少ないと作者自らぼやいていて、この映画でも金田一が主役とは言い難いので、これでいいかと許してしまう。

 が、農村とはいえ、ニッサン・スカイラインも走っているこの現代の道路の往来に、「祟りじゃー」の日本昔話に出るようなあんな格好した山姥オババが飛び出してきたのにはズッコケた。

 自分は1970年代に流行った横溝小説の独特の文体・・・「おお、恐ろしい、なんと恐ろしいことが起こったのでしょう」・・・という雰囲気には当時ついていけず、推理物は松本清張にハマッタ。しかし最近、推理小説と探偵小説はジャンルが違うのではないかと思うようになったので、今、横溝小説を再読したら、どういう印象を持つか試してみたい。

 それでも、まあ、あれですわ。自分は実際には存在しそうもない私立探偵・金田一さんの話・・・・ 私立探偵と警察が合同に事件を捜査するということが実際にあるのだろうか ・・・・より、うちに帰ったらチャブ台で御茶漬け喰ってる安月給の県警・鳥飼刑事のほうが好きだな。

 例えば、ショーケンが小川眞由美の指の傷を発見するシーン。ここで、ショーケンが「お前が犯人だったのか」というアクションで興奮状態となるので、小川眞由美もバレてしまったと気付きお互い大乱闘・大追跡となる。これが、鳥飼刑事の登場する清張の小説・映画だとすると、傷に気が付いても黙っていて犯人を泳がし、後の証拠固めとし犯人追求シーンにつなげるだろう。

 こういう現実的展開のほうが後々面白くなるんじゃないのと観ていて考えてしまう。

 洞窟で男女が営むのも、鍾乳石や岩石をベット替わりにして、背中は傷だらけになるんじゃないの。と、観ていて考えてしまう。

 全国の横溝ファンの方々。リアリズム好きで、間違い探し好きヒネクレ者の戯言と思って許してください。

 落武者の八人の俳優は大物役者ぞろいだが、その中には私の好きな俳優・丹古母鬼馬二もいて、・・・最初、太った佐藤蛾次郎さんかと思った・・・・ 結構セリフもあるのだけれど、エンドクレジットではその他出演者扱いであった。ケシカラン。

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火垂るの墓

邦画メモ、NO,97、NHKBS

2008年、パル企画、100分

監督: 日向寺太郎、 撮影: 川上皓市、 音楽: Castle In The Air.

出演: 吉武怜朗、畠山彩奈、松田聖子、江藤潤、高橋克明、松坂慶子、長門裕之、原田芳雄

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 この実写版が野坂の原作とどう違うかは分からないけれど、高畑アニメ版とはかなり違う。

 やはり、アニメ版を意識して、脚本と構図は徹底して換えられている、これは監督の人情として致し方ないこと。私も監督だったら高畑作品のマネはできない。

 アニメ版との比較を楽しむのではなく、ひとつの映画作品として退屈せずお終いまで観られた。ただし、泣かせ所はアニメ版に軍配が上がり、描写は淡々としている。

 松坂慶子が意地悪オバ(遠縁?)さんを演じているが、アニメ版よりもっと徹底してワルである。アニメ版では彼女の言うことに一部理があったが、松坂のは大人が見ても嫌なヤツ。

 松坂慶子さんて、「蒲田行進曲」のころより芝居が上手くなったような気がする。ま、年の功ってやつですか。彼女の滑舌はNHKの渡邊あゆみアナのように滑らかではっきりして耳に残るもの。

 清太役の吉武怜朗という俳優を覚えた。やすき節上手いすね。

 亡くなった母を兄妹が偲ぶフラッシュバックのシーンの後には火垂るが舞っているカットが入る。

 音楽は前半、ホラー映画調のピアノの冷たい音色を用いた曲で、兄妹が意地悪オバの家から脱出して防空壕で生活するところから暖かいギターの音色を使ったものになる。

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火垂るの墓

邦画メモ、NO,96、地上波NTV

1988年、スタジオジブリ、東宝配給、88分

監督: 高畑勲、 音楽: 間宮芳生、 美術: 山本二三

声: 辰田勉、白石綾乃、志乃原良子、山口朱美

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 この映画も世界では「二度と観たくない映画」として10位以内にランクされる。

ただし、それには必ず一回は観ておくべき作品という条件がついてくる。

 自分としても、発表された当時から観る気の進まない映画で、わざと避けてきたけれど、やはり一度は観ておくべき作品と思いたち、一昨年放送されて円盤に録画していたものを、ようやく昨夜通しで最後まで鑑賞した。・・・・これを記述している本日、再放送される。

 観た後、寝床に就いたが、頭の中で各シーンが再生され、なかなか寝つかれなかった。「寝る前に観ない方がいい映画」としてもランクインされる作品でもあると思う。

 映画館で最初にすすり泣きの音が聴こえるシーンは節子の火垂るの墓作りのところかな。まさに映画のタイトルのシーン。

 兄は母の死をずっと節子に隠し通していたはずなのに、とうに節子は叔母からその事実を聞かされ、幼いながらもそれがどういう意味なのか悟りきっていた。淡々と泣きもせず火垂るの死骸と一緒に母の霊も弔っている節子の健気な様子を見て嗚咽する兄の姿は、今の自分の姿でもある。

 節子の声を担当している白石綾乃ちゃんが上手い。関西弁が可愛い。この子の幼いしぐさが可愛い。ほんま、兄と一緒にベンチに座るアクションの可愛さといったら、たまりまへんな。よくもまあ、幼子の動作を取材したものです。

 焼夷弾の燃焼はもうちょっとリアリズムでやってほしかった。当時の記録フィルムを見るとマグネシウムが燃えるような輝く白い閃光と四方に飛び散る火花の、水をかけてもとうてい消火できそうもない激しい燃え方で、あのような松明みたいな燃え方では決してない。

 死んだ兄が霊として過去のシーンに時々チラリと登場するけれど、なにか演出として物足りない感じがする。

 母の残した預金で節子の栄養失調を治せなかったのが無念。映画は妹を死なせてしまった兄のこの迂闊さも訴えているように感じる。

 もう一回は観たい。

追記: 近隣国で第二次大戦中、日本と戦ったことがないのに戦勝国を名乗っている国と、今だ日本人は残虐非道の鬼で、70数年前と変わらない軍国主義だと信じ込まれている国のネット住民たちの「便所の落書き」によると、この映画は戦争で敗戦国になった日本が、加害者であったことを忘れ、被害者ヅラして戦争の悲劇を訴えている内容なんだそうである。

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幸福の黄色いハンカチ

邦画メモ、NO、95、NHKBS

1977年、松竹、シネスコ、108分、デジタルリマスター版

監督: 山田洋次、 撮影: 高羽哲夫、 音楽: 佐藤勝

出演: 高倉健、武田鉄矢、桃井かおり、倍賞千恵子、渥美清

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 二度観になる。初見はBSで放送された2012年だったけな。その時は、たしかに70パーセント傑作の映画だと感じた。今回は90パーセント傑作だと感じた。

 再見したきっかけは、BSの番組で前田吟と池上季美子がこの映画のロケ地を探訪するというのを観たためで、映画の再確認であった。

 ・・・・この番組、どうせなら武田鉄矢と桃井かおりが訪れるという企画にすればよかったのだが、二人ともオファーできなかったのだろう。もっとも武田がいると余計なことまでベラベラ喋りすぎて番組が混乱するかもしれないが。

 この映画が公開された当時は自分は二十歳前後の生意気盛りで、黄色いハンカチを何十枚も掲げて妻が夫を待つなどという、いかにもお涙頂戴の感がして「こんなの観るもんか」と反発したものだ。

 それに、武田鉄矢と桃井かおりも自分の好みのキャラでは無かったし、マツダ・ファミリアもデサインの嫌いな車であった。・・・・この次の世代のFFファミリアは良かった。

 二度観して傑作率がアップした理由は、やはりフラッシュバックで現れる高倉と倍賞の生活風景の描写が優れていること。特に倍賞の演技が素晴らしかった。彼女は高倉言うところの「弱い女」、「男が守ってやるべきもの」をうまく表現していた。

 これを逆の意味で際立たせたのが武田と桃井で、二人とも性に関係なく、誰が見てもどうしょうもない嫌な人間を上手く演じている。常識ある男性から見て、失恋したばかりの武田がナンパした女性にすぐ体を求めるのも嫌だし、桃井がビービー大きな声で泣き叫ぶ幼児性にも、2.3発張り倒してやりたい気分になってしまう。高倉・倍賞といい対称になっている。

 ただし、武田の嫌な人間性も、高倉健の彼へのいつかのスルドイ説教で、観ている観客の気分が中和されバランスが取れていく。彼も成長していく。うまい脚本ですな。

 その脚本については、高倉が傷害致死で刑務所に入所する過程のシーンがスパッと省略されていて潔い。私だったら「ショーシャンク・・・」のように裁判での判決シーンを入れるかもしれない。

 ラストの武田と桃井の車内キスシーンは、ちょっと長くて嫌だな。これも自分が監督なら武田が助手席の桃井の手を握ったシーンだけにするかもしれない。

 その前の高倉と倍賞の出会うシーン、セリフを排したロングショットが素晴らしい。そこで倍賞のアップの1カットは必要ではないかと後で継ぎ足して撮影されたそうだか、これはやっぱあった方が良かったと思う。

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妖怪百物語

邦画メモ、NO、94、DVD

1968年、大映、カラー、シネスコ、79分、同時上映「ガメラ対宇宙怪獣バイラス」

監督: 安田公義、 撮影: 竹村康和、 音楽: 渡辺宙明、 特技監督: 黒田義之

出演: 藤巻潤、高田美和、平泉征、坪内ミキ子、ルーキー新一、林家正蔵、神田隆、五味龍太郎、吉田義夫、浜村淳、伊達三郎、山本一郎

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 小学校3年生の時、リアルタイムで観た。子供心に次のシーンが怖かった記憶がある。

・ おいてけ堀・ろくろ首・・・ 汚い沼から聴こえる低い声、「おいてけー」。「洗っても洗っても血が落ちないんです」と手桶で、沼から浪人の夫が釣ってきたコイをさばいた手を洗っている女房のカットと浪人(山本一郎)のやりとり。女房の顔がしだいに怪しくなる。その夫の伊達三郎がコイのアライを食べるのも何か嫌な気持ち。食べた彼が妖怪になるのかと期待した。

・ ルーキー新一が振り返るとノッペラボーになっている。「こんな顔かい?」。これはさっそく学校でマネした。

・ 屏風に描いたカラカサお化けが動きだすところ。今観るとすごいフルアニメーションと分かり、滑らかな動きが見事。

・ 破れ傘を背負った腰の曲がったチッサイ婆さんが何もせず道を通り過ぎる。何をやらかすのかとその間怖かった。あの異様な雰囲気。

・ 薄暗くなった空に浮かぶ不思議な青白い球体。槍を向けて投げるとクルクル回転し、こちらに戻ってくる。

 学校で友達にどこが一番怖かったか尋ねると「大首」だと言う。口裂け女のデカイやつは自分にはそれほど怖くなかった。しかし、この合成シーンは見事。「大魔神」で培われた大映独自のブルースクリーン技術がすばらしい。

 この映画は決して子供向けではない。しっかりした脚本と演出、大映ベテラン演技陣の芝居も冴えている。

 なんていったけなー、よく観る俳優さんで、おいてけ堀で二人の浪人を咎める爺さん。ウマイねー。この映画の後、亡くなられたようだ。(追記: 「悪名」の朝吉の父親役でしたな)

 カラカサお化けのマリオネーションは子供のころは大したことないと感じたが、今見ると操り糸が全く見えない優れた撮影。また、本体は瞼がちゃんと無線操作か何かで動き造形もしっかりした物、かなり予算と手間をかけたことがうかがえる。

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