カテゴリー「ヒコーキ」の記事

H-ⅡBロケット打ち上げ成功を祝う

ロケットエンジン Book ロケットエンジン

著者:中村 佳朗,鈴木 弘一
販売元:森北出版
Amazon.co.jpで詳細を確認する

H-ⅡBロケットより分離された、国際宇宙ステーション・補給船、HTV(H-Ⅱ.Transfer.Vehicle)が無事、ISSにドッキングして、ミッションが成功した。

おめでとうございます。

ロケットの打ち上げは、目的の衛星が機能を果たしてこそ成功といえる。

よく、打ち上げをモニターで見守っているJAXA以外の方々を見ていると、カウントダウンがゼロとなり、エンジンに点火、リフトオフして数秒後に「ヤッタ・ヤッタ・バンザーイ」と大喜びをしているが、私はとてもそんな気持ちになれない。

それに私ばかりか、JAXAや三菱重工の携わった人も、そんな彼らにはシラケタ目を送っているのではないだろうか。

ロケットの打ち上げは、始まったばかりであり、これからが勝負。メインエンジンは、例えば450秒間燃焼するとすれば、449秒でターボポンプに不具合が生じ、爆発するかもしれない。燃焼終了の一秒前まで喜んでいられないのだ。

燃焼が終了しても、第二段エンジンに点火するか、いやそれ以前にSRBがうまく分離するか、一段目と二段目がうまく分離するか、衛星のフェアリングがうまく開くか・・・等々、心配ごとが沢山なのである。「バンザイ」などしていられない。

ということで、私は、打ち上げが終了しても、HTVがドッキングするまでは、喜ぶのを控えていた。

ところで、今回のH-ⅡBロケットはメインエンジンを2個くっつけ、日本初のクラスター型とし、さらにSRBを4本として、総推力、約1000トン以上の、ほんとうに大型のロケットとなった。

推力、約1000トン以上とアイマイにしたのは、現在の推力表示がトンからキロ・ニュートンとなって、極めて生活観から離れた、分かりにくい単位になったためだ。

キロ・ニュートンの数字から、トンにするには、1割引けばいいようだが、ピンとこない。それに比較してトンは1キロの1000倍であり、65キロの体重がある私は、0.065トンである。極めて分かりやすい。私を空中に持ち上げるには、約0.07トンの推力のロケットエンジンを背中にしょえばいいわけだ。

話は変わるが、私はガキのころからロケットの打ち上げや、噴射する燃焼ガスを見るのが大好きで、毎回、打ち上げ映像はロケットの下ばかり注視しているが、H-ⅡBロケットでは、SRBが4本あるせいで、その固体燃料の大量の煙りが発射台に充満し、肝心のメインエンジンの美しい、昼間だと、ほぼ透明の燃焼ガスが見えず、残念だった。

これはSRBの本体への配置が、丁度撮影するカメラの方向に向いていて、メインエンジンを隠してしまっているのにも原因がある。また、SRBの炎が明るすぎるも一因だ。

スペース・シャトルもそうだが、この固体燃料ロケットの燃焼というのは、ケムリ・モクモクで、炎も大きく広がってしまい、ロケットファン(少なくとも私)にはあまり評判のいいものではない。

燃焼ガスの見事な眺めは、固体燃料を使わないロケットで見られ、なんといってもアポロを月へ送った、サターン5型・第一段がナンバーワンである。

そのエンジン、F-1は燃料にケロシン(灯油)を使い、総推力は約3500トン。燃焼ガスの噴射速度は秒速3000メートルで、水素を燃料にしたスペース・シャトルのメーンエンジンの秒速4000メートルよりは遅いが、それでもファンジェット・エンジンの噴射エア速度より10倍という速さでガスを発射台に叩きつける。

--- アポロ11号、サターン5型の打ち上げ、超ハイスピード撮影・発射台映像。3分30秒過ぎからの映像が圧巻。

http://www.youtube.com/watch?v=wSv5383Dpvs&feature=related

--- アポロ8号打ち上げ、通常撮影の映像。もっとも状況が分かりやすい。

http://www.youtube.com/watch?v=XKtH0uzg8wU&feature=related

音速の約8倍の速度の燃焼ガスが、発射台のガス抜き穴などにブチ当たると、衝撃波が発生し、ソニックウェーブのベイパー(霧)が飛び散るのが時々見られ、これまたロケットファンを喜ばせる。

衝撃波は上昇中にも発生し、地上に達すると「タン・タン・タン・・・・」という太鼓を叩くような音として耳に聞こえる。この音もロケット打ち上げの醍醐味である。ロケット・エンジニアもこの音が大好きらしい。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

「こんにちは」旅客機

ボーイング747が就航されたのは1970年ごろだったが、アフリカの言葉、たしかスワヒリ語で「こんにちは」を意味する「ジャンボ」というニックネームは、ほんとうかどうか、日本人の新聞記者がつけたという伝説がある。

ネーミングの元となったディズニーの「ダンボ」は観ていないが、その耳をはばたいて空を飛ぶ小象ダンボの母の名が「ジャンボ」で、単純に小象より大きく、でかいジャンボのような飛行機だという意味でつけられたのだろう。

・・・・ と 現在まで思っていたのだが、ウィキで調べるとロンドンのサーカスにJUMBOという名の巨象がいたそうで、その名を「大きい」という意味に使ったのはサーカスの団員だということだ。もう100年ほど前のことある。愛称のルーツが以前にあったわけだ。それにスワヒリ語では「JAMBO」となるようでスペルが違う。これも知らなかった。

ボーイング社ではこのニックネームは気に入らなかったとみえて、ずっと「ジャンボ」名を広報部では使わなかったが、最近は根負けして使うこともあるらしい。

ユーチューブを散歩していたら、IFAW・国際動物福祉基金という、聞いたことがあるような団体の面白いCMを見つけた。

http://www.youtube.com/watch?v=Fm8FJ8la2VU&NR=1

爆笑してしまったが、日本で未放映だとしたら、恐らく、所ジョージとタケシと厚化粧の年増女が司会の番組で、面白CMとして紹介されるだろう。

着陸姿ではなく、耳をはばたいて滑走・離陸する映像のほうがいいと思うが、そうするとディズニーの著作権を侵害するだろうか。あの会社はそういうことに神経質だ。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

ゼロ戦の20ミリ機関砲について

大空のサムライ〈上〉死闘の果てに悔いなし (講談社プラスアルファ文庫) Book 大空のサムライ〈上〉死闘の果てに悔いなし (講談社プラスアルファ文庫)

著者:坂井 三郎
販売元:講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

太平洋戦争初期では、圧倒的強さを誇った日本海軍の零式艦上戦闘機に関する、巷で発売されている解説書のページをめくってみると、搭載された20ミリ機関砲の活躍が記載されている。

曰く、1,2発、敵機に当たるだけで、翼がもげて、空中分解する。緒戦におけるゼロ戦の勝利は、太平洋戦争当時、唯一この戦闘機に搭載された、画期的な20ミリ機関砲のおかげであり、空中戦では絶大な威力を発揮した。

しかし、これは事実だったのだろうか。

20ミリ機関砲の弾はどういうものかというと、直径は2センチ、長さは、後期の99式2号では発射薬の部分も含めると17センチ、飛んでいく砲弾は8センチ近くあり、昔の小説家が使うようなブットイ万年筆みたいな形である。弾の中には炸薬が入っていて、これは小さな大砲の弾と言ってよい。 つまり、当たると爆発する弾なのである。(弾の種類には焼夷弾や徹甲弾などもある)

その破壊力を知るエピソードとして、地上で整備中に誤射してしまい、コンクリートの壁に直径20センチの穴が開いたというのがある。 これはもう、飛行機の軽いジュラルミンで造られた機体では致命的な大穴が開くか、翼なら分解してしまうものだろう。

ところが、この重量が200グラムもある砲弾は、発射速度が遅かった。毎秒8発という間隔である。発射リズムは

  ♪  ♪  ♪  ♪  ♪  ♪  ♪  ♪  、毎秒

という感じであろうか。 映画「太平洋の嵐」などの東宝映画特撮シーンでの機関砲発射音は「カン・カン・カン・・・・」という効果音であるが、 これは少し遅すぎる。しかし、実際にこの速度では、両翼2丁あるとしても、一瞬で捕らえた敵機には、なかなか当たりそうにない。

それに、弾数が両翼銃合わせ、初期型では約100発、後期型でも250発しかなかった。 もたもたしていると、あっと言う間に撃ちつくしてしまう。

さらに、弾の重量が多いため、旋回時ではGの影響で弾道が曲線を描き、命中精度が落ちたという。

ところが、胴体に装備されている、7.7ミリ機銃の弾(鉛筆に取り付けるキャップくらいの大きさ)は2丁合わせて1400発もあった。そして一丁で、毎秒15発の発射速度である。

   ♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪ 、 毎秒

という間隔になる。

この7.7ミリは、威力は、なるほど20ミリ砲弾よりはるか小さいが、弾道性能が良く、命中率がよかった。因みに、陸軍の「隼」戦闘機の初期型はこの7.7ミリ機銃2丁のみで、大活躍したのである。

ここで、エース、坂井三郎氏の著、「続・大空のサムライ」から、抜粋してみよう。

氏はこう記述している。

----------------------------------------

「零戦が世界に先駆けて採用した20ミリ機関砲については、・・・・ 私ははじめから、終わりまで大きな疑問を持ち続けていた。・・・・ 命中すれば、素晴らしい効果をあげたが、機銃弾はあっという間になくなってしまうのである。弾丸の無くなった機銃は、単なる重量物であって、・・・・ さぴしさと不安を覚える。」

「20ミリの命中率は7.7ミリに比べると格段に落ちたのである。・・・ 弾道が放物線を描いて墜落してしまう。私たちはこれを小便弾といったが、なかなか命中してくれない」

「私が撃墜した戦闘機の70パーセントは7.7ミリの集中射撃によるものである。・・・ どんな敵機でも7.7ミリの弾丸で蜂の巣のようにすれば必ず落ちる」

「航空隊の意見の中に、・・・・初速の遅い20ミリ機銃は「百害あって一利なし」という思い切った要望が出されていた・・・ その後の実戦の戦果により、この意見が間違っているように考えている人が多いようである。これは零戦のあげた撃墜戦果の大半が、20ミリによるものであると考えた上での判断であろうと思われるが、事実はそうではない。」

----------------------------------------

と、結んでいる。 それに、別の著書では、20ミリの弾倉に敵の弾が当たると、弾倉が誘爆し、翼が吹き飛ぶ恐れがあるので、当たろうが外れようが、早めに20ミリ弾を全弾撃ちつくして、7.7ミリ機銃で闘ったと述べている。また、7.7ミリ機銃は、まるで名刀・正宗のようにするどいものであり、絶大な信頼をしていた。とも述べてあった。

さらに氏は、アメリカ軍戦闘機の6連装13ミリ弾(ブローニングライフル)がうらやましかった。とも述べている。

繰り返すが、ほとんどのゼロ戦の解説書は、この20ミリ機関砲の活躍を記述してあるが、私はどちらかというと坂井氏の言葉を信じる。 

私が思うに、20ミリ機関砲は、格闘戦には不向きで、インターセプターとしての用法に向いていたのではないだろうか。つまり、敵機の後ろから、知られないようにゆっくり接近し、一撃を与えるという戦法である。あるいは地上攻撃用にである。

もし、ゼロ戦が20ミリ機関砲の代わりに、恐らく翼内に400発は搭載できるであろう7.7ミリ機銃、あるいは250発入りの弾道性の良く、7.7ミリより破壊力のある13ミリ機銃を両翼に搭載し、胴体の7.7ミリ機銃2丁と組み合わせて格闘戦を展開していたら、坂井氏の撃墜数は、もっと増えたかもしれない。

なお、ゼロ戦後期の52型ではこの13ミリ機銃を、20ミリ機関砲とともに搭載しているが、機体の重量が増し、格闘性能が落ちてしまっている。この頃になると、もうアメリカ軍のP-51ムスタングや、F6Fの対ゼロ戦法などには、太刀打ちできなくなっていた。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

ようやく出来た「空飛ぶ自動車」、テラフュギィア

スーパージェッター 4(DVD) スーパージェッター 4(DVD)
販売元:ハピネット・オンライン Yahoo!店
ハピネット・オンライン Yahoo!店で詳細を確認する

アメリカのベンチャー企業が「空飛ぶ自動車」を作って公開した。名をテラフュギィアという。

「テラフュギィア」の映像 ・・・ 

http://www.youtube.com/watch?v=EHXnLCIgNug&feature=related

エンジンのパワーは100馬力だが、飛行機と自動車走行ではドライブシャフトを切り替えて同一のエンジンを使用する。主翼は折りたためることが出来、道路を走っても他の交通の邪魔にならない。

ようやく「空飛ぶ自動車」らしきものが出現した。

今まで、この手のものは数多出てきたものだか、みんな失望するものばかりだった。日本でもこのプロジェクトは進行しているようだが、構想のモデルを拝見した限り、「道路を走れる飛行機」という程度ものだった。 そう、道路事情を鑑みると、とても容認できるものではない。パトカーに先導してもらって走るようなシロモノで道路では邪魔なのだ。あんなものがチンタラ走っては困る。

だがテラフュギィアは車としてはスリムだし4輪の構造もしっかりしている。道路でも問題なく実用できるだろう。ただし折り畳む主翼の剛性が飛行中ちょっと心配ではあるが。

この空飛ぶインディビデュアル・ビーグルでは4つのダクトファンにより垂直上昇、飛行するタイプの「スカイカー」が同じくベンチャー企業により開発中である。ただし、これは道路をスイスイ走る機能は付いていないので厳密には「空飛ぶ自動車」ではない。

私はこのタイプには疑問を持っている。VTOLというのは大変魅力的だが、技術的に安全面で不安がある。4つのダクトのパワーを制御するのは難しく、また、一つでも故障すれば即、墜落にいたる。これには乗りたくない。それに燃費も良くないだろう。

「スカイカー」の映像 ・・・

http://www.youtube.com/watch?v=ElS9BKSsezw

夢の中では「スーパージェッター」の流星号がよく出てくる。これは空飛ぶどころか、宇宙、水中を行き、冗談じゃないが地中まで進み、知能まで有する凄い乗り物。30世紀には出来ているのだろうか。

因みに流星号のように、大気圏内をマッハ15で飛ぶ事など不可能であり、出来たとしてもエネルギーが無駄である。 ギリギリ宇宙の高度100キロあたりまで上昇してマッハ15で飛ぶほうが実現的で効率が良い。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

ヒコーキ映画の間違い

サイバーホビー 1/6 ブローニングM2 重機関銃 キャリバー50 プラモデル(U4176) サイバーホビー 1/6 ブローニングM2 重機関銃 キャリバー50 プラモデル(U4176)
販売元:でじたみん Yahoo!店
でじたみん Yahoo!店で詳細を確認する

ヒコーキ映画というよりは、戦争映画では戦闘機が地上を機銃掃射するシーンをよく見かける。

すると地上のシーンではたいがい、画面の向こう側からこちらに向って、順番に弾着の火花と土ぼこりがやってくる。それも実に正確に2本の平行線を保ってやってくる。 

あんなに正確にまっすぐ撃ってくるならば、地上の兵士も横に逃げればいいものを同じ方向に逃げるのでやられてしまう。 

こういうシーンを観るといつも思わず「バカ」と言ってしまうが、言った相手はこういうワンパターンの安直なバイロテクニックを仕掛けてしまう特殊効果マンとそれを容認する監督に対してである。

あんなことはほとんどありえないのだ。 

戦闘機の機銃掃射は一箇所を狙い撃ちする。すると弾着は一定の狭い範囲内でバラバラと弾けるのである。あるいは反対に機首を上下左右に動かし、広範囲をめくら撃ちをする。

だから弾着が映画のように移動して来るとすれば、戦闘機が退避するため、操縦桿を引き起こして機首が上がる時に、たまたま発射桿も押しているその僅かな瞬間だけだ。つまり、ああなるのはせいぜい弾数にして10発くらいのものだろう。

それに弾丸というのは発射時の振動や空力の影響で正確に飛んでいかない。したがって映画のようにきれいな直線の弾着痕などありえない。

ドイツの戦車を機銃掃射しているガンカメラ実写映像があるのでメモしておく。

http://www.youtube.com/watch?v=6f9cqhuARrM&feature=related

このように一箇所を集中して狙い撃ちする。

尚、映像で見える弾は曳航弾であり、その間に見えない弾、つまり徹甲弾、炸裂弾、焼夷弾も一緒に飛んでいる。ガンベルトにはその4種類の弾が交互に並んでいる。

アメリカ軍の飛行機の機銃はほとんどブローニングM2だが、その50口径の12.7ミリ弾では、映像のようにドイツのタイガータンクを撃ってもビクともしない。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

H2B ロケットの成功を祈る

日本ロケット物語 H-2A M-5 新版  [本] 日本ロケット物語 H-2A M-5 新版 [本]
販売元:セブンアンドワイ ヤフー店
セブンアンドワイ ヤフー店で詳細を確認する

2009年2月12日、三菱重工業で次期打ち上げの、H2B型ロケットブースターが公開された。第一段目の、LE-7Aエンジンが、今まで一個だったのが2つになっている。その分、直径が大きくなった。

感無量のことだ。 日本で初めてクラスター型のロケットブースターが出来上がった。 クラスター型とは、補助ロケットブースターを除く、メインエンジンを2つ以上束ねるタイプのことを言う。 

----- LE-7A、クラスター燃焼実験の映像。 

http://www.youtube.com/watch?v=Sj5E47luYgQ&feature=related

(タイトルのLE-5Bというのは間違い。)

今までは、日本の第一段・液体ロケットエンジンはすべて1個で使用していたので、ようやく大型ロケットらしくなった。

この2つ束ねるタイプのロケットでは、1960年代中期のNASAのタイタンロケットが該当する。  3つ束ねるものでは同じNASAのアトラスロケットがあるし、スペースシャトルのメーンエンジンも3つだ。

アポロを打ち上げたサターンⅤ型は5つ束ねているが、あの大型エンジンではそれが限界だろう。

ロシアも古くからクラスター型を採用している。人間を乗っけて打ち上げるものは、中心のコア部分の周りにパンタロンを4つ付けたような形態をしているが、その第一段ブースター全体には、姿勢制御ロケットを含め、なんと32個もロケットエンジンが付いて点火している。 ロシアはこのタイプのロケットを50年も前から採用しているが、すべてのエンジンをコントロールする技術が完全に確立されている。

日本もようやくその方法の仲間入りができる。

ところで最も効率の良いロケットエンジンというのは、一定の重量の燃料と酸化剤で如何に長時間燃焼できるかということにつきる。 

その効率が最も良い燃料が酸素と水素である。この組み合わせを提唱した人物は、なんと100年も前のロシアの田舎にいた。 学校教師、ツォルコフスキーである。宇宙旅行の父と呼ばれるアマチュア数学者でもある。

この水素と酸素を燃料に使ったロケットエンジンの開発は大変難渋であるが、開発に成功し、第一段メインエンジンとして運用できているのは、世界でもアメリカとロシアと日本とヨーロッパ共同体のアリアンスペース社だけである。

ただし、ターボポンプを廻した後の生焼ガスを、燃焼室で再燃焼させるという、最も効率の良い2段燃焼サイクルを採用しているのは、アメリカと日本とロシアだけであり、アリアンスペースのアリアンⅤは、この方法ではなく、タービンを廻したガスは再使用されず捨てられている。つまりその分、少し効率が落ちる。

宇宙大国となった某大陸の国は、酸素・水素を第一段に使用する方法を採用できていない。したがってあの国のロケットを見ると、衛星部分の大きさに比較して、第一段の燃料タンクが異様に長い。  大きいロケットは見栄えが良く、ゆっくり上昇する姿は堂々としているが、それは大きいものは性能が良いと思う、単細胞的思考である。

ロケットの性能は、重く大きな衛星を、効率よくフェアリングして弾頭に収め、いかにコンパクトなブースターを使い、少ない段数で打ち上げるかにかかっている。つまり、外見的には、頭デッカチで足の部分がスリムで短いスタイルほど性能がいいのだ。 日本のH2型のロケットはこのタイプだ。

因みに、あの国は有人ロケットの第一段目にヒドラジン系の、極めて取り扱いの危険な燃料を使うエンジンを使用している。 これは45年前にNASAがタイタンロケットで有人宇宙船ジェミニを打ち上げていたのと同じ方法である。

現在はNASAも、さらにロシアも当初から有人ロケットの第一段目に、この燃料は採用していない。 いつか、発射時や燃料注入時に大事故が起きなければ良いが。

| | コメント (4) | トラックバック (0)

ハドソン川の奇跡と不運

機長からアナウンス (新潮文庫) Book 機長からアナウンス (新潮文庫)

著者:内田 幹樹
販売元:新潮社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

ラガーディア空港を離陸した直後のUSエアウェイズのA320が、バードストライクによってエンジン2機停止となったのは全くの不運であり、恐らく離陸上昇中としては航空機史上初めての事故ではないだろうか。

エンジンが二つともダメになるという確率は天文学的なものだろう。それがとうとう起きてしまった。

バードストライクの実写映像。http://jp.youtube.com/watch?v=uYNpB-8_BSo&feature=related

航行中のジャンボ旅客機の4発のエンジンすべてが火山灰の影響で停止し、グライダー状態となって降下するという事故もあったが、幸い高高度であったため、懸命なエンジンの再起動を試みて、なんとか空港に着陸している。

旅客機はエンジンが二つ以上なければならないが、機体が地上から離れてしまえば、双発機ならば一つのエンジンでも上昇と飛行は可能な設計になっている。

それがもし、離陸直後に2発エンジントラブルとなるともうお手上げだろう。その場合、民家への激突を最小限に食い止めるため、空いている土地へ落とさなければならないが、まだ速度のエネルギーが低いため、急旋回でもしようものなら失速してストンとそのまま落ちてしまう。 そのストンと落ちてしまった事故が「衝撃映像特集」でさんざん流される有名なB52の墜落事故。

・B-52の失速事故映像。http://jp.youtube.com/watch?v=E_L5MEHVnQ0&feature=related

ただし、この事故はパイロットがエアショーで自分の腕をみせびらかそうと、無理な急旋回をしてやってしまったことだ。 民家や観客の場所でなくて幸いだった。

今回のハドソン川の事故ではパイロットの冷静な判断で不時着水できたが、まず川の幅が1キロもあったこと、フェリーに激突しなかったことが幸いというか奇跡だった。もし海に着水するとすれば、着水するときでも旅客機の速度は時速250キロ程度出ているので、三角波でもあろうものなら、翼や胴体は波に当たった衝撃でコナゴナになってしまう。 飛行機の機体なんてモロイものである。

・ボーイング767が海に不時着水した映像。http://jp.youtube.com/watch?v=wRgHp-Q7SY4

たぶんUSエアウェイズの機長はフラップを最大に出し、失速ギリキリまで迎角をつけて速度を最大限に落とし、尾翼からじょじょに着水させ運動エネルギーを減衰させつつ、両エンジンとも同時に着水、エンジンの抵抗で減速させたのだと思う。

もし機体が傾いた姿勢で、どちらかの翼が水面に接触したならば、翼がもげてしまい、上記の映像のB767の不時着水に近い状態になったかもしれない。

| | コメント (2) | トラックバック (1)

離陸中止

CA STORY in ハッピーフライト (キネ旬ムック) Book CA STORY in ハッピーフライト (キネ旬ムック)

販売元:キネマ旬報社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

ユーチュブで、まるで映画のシーンのような素晴らしい映像があったのでメモします。

http://jp.youtube.com/watch?v=Ogb69OBceRI&feature=related

イリューシンの4発ターボプロップライナーが離陸決定速度・V1直前で、パイロットが何らかの異常を感知し、フル制動をかけてなんとか停止する実写映像。

プロペラ機の場合、制動はプロペラの角度を逆にしてジェット旅客機の逆噴射と同じ効果で減速をかけられるが、減速の主役はあくまでもメインギアのブレーキである。

どんな異常があったかは記録されていないが、かなりオーバーランしてしまった危機一髪の停止だ。

ギアは折れなかったので大事に至らなかった。

メインギアのブレーキが加熱してタイヤに燃え移っているが、旅客機のギアのフル制動試験でもディスクブレーキが過熱して光輝いている映像が観られる。下記がその映像。

http://jp.youtube.com/watch?v=m1dv_y_3EK0&feature=related

こうなると停止しても安心していられない。タイヤが燃え出し、機体に燃え移る危険があるからだ。いち早く脱出シュートで機体から離れる必要がある。

もう一つとんでもない映像。

アメリカの輸送機に逆向きのロケットエンジンを取り付け、その逆噴射で無理やり機体を停止させようとして失敗してしまう映像。

http://jp.youtube.com/watch?v=2VnSfPh3yt8&feature=related

これは、かつて、どこかの国に人質にされたアメリカ人を救出するため、無理やり輸送機をスタジアムに短距離着陸されるための作戦で考えだされた手法のテスト映像らしい。

逆噴射ロケットの威力が強すぎて翼がブッコワレテしまっている。エライことを考えるものだ。

| | コメント (5) | トラックバック (0)

ユーチューブ中毒

ジェットエンジン Book ジェットエンジン

著者:中村 佳朗,鈴木 弘一
販売元:森北出版
Amazon.co.jpで詳細を確認する

最近は映画を観る機会が少なくなってしまった。ユーチューブの映像ばかり漁って観ているからだ。これが止められなくて気が付くと深夜まで観続けていることもある。

特に好きな映像は旅客機の離陸シーンで、客席から撮影されたものではエンジンが写っている映像がいい。

離陸中というのは、アナウンスにあるとおり電磁波を発生しているビデオ機器の使用はひかえなければならないが、最近の新型機はコックピットにもコンピューターが多用されており、当然、電波障害を防ぐ対策がなされているから、それほど神経質にならなくてもいいと思う。

第一、パイロット自身がそのコックピットにビデオカメラを設置して、離着陸の模様を撮影した映像すらある。

ジェットエンジン馬鹿の私としては、クリアティクオフの瞬間からエンジンの推力を少し上げ、スタビライズ(複数のエンジンの回転がすべて安定すること)まで一呼吸待ち、さらにパワーアップ、最大推力となる瞬間がたまらない。

あのエンジンのスプール音がいい。エンジンナセルの共鳴音がたまらない。

最大パワーのエンジンはブルブルと振るえ、顔を真っ赤にしてエアを後方に吹き突けている。 ガンバレ!、GO,GO。 

V2速度・・・(安定して上昇する速度)までは壊れてはアカンゼヨ。

ちなみに、ここで一つのエンジンが壊れても残りのエンジンで上昇することになるが、この状況は、バイロットは訓練で散々経験済みであり、客の我々がパニクル必要はない。

ジェットエンジンの中でも素敵なのはボーイング777に搭載されているGE90で、この世界最大のファンジェットエンジンは機種によっては50トンの推力を発生するものもあり、これはDC-8や727についていたエンジンのほぼ6発分に相当するものすごい馬鹿力のヤツだ。

こいつの音がまたいいんですな。スタビライズ時のヒューンという巨竜が目を覚ますような魅惑的な声、そして最大パワー時の、がなっているようなワイルドな音。 たまりません。

エンジンの吸い込み口を見ていると、大気の湿度によっては吸引の猛烈な気圧低下でベイパー(霧)が発生したり、地上から小さな竜巻が見えたりしてなかなか面白い。

***** ナイスサウンドとベイパーの映像

http://jp.youtube.com/watch?v=P7vxj327Eg4&feature=related

| | コメント (4) | トラックバック (0)

チャレンジャーの空中爆発

ディスカバリーチャンネル スペース・シャトル 発射までの舞台裏 DVD ディスカバリーチャンネル スペース・シャトル 発射までの舞台裏

販売元:角川書店
発売日:2004/10/22
Amazon.co.jpで詳細を確認する

7月23日に日本テレビで放送された「ザ!世界仰天ニュース」で、スペースシャトル・チャレンジャーの事故を、アメリカの再現ドラマを元に分析していたが、なにを今更と感じた。

あんなことはトックの昔に検証され済みであり、原因は周知されていることだ。しかも、過去にドキュメンタリーや再現ドラマで、技術者とNASAの軋轢の話も繰り返し放送されている。

番組の中では固体ロケットブースター(Solid.Rocket.Booster)のことを「打ち上げロケット」と呼んでいて、これには笑ってしまったが少し腹もたった。

ちょっと視聴者をバカにしているのではないだろうか。スペースシャトルが初飛行してから四半世紀以上たっているが、世界的にも日本でも、あの2本のロケットブースターは「固体ロケットブースター」、あるいは略して「SRB」と呼ばれて広く知られているはずだ。

それを分かりやすく説明しようと思ったのか、視聴者のほとんどは知らないと思ったのか「打ち上げロケット」とまるで幼児にでも教えるような言い方をしている。

番組の台本作家のオニイサン。あなただけが知らなかったんじゃないの。

そのうえ番組では、事故原因はブースターのOリングからの「燃料モレ」という解説をしていて、これは間違っている。

固体の燃料(砂けしゴムのような形態)が直接もれる訳がなく、実際は「燃焼ガス」が漏れたのである。もう少し科学的に、できれば理系の先生などに台本をチェックしてもらいたい。

ところで、この固体燃料ブースターとしては世界最大のSRBの推力は、1本で1120トンあり、ジャンボジェット11機ぶんのパワーをもつ馬鹿力のもので、計算上は2本だけの燃焼でシャトル全体を持ち上げることができるしろものだ。

液体水素と液体酸素を燃焼させるオービターの三つの液体ロケット・メーンエンジンは全推力510トンで、SRBと同時燃焼でシャトルのバランスを保ち、全体の上昇加速を受け持つ。

そのときのシャトルの姿勢を人間が立っている姿に例えれば、、前かがみになったオジイチャンが杖をついている様に似ていて、2本の足がSRBであり、杖がメーンエンジンだと思えばよい。

なお、日本のH2シリーズのロケットも二本のSRBだけで充分上昇できるパワーを持っている。 ただし、上昇中に液体メーンロケットが停止すればミッションアボート。打ち上げ失敗。 SRBの燃焼だけで海上に移動させ墜落させることになる。

これはたぶんスペースシャトルも同じ状況となるだろうが、高高度であれば、オービターを切り離し飛行場に着陸できるかもしれない。

その場合、オービター軌道操作エンジンは宇宙の真空中で作動するように作られているので、大気中の飛行には使えない。やっぱりグライダーとして降りてくるしかない。

追記: 高高度でミッション・アボートの場合、シャトルをブースターから切り離しても、ペイロードが重く、滑走路に着陸できないかもしれない。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

ルパンⅢ世カリ城のオートジャイロ

図解 ヘリコプター―メカニズムと操縦法 (ブルーバックス) Book 図解 ヘリコプター―メカニズムと操縦法 (ブルーバックス)

著者:鈴木 英夫
販売元:講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

先日、テレビで「007」を断片的に観ていたら、墜落しつつあるジェット輸送機の格納扉から、ヘリコプターが脱出するというシーンに出くわした。

もちろんこれはCG映像なのだが、また物理的におかしな処理だなと感じた。

ジェット輸送機は時速800キロは出ていると思われる。

その輸送機がトラブッている。そういう場合、飛行機というのは、エンジンのパワーを絞っても、速度は変わらず高度が下がるのだ。

したがって、格納庫からヘリが脱出したとすれば、瞬時に時速800キロの強風を浴びてしまうことになる。

すると、メインローターは確実にもげて吹き飛ばされてしまうだろう。あの映画のように格納扉から脱出したあと、ローターが水平の形を保って落下していくことはありえない。

アメリカのCGを作ったお兄さん方、もうちょっと物理・工学を考えて演出してちょうだい。

一歩譲って、かろうじてローターがもげずにもったとしよう。無事、ヘリは空中分解せず放出されたとしよう。

するとジェームズ・ボンド君はヘリを飛行させようと、ターボシャフトエンジンの始動に、あの映画のようにあせることはないはずだ。

私はヘリのメカに詳しくないが、始動前はエンジンとローターをつなげるクラッチが切られてるはずである。 つまりローターはフリーの状態で、オートジャイロと同じなのである。

するとエンジン無しでも、ローターは向かい風で自然に回転し始め、やがてオートローテーションのテクニックで降下飛行させることができるはずだ。エンジン始動は飛行が安定してから、あわてず行えばよい。 あるいはそのまま軟着陸させてもよい。

(この場面に登場したヘリはテールローターの無いノーター式で、オートローテーションの方法は普通のヘリと少し違うかもしれない。)

脚本家さんよ。映画の監督さんよ。 そういう演出をすればCGでもリアリティーが出て、ボンド君も余裕のある頼もしさが見せられて、かっこよかったんですがね。もうちょっと知識を広げてください。

ところで、オートジャイロと言えば、「ルパンⅢ世・カリオストロの城」に出てくるものがユニークで、印象に残っている。

あれはあきらかにオートジャイロの姿であるが、ちょっと普通と違っているのは、ローターの先にジェット推進のメカがついていることで、これを専門用語では「チップジェット式」という。

つまり、小さなジェットエンジン(パルスジェット、ラムジェット)でローター自体を回転させ、ヘリのように垂直上昇・ホバリングをさせるシカケである。

だから、あの映画のように、城の塔にホバリングしてルパンを助け出すことができた訳だ。 これが、ただのオートジャイロではホバリングができず、ああいう飛行は無理である。

いかに、大塚氏と宮崎氏がメカに精通していて、航空工学的に矛盾のない演出をしているかが分かる。

余談であるが、ヘリコプターが活躍する映画・テレビでは、物理的・航空工学的に大きな間違いをしているのは「エアーウルフ」である。

これに登場する主役のヘリは音速を突破して飛行するということだが、こんなことは天地が逆さまになってもありえない。

プロペラやローターというものは、回転の先端速度が音速に近づくと、回転のエネルギーが衝撃波に変わり、それ以上回らなくなってしまうのだ。

したがってヘリコプターがマッハで飛ぶことは不可能である。

これは飛行機ファンでも常識であり、航空工学の基礎だ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

夢の乗り物

ベスト・オブ・スター・トレック Music ベスト・オブ・スター・トレック

販売元:BMGメディアジャパン
発売日:1999/06/23
Amazon.co.jpで詳細を確認する

寝床に就いてウトウトするまで、精神的安定と、幸福感を得るために、アレコレ楽しいことを想像するのは就眠儀式の一つである。

私の場合、いつも夢の乗り物を想像し、楽しんでいる。

その乗り物とは、もう40年以上の付き合いと言ってもよい。ただし、年々進化している。

さて、どういうものかというと、「スタートレック」に出でくる、シャトルである。

エンタープライズ号から発進する、連絡用の小型宇宙船である。

大きさは、そう、マイクロバスのサイズを、もう少し大きくしたくらいか。

そのシャトルには操縦席はもちろんあるが、飛行はほとんど自動といっていい。

ただし、半自動で操縦を楽しむことができる。

操縦席のほかに何があるか、これが問題である。次の設備がある。

 ① 食事用テーブル・・・・・・

上から見て、左側、操縦席のキャプテン席の後ろ。壁を挟んだ小部屋にある。尚、小部屋はすべて中央の通路側に開放している。

ここには対面のシートがあり、窓がある、景色を見ながら食事ができる。

メニューは世界の料理、約1万種類の食事が、フードディスペンサーで供給される。好きなものを選べば、30秒で出来てしまうのだ。 食後はディスポーザーに皿ごと放り込めばよい。

 ② ベット・・・・・・

上から見て、コーパイ席の後ろ。壁を挟んだ小部屋。 ベットには診察センサーがあり、体の不具合を自動で知らせ、かつ治療処置をしてくれる。

幅は少々狭いが、必要十分なサイズ。 景色を見る小さな窓がある。リクライニング可能、正面に大型ディスプレイがあり、世界のあらゆる映像ソフト・音楽・図書を楽しめる。

 ③ ユニットバス・・・・・・ビジネスホテル程度のもの。その後ろの小部屋にクローズディスペンサーがあり、好きな衣服、下着が30秒で出てくる。 使用後は、これまたディスポーザーに放り込めばよい。洗濯不要。

 ④ エアロック・・・・・・ベットの後ろ。外出用。あらゆる病原菌を殺傷する機能あり。

 ⑤ゲスト用小部屋・・・エアロック後ろ、ユニットバス後ろの二部屋。

 ⑥機体最後部には大型エアロック・・・ドアは機体後ろ向き。エアロック内にはミツビシ・アイ程度の超小型宇宙ポッドを装備。チョイ乗り用。

以上が装備である。

さて、動力である。大気圏内、太陽系内は反重力エンジンにて飛行する。静かに浮き、空中に停止することが可能。これはポッドも同じ。 水平移動も惑星内の重力を使う。宇宙どころか、何万気圧の空間、あらゆる温度にも耐えられる。 慣性飛行中のシャトル内の重力はエンジンが発生させる。

肝心の恒星間飛行はハイパーワープドライブによる。

「スタートレック」のワープは数字の3乗で光速を超えて飛行する。例えばワープ1は光速の飛行だが、ワープ3は光速の3×3×3の速度である。

ところで、エンタープライズ号の最高巡航速度はワープ7であり、これは光速の343倍である。 しかし標準巡航速度はワープ3で、光速の27倍。

この数字は速いであろうか。太陽の一番近い、お隣さんの恒星まで、約4光年はなれているが、54日間もかかってしまうのだ。

これは、あまりにも遅すぎる。あのエンタープライズでは、5年間の調査飛行でも、とても番組のように、縦横無尽に恒星間をかけめぐったり、知的生命体に出会えない。 これは番組制作当初のスタッフ・脚本家・ジーン・ロッテンベリーの計算間違いによる。

それで、私のそのシャトルが採用しているハイパーワープは、標準巡航速度でなんと時速100光年である。 一時間に100光年進む。つまり、1日あたり2400光年彼方まで飛行するのだ。

銀河系の直径は約10万光年であるが、この速度なら、1ヶ月少々でほぼ縦断してしまうのだ。このくらいの速度でなければ、宇宙のフロンティアを冒険できない。

なお、スタートレックでもそうだが、光速突破の際の相対時差による時間の遅れは発生しない。シャトル内の時間の進行は地球時間と同じである。

このシャトルにより、見知らぬ惑星を訪れ、銀河の中央に存在するという巨大ブラックホールの周辺に到達するころには、ようやく眠りについている。

| | コメント (4) | トラックバック (0)

ロケットの打ち上げ

手作りロケット入門―火薬エンジンのロケットを作ろう!飛ばそう! Book 手作りロケット入門―火薬エンジンのロケットを作ろう!飛ばそう!

販売元:誠文堂新光社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

今日の朝刊に、スプートニク打ち上げ50周年記念に、同じデザインのモデルロケットを打ち上げた写真が載っている。

感無量である。私が子供のころ教科書の写真?で見た、その形は瓜みたいな物だった。合成写真のニセモノだったのである。

正式なボストークタイプの、パンタロンみたいな形をしたロケットの写真を見たのは、ずっと後のことである。

その新聞の記事によると、そのモデルロケットは8個の火薬推進剤を取り付けている。 モデルロケットの発射方法に詳しくないが、8つを同時に点火し、推力をシンクロさせるのは難しいことでないだろうか。

いや火薬だからその必要はないかもしれないが、まっすぐ上昇しただろうか。

実は本物も、打ち上げにはてこずったようだ。 50年前、ロシアは開発の困難な大型のエンジンを造るより、既存の小型のエンジンを沢山束ねて打ち上げるというコンセプトを立ち上げた。

(このへんの話は1年前だったか、フォン・ブラウンとコロリョフのテレビドラマで知った。)

本物はいくつエンジンを束ねているだろうか。模型では8つであったが。

実は、あのパンタロンの部分は4つに分かれている。それを支える中心は一本そのまま衛星部分までつながっていて、そこにもエンジンがある。

だからエンジンブロックは5つあるということだ。これはアポロを打ち上げたサターン5型と同じである。

だがサターンは全体で5つのエンジンだけだが、ロシアのは一つブロックに4つのメインエンジンが付いている。つまり、合計でメインは20個というわけだ。 

この数のエンジンの点火、燃料供給、推力のシンクロは大変ではないだろうか。開発当時は失敗を重ねたと思う。ドラマにもその描写があった。

エンジンはこれだけではない。さらにパンタロンブロックに二つの姿勢制御用小型エンジンが付いていて、中央ブロックにはそれが4ついているのだ。

つまり、ロケットエンジンはリフトオフ時には、合計32個が同時に噴射していることになる。

打ち上げ時はエンジニアたちは、送られてきたデータでこれを監視しているわけだが、チーフはさぞ頭が痛いだろう。

この32個のエンジンにより点火・上昇していく下から見上げた様は、アーカイブ映像でおなじみであり、サターン5型の打ち上げと同様、あの迫力には圧倒されてしまう。

ちなみに打ち上げ後数分で4つのパンタロンブロックは分離され、中央ブロックのみが燃焼し続け上昇、2段目の役割を担う。

ロシアのロケットにはもっと大きいN1というものもあった。

これはアポロより先に月に人類を送る計画で作られたが、メインエンジンだけでも30個以上あり、これもシンクロがうまくいかなかったと、当時のエンジニアが告白している。

結局大型エンジンを5つ束ねたシンプル構造のサターンが月競争を征した。

サターン5型のエンジンは、1個で約600トンの推力があるが、直径はボーイング777のジェットエンジンとさほど違わない。 だがパワーは一つでボーイング747の6機分発生する。 

ジェットエンジンの排気速度は、せいぜい秒速300メートルだが、ロケットエンジンのガスの速度は、秒速3000メートルから4000メートルある。いかに強力かがわかる。

私はジェットエンジンの噴流を全身で浴びたいという、幼児的願望があるが、ロケット噴射だけは御免こうむりたい。ガスの温度は3000度である。

この噴射速度だと、燃焼ガスが発射台に当たり、衝撃波を発生しているのが、確認できる。 ロケットファンにはたまらない映像だ。

アポロの打ち上げの際には、数キロ離れた取材スタッフのテントが、この衝撃波によって吹き飛ばされた。

その振動波は地球の裏側の地震計にも計測されたという。

| | コメント (4) | トラックバック (1)

まぼろしの旅客機

ディスカバリーチャンネル Extreame Machines 垂直離着陸機の誕生 DVD ディスカバリーチャンネル Extreame Machines 垂直離着陸機の誕生

販売元:角川書店
発売日:2004/05/28
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 三菱重工業で国産旅客機を開発するという。

国産ではYS-11が活躍していたが、日本国内ではとうとう引退してしまった。

今度、開発するものは、やはり、近距離用の小型旅客機ということで、日本のお家芸である、軽量、省燃費が特徴であるという。 本田の低燃費のビジネスジェットも数年したら活躍するようだ。

ところで、日本の小型旅客機の構想では、15年ほど前、なんと垂直離着陸(VTOL)の旅客機開発の話があったのである。

100人乗り程度のものであるが、実現すれば、世界最大のVTOLであり、世界最初のVTOL旅客機である。

VTOLというとハリアー戦闘機のように、直接ジェットを地面に向けて噴射し、浮き上がるタイプを想像しがちである。

しかし、この方法は実にエネルギー効率が悪く、燃料を大量に消費するうえ、騒音でも問題なのだ。 

それに、仮に100トンの重量の旅客機だとすると、その方法では、100トンを持ち上げる以上のパワーのエンジンが必要で、ボーイング777のエンジンなら3機必要となってしまう。結局、このジェット噴射方式では実現不可能である。

さて、そのVTOL旅客機はどういう仕組みかというと、形状はコンコルドのようにデルタ翼となっている。 エンジンは尾翼付近、胴体後部に3機ついている。推力は1基あたり10トン程度のものである。 

これでどうやって垂直離着陸できるだろうか。

仕組みはこうだ。 左右の主翼の中に、直径5メートル程度のリフトファンが装備されているのだ。 リフトファンとはつまり大きな換気扇である。ジェットエンジンの一番前で回転しているのと同じものと思っていただければよい。 

それを回転させて、ヘリのように上昇下降するのだ。

それを回転させる動力であるが、私はハーフジェットと勝手に名付けている。

ジェットエンジンをちょうど半分にカットしたような構造で、燃焼室と低圧タービンたけのシンプルなものだ。コンプレッサー部分が無いのである。だから全長が短く、翼の中に押し込めることが可能である。  

そのコンプレッサーなしのエンジンの燃焼室に高圧エアを供給するのは、胴体にある3機のジェットエンジンである。 エアを頂いて、パイプで導く。

リフトファンを回転させるのはエンジンの低圧タービンの力による。またタービンから噴出した高温のガスも推力アップに寄与する。 

リフトファンはヘリのローターと同じで、低燃費で大推力を発生する。ジェット噴射より効率がいい。

ある程度垂直上昇したら、本体の後ろ向きのエンジンの推力を上昇させ、水平飛行に移る。

翼のリフトファンにはシャッターがあり、水平飛行の際、閉じる仕掛けになっている。もちろんそのエンジンは停止させる。

これが垂直上昇から水平飛行のシーケンスであるが、着陸はこの逆を行えばよい。

なお、垂直飛行時はハリヤーのように機首、機尾、翼端に微調整の高圧エアのスラスターが必要であろう。 操縦は普通の飛行機より難しそうであるが、コンピューターがなんとかしてくれる。

この旅客機が実現したらどうだろう。滑走路はいらなくなる。田舎にある軽飛行機用の広場があれば十分である。 リフトファンは翼の上下に向いており、騒音も少ない。 空の交通革命と言っていいのではないか。

私の町には空港がなく、東京に行くにも現在の交通機関では、5時間程度かかってしまうが、この旅客機があれば、40分でついてしまう。 

ぜひとも実現してほしかったが、その当時予想開発費として、1兆円ということで、現在なら2兆円近く必要ではないだろうか。

しかし、リニア新幹線の建造コストよりは低いと思う。また世界に売れば、赤字になったYS-11より、採算が合うのではないか。

実に惜しい構想であった。

| | コメント (4) | トラックバック (0)

STRATEGIC AIR COMMAND 戦略空軍命令

 ゼロ戦から調子に乗ってヒコーキ映画へ。

この映画こそ、私をヒコーキファンにしたてあげた張本人である。

いや、それ以前にジェットエンジンに興味はあったが、ヒコーキ全体のメカの楽しさと、フォルムの美しさをこの映画で知った。 テレビの深夜放送にてである。

監督はアンソニー・マンで、出演のJ・スチュアートとJ・アリスンとともに前作「グレン・ミラー物語」からそのままのシフトだ。

観たのは高校時代であり、スチュアートは知っていたが、アリスンは全く知らない女優であった。 顔もたいして美人でないし、背も低くグラマーでもない。声も枯れているし、ミスキャストだなと当時感じたが、後になってアメリカ男性のお嫁さんにしたいナンバーワンの女優さんとわかり、考えを新たにした。

この映画でも、「GM物語」でもアリスンは家庭を守り、夫を支えるよき妻である。

アメリカ男性も結局、モンローより、家庭では当時の日本人女性的な人を嫁さんにしたかったわけである。 たしかに西洋人から、嫁さんにするは日本人女性が一番という言葉をよく聞く。(ただし昔の蝶々夫人的な日本女性だと思いますよ)

その日本人女優でアリスンに匹敵する人はだれであろうか。

「宮本武蔵」でお通さんを演った八千草薫さんであろうか。そういえば八千草さんはイタリア映画で蝶々夫人を演じていた。  どちらも恋する人、夫を慕い続け、一生男性につくしたい女性である。

私、八千草薫といいます。 

いえ、八千草薫・・・ の ファンです。

そのジューン・アリスンもつい最近亡くなった。

ヒコーキファンにたまらないのは本物の実写映像で、B-36爆撃機とB-47爆撃機が見られることだ。 これは貴重である。

B-36はガソリンエンジンとジェットエンジンが合わせて10コもついているオバケみたいなヒコーキで、そのデサインは見方によっては醜悪である。だが飛行機雲をなびいて堂々と、優雅に飛行するさまは、まさに空の王者というところである。 日本にも、映画に出てきた横田や嘉手納に来ていたヒコーキだ。

一方、B-47は初めて後退翼を採用した爆撃機で、現在の旅客機の原型(エンジンをパイロンで吊り下げる形)となった美しいヒコーキである。

映画では、スチュアートが格納庫で初めてB-47に対面し、やっぱり「美しい」と叫び、家に帰ってアリスンにも興奮さめやらぬ感じで説明していた。

このヒコーキたちの空撮は「トコリの橋」なども担当したカメラマンで、その映像はビクター・ヤングの優雅な音楽とあいまって、天国にも昇る気分である。

なお、一部、不時着シーンや嵐の中のアプローチシーンにミニチュア特撮があるが、1955年の映画としては当時の円谷物よりはるかにうまい映像である。

あの当時のアメリカには、エンドクレジットの片隅に、目立たない小さな名で載っているうまい特撮監督がたくさんいた。

グレンミラー物語 DVD グレンミラー物語

販売元:ファーストトレーディング
発売日:2007/01/25
Amazon.co.jpで詳細を確認する

残念ながらソフトがありませんので、この映画をご参照ください。

| | コメント (4) | トラックバック (0)

ゼロ戦について

大空のサムライ〈上〉死闘の果てに悔いなし (講談社プラスアルファ文庫) Book 大空のサムライ〈上〉死闘の果てに悔いなし (講談社プラスアルファ文庫)

著者:坂井 三郎
販売元:講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 「トラ・トラ・トラ」から調子に乗ってゼロ戦の話へ。

本当は「零式艦上戦闘機」という。 なぜ零かというと軍に採用された昭和15年は天皇の歴史が始まって2600年にあたるので、末尾の数字0をとって零式となった。 アメリカ軍は1940年の末尾0だと勘違いしていたようだ。

だから2601年だったら1式になったはずであるが、それは陸軍の「隼」戦闘機になった。

海軍のパイロットは、オフィシャルでは「零式戦闘機」と呼んでいたはずだが、現場では「ゼロ戦」と呼んでいたようである。 

話はそれるが、戦時中、日本は敵の言葉である英語を禁じたが、それをかたくなに守ったのは陸軍だけで、日本海軍は、もともと英国海軍じたてでもあることから、現場ではドンドン英語を使った。それは、陸軍への反発もある。 昔から陸軍と海軍は仲が悪く、反対のことをしたがるのである。

アメリカ軍は日本海軍の戦闘機に女性の名前をつけて識別していたが、ゼロ戦だけは「ZEKE」ズィークと呼んだ。だが映画や記録フィルムでは単に「ZERO」と発音していることが多い。 ZEKEは私の辞書にのっていないが、「あの野郎」という捨てゼリフのような言葉でないかと思う。どなたかご存知か。

映画「1941」ではジョン・ベルーシが丁寧に「MITSUBISHI・ZERO」と言っていた。 しかし、三菱がすべて設計・製造を請け負っていたのではなく、エンジンは中島飛行機(今の富士重工)製である。 

今の自動車に例えれば、ランサーエボリューションにインプレッサSTIのエンジンを乗っけたようなものである。 

そのゼロ戦の数値的諸性能については、本がたくさん出ており、ここで私がクドクドと言う事も無いので省略。

ただ、真珠湾攻撃より以前の日中戦争の頃から、すくなくともミッドウェイ海戦までは圧倒的に強かった。

その当時のエピソードで面白いのを紹介しよう。

日中戦争時、ゼロ戦は中国軍が使ったソ連の戦闘機をバタバタと撃墜した。その様子に驚いたアメリカ軍の顧問は、本国にむけて、日本軍の新型戦闘機の詳細を写真付きで報告し、ハワイ、フイリッピン方面の指揮官に警告した。

ところが、全く無視されたのである。 アメリカ本土の軍首脳たちは、もしそれが本当ならば、アメリカ軍の戦闘機より性能が良いことになり、劣等民族である黄色人種の日本人が、そんな引き込み足の高性能の飛行機を造れる筈がないという理由で、一蹴したのである。 

さらに真珠湾攻撃では、実際にゼロ戦の攻撃を受け、その事実を受け止めることとなるが、それでもなお、 一部の将校は、日本人は体格も貧弱で、いつもメガネを掛けていて視力が弱く、まともに戦闘機の編隊飛行ができない、だからきっとドイツ軍が編隊の先頭にいて指揮しているに違いない。と のたまわっていたのだ。 さらにパイロットの中にドイツ人を見たという者まで現れた。彼らこそメガネが必要である。

マッカーサーは当時フィリッピンの司令官であったが、飛行場や航空機をゼロにコテンパンにやられた。 彼は日本の空母が近海にいるはずだと考え、索敵を命じたが、とうとう発見できなかった。 

それもそのはずである。ゼロは台湾から発進し、戦闘した挙句、また台湾に帰っていたのだ。往復約1600キロ。 当時の欧州の戦闘機の航続距離はせいぜい500キロ程度であったが、ゼロは3000キロ以上飛行できたのだ。

「アイシャル リターン」はゼロのパイロットのセリフといいたい。 マッカーサーは戦後になっても、空母がいたはずだと信じて疑わなかった。

ゼロの燃費性能はたとえるならトヨタプリウスというところだ。 15時間も飛べるのである。巡航速度を220キロ前後にするとリッターあたり5キロ近くの燃費で飛行できるのだ。(初期型)

これはスカイラインGTRが時速200キロで走行するときの燃費より良い。 排気容量28000cc、950馬力のエンジンの飛行機がである。 しかし、この高性能は逆にパイロットを困らせた。疲労と生理現象にである。

我慢できず、もらしたパイロットはだいぶいた。 また、場合によっては12時間の飛行任務から帰還し、わずかの休養の後、ヒロポンを注射してまた出撃させられた。

緒戦になると、ゼロにとって、アメリカのF4Fグラマンなどヘビに睨まれたネズミであった。 

敵前逃亡というのは軍法会議物であるが、当時のアメリカ軍の飛行ルールのひとつに、「積乱雲とゼロに遭遇したら逃げろ」、というのがあった。 

ゼロの名は戦中・戦後もアメリカ国内でも浸透し、神秘的意味合い、なにかを消滅させる意味で使われることがあった。

たとえば女の子をナンパしてうまくいけば、「彼女をゼロみたいにモノにした」というぐあい。 アメリカの80歳以上のジイサンなら知っているはずである。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

ヒコーキへの誤解

 ついでにもう一つ旅客機への間違った認識をときたい。 これも世界の60パーセントの人間が誤解していると思う。

 離陸の後、エンジントラブルが発生すると、もよりの空港に着陸することとなるが、 その前に海上上空で燃料を投棄する。 たぶんお客はエンジンが一つ停まっていることもあり、翼の脇から燃料がドボドボと噴射されるのを見て不安になると思う。 

 しかしこういうことは、既に飛行前のパイロット、ディスパッチャー同士で、ありうる事態として打ち合わせ済みのことであり、エンジントラブルの対処も、どこの海上でどのくらい燃料投棄するかも想定内のことなのでそれほど心配しなくてよい。

 (キムタクが副操縦士役のTVドラマで彼がコクピットに遅刻するというシーンがあったが、上記のように事前に集合、ブリーフィングし、その後キャプテンと合同で機に乗り込むので、あれはありえないことだ。 脚本家よ、よく調べてから書きなさい。

 閑話休題  だからああいう事態はパイロット、客室乗務員にとってはぜんぜんハラハラ・ドキドキする事ではないのだ。

 さてその燃料投棄のことを、残念というか笑止というか、日本の新聞社の記者諸君は、今まで拝見した記事によると、着陸時の火災の危険を避けるためだと思い込んでいるきらいがある。 私の地域でほぼ全域を牛耳っている中部地方の某新聞社では、こういうことがあると必ずそう書く。 

 エンジンはすでに停止して冷たくなっており、燃料供給もカットされているのだ。 それに旅客機は2発エンジンの物なら1発でも十分飛行が可能である。 それがどうして着陸時に火災の危険があるのだろうか。 飛行機は通常どおり降りてくるだけである。 

 燃料投棄する理由は、旅客機の総重量を減らし、最大着陸重量以下にさせるためである。つまり、離陸直後の燃料満載状態では重すぎて、着陸時、ランディングギアを壊す恐れがあるからだ。 

 こういう簡単なことを調べず、思い込みで読者に誤解を与え不安を煽っているのだ。新聞社の文系出身記者の坊やたちは。 

 彼等は、おそらくふだんから「あんな鉄のかたまりが飛ぶわけがない」と、よく小説家や芸能人がしたり顔で言うように、得意になって吹聴しているのだろう。

 なお、空中に投棄された燃料は、海上に雨のようにボタボタ降るのではなく、すぐガス状となって、空気中に浮遊し消えてしまうので、ご心配なく。 ただし大気を汚染することには違いないが。

 

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

とんでもない兵器

 映画「2001」のディスカバリー号には原子力ロケットエンジンが搭載されていますが、原子力はジェットエンジンでも利用できるのです。

 ただし、飛行中の放射能の問題が解決したとしても、もしそれを搭載した飛行機が墜落したらたいへんです。

 というわけで、これも原子力ロケットエンジンが実用化中止となったのと同じ運命により、開発も50年位前に中止になりました。

 ところが、その後、 原子力を無人のミサイルに使おうという企画がアメリカで発足したのです。つまり、ミサイルならば人が乗っていないので、安全であるし、落っこちても、敵地内だから放射能も味方には影響ないという発想です。

 そのミサイルはラムジェットという単純な構造を採用しているのですが、それは前から入ってきた空気をそのまま原子炉で加熱し排気するという仕組みです。

 つまり大気に対して原子炉はむき出しになっていて、放射能に汚染された空気を撒き散らしながら飛行するのです。

 そもそも原子力を使う目的というのは、飛行時間が飛躍的に延びるという理由です。

 つまり、化石燃料だと、現在の巡航ミサイルでも、せいぜい数時間しか飛行できませんが、核燃料だと、数日間から、数週間、飛行し続けることが可能だからです。 

 ところでラムジェットエンジンが効率的に機能する飛行速度は、マッハ3以上です。大変な速度です。 

 この速度を達成するには空気抵抗の少ない、高度20キロメートル以上でなければ、通常のジェットのヒコーキでは無理です。 

 さらに、旅客機のコンコルドでもそうですが、その高度でも、地上にはソニックウェーブがやって来て、ガラスが割れたり、大きな破裂音が聞こえます。それだけ超音速は地上に影響を与えてしまいます。

 で、 この原子力ラムジェットエンジン搭載のミサイルは現在の巡航ミサイル「トマホーク」と同様に、地上数百メートルの上空を、なんと、無理やりそのマッハ3の速度で飛行するのです。 それも何日間も。

 当時のアメリカの仮想敵国はソ連です。 

 つまり、このミサイルはアメリカ本土から発射し、ロシア領土内のあらゆる数百メートルの上空を、放射能を撒き散らしながら、かつソニックウェーブで地上の建物・器物を破壊し、人間の鼓膜を破り、被爆させ、何日間も、散々ダメージを与えた挙句、クレムリンで水爆を破裂させるのです。

 なんという兵器でしょうか。 しかもこの原子力ラムジェットエンジンは高圧風洞による地上実験でも成功したということです。 

 こんなもの考えた連中は「しょうがない」ではすまされません。 まさにdoctor strange love ですね。

  参考資料: 雑誌 「Jウィング」 イカロス出版

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)