ショパンの怒り
| 【送料無料】ショパン / ショパン 24の前奏曲 作品28 イーヴォ・ポゴレリチ 【CD】 |
そのショパンの怒りを私が最も感じるのは、エチュードよりもスケルツォよりもポロネーズよりも、「24の前奏曲」の第24番である。
この最終曲、24番は24曲中、唯一楽譜に(fff)のフォルテシッシモが記入してあり、これはこの曲集だけでなく、ショパンの作曲した全曲を探しても、極めてめずらしいことだ。ショパンが如何に立腹・憤慨して作曲したかが分かる。
さてこの曲、聞いていると、前半は、一人のヒーローが民衆に決起を促し、それに民衆が答えて「そうだ、みんなで闘おう」と大いに盛りあがっていくようなシーンを想像する。しかし、そのクライマックスで、三度の和音の半音階下降があり、権力の銃弾によって彼らが叩き潰されたような、救いようのない絶望感へと導く。
その後オクターブにより、再び立ち上がるのだが、撃たれ絶望し、下降して、最後は地獄へと叩き落とされてしまう。映像化するとそんなところだろうか。
叩き落されたポーランド民衆への鎮魂の鐘、あるいは地獄から振り下ろされる彼らの怒りの鉄槌は、最後の3つのD音による強烈なフォルテシッシモのバス音。
さて、この怒りのD音をどのように叩くかがピアニストの腕の見せ所。
ショパンは左手の中指で叩くよう指示しているが、音を強くするため、あるいは演奏の見栄えを良くするため、左手の親指で引くべきだろう。
それとも、中指に人差し指を掛け、二本の指の合力で叩くという法もある。この時、ルービンシュタインがやるように腕を高々と上げてから降ろすというのが演奏としても見栄えが良い。
私にこの曲は弾けないが、弾けるとしたらそのようにするかもしれない。
ペタ゜ルはショパンの指示によると、5小節前から踏みっぱなしであるが、バスの単音になってからは、一音ごと踏み直すか、ソステヌートペタ゜ルを使って音が他音と濁らないようにしたほうがいいと思う。ポリーニの演奏はそのように聞こえる。
この曲の録音で私が最も好きなのは、イーヴォ・ポゴレリチの演奏で、最後のピアノの弦が切れそうな三つのバス音の迫力には、いつも感嘆している。また、打ちひしがれたポーランド民衆の悲痛な叫び声が聞こえるようで、いつも感動を禁じえない。
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