カテゴリー「洋画メモ」の記事

ある日どこかで

洋画メモ、NO、127、NHKBS
1980年、ユニバーサル、103分
原題: 「 Somewhere In Time.」
監督: ヤノット・シュワルツ、撮影: イシドア・マンコフスキー、音楽: ジョン・バリー
出演: クリストファー・リーブ、レイ・スターク、クリストファー・プラマー
 
------------------------------------------
 タイムスリップ物のSFなのだが、低予算で制作されたので、タイムマシンメカの設定やスリップするのに合成シーンなどは無い。ベッドに横になって過去を瞑想するだけで時間旅行ができるというから、これはこれで金の掛からないウマイ方法を考えたもんだ。
 
 撮影はミシガンのグランドホテルで行われた。ちょっと敷居が高そうなホテルで、私のような田舎者の日本人が泊まったら、居る場所に困るような雰囲気の場所。
 
 音楽はラフマニノフの「パガニーニ・ラプソディー」18変奏が使われていて、主人公はこの曲を愛聴している。ラブロマンスにもってこいの選曲。流れている演奏はピアノよりオーケストラ・パートの扱いがなかなか印象深い。
 尚、ストーリーの舞台は1910年代だが、この曲は1930年代に発表された。
 
 
 ホテルの湖畔のガーデンであの当時のエエトコの子女が佇んでいる描写は、構図は違うがあの有名な絵画にソックリ。
 
Photo
 
 終盤で、主人公は現代に戻ってくるのだが、こんな終わり方でいいの?、とガッカリする観客がいるかもしれない。自分にも何か物足りない結末。それに懐中時計はどうなったんだ。
 
 クリストファー・プラマーが出演していて、例の映画のトラップ家を模したオマージュカットがある。
 
 もう一方のクリストファーはこの映画の後、落馬で人生が変わる。スーパーマンではなかった。惜しい、もったいない。合掌。
 
追記: 
 気が付かなかったが、撮影フィルムには現在のシーンではコダクローム、1910年代の過去のシークエンスの撮影には淡い色調のフジフィルムが使われているという。今だったらこういう画質の調整にもデジタル処理で済ませるだろうが、当時のフィルム撮影の映像も奥行きが感じられていいものだ。
 
 
 
 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

ゴーストライダー

洋画メモ、NO,126、BS民放
2007年、コロンビア、110分、放送CM付2時間
監督: マーク・スティーヴン・ジョンソン、 撮影: ラッセル・ボイド、 音楽: クリストファー・ヤング
出演: ニコラス・ケイジ、エヴァ・メンデス、ピーター・フォンダ、サム・オリオット
 
--------------------------------------------
 アメリカのティーンエイジャー向け娯楽作品。
 
 元々コミックが原作なので、未成年か、少年時代に戻れる人が対象のもの。そうでない大の大人には、CGがちょっと面白いだけで、少なくとも自分には無駄な時間を過ごしてしまったな、という感想しか残らない。
 
 アメリカの映画館の入場料は最新作でも日本円で800円くらいらしいが、映画館の稼ぎは入場料よりも、観客が買うポップコーンや飲み物による収入がかなりの割合を占めるという。
 バケツみたいな容器に入ったポップコーンと、これまた長靴みたいな容器に入れたコーラを持ったティーンエイジャー、・・・・ イメージすると「バックトゥザフューチャー」に登場したビフたち三人組のような・・・・ が、入場者の大半を占め、彼ら彼女らがワイワイ・キャーキャーと騒いで観る映画。それもドライビング・シアターなどの映画館で。
 
 ピーター・フォンダがチョッパーのハーレーの前にいるシーンは感無量。もっも、この気分はビフ達には意味が分からないだろう。
 それにしてもピーター、ますます親父に似てきたな。もう77の後期高齢者か。これも感無量。
 
 墓守のナゾの人物を演じたサム・エリオットがなかなか渋い。リー・マーヴィンにちょっと感じが似ている。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

GODZILLA  ゴジラ

洋画メモ、NO,125、地上民放
2014年、WB、124分、放送2時間内
監督: ギャレス・エドワード、 撮影: ジェイマス・マクガーヴェイ、 
音楽: アレクサンドル・デスプラ
出演: アーロン・テイラー、渡辺謙、エリザベス・オルセン、ジュリエット・ピノシュ
 
 
 こちらでは映画館が消滅してしまい、話題の「シン・ゴジラ」が観られないので、とりあえずゴジラ映画としては一つ前の作品を観た。去年、円盤に録画していたものをホッタラカシにしていて、漸く今頃再生した。ようするに、あまり関心が無かったということですな。
 
 一週間前に観たのだけれど、今でも印象に残るシーンは無い。CG,VFX映像も自分には免疫が出来てしまい、特に目を見張るということもなかった。
 
 エクゼクティブ・プロデューサーが日本人で、そのためか、アチラの映画にありがちな、ヘンな日本語文字、看板、奇異に見える日本描写が無くて良かった。
 
 渡辺謙が日本語で「ゴジラ」と発音したのも良かった。吹き替え版も本人が演じているので原版と同じままの発音だろう。日本人が「ガッヅィーラ」と言ったのでは話にならない。渡辺さん、アッパレ。
 
 ゴジラと戦うムートーという怪獣が、ラドンみたいな蝙蝠みたいなヤツでユニークな造形だが、頭の部分は大映・ギャオスの丸パクリ。それとも日本・怪獣映画へのオマージュなのだろうか。
 
 この映画の怪獣たちも、過去の怪獣映画にもあったように放射能・放射性物質を捕食するタイプの生物だが、自分は昔から思っていたけれど、体内に取り入れた核物質・核燃料をどういうシカケで連鎖反応を起こして莫大な熱エネルギー、運動エネルギーに変換させるのか、そこんとこを説明してもらいたいものだ。
 
 
 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

野いちご

洋画メモ、NO,124、NHKBS
1957年、スウェーデン、91分
監督: イングマール・ベルイマン、 撮影: グンナール・フィッツジェル、 音楽: エリク・ルドグレン
出演: ヴィクトル・シェストレム、ビビ・アンデショーン、イングリット・チューリン
 
------------------------------------
 久しぶりに良い映画、名画を観させてもらった。ベルイマンの映画としては大変分かりやすいものだと思う。
 
 スウェーデン語は分からないが、エンドクレジットで2011年にデジタルリマスターされたものだと推測で分かった。
 
 素晴らしい画質の良さ。モノクロ画像の美しさを堪能した。特にラストのイサクの夢のシーンは色なしでも色彩を感じて、著名画家による風景画のようだ。
 
 イサクの夢のシーンでは、自分の遺体が入った棺桶を見たり、森の中での妻の不貞を覗くカットなどに黒澤映画の影響があると思う。
 
 音楽は流れていたのだろうか。ただ一つ、ピアノとチェロによるバッハのWTCの中の一曲だけ記憶にある。それもほんのサワリだけだったが。
 
 イサク役といい、ホームヘルパーの婆ちゃんといい、みんな芝居がうまい。
 
 撮影はロケから、そのままの立ち位置でスタジオ撮影に移るシーンが多く、不思議だったが、どうやらイサク役のシェストレムの体調を慮ってのことだったらしい。高齢の役者に長時間、現場でセリフを喋らせるのは酷というわけか。そういえばセリフの多い映画だ。そのカットのつながりは自然で違和感はない。
 
 後味のいいラスト。自分も歳をとってから、あのような夢を見つつ眠りたい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

ボディ・スナッチャー/恐怖の街

洋画メモ、NO,123、NHKBS
1956年、アメリカ、80分
原題: Invasion of the Body Snatchers.
監督: ドン・シーゲル、 撮影: エルズワーズ・フレデリックス、 音楽: カーメン・ドラゴン
出演: ケヴィン・マッカーシー、ダナ・ウィンター
---------------------------------------
 尺が80分と短いのは、他のB級映画などと3本立てくらいで上映するためだと思うけれど、この作品はB級扱いできない上質な仕上がりになっている。SF映画のなかでも名作として数えられている。宇宙生命体が人類に成りすますというSF物の元祖的作品。
 
 が、しかし。脚本は破たんしている。
特に観客は終盤のベッキーがニセモノに変貌するシーンで「アレーーーー????、やっぱりこうなるのーーー?」となってしまう。
 
 これは、まず、前半からして、ニセモノがホンモノとどうやってすり替わるのかという疑問から、その展開への期待を抱かせるのだが・・・・結局何も説明がなく経過する。ニセモノは素っ裸でサヤから生まれるというのに服なんかはどうするんだ?。
 
 生まれたニセモノは、ホンモノのボディをどうやって抹殺し、始末するのかという疑問から、その展開の期待・・・・これも結局何も説明がないが、地下室にあったビニールシートに包まれたベッキーのニセモノらしきものが、ひょっとしてすでに殺されたホンモノかもしれないと思わせるシーンのみで終わる。
 
 その納得しないモヤモヤした気持ちで観続けていると、どうやら今度はホンモノが睡眠後、目覚めるとニセモノに替わるらしいということで、観客は「エー?、そうなんすか、ニセモノのボディはどこいっちゃったの?」となる。
 
 という具合でストーリーに一本の筋が通っていない。
 
 この解決法、後ほどのリメーク作品ではどうやっているのか見てみたいものだ。
 
 時代がら、共産主義・社会主義への不安感を感じさせる。ニセモノたちは個性を抹殺され均一化されても悩みの無い世界「この世の楽園」をホンモノたちに訴える。自由の国、アメリカ人の主人公たちはそれに反発する。
 
 映画的には最初の5分からグイグイと観客を画面に引き付けさせるものがある。なにかヒッチコック的なゾクゾクさせる手法も感じる。大勢のヘンな奴らに追いかけられるというのは、後のゾンビ映画に影響させたかもしれない。
 
 階段を使った撮影が多い。これもヒッチ風。
 
 スーパースコープという横長サイズの画面で、実際はシネスコと同様、35ミリフィルムに圧縮されていて、さらにトリミングして拡大されているみたいだが、特に画質の粗さは感じなかった。
 
 ベッキー役のダナ・ウィンターという、細身でもナイスバディな美しい女優さんをこの映画で憶えた。
 
 助監督だったサム・ペキンパーが地下室の水道屋のオヤジでチョイ役出演している。自分は彼のツラを知らなかったので、ネット情報で分かった。監督のシーゲルも出ているそうだが、これもどこにいるのか分からない。
 
 TV「タイムトンネル」で所長だった俳優が初めと終わりに出ている。
 
 
 
 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

The Martian.(オデッセイ)

洋画メモ、NO,122、レンタルBD

2015年、20世紀フォックス、141分

監督 :リドリー・スコット、 撮影: ダリウス・ウォルスキー、 音楽: ハリー・ウィリアムズ

出演: マット・デイモン、ジェシカ・チャスティン、クリスティン・ウィグ・・・

-----------------------------------------

 邦題は「オデッセイ」ねーー。原題どおり「ザ・マーシャン」じゃ、これも認知度としてはマズイ感じがするけれど、もうちょっといい邦題はつけられなかったか。たぶん、「マーズアローン」というのも候補になったと思うけど、これもイマイチだな。難しいもんだ。

 随分と前向きな性格の主人公だけれど、メイキングによると、マット・デイモン自身が彼に近いキャラクターで、まさに適役だったらしい。

 デイモンの火星での一人芝居では、ブツブツと独り言したり、ナレーションを入れたりするのは「愚の骨頂」の演出ということで、彼に動画日記という形でカメラに向かって喋らせたのは良いアイデア。

 2030年ごろのNASAメカ・宇宙服などが素晴らしい。もう脱帽。文句在りません。

追記: 劇中の単位はメートル法が使われていて分かりやすい。最近のアメリカの民間ロケット打ち上げでもメートル法の使用となった。

 ああいうスタンダードで実用的な造形を著名デサイナーなどに一任させると、えてして、かえって滑稽で不細工なものになることがある。「2010年宇宙の旅」でのシド・ミードのレオーノフ号などがいい例。

 サバイバル宇宙映画のストーリーとしては、やはり宇宙空間での命綱無しのハラハラ・ドキドキ描写は取り入れざるをえないようで、「GRAVITY」とこの映画はそういうところがソックリ。

 しかし、自分はデイモンのハラハラより、ヘルメスの機体表面を命綱なしでサッサと移動した一人のクルーのほうがよっぽど心配でハラハラした。あんなことは実際ではありえない超危険行為だと思う。ちょっと手を離せば慣性で機体からどんどん離れて絶対に戻れないのよ。オッカネー。

 航空宇宙少年の自分としては疑問点や間違いと思うカットがいくつかあったので指摘する。マチガイ探しは私のサガなのでしょうがない。

・デイモンが火星から脱出する宇宙船内。MECO(メインエンジン・カット・オフ)前なのに、ボルトなどの部品が無重量状態で漂っていた。 エンジン噴射・加速中ではこれはありえない。完全な編集ミス。

・ヘルメスに動力式・人工重力回転居住区がある。

 これはSF特撮シーンでは定番のメカ描写だが、実際にNASAがこれを実現させるならば、エネルギーを浪費するこんな無駄なメカは採用せず、ソーラーパネルが太陽側に向く軸で宇宙船全体を慣性回転させることになるだろう。稼働メカとしては宇宙船の先端に常に地球に向く通信アンテナを設置すれば済むことである。

・火星の移動用ローバー・MAV。なぜ天井に穴を開けバルーンを付けたのだろうか。どんな必然性があったのか、なにか自分は見落としたのだろうか。

・芋の栽培で水の確保にさんざん手を尽くしているというのに、デイモンがシャワー室からサッパリして出てくるカットがあった。どゆこと?。シャワーの水はイモ用に再利用するのかな。

・火星の大暴風砂嵐。火星の大気は地球の地上気圧の1パーセント位なので、風速100メートルでも実際の嵐の風圧は地球のそよ風程度だという。あれはNASAも認める大間違い。でもこれは映画のウソということで許しちゃう。これに文句を言ったんじゃ映画は成立しないもんね。ただし、知識のない人に火星ではああいう危険があると誤解される恐れがある。

・地球より重力の低い火星でデイモンやクルーたちが1g状態の動きをしている。これも映画のウソということでショーガナイけれど、火星の重力を正確に再現したらもっと面白いだろうな。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

パシフィック・リム

洋画メモ、NO、121、民放地デジ

2013年、WB、132分(放送時間2時間15分CM含)

監督: ギレルモ・デル・トロ、 撮影: ギレルモ・ナヴァロ、 音楽: ラミン・ジャヴァディ

出演: チャーリー・ハナム、菊池凜子、イドリス・エルバ、チャーリー・デイ、ロバート・カジンスキー・・・

------------------------------------------

 監督さんのお好み、カイジュウ、モビルスーツものオタク映画で、怪獣映画への思い入れがつまった作品。

 もう、3年前の作品だけれど、公開された当時は特に観たいという映画ではなかった。

 というのも、自分の世代は監督さんの世代とズレていて、あ、いやいや、好みがズレていて、カイジュウ対ヒーローとの戦いという興味は初代ウルトラマンで終了しているし、二十歳前後の時、始まったガンダムにもサッパリ関心が無かったから。

 これは現在に至っても、依然、巨大ロボ内部に人間が入って操り、敵と腕力や飛び道具で戦うというシチュエーションにもマッタクもって興味が無い。

 でも、CGの出来栄えが良さそうなので、いつか観るべきとは思っていた。

 :結構面白かった。2時間が短く感じた。・・・硬円盤に録画し、CM飛ばしなので実際は1時間40分くらいで済んだけど・・・ CGシーンはもうテーマパークのアトラクションを楽しんでいるようで、実際に3Dに客席のイスがガタガタ動く4D仕様の映画館もあったようだ。

 録画は消してしまったけど、CGだけでも何回か観て楽しめる。だけどもうお腹一杯かな、CGは。

 菊池凜子のカイジュウへの復讐心があまり伝わってこない。幼いころのフラッシュバックに両親が目の前で無惨に殺されるとかのカットがないと説得性が弱い。それとも放送でカットされたか、あるいは子供にも見せる為、コードに引っ掛かるのを避けるためか。

 そういえばキスシーン、ベットシーンも無かった。子供が観る日本の怪獣映画にはそういうのは無く、これも監督のカイジュウ映画への一つのこだわりかもしれない。

 ツッコミどころもあるけれど、・・・・菊池凜子の眼前で巨大ヘリが暴風吹きまき着陸しようとしているのに彼女は髪すら乱れず、さしている傘も風で飛ばされない。・・・・ 見応えのある娯楽映画でした。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

第七の封印

洋画メモ、NO,120、NHKBS

1957年、スウェーデン、白黒スタンダード、96分、デジタルリマスター版

監督: イングマール・ベルイマン、 撮影: グンナール・フィッツエル、 音楽: エリク・ノルドグレン、

出演: マックス・フォン・シドー、ベント・エケロート(死神)、ビビ・アンデショーン

 ベルイマン作品だから、また煙に包まれたような気分で観終えるかと予想したけれど、案外、観るのが面倒くさくなって再生を止めることなく、お終いまで観れた。96分というダレない尺の長さで娯楽的場面もあり、硬くならず観れる作品になっているためだと思う。

 神の存在をテーマにするのはキリスト教徒でもない自分にとっては、依然小難しいことだけど、別にベルイマンは信者だけに観てもらいたいつもりで制作したのではないだろう。分からなくても無理に理解しようとする必要はないと思う。

 まず、リマスターされた映像の美しさ、レンズの描写力に目を見張る。荒れた海、曇り空、森の木々、衣裳の織り目など、最近撮影したように感じる再現性のすばらしさ。

 中世・北欧の自然、風俗、空気感をしっかりと描写してくれる。この当時からスウェーデン映画の撮影レンズはいいものを使っていたようだ。

 それにひきかえ、いつも自分は指摘するけれど、1950年代の東宝のスタンダードサイズのミッチェル・カメラレンズ(望遠)ときたら、これでベルイマンが好んで撮影する森の中を撮ると、樹木の枝や葉はワームホールでも現れたごとく、グルグルと渦を巻いて空間が歪んでいるように見えてしまうだろう。あんなレンズでは、とてもベルイマン作品の撮影には使えるものではなかった。

 旅芸人たちとそのシーンはフェリーニ「道」のザンパノ一座をモデルにしたか。彼らの生活でも舞台でも、なかなか面白く魅力ある小芝居を見せてくれて、固いテーマ内容の映画をほぐしてくれる。

 深い森の中のシーンというのは、黒澤「羅生門」の影響だと思われる。後の作品「処女の泉」ではベルイマン自身が「羅生門」に感化されたと語っている。

 マックス・フォン・シドーは最初から馬面・長首・シカメっ面で、相棒と共に常にブツクサと不平をたらしていて、観ているこちらも滅入ってしまうが、旅芸人一座の美人妻と可愛い赤ん坊の出会いでは幸福感を現す。ホッとするシーンもちゃんと用意してあり均衡がとれている。

 意外とお笑いシーンも結構あるが、傑作なのは一人のオチャラケた旅芸人の命を死神が奪うところはツッコミどころ満載。 そのシーンの最後のカットでは、ベルイマンが「すんまへんな」とペロッと舌でも出したかのようにホンモノの可愛い栗鼠が「ジャン・ジャン」という感じで画面に現れる。だいたい、顔パンパン中年オヤジで白オシロイ顔の死神だってちょっとコミカルに見えるのだが。

 ラストシーン前では皆、やってきた死神を涙を流して憧憬の眼差しで迎える。これから死の世界へと連れていかれるのにどういうことなのか。ここがまた考えさせるところ。

 街の通りで旅芸人が楽しい音楽とともに面白舞台を演じていると、それを遮るように虐げられたキリスト像を抱えた「死の行進」一行が現れる。流れる音楽は例のテーマ。

650pxdies_irae

・グレゴリオ聖歌「怒りの日」

 これはクラシック音楽でも古くからさんざん使われていて、「またこれか」と思ったが、映画では「第七の封印」が最初ではないだろうか。以後、死神や悪魔が現れるオカルト物、終末物には定番のテーマ・モチーフとなってしまった。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

アジャストメント

洋画メモ、NO,119、NHKBS

原題: The Adjustment Bureau.

2011年、ユニバーサル、106分

監督: ジョージ・ノルフィ、 撮影: ジョン・トール、 音楽: トーマス・ニューマン

出演: マット・デイモン、エミリー・ブラント、アンソニー・マッキー、ジョン・スラッテリー、テレンス・スタンプ

---------------------------------------

 地味な映画ですな。話の展開がスローなので、後半は円盤の再生を1.4倍に速めて観た。

 「どこでもドアー」が大活躍。

 Adjustment Bureau・・・・調整局の連中の素性と目的がいまいち良く分からないが、どうやら彼らは「バタフライ効果」的に人の運命を若干変えて、世界を破滅から救うらしい。しかしそれは上手くいくこともあれば、ドジによる失敗もあったりして業務が中途半端。こっちまでヒヤヒヤしてしまう。という映画。

 マット・デイモンは今回よく走る。ジブリの「千と千尋・・・」でハクが千尋の手をひっぱって湯屋を駆け巡っているように、一目ぼれのダンサーのチャンネーを連れて「どこでもドアー」を巡って走ること走ること。その撮影はなかなかよろしい。

 調整局の連中の弱点は雨と帽子。なんの説明も無くご都合主義。いきなり何だよそれ。

 アンソニー・マッキーという黒人俳優を憶えた。最初、自分はウィル・スミスかと思った。

 ジョン・スラッテリーという白髪で鼻高の俳優さんも覚えた。老けてみえるが自分より年下だった。

 テレンス・スタンプが渋いですな。フェリーニの「悪魔の首飾り」では長髪のヤサ男でフェラーリぶっ飛ばしていたが、こんなんなるとは・・・としゃーとりたくねーな。

 劇中流れる音楽が「ショーシャンク・・・」に似ているなー、と感じたが、やはり同じトーマス・ニューマンだった。 いつも弱音でささやく弦楽器の音が、丘を静かに流れるそよ風のような感じ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

ガタカ

洋画メモ、NO,118、NHKBS

原題: Gattaca.

1997年、アメリカ、コロンビア映画、106分

監督: アンドリュー・ニコル、 撮影: スワヴォミール・イジャク、 音楽: マイケル・ナイマン

出演: イーサン・ホーク、ジュード・ロウ、ユマ・サーマン、ローリン・ディーン、ゴア・ヴィダル、アーネスト・ボーグナイン

------------------------------------------

 たまたまテレビをつけたらやっていたもので、映画のタイトル名がどういう意味なのか知りたくて、そのままお終いまで観た。独特の雰囲気の映画だった。突っ込みどころも結構あるけど、つまんないわけでも無い。

 宇宙飛行士候補とDNA提供者の二人の男性が何か友人以上の関係なのか、そうでないのか、これも思わせぶりの見せ方で終わる。それともそれは自分の考え過ぎか。

 独特の雰囲気というのは、例えば、ホールで数十人の候補者が同じ姿勢でディスブレイに向かってキーボードをタイピングしているシーン、・・・近未来のはずが1990年代の古臭いパソコンみたいなものが揃えてある部屋で・・・・ ただ彼らは不動の姿勢で背筋を伸ばしてタイピングしていて、その作業をしているデスクには書類も何も無いのである。いったい彼らは何をしているのか不明。こういうところが奇妙で面白い。

 また、ガタカの建物内部の無機質なデザインや、周りを移動している人物が同じスーツを着て無表情で歩いているのも異様な雰囲気で、こちらに何か不条理な不安感を与える独特のもの。

 宇宙局長の殺人動機もちょっと弱く、これも奇妙である。殺人を犯してまで計画を推し進めて、本人にどういう利益があるのだろうか。

 もっと劇的展開を期待していたので、観終わって少しガッカリしたが、結構評価の高い作品のようで、音楽も賞をもらっている。自分はどんな音楽だったのか記憶にない。自分に才能が無いんですな。

 イーサン・ホークが若いころのグレン・グールドにソックリ。彼ならグールドの伝記映画に適役。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

より以前の記事一覧