カテゴリー「洋画メモ」の記事

2010年

洋画メモ、NO,129、NHKBS
1984年、MGM、116分
原題: The Year We Make Contact.
監督・撮影: ピーター・ハイアムズ、 音楽: デイヴィット・シァイア、SFXスーパーアドヴァイザー: リチァード・エドランド
出演: ロイ・シャイダー、ジョン・リスゴー、ヘレン・ミレン、ボブ・バラバン、ケア・デュリア
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 劇場でリアルタイムで観て、ブラウン管テレビで2度見、今回、ひさしぶりにBSで再見。
エドランドの当時のアナログな特撮が現在観てもあせない。ミニチュア制作・宇宙船の巨大感、存在感が素晴らしい。
 ただし、木星表面上のCG雲の動きは視覚的には素晴らしいが、天文物理的には秒速100メートルの嵐といえども宇宙から雲が動いて見えることはありえず、これはやりすぎだ。
 このCG発注で制作費をかなり取られたせいなのか、宇宙船内の造りにアラが出ている。特にディスカバリー号の内部は、鮮明なBS映像ではハルの目玉付近などにクローズアップするとベニア板のような安っぽさが感じられる。
 さらに劇場で当時観たときから看過できないのは、そのディスカバリー号内部のコンピューター・ディスプレイが、「2001」では21世紀現在で我々が目にしている通りのフラット画面であったものが、これがなんと時代錯誤なCRT(ブラウン管)に置き換えられていることだ。
 映画が制作された1984年当時の撮影ではまだ普及していないフラットテレビの採用は無理だったとしても、これはもうプロダクションデザイナーの未来感覚の欠如か怠慢のなにものでもない。木星のCGなどに予算を組まず、こういうところに金を使って「2001」制作当時の方法を踏襲すべきであった。(プロジェクターで動画を裏側から投影させる方法)
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↑CRTディスプレイのせいで、2001年より退化してしまった2010年のディスカバリー号。こんなことで、「2001」ファンをガッカリさせてはいけない。
 
 また、回転式人工重力部ではないセクションで出演者がスタコラ歩いているという物理的なエラーが目立つ。
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 「2001」でもこういうエラーシーンはあったが、グリップシューズで床に足をくっつかせているという設定で、ワザと鈍い歩き方にしているのだが。
 
 一人の陽気なロシアンクルーがモノリスに接近し、不明になっただけで命を落としたと断定しているシーンが、なんかピンとこない。モノリスから平和メッセージ音声も地球に送られるという筋を付け加え、その行方不明になった彼の音声にすれば良かったのでは。
 ケア・デュリアという面白い名前で、今だ他の出演作品を観たことがないという地味な俳優さんが、「2001」の出演時から全然容姿が変わっていないのに驚く。撮影からほぼ20年経っているというのに。(特殊メークで若作りしているかもしれないが)
 
 ヘレン・ミレンのロシアなまりの英語を駆使した演技が上手い。

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スタートレック Into Darkness

洋画メモ、NO,128、NHKBS
2013年、パラマウント、133分
監督: J・J・エイブラムス、 撮影: ダニエル・ミンデル、 音楽: マイケル・ジャッキーノ、
出演: クリス・パイン(カーク)、ザカリー・クイント(スポック)、カール・アーバン(マッコイ)、ゾーイ・サルダナ(ウフーラ)、サイモン・ペグ(スコッティ)、ジョン・チョー(スールー)、アントン・イェルチン(チェコフ)、ピーター・ウェラー、ベネディクト・カンバーバッチ、レナード・ニモイ(絶作)
 
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 前作に続き、パラレルワールドのスタートレック。まあそれなりに見られた。メンバーのツラや特徴が旧作に合わせてあって面白い。
 ヤンチャ坊主的性格のカークを演じるクリス・パインはTV「ジョン アンド パンチ」CHIPSで所長を演じていたロバート・パインの息子だった。それとなく親父に似ている。スコッティのサイモン・ペグは旧作の彼とは全然似ていないが、なんとなくミッキー・ルーニーに近い顔だち。
 昨年2016年にチェコフを演じたアントン・イェルチンが不慮の事故で亡くなった。あの強いロシアなまりの面白い英語が次作「BEYOND」を最後にもう聞けないので残念。ロシア人は距離の単位のMERTER・メーターを「メートル」と発音する。名前のピーターはロシアではピョートルになるのと同じ発声なのだろう。
 
 CG・VFXはケチのつけようがないほど素晴らしいが、一か所つまらない演出があった。それはエンタープライズが大気圏内で上昇しているカットで、機体の各所からアフターバーナー調の燃焼ガスが一斉に噴射されていたのである。これはありえない。もうあの時代は反重力エンジンが当たり前に利用されているはずなのだが。それとも反重力エンジン故障による非常手段なのだろうか。でもあの為の莫大な燃料・推進剤はどうするのだ。
 
 撮影シーンを見て驚いた。今時カメラはフィルムを使っていた。エイブラムズ監督はデジタル撮影嫌いのようで、CGシーン以外はフィルム撮影に拘るようだ。
 

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オブリビオン

洋画メモ、NO,127、NHKBS
2013年、ユニバーサル、124分
原題: OBLIVION.
監督: ジョセフ・コシンスキー、撮影: クラウディオ・ミランダ、音楽: M83
出演: トム・クルーズ、モーガン・フリーマン、オルガ・キュリレンコ、アンドレア・ライズボロー、メリッサ・レオ
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 オブリビオンの意味が分からず、字引をひくと「忘却」とあった。赤尾の豆単にも載っていなかった。ひとつ難しい単語を覚える。
 
 最初、雲上に浮かぶスカイタワー内の清潔で透明感のある素敵なセットに目を見張り、背景の大気の流れの実写同然の違和感のない描写と、セット内の床などにその背景が反射して映り込む自然な映像に感心した。これを見るだけでも価値がある。   
 メーキングを観ると背景はブルースクリーンを使った合成ではなく、セットを囲む湾曲したワイドなスクリーンを用いたフロントプロジェクション方式による投影画像だった。雲など大気の映像はハワイのマウナケアなどで撮影したもの。安直にブルースクリーン合成に頼らない監督のこだわりを感じる。コシンスキー監督は工学・建築の理系出身で納得。
 
 
 ラストシーンでトム・クルーズの乗るNASAの宇宙船内セットもリアルな造形で素晴らしい。これがちょっとしか映らないのでモッタイナイ話だ。
 
 どういう展開になっていくのか期待して観ていくと、中間でグラサンを掛けた釜爺みたいな悪党ヅラのモーガン・フリーマンが出てきて、ここからちょっとしたドンデンガエシが始まる。
 意外な展開は幾つもあって、あまり語るとネタバレになるので、この映画も「サイコ」のように中途鑑賞を禁止したり、人に喋らないようにピーアールしたほうがヨロスイ。
 
 ここ数年で一番面白かった洋画。
 
 ただし、エイリアンの地球侵略動機が納得しがたい。地球まではるばる宇宙を飛んで来れるような高度な文明を持つ知的生命体の目的がH2Oとは・・・あんな宇宙にいっぱいある水素と酸素がくっついたものを、わざわざ地球で採取せんでも。
 
 トム・クルーズの操るエアクラフトやドローンは、明らかに燃焼ガスによる推力で飛行したりホバリングしたりするのだが、機体やエンジンの上部にエア・インテークが一切無いという可笑しなデザイン。航空工学出身のスタッフは制作に参加しなかったようだ。
 ヴィカ役のアンドレア・ライズボローという涼しい顔したカワイコちゃんの女優を覚えた。

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ある日どこかで

洋画メモ、NO、127、NHKBS
1980年、ユニバーサル、103分
原題: 「 Somewhere In Time.」
監督: ヤノット・シュワルツ、撮影: イシドア・マンコフスキー、音楽: ジョン・バリー
出演: クリストファー・リーブ、レイ・スターク、クリストファー・プラマー
 
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 タイムスリップ物のSFなのだが、低予算で制作されたので、タイムマシンメカの設定やスリップするのに合成シーンなどは無い。ベッドに横になって過去を瞑想するだけで時間旅行ができるというから、これはこれで金の掛からないウマイ方法を考えたもんだ。
 
 撮影はミシガンのグランドホテルで行われた。ちょっと敷居が高そうなホテルで、私のような田舎者の日本人が泊まったら、居る場所に困るような雰囲気の場所。
 
 音楽はラフマニノフの「パガニーニ・ラプソディー」18変奏が使われていて、主人公はこの曲を愛聴している。ラブロマンスにもってこいの選曲。流れている演奏はピアノよりオーケストラ・パートの扱いがなかなか印象深い。
 尚、ストーリーの舞台は1910年代だが、この曲は1930年代に発表された。
 
 
 ホテルの湖畔のガーデンであの当時のエエトコの子女が佇んでいる描写は、構図は違うがあの有名な絵画にソックリ。
 
Photo
 
 終盤で、主人公は現代に戻ってくるのだが、こんな終わり方でいいの?、とガッカリする観客がいるかもしれない。自分にも何か物足りない結末。それに懐中時計はどうなったんだ。
 
 クリストファー・プラマーが出演していて、例の映画のトラップ家を模したオマージュカットがある。
 
 もう一方のクリストファーはこの映画の後、落馬で人生が変わる。スーパーマンではなかった。惜しい、もったいない。合掌。
 
追記: 
 気が付かなかったが、撮影フィルムには現在のシーンではコダクローム、1910年代の過去のシークエンスの撮影には淡い色調のフジフィルムが使われているという。今だったらこういう画質の調整にもデジタル処理で済ませるだろうが、当時のフィルム撮影の映像も奥行きが感じられていいものだ。
 
 
 
 

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ゴーストライダー

洋画メモ、NO,126、BS民放
2007年、コロンビア、110分、放送CM付2時間
監督: マーク・スティーヴン・ジョンソン、 撮影: ラッセル・ボイド、 音楽: クリストファー・ヤング
出演: ニコラス・ケイジ、エヴァ・メンデス、ピーター・フォンダ、サム・オリオット
 
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 アメリカのティーンエイジャー向け娯楽作品。
 
 元々コミックが原作なので、未成年か、少年時代に戻れる人が対象のもの。そうでない大の大人には、CGがちょっと面白いだけで、少なくとも自分には無駄な時間を過ごしてしまったな、という感想しか残らない。
 
 アメリカの映画館の入場料は最新作でも日本円で800円くらいらしいが、映画館の稼ぎは入場料よりも、観客が買うポップコーンや飲み物による収入がかなりの割合を占めるという。
 バケツみたいな容器に入ったポップコーンと、これまた長靴みたいな容器に入れたコーラを持ったティーンエイジャー、・・・・ イメージすると「バックトゥザフューチャー」に登場したビフたち三人組のような・・・・ が、入場者の大半を占め、彼ら彼女らがワイワイ・キャーキャーと騒いで観る映画。それもドライビング・シアターなどの映画館で。
 
 ピーター・フォンダがチョッパーのハーレーの前にいるシーンは感無量。もっも、この気分はビフ達には意味が分からないだろう。
 それにしてもピーター、ますます親父に似てきたな。もう77の後期高齢者か。これも感無量。
 
 墓守のナゾの人物を演じたサム・エリオットがなかなか渋い。リー・マーヴィンにちょっと感じが似ている。

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GODZILLA  ゴジラ

洋画メモ、NO,125、地上民放
2014年、WB、124分、放送2時間内
監督: ギャレス・エドワード、 撮影: ジェイマス・マクガーヴェイ、 
音楽: アレクサンドル・デスプラ
出演: アーロン・テイラー、渡辺謙、エリザベス・オルセン、ジュリエット・ピノシュ
 
 
 こちらでは映画館が消滅してしまい、話題の「シン・ゴジラ」が観られないので、とりあえずゴジラ映画としては一つ前の作品を観た。去年、円盤に録画していたものをホッタラカシにしていて、漸く今頃再生した。ようするに、あまり関心が無かったということですな。
 
 一週間前に観たのだけれど、今でも印象に残るシーンは無い。CG,VFX映像も自分には免疫が出来てしまい、特に目を見張るということもなかった。
 
 エクゼクティブ・プロデューサーが日本人で、そのためか、アチラの映画にありがちな、ヘンな日本語文字、看板、奇異に見える日本描写が無くて良かった。
 
 渡辺謙が日本語で「ゴジラ」と発音したのも良かった。吹き替え版も本人が演じているので原版と同じままの発音だろう。日本人が「ガッヅィーラ」と言ったのでは話にならない。渡辺さん、アッパレ。
 
 ゴジラと戦うムートーという怪獣が、ラドンみたいな蝙蝠みたいなヤツでユニークな造形だが、頭の部分は大映・ギャオスの丸パクリ。それとも日本・怪獣映画へのオマージュなのだろうか。
 
 この映画の怪獣たちも、過去の怪獣映画にもあったように放射能・放射性物質を捕食するタイプの生物だが、自分は昔から思っていたけれど、体内に取り入れた核物質・核燃料をどういうシカケで連鎖反応を起こして莫大な熱エネルギー、運動エネルギーに変換させるのか、そこんとこを説明してもらいたいものだ。
 
 
 

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野いちご

洋画メモ、NO,124、NHKBS
1957年、スウェーデン、91分
監督: イングマール・ベルイマン、 撮影: グンナール・フィッツジェル、 音楽: エリク・ルドグレン
出演: ヴィクトル・シェストレム、ビビ・アンデショーン、イングリット・チューリン
 
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 久しぶりに良い映画、名画を観させてもらった。ベルイマンの映画としては大変分かりやすいものだと思う。
 
 スウェーデン語は分からないが、エンドクレジットで2011年にデジタルリマスターされたものだと推測で分かった。
 
 素晴らしい画質の良さ。モノクロ画像の美しさを堪能した。特にラストのイサクの夢のシーンは色なしでも色彩を感じて、著名画家による風景画のようだ。
 
 イサクの夢のシーンでは、自分の遺体が入った棺桶を見たり、森の中での妻の不貞を覗くカットなどに黒澤映画の影響があると思う。
 
 音楽は流れていたのだろうか。ただ一つ、ピアノとチェロによるバッハのWTCの中の一曲だけ記憶にある。それもほんのサワリだけだったが。
 
 イサク役といい、ホームヘルパーの婆ちゃんといい、みんな芝居がうまい。
 
 撮影はロケから、そのままの立ち位置でスタジオ撮影に移るシーンが多く、不思議だったが、どうやらイサク役のシェストレムの体調を慮ってのことだったらしい。高齢の役者に長時間、現場でセリフを喋らせるのは酷というわけか。そういえばセリフの多い映画だ。そのカットのつながりは自然で違和感はない。
 
 後味のいいラスト。自分も歳をとってから、あのような夢を見つつ眠りたい。

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ボディ・スナッチャー/恐怖の街

洋画メモ、NO,123、NHKBS
1956年、アメリカ、80分
原題: Invasion of the Body Snatchers.
監督: ドン・シーゲル、 撮影: エルズワーズ・フレデリックス、 音楽: カーメン・ドラゴン
出演: ケヴィン・マッカーシー、ダナ・ウィンター
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 尺が80分と短いのは、他のB級映画などと3本立てくらいで上映するためだと思うけれど、この作品はB級扱いできない上質な仕上がりになっている。SF映画のなかでも名作として数えられている。宇宙生命体が人類に成りすますというSF物の元祖的作品。
 
 が、しかし。脚本は破たんしている。
特に観客は終盤のベッキーがニセモノに変貌するシーンで「アレーーーー????、やっぱりこうなるのーーー?」となってしまう。
 
 これは、まず、前半からして、ニセモノがホンモノとどうやってすり替わるのかという疑問から、その展開への期待を抱かせるのだが・・・・結局何も説明がなく経過する。ニセモノは素っ裸でサヤから生まれるというのに服なんかはどうするんだ?。
 
 生まれたニセモノは、ホンモノのボディをどうやって抹殺し、始末するのかという疑問から、その展開の期待・・・・これも結局何も説明がないが、地下室にあったビニールシートに包まれたベッキーのニセモノらしきものが、ひょっとしてすでに殺されたホンモノかもしれないと思わせるシーンのみで終わる。
 
 その納得しないモヤモヤした気持ちで観続けていると、どうやら今度はホンモノが睡眠後、目覚めるとニセモノに替わるらしいということで、観客は「エー?、そうなんすか、ニセモノのボディはどこいっちゃったの?」となる。
 
 という具合でストーリーに一本の筋が通っていない。
 
 この解決法、後ほどのリメーク作品ではどうやっているのか見てみたいものだ。
 
 時代がら、共産主義・社会主義への不安感を感じさせる。ニセモノたちは個性を抹殺され均一化されても悩みの無い世界「この世の楽園」をホンモノたちに訴える。自由の国、アメリカ人の主人公たちはそれに反発する。
 
 映画的には最初の5分からグイグイと観客を画面に引き付けさせるものがある。なにかヒッチコック的なゾクゾクさせる手法も感じる。大勢のヘンな奴らに追いかけられるというのは、後のゾンビ映画に影響させたかもしれない。
 
 階段を使った撮影が多い。これもヒッチ風。
 
 スーパースコープという横長サイズの画面で、実際はシネスコと同様、35ミリフィルムに圧縮されていて、さらにトリミングして拡大されているみたいだが、特に画質の粗さは感じなかった。
 
 ベッキー役のダナ・ウィンターという、細身でもナイスバディな美しい女優さんをこの映画で憶えた。
 
 助監督だったサム・ペキンパーが地下室の水道屋のオヤジでチョイ役出演している。自分は彼のツラを知らなかったので、ネット情報で分かった。監督のシーゲルも出ているそうだが、これもどこにいるのか分からない。
 
 TV「タイムトンネル」で所長だった俳優が初めと終わりに出ている。
 
 
 
 

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The Martian.(オデッセイ)

洋画メモ、NO,122、レンタルBD

2015年、20世紀フォックス、141分

監督 :リドリー・スコット、 撮影: ダリウス・ウォルスキー、 音楽: ハリー・ウィリアムズ

出演: マット・デイモン、ジェシカ・チャスティン、クリスティン・ウィグ・・・

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 邦題は「オデッセイ」ねーー。原題どおり「ザ・マーシャン」じゃ、これも認知度としてはマズイ感じがするけれど、もうちょっといい邦題はつけられなかったか。たぶん、「マーズアローン」というのも候補になったと思うけど、これもイマイチだな。難しいもんだ。

 随分と前向きな性格の主人公だけれど、メイキングによると、マット・デイモン自身が彼に近いキャラクターで、まさに適役だったらしい。

 デイモンの火星での一人芝居では、ブツブツと独り言したり、ナレーションを入れたりするのは「愚の骨頂」の演出ということで、彼に動画日記という形でカメラに向かって喋らせたのは良いアイデア。

 2030年ごろのNASAメカ・宇宙服などが素晴らしい。もう脱帽。文句在りません。

追記: 劇中の単位はメートル法が使われていて分かりやすい。最近のアメリカの民間ロケット打ち上げでもメートル法の使用となった。

 ああいうスタンダードで実用的な造形を著名デサイナーなどに一任させると、えてして、かえって滑稽で不細工なものになることがある。「2010年宇宙の旅」でのシド・ミードのレオーノフ号などがいい例。

 サバイバル宇宙映画のストーリーとしては、やはり宇宙空間での命綱無しのハラハラ・ドキドキ描写は取り入れざるをえないようで、「GRAVITY」とこの映画はそういうところがソックリ。

 しかし、自分はデイモンのハラハラより、ヘルメスの機体表面を命綱なしでサッサと移動した一人のクルーのほうがよっぽど心配でハラハラした。あんなことは実際ではありえない超危険行為だと思う。ちょっと手を離せば慣性で機体からどんどん離れて絶対に戻れないのよ。オッカネー。

 航空宇宙少年の自分としては疑問点や間違いと思うカットがいくつかあったので指摘する。マチガイ探しは私のサガなのでしょうがない。

・デイモンが火星から脱出する宇宙船内。MECO(メインエンジン・カット・オフ)前なのに、ボルトなどの部品が無重量状態で漂っていた。 エンジン噴射・加速中ではこれはありえない。完全な編集ミス。

・ヘルメスに動力式・人工重力回転居住区がある。

 これはSF特撮シーンでは定番のメカ描写だが、実際にNASAがこれを実現させるならば、エネルギーを浪費するこんな無駄なメカは採用せず、ソーラーパネルが太陽側に向く軸で宇宙船全体を慣性回転させることになるだろう。稼働メカとしては宇宙船の先端に常に地球に向く通信アンテナを設置すれば済むことである。

・火星の移動用ローバー・MAV。なぜ天井に穴を開けバルーンを付けたのだろうか。どんな必然性があったのか、なにか自分は見落としたのだろうか。

・芋の栽培で水の確保にさんざん手を尽くしているというのに、デイモンがシャワー室からサッパリして出てくるカットがあった。どゆこと?。シャワーの水はイモ用に再利用するのかな。

・火星の大暴風砂嵐。火星の大気は地球の地上気圧の1パーセント位なので、風速100メートルでも実際の嵐の風圧は地球のそよ風程度だという。あれはNASAも認める大間違い。でもこれは映画のウソということで許しちゃう。これに文句を言ったんじゃ映画は成立しないもんね。ただし、知識のない人に火星ではああいう危険があると誤解される恐れがある。

・地球より重力の低い火星でデイモンやクルーたちが1g状態の動きをしている。これも映画のウソということでショーガナイけれど、火星の重力を正確に再現したらもっと面白いだろうな。

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パシフィック・リム

洋画メモ、NO、121、民放地デジ

2013年、WB、132分(放送時間2時間15分CM含)

監督: ギレルモ・デル・トロ、 撮影: ギレルモ・ナヴァロ、 音楽: ラミン・ジャヴァディ

出演: チャーリー・ハナム、菊池凜子、イドリス・エルバ、チャーリー・デイ、ロバート・カジンスキー・・・

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 監督さんのお好み、カイジュウ、モビルスーツものオタク映画で、怪獣映画への思い入れがつまった作品。

 もう、3年前の作品だけれど、公開された当時は特に観たいという映画ではなかった。

 というのも、自分の世代は監督さんの世代とズレていて、あ、いやいや、好みがズレていて、カイジュウ対ヒーローとの戦いという興味は初代ウルトラマンで終了しているし、二十歳前後の時、始まったガンダムにもサッパリ関心が無かったから。

 これは現在に至っても、依然、巨大ロボ内部に人間が入って操り、敵と腕力や飛び道具で戦うというシチュエーションにもマッタクもって興味が無い。

 でも、CGの出来栄えが良さそうなので、いつか観るべきとは思っていた。

 :結構面白かった。2時間が短く感じた。・・・硬円盤に録画し、CM飛ばしなので実際は1時間40分くらいで済んだけど・・・ CGシーンはもうテーマパークのアトラクションを楽しんでいるようで、実際に3Dに客席のイスがガタガタ動く4D仕様の映画館もあったようだ。

 録画は消してしまったけど、CGだけでも何回か観て楽しめる。だけどもうお腹一杯かな、CGは。

 菊池凜子のカイジュウへの復讐心があまり伝わってこない。幼いころのフラッシュバックに両親が目の前で無惨に殺されるとかのカットがないと説得性が弱い。それとも放送でカットされたか、あるいは子供にも見せる為、コードに引っ掛かるのを避けるためか。

 そういえばキスシーン、ベットシーンも無かった。子供が観る日本の怪獣映画にはそういうのは無く、これも監督のカイジュウ映画への一つのこだわりかもしれない。

 ツッコミどころもあるけれど、・・・・菊池凜子の眼前で巨大ヘリが暴風吹きまき着陸しようとしているのに彼女は髪すら乱れず、さしている傘も風で飛ばされない。・・・・ 見応えのある娯楽映画でした。

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