カテゴリー「特撮物」の記事

ポセイドン・アドベンチャー

ポセイドン・アドベンチャー ポセイドン・アドベンチャー
販売元:セブンアンドワイ
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発音を聴くと「ポサァィドゥン」と言っている。

ポセイドンとカタカナをふった最初の日本人の耳はどうかしている。

特撮はL.B.アボットであるが、どうも冴えない。

船のセットが小さい。恐らく3メートル前後というところか。巨大感がない。

セットが小さいと水滴が目立つ。客船だと少なくとも5メートル前後にしたい。

アボットは「トラ・トラ・トラ」で空母赤城を巨大ミニチュアセットで撮影し、特に船首の荒波にさらされるシーンはすばらしい効果をあげていた。

波やシブキの表現は相変わらずウマイ。 ここが日本の特撮のかなわないところだ。

ハイスピート撮影はいつもと同様、適切である。大波が襲うところは5倍以上の速さにしていると思う。

客船がひっくりかえった水中のシーンも良い。アボットらしい。

ブリッジから見た船首前方の暴風雨の風景もミニチュアだが、たいへんうまい。特撮と気づかないであろう。ただし、円谷でもあれくらいのことはできそうだ。

ところで、映画の中では時速60ノットの大波がやってくるという描写になっているが、実際、地震による津波は、洋上では水の圧力が時速500キロくらいの速度で伝わっていくもので、船の上では波と気が付かないものだと思う。

したがって、船がひっくり返るようなことはありえず、この映画は人々に誤解を与えている。

船長のレスリー・ニールセンがカッコイイ。

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「東京上空30秒」の特撮

リアプロジェクションを特撮とするならば、この映画のそれは、たいへんすばらしい。 

バックの映像は全くブレておらず、投影も完璧。バックスクリーンと気づかないほどである。

この映画のミニチュア特撮では、完全に円谷英二、およびその弟子たちの映像を凌駕している。

シーン1

B-25の空母搬入。クレーンで吊り上げられる部分。ゆっくりとした動きがいい。艦板に着地するとき、翼が振動する。ここでミニチュアと分かるが上質な撮影である。片一方のアンカーがゆっくり揺れているので、ハイスピード撮影であることが分かる。

シーン2

B-25の空母発進シーン。 空母の前方より撮影。実写では不可能なカメラアングルなので、特撮とわかるが、プロペラ飛行機の堂々とした離陸が良い。ワイヤーは見える。

シーン3

B-25のエンジン全開から空母発進。 飛行機のサイズは翼のスパン2メートルほどのものか。ゆっくりと滑らかに動き出し、円谷物のようにガタガタ・ブルブル振動していない。チョコマカしていない。艦板を滑走・離陸する姿は実写そのもの。ワイヤーは見える。作業員が人形であることが分かるので、実写でないと確認できる。

シーン4

ドーリットルが操縦するB-25が空母後方から低空飛行するシーン。

空母の上空をB-25が飛行する俯瞰シーン。 空母のディテールが良い。その周辺の波が良い。 ハイスピードカメラの回転が良い。B-25はプロペラ飛行機の適切な速度。円谷の操演だと、ジェット機の速度にさせてしまうだろう。

シーン5

東京工場地帯の爆撃シーン3カット。 実によくできた工場群のミニチュア。東京の複雑な道路、細道も徹底的に表現してある。 俯瞰でB-25の飛行を撮影。爆発炎上のパイロは破片と煙・炎上のコラボで、上空高く、バランスよく吹き上がる。ハイスピードカメラの回転も適切。

このシーンがドキュメンタリーなどに使われていた。

シーン6

爆撃の様子をB-25の横窓から後方へ眺めたような、低空横移動の撮影。

これも丁寧に作りこまれたミニチュアを移動とともに、タイミング良く爆破させている。カメラは実際の空撮を模して、微妙に振動させている。円谷にこういう撮影センスはない。

以上がミニチュア特撮シーンであるが、もう1カット、リアプロジェクションをバックに輸送機の水平飛行シーンがある。これはたいした出来ではない。

ミニチュア撮影はすべて野外での撮影と思われる。 太陽光は、実写に近い陰影を与えてくれている。

1942年制作の東宝の「ハワイ・マレー沖海戦」の特撮は、誰がどう見たってミニチュアにしか見えなかった。

1940年代から、アメリカの名も知れない特殊効果マンによる、実写なのか特撮なのか分からない映像づくりが、いかに優れていたかがよく分かる。

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ゴジラのことなど

1974年のことだったか、テレビの民放局で「ゴジラ誕生20周年記念」という特別番組があった。

番組には宝田明、平田昭彦、志村喬が出演していたと記憶する。

その当時、私はまだこの映画を観ていない。20周年記念リバイバル上映というものがあったのか覚えていないし、テレビ放映もあったかどうか定かでない。

私の思い違いかもしれないが、どうも東宝はこの映画の出し惜しみをしていたように感ずる。特に他のゴジラシリーズとは別に、2番館での上映は許さなかったのではないか。

というわけで、観る機会の少ない、この昭和29年制作の「ゴジラ」は、私にとって憧れの映画だった

ところが、この映画を映画館で観たのか、テレビで観たのか全く記憶がない。

まともに観たのは10年くらい前に、WOWOWで無料で放送されたものということになる。

改めて観ると、画面も内容もたいへん暗い映画であることが分かる。

ゴジラの出現はすべて夜間。顔が良く見えない。容姿もあいまいな感じ。それは、ミニチュア特撮のアラをカバーできるというメリットがある。

初めての巨大怪物映画(まだ怪獣という言葉が出ていなかったと思う)で、円谷英二もスタッフも戸惑いがあり、自信がない部分もあるように思える。暗い夜のシーンばかりなのはその為だろう。

円谷は当初、「キングコング」と同じ、ストップモーションで撮影を計画していたらしい。ところが、時間的に不可能と判断、キグルミ方式に変えたということである。

映画の一部分にコマドリ撮影があるので、その片鱗が伺える。

しかし、キングコングの方式であったら、どんな映画になっていただろうか。その後の映画の流れが変わったはずだ。

ストップモーション映画では、レイ・ハリーハウゼンという巨匠が、当時活躍し始めていた。彼はキグルミ方式を全く認めていない。毛嫌いしているようにもみえる。 私はどちらもテクニックの一つだと思っているが。

ゴジラは戦争をよく知っている人たちが作った映画である。ゴジラの破壊した街は空襲により爆撃された様子そのままで、避難民や負傷者の描写はほぼ10年前の出来事と変わらない。 制作スタッフも役者も気が重かったことだろう。

昭和29年といえば、日本はもうアメリカの占領から独立しており、自由に映画を作れた。もしそれ以前だったら、あの被害を受けた悲惨な描写はGHQの検閲でカットされたことだろう。「ゴジラはアメリカの化身か」ということで。

事実、アメリカ版「ゴジラ」ではその部分がカットされているという。

宝田、平田、河内の新人俳優の演技もまだ固く、そんなことも映画を暗くしている一因である。

ゴジラは退治され、ヨカッタヨカッタという終わり方ではない。しかしそういうアプローチの映画の作り方もあったはずである。

山根博士は、しきりに学術的見地からゴジラの保護を訴えるが、私はどうも理解できない。ゴジラを生け捕りにしたいのだろうか。しかしクマやサルではないのだ。ゴジラの死体でも十分研究できると思うが。

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怪獣大戦争

怪獣大戦争 DVD 怪獣大戦争

販売元:東宝ビデオ
発売日:2003/05/21
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ゴジラがシェーをする映画なので、かなり有名である。

怪獣映画としては円谷物のなかでも、それほど特筆するものでもない。

特撮シーンは過去の「ラドン」などフィルムが使い廻されている。

しかし、忘れられない作品である。私自身、映画館で小学校2年生のとき観た。

シェーをしたことには、だいぶ批判がある。 宝田明、佐原健二、土屋嘉男の特撮俳優はみんな嘆いていた。

だが、その中の一人、土屋氏が円谷に、子供に受けるよう、マンガのマネでもさせたらどうだと進言した、と何かの本で見た。 それで、当時流行っていたイヤミのシェーをさせたというのだ。

たしかにシェーは流行っていた。 私の年代の写真アルバムには、シェーをしている少年の白黒写真が張ってあるものが結構あるはずである。

私はというと、シェーよりも、イヤミのベラベラに伸びた靴下を自分でマネして喜んでいた。

さて、この映画、音楽には伊福部のフリゲートマーチが大活躍する。円谷特撮ファンにとっては血湧肉踊る曲である。 

この曲は、子供のころには、いろいろな特撮ものに流れてるので、映画も、どれがどれだか分からなくなっていた。伊福部の音楽がどれも似通っているのも原因であるが。

妖艶な水野久美さんが宇宙人役で登場する。最近、フィギュアまであるので、子供たちへのインパクが強かった。 買うのはオヤジであろうが。 いまだに世界中からファンレターが来るという。

X星人のコスチュームはムチムチの黒のレザーで、顔には細長いサングラスをかけ、なかなかいい雰囲気であった。

土屋嘉男のエックス星人統制官も傑作で、「七人の侍」のウジウジした利吉がやっていると思うと、そのギャップが面白い。

この人、宇宙人大好きで、しゃべっているX星語も、芥川龍之介の「かっぱ」の言葉などを参考に彼が考案したものである。

「この円盤はすべて電子計算機によってコントロールされている」・・・・統制官のしゃべる、昭和40年代の言葉がなつかしい。 

コンピュータという言葉はあったが一般には使われなかった。UFOは1970年代以降である。ユーフォーと言うようになったのは、阿久悠さんの歌詞による。

怪獣のバトルは予算の関係か、ビルなどのミニチュアの無いX星にて繰り広げられるが、キングギドラがいい。 いいのは吐く光線である。あのギザギザは傑作だ。東宝のこの種の技術は世界に誇れるメードインジャパンだと思う。

キングギドラの「カラカラ」という鳴き声は、ウルトラ警備隊本部で流れる電話の音と同じである。・・・・デーモン小暮閣下も指摘していた。彼はそのマネがうまい。

新たに撮影された特撮シーンで、特にすぐれているのは、X星人の円盤(なつかしいアダムスキー型)が湖上に水中から浮上し、そのまま上空へと離陸するところである。 

水中で発光している円盤と、圧縮ガスによる泡と、円盤の上昇に引きずられるスモークが絶妙の演出をしている。円谷特撮史のなかでも、最もうまくいったものだ。

ラドンを地中から引き出すシーンも良い。

宝田明とニック・アダムスが乗る宇宙船はNASAのロケットの影響があるが、その特撮はミニチュア然として、あまり良くない。

慣性飛行している宇宙船に、上下は関係ないが、逆さまになった宇宙船の姿勢を元にもどすという、物理的に無意味なシーンがある。

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新幹線大爆破

新幹線大爆破 海外版 DVD 新幹線大爆破 海外版

販売元:東映ビデオ
発売日:2005/12/09
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私はオリジナル版を観た。

1975年公開の映画であるが、当時の景色がなつかしかった。ケンメリのスカイラインなどが走っている。

また東映映画であり、千葉真一や丹波哲郎などが出演し、その演出が「キイハンター」に似ていると感じたが、監督の佐藤純弥は実際にこの番組の演出をしていた。

乗客がパニックになるシーンは、相変わらず東映カラーの大げさな演出で、日本人が馬鹿に見える。 

名古屋駅を高速で通過している最中に、「降りる」と泣き叫んで大騒ぎする、覚せい剤患者のようなアホな人間がいるだろうか。

日本人は冷静な民族である。もう少し黒澤的リアリズムで人間を演出してほしい。

とはいえ、映画としてはよくできている。けっこう手に汗をにぎって終わりまで、時間を忘れて観た。

撮影にあたって、国鉄は完全に協力を拒否している。

なんでも、「新幹線危機一発」という題なら協力してもよい、ということだったらしい。 

ということで、撮影には作り物の車両を使い、窓外の景色もスクリーンプロセス(人物のエッジに影らしきものが写っているのでフロントプロジェクションかもしれない)が使われている。 その景色もゲリラ撮影のようで、安定していない。

宇津井健のいる、コントロールセンターはよくできているが、カメラのアップでは造りがお粗末である。

国鉄が協力したとしても、不可能なシーンはミニチュア特撮が使用されている。

その特撮に、日本で初めてシュノーケルカメラが使用された。当時、世界で3台しかなかったという。たぶん、レンタルであろう。

このカメラを使用する理由は、小さいミニチュアセットで、通常のカメラが入れない狭い場所の移動撮影ができる為である。

この映画では、運転席からの前方映像を得るミニチュア撮影で、新幹線の架線が邪魔となるため使用された。 通常のカメラを使用すると、かなり大きなセットを作らなければならないからだ。

下のレールと上の架線の間にシュノーケルカメラを突っ込んで、新幹線の運転席からのシーンを撮影した。

ただし、これはカメラのアーム部分の届く範囲か、架線の電柱の間しか移動できず、僅かなカットである。

(これは私の映像を見た上での推測であり、実際の撮影の様子は知らない)

もし、国鉄が協力していれば、コクピットの固定カメラで撮影でき、実写映像が得られた訳で、スタッフも苦労させられたものである。

このシーンは、オープンのミニチュアセットで撮影されていて、実写に近い効果をあげている。

また、ポイント切り替えで、車両が交差するシーンでも、通常のカメラが入りきれないところまでアップ、ローアングルの撮影がされ、このカメラをうまく使っていた。ミニチュアと分かるシーンであるが、その出来は良い。

新幹線が爆発する想像シーンのミニチュア撮影は、円谷のものと同等か、それ以下のレベルである。

また、新幹線のミニチュアは、客車の内部の作りこみや、乗客の描写が省略され、窓をスリガラス状で内部を見えなくし、ゴマカシとなっている。

であるから、夜間の走行シーンでも、内部にランプを点灯し、ただ窓のスリガラスから照らすという、「行燈方式」だ。

これは、東宝特撮のミニチュアビル群と同じで、私にはサボリに見えてならない。

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世界大戦争

世界大戦争 DVD 世界大戦争

販売元:東宝ビデオ
発売日:2004/12/23
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「渚にて」の次ぐ、核戦争終末物映画である。

話は平凡な一家を中心に進められ、貧乏人の私としては親しみやすい。これが、小津の映画のように、企業の重役椅子に座っている主人公中心では、チト見づらい。

フランキー堺の娘として、星由里子が出演しているが、当時17歳ということで、驚いた。大変大人びていて、演技も堂々としている。今の同年のタレントにあれができるだろうか。

フランキーの家の間取りは玄関を開けると4畳半の茶の間で、横に台所。この台所は洗面もかねる。

茶の間の奥は6畳くらいの仏間と縁側、庭がある。木の階段を登ると4畳半の和室である。二階には物干しがある。

これが懐かしい。 昭和30年代半ばの話だが、私の幼児のころの家のまんまである。あのころは友達の家でもこんなふうだった。

茶の間には14インチの真空管テレビが、4本の足を生やし、カバーをかけられて偉そうに構えている。 カラータンスがある。

2階の和室は間借りさせていて、宝田明が下宿している。そして星由里子といい仲なのだ。

宝田は船の通信士をしていて、この下宿でも、アマ無線をしている。

この無線室のセットがよくできている。私の小学生のころ、友人の兄はハムであったが、昔の無線機は自分で組み立てたものであり、この映画のセットそのものであった。おそらく、スタッフか、その知人にハムがいて、そっくり無線機群を借りてセッティングしたのではないだろうか。

映画では星由里子も無線の免許を取得し、ラストシーンへのつながりとなる。

余談であるが、アマ無線は、あの当時から、簡単な試験の無線電話の資格があるにもかかわらず、星はいきなり難しいモールスの免許(当時、電信級といった)を受けており、しかも和文モールスまでマスターしているので、アマチュア無線家には意外なことである。

さて、この映画は、そのフランキーの一家と、父親のいない母子家庭一家の離別、無線通信士の船上での話し、という形で物語が進行し、一方、ミサイル基地での緊迫、日本政府のむなしい対応が進む。

これだけの話を一本の映画に盛り込むのは大変なことであり、脚本のすばらしさとともに、松林監督の手並みの良さが良く分かる作品である。

しかし、核戦争ものは、あまたあるが、あくまでも市井の家族をメインストーリーとし、核による世界戦争のむなしさを訴えたのは、この映画が最初ではないだろうか。

松林監督は僧籍でもあるが、映画には宗教の壁を超えたシーンがあり、これは私の考え方と同じで、考え深いものがあった。

なにげなくて衝撃のシーンがある。

子供たちが、学校から早退して家に帰ってきて言う。

「戦争がはじまったから、先生が家に帰りなさいって」。

フランキー夫婦は知らず、うろたえて、ラジオのスイッチをいれ、核戦争勃発のニュースを知るのだ。  

これは、本当に現在でもありうるシチュエーションであり、古い映画とはいえ、想像すると自分でも、うろたえ、茫然としてしまう。

フランキー一家による、最後の晩餐は泣けてくる。

ちゃぶだいの上には、いなりずし、海苔巻きずし、小さなオムレツがある。当時ではささやかな一般家庭のご馳走だ。そしてなんとメロンが用意してある。メロンなどというものは、当時入院しなければ食えなかったシロモノである。

「今日はごちそうだね」と、事が良く分かっていない子供たちは喜ぶが、これが最後の食事なのだ。

その子供たちも、しだいに状況が分かってきて、あきらめた顔つきとなる。しかし決して泣き叫んだりしない。

フランキーによる物干しでの慟哭シーンは、彼の一世一代の名シーンに数えられる。 何度見ても涙なしには見られない。

このシーンはフランキーの要望により、撮影は一番最後に行われた。

こぼれ話: 

「世界大戦争」と同時上映は、東宝の突撃隊長、古澤憲吾監督による「アワモリ君乾杯」で、なんと主演の坂本九が、悪漢を追いかけ東宝撮影所に乱入、「世界大戦争」のリハーサル現場に飛び込み、あっけにとられたフランキー堺や星由里子、松林監督を尻目に、東宝の倉庫に駆け込み、悪漢はモスラのキグルミに隠れるという、楽屋落ちの珍シーンがある。

・・・・このシーンをユーチューブで発見した。

http://jp.youtube.com/watch?v=GyNsyhjkaJI

神妙な映画を観たあとであり、観客も唖然としたであろう。東宝も粋なことをするものである。

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猿の惑星

猿の惑星 (ベストヒット・セレクション) DVD 猿の惑星 (ベストヒット・セレクション)

販売元:20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
発売日:2007/10/24
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NHKBSで久しぶりにこの映画を見た。

以前、テレビ放映で何度となく観ているが、画面のサイズに合わせ、両端が、トリミングされている上に、原版よりかなりカットされていたものである。

一番最初にテレビ放映されたのぱ、荻昌弘さんのロードショウだったと思う。

荻さんが、アメリカから呼んだ特殊メークのスタッフにより、あの格好をして解説していた。

今回、改めて観てみると、いかに民放ではフィルムがカットされていたかが分かった。

カットが著しいのは、宇宙船が不時着し、猿につかまるまでのシークエンスである。猿がなかなか画面に登場しないという、ジラシの効果があるところであり、やはり、その部分が短くなったのでは、その意味がなくなる。

シャフナー監督は、なかなかの作品を作る監督であることが、山本氏とNHK氏の解説で知った。 

他の作品では、「ブラジルから来た少年」、「パヒヨン」などがある。

さて、気が付いたことは撮影がすばらしいことだ。アメリカの国立公園でのロケーションもさることながら、人間の捕獲シーン。逃亡したヘストンへのカメラワークはカット数も多く、テンポもよく、つなぎもよく、画面に釘付けになり、時間を忘れてしまう。

獣が吼えているような、ゴールドスミスの音楽も、前衛的で雰囲気がある。この人はなにをやっても、間違いの無い音楽を作る。

特撮はL・B・アボットで、この映画での仕事は少ないが、宇宙船が沈んでいくシーンが彼の映像で、野外で撮影されたミニチュアワークは、特撮だと気づかない人が多いのではないだろうか。波の演出がすばらしい。

冒頭の宇宙船外の色彩豊かな光の乱舞の合成もすばらしい。このへんは、相対性物理学を参考にしていると思われる。

宇宙船が墜落するシーンの効果音は、同じ20世紀フォックスのテレビ番組「宇宙家族ロビンソン」のジュピター2号の離着陸の音である。

やはり、アメリカの映画会社も、録音バンクからの音を使い廻しする。

なお、特殊メークのジョン・チェンバースは「ロビンソン」でも特殊メークを担当しているエピソードがある。

今回観て、気が付いたのは、ヘストンを聴聞するシーンで、オランウータンの議長(ジェームズ・ホイットモア)と、その両側に同席の議員が、ヘストンの証言を拒否する態度で、「見ざる、言わざる、聞かざる」のボディアクションをしていることで、この映画の唯一お笑いシーンである。

この言葉は日本の日光の彫刻だけでなく、

Three wise monkeysという言葉で世界でもおなじみだ。

自由の女神の見せ方のすばらしいこと。また、全体像のマット画も優れている。

もう40年前の映画であるが、この映画が撮影されていた当時の私は、いったい何をしていただろうか。

じつは意外に覚えているものである。

映画に写る風の動きや、水の波紋、立ち木の葉っぱの揺らぎ見るとき、その撮影している同時刻の自分は何をしていたかに、一瞬、思いを寄せることがある。

ヘストンが猿に追いかけられるアメリカの里山でそれを感じた。

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宇宙大戦争

宇宙大戦争 DVD 宇宙大戦争

販売元:東宝
発売日:2004/10/29
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東宝特撮映画において、唯一怪獣、巨大生物、巨大ロボットの出てこない、純粋なSF物である。 その為、案外目だたない作品ではないだろうか。

しかし、私は好きだし、高く評価している。

私が子供のころ、正月のテレビ番組で、ほとんど毎年放送されていた。 そして、親父とともに、コタツに入りながら楽しんで見ていた。

私の親父は大正生まれのガンコ物だが、なぜか、SF物が好きであった。それに私も付き合って観ていたというわけ。 

東宝のSF物では「妖星ゴラス」もある。 ある時、親父と観ていたら、トドの怪獣が出現したところで、親父はチャンネルを切り替えてしまった。

親父の頭には、

怪獣が出てくる=子供向け=子供だまし=観るに耐えない、

という式が成り立っていたのである。 

であるから、テレビ放映の「モスラ」などは、一切観なかったし、見せなかった。

こういう精神構造は、私にも若干影響している。怪獣ものは正直言って、観たかったのだが、たとえ一人でも、やはり観たり、話したりするのは、なんとなく恥ずかしかったのである。こういうことだけは大人じみていた。

したがって、私の観るものはキグルミの出ない特撮SFがメインとなってしまった。

親父の好きな円谷プロのミニチュア特撮テレビ物は、唯一「マイティジャック」であり、これは一切怪獣が出てこなかった。 親父は私にも見せてくれた。

さて、この映画、月の描写などにバイロン・ハスキン、円盤のデザインにジョージ・パルの映画の影響がみられるが、逆に、多くのSF映画に影響を与えているのではないだろうか。

「スターウォーズ」のルーカスは若かりし頃、横須賀の映画館で、この映画を観ている。 「オレもいつか、こんな面白い映画をつくりたい」と語ったエピソードがある。 ただし、この映画は世界公開しており、英語名は「BATTLE IN OUTER SPACE」。 ルーカスがこの映画の邦題を知っていたかどうかは分からない。

円盤と防衛軍宇宙艇の、光線によるバトルは「スターウォーズ」に劣らないシーンである。

スタンリー・キュブリックは「2001年宇宙の旅」の準備段階に、世界のあらゆるSF映画を観て、制作の参考としているが、当然この映画も観ている。

この映画には月を移動する探検車が出てくるが、空中に浮上・移動することができる。 「2001」のムーンバスも同じ飛行方法である。同じタイプのものは、後年のアンダーソン夫妻の「UFO」でも登場する。

各国の科学者を前に、熱線砲の発射実験を行う場所は、白黒のまだら状のトンネルであり、これはアーウィン・アレンの「タイムトンネル」のデザインそのものだ。

また、コントロールルームの計器類のセットと、従事するオペーレータなどの描写は、デザインこそ違うが、同じくアレン物のSF物によくみられる。

というように、以後の映画のヒントがいくつも見つけられ、世界SF映画史上、忘れてはならない存在だと私は思う。

この映画の欠点を挙げるとすれば、物理的根拠が怪しいことで、重力の原理は原子の核振動であり、絶対零度になれば、重力がゼロになると、もっともらしく説明していることである。

「妖星ゴラス」脚本制作時のように、大学の先生に相談するべきである。

そのもっともらしく説明している科学者は池部良であるが、彼へのインタビューで、特撮映画の主人公を演じていることには、こう答えている。

-- ひどくみっともないんだよ。 はっきりいうと、要するに俳優の出番がないんだよ。あれだけ俳優がいるんだけどね。なんとか博士、なんとかパイロット、というだけの話であってね。その博士が「ああでもない、こうでもない」という気持ちをこねまわす類の映画じゃない。ストーリーの90%は特撮で、俳優じゃないから。」 --

池部良が最後に出演した特撮物というと、「スターウォーズ」公開前に拙速で制作された「惑星大戦争」ではないだろうか。

参考文献 : 

「映画俳優 池部良」 志村三代子、弓桁あや 編 ワイズ出版

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駆逐艦ベッドフォード作戦 THE BEDFROD INCIDENT

駆逐艦ベッドフォード作戦 DVD 駆逐艦ベッドフォード作戦

販売元:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
発売日:2006/12/20
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恐ろしい話である。まったく駆逐艦の艦長などというチッポケな存在のエゴにより、世界を狂わすという、とんでもない話。

この映画は、高校生のとき、深夜映画で観て以来、ずっと気になっていた。

それは、船のミニチュア特撮がすばらしいからだ。

今回、DVDの注文により、再確認することが出来た。

1965年、コロンビア映画であるが、イギリスで撮影されている。

そのせいか、イギリスのエド・ビショップなどの俳優が出演している。

また、駆逐艦のミサイル発射安全装置のアラーム音は「2001年宇宙の旅」で爆発ボルトのリリースと同じ効果音であった。 その「2001」はイギリスで制作されている。

船のブリッジ上とバックの海の合成は明らかにフロントプロジェクションである。

駆逐艦のミニチュア撮影は霧のシーンを除いて、すべて実際の海で撮影されている。 それは光、影、空の雲、空気、海の色で判断できる。

水平線かなたの空は、けっして東宝プール撮影のように、カキワリバックではない。

駆逐艦は小モデルで2メートルくらい、大モデルもあるようで、5メートル近い。

波やしぶきの様子は的確で、ハイスピード撮影は回転数がまったく正しい。

カメラの位置は水面ギリギリで、駆逐艦が向こうから手前に接近してくるシーンは実写と見間違える迫力である。

太陽光での撮影であり、人工のライトによる、スタジオ撮影的なウソくささがない。

氷山群を駆逐艦が移動するシーンもあるが、これまたすばらしい。波がリアルである。こういう水物は火炎と同じく難しいのだが。

夜の霧の氷山群もよくできている。スモークによる霧の撮影では、風が吹く野外は困難で、スタジオ撮影をすることになる。照明弾に照らされて浮き上がる風景は実に自然だ。

夜明けの氷山群が美しい。

円谷特撮なども比較して、私の観た映画の中で、船のミニチュア撮影はこれが最高のものである。

次点は「海底2万リーグ」というところか。

リチャード・ウィドマークの演技にしびれてしまった。あのするどい眼光ににらまれたら、萎縮してしまう。 シドニー・ポワチエの演技は彼により霞んでしまっている。彼はプロデューサーでもあるが、スタッフに対してもあの艦長の雰囲気ではなかったろうか。

なお、まだかけだしのドナルド・サザーランドが細長い顔で写っている。

特殊効果担当の名前がエンドロールにも載っていない。いつも思うのだが、アメリカの特撮チームは、名も知れぬ、目立たない人たちが、大変いい仕事をしている。

いい仕事とは、観客に特撮と気づかれないことである。

アメリカの特撮マンは気づかれないことに誇りをもっている。

その点、日本の特撮は観客に見透かされている。

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青島要塞爆撃命令

青島要塞爆撃命令 DVD 青島要塞爆撃命令

販売元:東宝
発売日:2006/06/23
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円谷特撮物で唯一未見のものであった。昭和38年制作。東宝

監督は「無責任」の古澤監督で、やっぱりどこか豪快で、無責任である。

第一次大戦、1914年ごろの、唯一日本としてドイツ軍と戦った中国、青島の戦いにおける大手柄の話で、古澤監督だけにホントカイナ、というところである。

あの当時の時速100キロも出ない「ファルマン」という複葉飛行艇が登場する。

その実物大模型はよくできているが、予算と時間があれば実際に飛行できたであろう。惜しいことだ。プロペラは電気モーターで回しているのだろう。

東宝の実物大飛行機としては「太平洋の嵐」などに、ゼロ戦がやはりモーターのプロペラを回して写っているが、プロペラスピナーがブヨブヨとアンバランスに回っていて、ヒコーキファンには耐え難いシロモノであった。

ミニチュア撮影は過不足ない。 良いシーンは列車が鉄橋を渡ったと同時に飛行機が頭上を追いかけるところ。そして 青島要塞を俯瞰から撮影したシーン。

今回の飛行機のミチュア撮影は、実機の飛行速度が遅いため、円谷独特のチョコマカした飛行でなく、実際の動きに見合ったものである。

以前の円谷が演出する第二次大戦の戦闘機の飛行速度はジェット機並に速くチョコマカしている。それは操演が速すぎたり、ハイスピード撮影が適切でなかったり、24コマで撮影したりする為でもある。

丁寧に作りこまれた、結構大きいミニチュアの機関車、列車が走っている。

やはり、カメラの回転速度が遅い。資料によれば野外で撮影しているが、曇り空のようで、太陽光線の効果が出ていない。

ただ、その列車にカメラを乗っけて撮影したシーンは上々である。

円谷は自他認めるヒコーキファンであるが、この仕事は楽しかったであろう。

ファルマン機は水上飛行艇で、ミニチュアのその発進、着水シーンは上々の撮影である。円谷渾身の演出。

やっぱり古澤監督ということで、ホンマカイナの爆笑?シーンがいくつかある。

池部良や藤田進、清水元などのマジメな俳優のマジメな演技もあるが、一方、夏木陽介、佐藤允、加山雄三などが豪快?にトボケてみせる。また、はらはらドキドキもある。 兄を夏木に殺された中国娘の浜三枝が、また日本兵に協力するという説明不足があるが、これも古澤監督らしい。細かいことにこだわらない。

ネタバレだが、私がイスから転げ落ちたシーンは米軍ジープが出てくることだ。大正3年ごろの話なのである。

この映画、古澤憲吾監督と円谷英二特技監督という異色のコンビによる、特撮史にのこすべき傑作である。

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サンダ 対 ガイラ

フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ DVD フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ

販売元:東宝
発売日:2007/01/26
Amazon.co.jpで詳細を確認する

「フランケンシュタイン 対 バラゴン」の続編である。

前作で死んだはずのフランケンの細胞が分裂し二匹蘇ったという設定。

英語版の一部を特典映像で観ると、ガイラはブラウンというらしい。そうするとサンダはグリーンだろうか。   英語版では彼ら二匹はひっくるめてガルガンチュアスと呼ばれている。

この映画にはゲストとしてラス・タンブリンが出演している。 「略奪された七人の花嫁」や「ウエストサイド・・」の人だ。 運動神経抜群であるが、今回の映画では博士役で、飛んだり跳ねたりできない。

ほんとうは、東宝は「逃亡者」のデビット・ジャンセンを呼びたかったのだが、スケジュールがつかず、彼が代役となったそうだ。 そのためか、声の吹き替えは睦五郎氏であり、声だけはジャンセンである。

映画の冒頭、また大ダコが登場する。これはどうも外国むけサービスカットではないか、かれらはどうもタコが好きだ、海のデッカイ化け物というとタコである。日本人は食うほうだが。

そのタコをガイラが襲う。タコもりっぱなタンパク源であるが、食わずに人間を襲おうとする。

その逃げる4人の船員をガイラが追いかける合成シーンはすばらしい。夜の場面であるから境目が目立たないのだ。

羽田空港にガイラが現れるシーンはスタジオ然としていて良くない。神さまの眼カメラで撮影している。 DC-8の飛行シーンもオモチャ然だ。

この映画で特筆すべきは、自衛隊の活躍であり、想像メカの殺人光線砲と、メーサー砲を、さも実際の兵器かのように、テキパキと設置準備し、頼もしい緊迫した画面を見せてくれる。 映画の中ではかなりの時間をさいている。

円谷パラボラ兵器では、このメーサー砲が一番のカッコイイものだ。車両として動くシカケになっているのは、明らかに「サンダーバード」のメカの影響を受けていると思う。

そのメーサーがガイラを攻撃するシーンは、これも円谷特撮史に残すべき、すばらしいシーンだ。 逃げ回るガイラを追う光線は、手前の樹木をなぎ倒す。光線の強力さを表現している。そのためガイラの痛々しさが強調されるのだ。

また、その樹木をなぎ倒す連続攻撃は、ミニガン(バルカン砲の小さいヤツ)を発射しているような、カタルシス的爽快感がある。 と同時にガイラがかわいそうにも見えてしまう。 実にうまい演出である。

この自衛隊の準備・攻撃シーンには伊福部昭氏のマーチが延々と流れている。

忘れられない印象的な曲で、「ゴジラ」に出てきた有名な海上保安庁のマーチのように、勇壮な長調の曲ではなく、トランペットを使った、すこし哀愁のある短調のマーチなのだ。

これは監督の本多氏も納得の上のことであろう。なにか怪獣とはいえ、生き物を痛めつけることへの罪悪や抵抗感を覚えるようにしたのではないか。

自衛隊の活躍では、相変わらす、ミニチュアのタンクがカタカタと動き、反動のない、物理感無視の砲弾発射をして、上記の名シーンをスポイルしている。

また、いつも指摘するように、怪獣の動きは、シーン・カットごとにカメラの回転がマチマチで、巨大感が安定していない。

そのハイスピード撮影で、すばらしいシーンはガイラが高圧電流で、のたうち廻るシーンで、中島春雄氏のダイナミックな演技で、飛び散る水の飛泡は見事な動きとなっている。

最後、海底火山の爆発では、再びトランペットの悲しい音楽が流れる。

オープニングの咆えるな音楽、自衛隊マーチ、エンディングと、この楽器が印象的だ。

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フランケンシュタイン 対 地底怪獣

フランケンシュタイン 対 地底怪獣 DVD フランケンシュタイン 対 地底怪獣

販売元:東宝
発売日:2007/01/26
Amazon.co.jpで詳細を確認する

私が初めてみた怪獣映画である。7歳のころである。だから今でも非常にインパクトが強い。 また漫画映画(なつかしい言い方)以外で初めてスクリーンでみたカラー映画である。

カラーフィルムの美しさに目覚めた映画でもある。

親戚の家にあったカラーテレビの映像より断然いいではないか。

東宝のキラキラ動くガラス細工のようなオープニングも綺麗と感じた。 またタイトルの真っ赤な色と、毎秒24コマでパタパタと動く青い色(夜の光は青く見える)の魅惑的な色彩にはドキドキした。

また、映画館の音ってなんていい音なんだろうと感じた。

この映画は1965年制作であるが、本多・円谷コンビとしては、最も油の乗り切っていたころではないだろうか。私は丁度ピークの映画を最初に見てラッキーだった。

であるから、過去の「ゴジラ対キングコング」などを後年見たときは、この映画と比較してしまい、あまりいい出来ではなかったので、ガッカリしたものだ。

それだけ完成度が高く、また今でも十分大人の鑑賞に堪えられものと確信している。この映画の続編「サンダ対ガイラ」より後の怪獣物は次第に子供向けの路線へと変わっていく。

まず出だしから、ミステリアスで、子供が怖がる実験室が出てくる。赤い液体が入ったフラスコや不思議なガラスの器具が並んだ怪しげな部屋は、この映画の展開を期待させてくれる。しかもトランクに入った何か動く物体。 あれはこれからどうなるんだろうか。

いきなり入ってきたドイツ兵と博士の無言劇は、ちょっとしたパントマイムで言葉がなくとも十分状況が理解できる。

その後、博士は手刀で、実験器具を乱暴に壊してしまう。 ああいうことも子供には恐怖である。

敵の飛行艇が登場する。この撮影がいい。実写にみえる。円谷の飛行機物でも成功したものの一つだ。

海上をいく潜水艦を上から撮ったシーンも実に良い。

広島の原爆シーンは「世界大戦争」からの流用。また中古の部品がくっついていたが、僅かなカットなので許せる。

切断したフランケンの手が動くのも子供には怖かった。

最初にバラゴンが登場する秋田油田のヤグラのセットとその夜の撮影が実に良い。ほんの僅かのカット、シーンであり、もったいない。じっくり見せるべき。

フランケンの怪物は最初6.7メートルの大きさで、ミニチュアセットも大きくなり、「大魔神」の理屈で、大変実物に近いリアル感がある。アパート群に現れるシーンはミニチュア然としていない。

ただし残念なのは、そのアパート街をミニチュアのパトカーをペコペコと走らせてしまったことだ。実写映像でいいはずである。

琵琶湖に登場するシーンもいいシーンだ。フランケンがゆっくり水面に顔を沈めていくのは哀愁を感じる。

白川村のエピソードも好きで、山小屋に木が突っ込むシーンは子供のころ合成と分からず、度肝を抜いた。

話はそれるが、白川村は何度もドライブで訪れている所で、村を俯瞰でのぞむカメラの設置された場所はドライブインの駐車場となっていて、アマチュアカメラマンの絶好の撮影ポイントとなっている。 また村人や警官が右往左往している所の右の川には、新しい橋がかかっている。

石切場に現れるシーンも実写とのつながりが実に良い。

富士山麓で好きなシーンは、林道に現れ、下から仰ぐカットだ。 巨大感を感じる。 「ウルトラQ」にもこれと似た、いいシーンがある。

バラゴンは犬の珍に似ていて少々コッケイだがあんなもんであろう。

イノシシや馬を動かすシカケは結構うまく見える。

フランケンとバラゴンのバトルは通常の24コマで撮影しており、チョコマカすぎで私は気になった。 やはり少なくとも2倍で回すべきである。

森林火災の描写、回転数、良い。 それをバックにした、2匹の姿の合成シーンはすばらしい。 円谷特撮史に入れるべき名シーンである。

日本版では、フランケンは地割れの中に消える。 子供のころ、それがかわいそうであった。

海外版では富士山麓に大ダコが現れ、アット驚いた。

ところでこの映画、今のクローン問題を示唆している。時代を先取りしているのだ。

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大魔神怒る

大魔神怒る DVD 大魔神怒る

販売元:角川エンタテインメント
発売日:2007/10/26
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秋になった。 とうとう「大魔神」を書くときがやってきた。

大魔神の音楽は伊福部昭氏である。この人の曲は秋に合うのだ。

引きずるような強烈な管楽器の音とストリングを多用した短調の物悲しいメロディーにピアノの低音ゴン・ゴンのリズム。

眼をつむると、 曇り空のススキの原っぱ、 夕焼けをバックにしたお寺、去っていく座頭市、ゴジラの後姿、そして変身する前の大魔神のハニワ像がある。

「神さま オラたちを助けてください」

昭和40年頃の小学生たちが、学校で休み時間にふざけてやる動作とくれば、スペシウム光線の手の形、 フライデーが作動板を取られたときのダラーンとした腕の状態、 そして大魔神の腕を交差した怒りの変身である。

悪いことをすれば必ず罰を受ける、身をていして良いことをすれば、報いがある。子供のしつけに貢献した映画だ。 

2.3歳の子供になら、「そんなことすると、大魔神やってくるよ」、これでいいのだ。

大魔神シリーズは大映のベテランスタッフが全力を挙げて制作しているのを感じる。 決して子供向けでない。 しかし、子供にも理解できる内容だ。

特撮監督は黒田義之氏。 当時、助監督が本業であったが、特撮も初期からまかされていた人である。また、円谷プロなどに撮影のアドバイスに行ったこともあるという。

この特撮がいいんですな。 そもそも大魔神は8メートルくらいの大きさ。それを等身大の人間がやると、ミニチュアセットは4分の1くらいの縮尺となる。美術スタッフが実物大セットのように丁寧に制作組み付けし、撮影すれば、ほぼ実物に近い写真が得られる。

あれくらいの大きさのセットなら、ハイスピード撮影も3倍で実物に近い動きになるはずである。

建物が壊れ、屋根瓦が崩れても、ホコリが舞ってもチャチに見えないのだ。

すばらしいシーンは大魔神が、石積みの壁を崩す場面。さらに城の門とその周辺の屋敷をブッコワス場面だ。特に家屋の崩壊は大勢のスタッフのタイミング合わせが難しい筈だ。 極上の撮影となっている。

そして大魔神シリーズで特筆すべきは、ブルーバック合成が、当時で、最もすぐれていることだ。 それは櫓にいる雑兵を大魔神の腕で叩き潰すシーンで発揮されている。 境目の縁は目立たない。

大魔神を演じているのは橋本力氏で、元プロ野球選手である。ブルース・リーの「怒りの鉄拳」に悪役日本人としても出演している。(ほんとうは勝新太郎がリーに呼ばれたのだか、代役で彼が香港に行った)、大魔神にも本人の顔で出演しているし、他の大映作品にも出演しているのでお見逃し無く。

黒田監督のこだわりは、大魔神の眼だ。 決して怪獣のようにガラス眼で内側からランプで光らせることはしない。 と宣言して制作した。 

あの充血した怒りの眼は、本当に怖かった。

橋本氏は、監督から決して目をつむるなと指導されたという。 しかし、スモークや風で舞うホコリで、いくつかのシーンではパチクリをやっている。

一つ書き忘れていた。この映画のカメラのピント合わせが実にうまいと感じた。

ピント合わせはあらかじめ距離を計り、ファインダーを覗いていない撮影助手が行うのだが、そのタイミングは絶妙だった。

 

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ゴジラ 対 メカゴジラ 1993年版

ゴジラvsメカゴジラ DVD ゴジラvsメカゴジラ

販売元:東宝ビデオ
発売日:2002/06/21
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 大人の鑑賞に堪えられる作品である。

入場料に見合った作品である。脚本も無理なく、話の前後が矛盾していたり、説明不足のところが無い。 これならお父さんも楽しめる。

特撮監督は川北氏である。 私は彼が担当した、「さよならジュピター」、「大空のサムライ」で、あまりいい印象を得ていないが、 東宝の映画としては、円谷英二を超えて、コンスタントに良い映像を造る人だ。

室内メカの描写のうまい人である。  ここらへんの映像はサンダーバードの撮影と肩を並べられる。 彼はその影響を受けていると思われる。

今回は京都や幕張で、思いっきりミニチュアを壊してくれ、堪能できた。

無人島にゴジラをおびきよす、という話が出たので、また低予算のバトルシーンを見せ付けられるかと思ったが、都心ではでにブッコワシを見せてくれたのはサービスがいい。

ビル群の窓の明かりは行燈方式に変わりないが、カーテンや最上階のラウンジ内の描写もあり、中野特撮より比較的ていねいである。

あの夜の丁寧な光の描写に、ダグラス・トランブルのテクニックで、光のニジミがあれば最高なのだが。

ただし、くどいようだが、ハイスピードカメラが遅い。回転を速くすると、撮影時、ゴジラの動きを、より機敏にしなければならず、大変であるが巨大感は増すはずである。

さらにくどいが、飛行体の垂直上昇やメカゴジラの水平飛行に物理的無理がある。

高嶋の作った飛行物体で、また反重力エンジンを乗っけてしまっている。あれはどういう理屈で浮き上がるのだろうか。一応ガスを噴射しているようだが、それにしては、飛んでいる下の樹木の葉っぱなどに何も変化がおこらないが。

音楽は伊福部氏で、オリジナルテーマとアレンジ曲がいい雰囲気を出している。 氏は大映でも多くの曲を書いている。 弦楽器を多用した物悲しい短調の曲が多い。

だからゴジラの去っていく後姿も「座頭市」のエンディングを思い浮かべる。

「やな渡世だな」 

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ゴジラ 対 メカゴジラ 1974年版

ゴジラ対メカゴジラ DVD ゴジラ対メカゴジラ

販売元:東宝ビデオ
発売日:2002/11/21
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 大人の鑑賞に堪えられない。「東宝・・・まつり」のレベル。

映画館に子供を連れてきた親たちはかわいそうである。

予算が限られて造らされているスタッフがかわいそうである。

予算が無いのか、スタッフのレベルが低いのか分からないが、相変わらず、東宝の1960年代後半の怪獣映画のように、地面がバウンドしてしまうような簡単な無人島セットもどきでプロレスごっこを見せる。 

怪獣特撮物の面白さは都会のビルや橋を次々にブッコワスことだ。 それをお預けにしてしまっている。  入場料返せである。

私は東宝特撮で、円谷英二から続いている撮影方法が、今もって理解できない。 

それは、ハイスピードカメラの回転がしょっちゅう変わることだ。 怪獣たちのバトルでは、ハイスピードでない撮影まである。 フィルムがもったいないからですか。  もし東宝の元スタッフの方がいたら、この謎を説明していただきたい。

怪獣の動きを毎秒24コマで撮っても、さっぱり迫力がありません。

特撮監督は中野氏であるが、この人は燃焼の大好きな方だ。 必ず石油コンビナートが大爆発する。 しかし、上手ではない。以後の映画でも進歩がみられない。 戦艦大和の最期でも大量にガソリンを使っている。しかしその炎は不自然である。

ゴジラの顔や体形はソフビ人形タイプで怖くない。さらに歩く方向と眼の視線が一致していなく、マヌケな顔となっている。

別の記事でも私は指摘しているが、特に声を大にして抗議したいのは、爆発などの効果音だ。 

この映画は1974年製作であるが、相変わらず1960年頃からの録音テープから同じ音をひっぱりだしてハメ込んでいる。

爆発音に限らず、宇宙人の要塞の中のブーンという音(ウルトラQでの一之谷博士の研究室の音)、 自動扉の開閉音、車のブレーキ音(どうしてジャリ道でタイヤの鳴く音がするのだ)、ピストル音・・・・私は昭和30年代のカビのはえた映画と間違えそうであった。

いつまで、このサボリ効果音を採用しているだろうか。この指摘は他のブログの記事でも見られるので、多くの人が当時から気にしていることである。

私はこのようなバンクシステムは、お金を払って観に来ている観客をバカにしていると思う。

新車で買ったトヨタカローラのスピードメーターに15年前のカローラのメーターが付いているようなものである。

バンクシステムではテレビ「鉄腕アトム」でも画像として採用してあったが、当時幼稚園生であった私は、アトムのアップや飛行シーンにいつも同じ場面が出てきて、「あ インチキだ」と思ったものである。 

バンクシステムなとどいう都合の良い名前でなくサボリシステムと言ってくれ。

制作現場の合理化も大事であるが、肝心のお客さんに不快感を与えることはすべきでない。

ゴジラがやられるシーンで「椿三十郎」もどきの血液ブシューをやってしまっている。 やるべきでない。 田中友幸はどうしたのだ、本多監督はこういうシーンは絶対避けた人だが。

この映画で、1974年当時の人のスタイルや、ケンメリのスカイライン、ギャランGTOなどの車が懐かしかった。

沖縄の音階を使った佐藤勝氏の音楽は良い。

ただそれだけである。

 

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TORA!TORA!TORA! トラ トラ トラ

真珠湾攻撃 DVD 真珠湾攻撃

販売元:コアラブックス
発売日:2001/04/25
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 この映画の日本シーケンスは黒澤が監督するはずであった。

しかし、数々のゴタゴタにより、黒澤は監督の座を降り、撮影は30分ほどのフィルムで終え、中断した。

その部分も結局使われず、深作、舛田監督に委ねられた。

深作はアクションの担当、舛田は人物部分を担当した。

このへんのいきさつは何冊の本にも書いてあり、あえて説明に及ばないが、没になったフィルムを観たいものだ。 黒澤は素人の俳優を使ったのだ。 

総合監督はR・フライシャーで、この人のお父さんは映画版「ポパイ」のアニメーターであったマックス・フライシャーである。

アメリカ側の撮影では、日本側に比べ、たいした役者を使っておらず、いろいろ非難されるが、これはドキュメンタリータッチとするため、あえてビッグスターは使わなかったということだ。

ちなみに、山本役に三船も候補に挙がったが、既に東宝「山本五十六」に出演済みでもあったし、黒澤と決裂しており、気を使って出演しなかったということであるらしい。

制作総指揮は、ダリル・ザナックで、あのカイザー髯をはやしたアナクロじいさんである。

当時、20世紀フォックスは経営がピンチで、ザナックが前作で一発あてた「史上最大の作戦」の第2弾ものとして企画された。

制作費は当時3000万ドルで、現在ではどのくらいになるか見当もつかぬ。

演出のコンセプトは、日本側の描写は、規律と統制であり、アメリカ側は後手に廻った怠慢の様子である。 したがってこの映画、アメリカでは当然ウケなかった。

日本軍の攻撃を予測しながら、連絡がうまくいかず、アタフタした様子がうまく演出してある。  

なお、映画中のことは全て事実であり、フィクションではない。 それは映画の冒頭でtrue storyということで説明がある。フライイングスクールの場面も実際にあったことである。

ただし、当時のルーズベルトが、日本側の真珠湾攻撃の暗号を既に知りつつ、あえて、だまし討ちを演出したという解釈は憶測にすぎない。

映画の冒頭で、旗艦長門の実物模型が出てくるが、ベニアで造られたにしては実によく出来ている。日本側のスタッフが制作したのだが、フライシャーもコメントで驚嘆していた。 ただし九州の干潟に造られたこの模型、カメラに写らないウォーターラインの辺は土台の骨組みだけです。 

日本軍の攻撃シーンの90パーセントは実写映像であり、圧倒的な効果がある。

特に驚異的な映像は、滑走路でのカーチス戦闘機の暴走シーンで、無線操縦のこのヒコーキは予期せぬ動きとなり、スタントマンを危機にさらしたが、その映像はそのまま使用された。 

あのシーンは何度観てもすごいがケガ人はゼロだったということだ。

ゼロ戦を演じているのは、テキサンT-6という練習機で、ヒコーキファンにはおなじみである。 ところでこの練習機、戦時中も日本のパイロットから、「敵さん」に通じることから知られ親しまれていた飛行機である。

実物の撮影ではどうしても不可能な部分はミニチュア特撮が使われている。

担当したのは、Lyle Billy Abbot(L・B・アボット)とA・D・フラワーズである。

ハワード・ライデッカーも参加しているようだ。

このアボットという名前は、小学生の頃から知っていた。いや崇拝していたと言ってもよい。

私は、小学校1年生ごろから映画やテレビで円谷特撮に触れていて、それなりに面白がっていた。

しかし、2年生から始まった「宇宙家族ロビンソン」のジュピター2号の飛行と探検車(英語でチャリオット、フランス語でシャリオ)、それに一つ目巨人のミニチュア特撮でアボットの映像のすばらしさに開眼し、 さらに「原子力潜水艦シービュー号」の水物の描写、水中、特にフライングサブなどのシーンに圧倒されていたのだ。

またアボットとは別に「サンダーバード」の小さい模型ながら、迫力のある特撮とも比較して円谷英二の時代などもう終わりだと思っていた。 

それで、中学1年の時、この「トラ・・・」である。 

私のミニチュア特撮のスタンダードは、まだ観ぬ「2001」を除き、70年代後半のsfxブーム以前ではL・B・アボットが決定的となった。 

さて、この映画において、彼のすばらしい撮影は、まずハイスピードカメラの回転が安定していて、その適切な速度により、迫力ある爆発燃焼を見せている事だ。 

カメラの回転数は5倍程度である。 

これは見る人によっては、遅く感じ、海面の波の動きなど、水飴のように見えなくもないが、あの速度がミニチュアのスケールと比較し、実物映像に近いものと私は確信している。 これを3倍程度の回転数ではどうしてもミニチュア然となってしまうのだ。

私がそのシーンでいつも舌をまくのは、マーチンバルサムが流れ弾に当たりそこなう直前の、窓外からみたアリゾナなどの爆発特撮シーンだ。 あれはもう上記写真のような真珠湾攻撃の記録フィルムに近い。

尚、話がそれるが、円谷の特撮で、5倍以上のハイスピード撮影はテレビ「マイティジャック」で観られる。 マイティ号の浮上発進シーンはそのせいで迫力がある。 

さらにアボットは(アメリカの特撮監督は)ミニチュア撮影で、可能なことなら、できるだけ野外の太陽光で行うことだ。 太陽の光はスケールダウンしたミニチュアでも実物と変わらない陰影を表現できる。 そのため、この映画でも実写部分とのつながりが実に自然である。 

このやり方を日本で積極的に実践しているのは、平成ガメラの樋口監督であるが、円谷にも大プールでの野外撮影はある。 しかしどうもうまく見えない。

爆発では水柱も実に自然だ。 実写シーンでも観られるように、浅い海面で爆発が起こると、細い長い水柱となる。それをうまく表現してあった。

それは、火薬の下に銀粉を敷き、吹き上げた時、細かい水滴に見えるように工夫してあるためでもある。 

これを円谷がやると、「ハワイ・マレー沖海戦」や以後の水物映画などでは三角錐の水柱となってしまう。 あれは不自然である。第一、投下魚雷の炸薬は50キロ程度で、あんな大きな爆発はありえない。

円谷は「日本海大海戦」で圧縮空気による爆発水柱を表現している。 ユニークな方法であるが、このアボットのやり方のほうが自然に見える。

空母赤城などの走行シーンもすばらしい。ミニチュアもかなり大きいが、スモークを焚いた夜の海の状況は、奥行き感があり、適切なハイスピード撮影とあいまって、雰囲気をよく出している。 波の動き、船の周りと後になびく白波は特殊な薬品により作り出す工夫をしている。

というわけで、私が東宝のミニチュア特撮に辛口になるのは、このLBアボットやサンダーバードのデレク・メディングスの存在により、無理からぬことなのだ。

だが、円谷特撮でも感嘆するシーンがたくさんある、以後紹介できればと思う。

尚、この「トラ トラ トラ」、おしむらくは、この映画でこれらミニチュア特撮の部分が少ないことだ。 アクションの主役は、やっぱり実写映像なのだ。 

時間の関係か、ミニチュア撮影は かなりカットされているはずである。もっと観たかった。

また、ミニチュア撮影部分に飛行機が登場するのは1カット一瞬しかなく、あえてボロがでそうなものは、省いたのかもしれない。

本編撮影が終了し、公開されるまで1年以上かかったそうだが、それは特撮と編集に時間がかかったためだという。

トラ・トラ・トラの暗号は「突撃 雷撃機」の意味で、和文モールスで

トラ は ・・-・・ ・・・ である。

 

 

 

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RIGHT STUFF ライトスタッフ

ライトスタッフ DVD ライトスタッフ

販売元:ワーナー・ホーム・ビデオ
発売日:2000/04/21
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 大長編の映画であるが、ヒコーキ好き、ロケット好きにはたまらない。

特撮部分もあるが、ロケットの発射映像は実写である。

おなじみの映像ばかりであるが、何度見てもロケットの打ち上げはいいものだ。 

これは「サンダーバード」のジェフトレイシーの言葉。彼は元宇宙飛行士であり、始めて月に降り立った男なのだ。 

ご存知の方も多いが、「サンダーバード」の隊員のファーストネームはこの映画に登場する実在の宇宙飛行士たちからとったものだ。(TB参照)

特に最後のエンドロールでアトラスロケットがチャイコフスキーのバイオリンコンチェルトの曲にのって、どこまでもどこまでも上昇していくところは感動ものだ。

といっても、それは私くらいのものか。お客さんのほとんどは席をたっている。

じつはチャイコのバイコン1番の曲を知ったのはこの映画のおかげ。大変技巧的だけどいい曲ですな。 ただし第2楽章は大変悲しく、つらい曲だ。

さてまたミニチュア特撮のはなし。 航空機の特撮において私がスタンダードにしているのはこの映画のシーンなのだ

それはB-29の飛行と、そこから分離するベルX-1のミニチュア特撮である。

あれはもう完全に実写に見えるではないか。 飛行中のB-29はまるで伴走飛行する僚機からエア撮影したような映像である。

霞んでみえる機体と、高速できれいに回転するプロペラ。 それに大気を感じさせ、時速500キロ(B-29の最大巡航速度)の風圧を受けて飛んでいる様子が実感できる。その写しているカメラも微妙に振動している凝った撮り方。

また分離したX-1とB-29を下から仰ぎ見るカットもミニチュア感がしない。

あの撮影はスタジオ内で撮影されたのだ。ライティングもいいではないか。

観客はアメリカの映画だから、本物のB-29をどこかから借りてきて、実写撮影したものではないか思ったはずだが、以外と小さなミニチュアを使い低予算のローテクで撮影したものである。

アイデアと気配りで、スタジオの中でもあれだけのシーンが撮れるのである。

日本の戦争映画などでは、よく飛行機の特撮が見られるが、まったく・・・・ 

やめときましょう。

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1941 究極のビル群ミニチュア撮影

 この映画はスピルバーグの失敗作として広く認められている。 ギャグはほとんどカラマワリで、シラーとしてしまう。 家が崖から崩れ落ちるシーンもさっぱり笑えない。

 しかし、ミニチュア撮影に目が行ってしまう私としては、捨て置けない映画なのだ。 まず霧にかすむロスの夜のビル群がすばらしい。空気感がある。 道路の汚れ、ビルのコンクリート感もよくできている。なによりも灯かりの細かな気配り。 あれはもう、都市としてのミニチュアセット表現の最高傑作ではないか。

 そのビル群に挟まれた道路を、カメラは動く車のシートに座った位置で撮影する。 微妙なカメラの揺れで車の振動を再現し、それは実写映像そのものである。 ほとんどの人はミニチュアと気づかなかったのではないか。 

 ビル群を制作したのはグレックジーンで「未知との遭遇」のマザーシップを制作した人である。あの細かい気配りには脱帽である。 しかも予算的、時間的に制約があり、一部にダンボールを使用して造ったということだ。ま 怪獣映画のように破壊がないので、それも可能だったわけだが、あれが紙に見えますか。

 私がミニチュア特撮のビル群の出でくるシーンを観る場合、スタンダードとしているのは、この映画である。 だから日本の物で、「ガ級」以前によくある、穴の開いた行燈方式で窓を発光させた、箱を並べたような出来の悪いビル群や、夜のシーンで、ガスッていない、スタジオの空気を感じてしまうような撮影を見ると、怒りすら感じる。 

 「これで本物に見えるか」、 「さぼってんじゃねーよ」。

 この映画がさらに凄いのは、そのビル群の間を飛行機が飛び、クルッと回転(エルロンロール)させてしまうことだ。 そのワイヤーワークの操演テクニックも日本のお家芸を凌駕している。

 ただしこの映画のDVDはレンタルショップにも見当たらない。いやDVD化されていないかもしれない。もう一度確認したいのだが。

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ゴジラ × メガギラス

ゴジラ×メガギラス~G消滅作戦~〈通常版〉 DVD ゴジラ×メガギラス~G消滅作戦~〈通常版〉

販売元:東宝ビデオ
発売日:2002/11/21
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 2000年放映の作品である。 「ガメラ1999」以後の制作である。 相当気合が入っている。 まずミニチュアの造形が良くなった。建物のウェザリングもていねいであり、以前の箱を並べた感じは払拭された。ディテールにも神経を使ってある。(ゴミバコやテレビのアンテナ等) またビル群の夜のシーンでは、窓のあかりなどは、いぜん行燈方式だが、細かいライティングとなり、一部に生活感を感じる描写がある。

 ミニチュアの破壊は、ゴジラの手をかける随所に、細かく火薬をセットし、タイミングよく小爆発させ、その破片の飛び散り方も大げさでなく、自然に見える。

 カメラの高速回転が常に適切で、安定した巨大感を与えている。 過去の円谷特撮では、シーンによりカメラの回転が変化し、炎の燃焼にしても、あるカットでは速かったり、遅くなったり、またまったく通常の速度で回したりと、スケール感を混乱させる撮影をしたものだが、そういう間違いは無くなった。

 カメラのアングルも「神様の目」がすくなくなり、人の立った目の位置が多く、臨場感あふれるシーンが展開する。 これは全く平成ガメラの影響だ。

合成処理も前作より格段に進歩し、特にお台場の海上を進むゴジラと海の境目の部分はビリツキも無く自然である。 それは隊長がゴジラの背に飛び乗り、マーカーを発射するシーンでも発揮されている。

 残念なのは、スタジオ内での撮影が多く、照明ではどうしてもミニチュア感が出てしまうことだ。 やはり平成ガメラのように、屋外の太陽光での自然なライティングが、実写感を出すにはベストなのだが、予算・スケジュール的に問題なのであろう。今後期待したい。 ただし渋谷の水中の光の感じは良かった。 余談だが、渋谷を水攻めにしたのは、ガメラが渋谷を火炎地獄にしたライバル意識による反発か。

 CGでは子トンボ(メガニューラ)の大群がゴジラに襲う場面が、標準的だが、迫力があり、構図的にも見ごたえがあった。 しかし、静止衛星のDTの映像はアニメチックで実物感がない。

 さて、問題は物理的、工学的に説明が不足していることだ。

 まず戦闘機「グリフォン」。 東映系ヒーロー物の飛行体のようで、少々幼児っぽい。 その造りも材質が樹脂系で、飛行体としての剛性感がない。 動きも科学的、物理的に計算されたものでなく、マンガチックだ。 例えば、格納庫から出てタキシングし、一旦停止するが、その場合、ギアのサスペンションが沈み、機体が少しつんのめる演出をするべきだ。 あれでは子供がプラモデルで遊んでいるのと変わらない。これはもうセンスの問題だ。 

 それに加え、航空工学的にまた、あのスーパーXに匹敵する間違いをしている。エンジンが後部翼端に二つしかないことだ。 垂直上昇・ホバリンングにはバランス的に、胴体中央にもエンジンが必要なのではないか。こんなことは小学生にも分かることである。 その二つのジェット噴射の熱の揺らぎもキガンジマでのホバリングでは省略してあった。 ま これは単なるサボリであるが。

 もう一つ言いたいのは、モスラの頃から感じていることだが、何万トン?の飛行怪獣が空中静止しているときの周辺の描写が今回のメガギラスでも、なっていないことである。 スーパーXという飛行物体でもそうであったが、東宝のこれらの飛行体や生物は、宇宙人からもらった反重力装置により宙に浮いているのだろうか。 少なくとも円谷ラドンのころは、風圧で地上の物や人が吹き飛ばされていたはずだが。 撮影がむずかしく、ビジュアル的にも問題だとしても、1カットだけでもそんな描写を入れるべきである。

 さらに、静止衛星というものは、赤道のはるか高度上空にあり、故意に軌道が変えられたとしても、あのように都合よく日本に落下してくるだろうか。説明不足である。

 こんなこともあり、この映画は「ガ級」に今一歩及ばず。次に期待する。

 尚、この映画のエンドクレジットには特技監督という役職が消えている。

 

 

 

 

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ゴジラ2000 ミレニアム

ゴジラ2000〜ミレニアム〜 DVD ゴジラ2000〜ミレニアム〜

販売元:東宝ビデオ
発売日:2000/12/21
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 1999年制作の映画である。 「ガメラ1999」の公開以後の制作かどうかは不明であるが、 結論から言うと「ガ級」ではない。

 しかし、平成ガメラの影響をうけていることはうかがえる。 ミニチュアセットは過去の東宝作品より質が向上している。 ビルディングのウェザリングも丁寧に施されるようになった。 でもまだまだ箱を並べた感じが否めない。 そう見えてしまうのは、ビルの窓の描写で、過去のまずいやり方をそのまま踏襲している。 

 窓というのは、ブラインドが降りていたり、閉まっていたり、机やパソコンが見えたり、人の労働の場として一番生活感の現れる場所であり、人間の目もそこに向けられるものだ。 それをただ壁に穴を開け、スリガラス(アクリル?)一枚を内側に貼り付け、大きな電球で中から点灯させ、まるで江戸時代の行燈みたいな造りなのでは、「こんなものでいいでしょう。ビルディング一丁あがり」という態度が感じられる。 これは一種のサボリであり観客をみくだしている。 東宝のミニチュア特撮のビルは昔からこの方法である。 

 ビルの窓一つ一つに細工をするのは大変であるが、(ワンカットのみ、シルエットで表現してあった)それが無理でも今ならCGなどで処理できるのではないか。 あの中野・川北特撮から続いてるやり方はもう止めるべきである。

 CG.VFXもレベルが低く、稚拙である。ゴジラの東海村上陸は実写動画映像にハメ込んであるが、境目の処理がまずいうえに、微妙にブレており不自然である。   物理感覚にも首をかしげる。 軍用ヘリといえども、あんなに速い速度で急旋回できるだろうか。ゴジラにミサイルを発射して退避するシーン。 ミサイルの噴射ガスの描写も素人レベルだ。 7年前のCGはあの程度だったろうか。 とにかくこの映画のCGは拙速としか思えない。

 とクソミソに書いてしまったが、好きなシーンもある。冒頭の根室にゴジラが上陸する一連のシーンは「ガ級」に匹敵する。特にトンネルでの描写。 ゴジラ第一作へのオマージュと感じられるカットもあり、私は最初大いに期待した。それだけに後半にはガッカリさせられた。

 それにどうも脚本が良くない。 異星人が侵略するのに、ミレニアムもくそもないであろう。その理由性がわからない。親子の関係もアヤフヤに終わっている。グズグズと話が進み、緊迫感がない。 それを増長させるのが音楽で、伊福部氏のテーマ以外、血沸き肉踊るようなメリハリのある楽曲がなく、ただダラダラと鳴っているだけである。

 たとえ優れた映画監督でもいい脚本でなければいい映画はできないというが、この映画はそれを実証している。

 

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「ガ級」 ミニチュア特撮 1999ガメラ3

 1999年制作 「ガメラ3」をDVDで初めて観て驚いた。 前2作よりさらに冴えているのだ。CGなどのテクニックは、当然向上しているが、ミニチュア撮影はよりすばらしい内容となっている。 まず渋谷の破壊からして違っている。 実写と見間違えてしまう。 自分が道路に立って破壊の恐怖を目の当たりにしている気分だ。 卓球の愛ちゃんに良く似た女の子(名前忘れましたゴメンネ)の回想シーンのビル破壊やガメラの落下爆発も実写に見える凄い迫力(ひょっとして前作からの流用かもしれないが)。  また CG合成と組み合わせた燃焼の炎の動きが良くなりましたね。 あのくらいのゆっくりした炎が巨大感を出すのです。 過去の日本の特撮は炎の動きが早すぎて、実物のスケール感を損なっていました。

 前作同様、ミニチュアセットがすばらしい。いやさらに気合が入っている。京都駅の造形と破壊様式は日本ミニチュア特撮の頂点と言ってよい。 ミニチュアの制作には13人もの専属スタッフが携わっている。 あなた方の仕事は永遠にフィルムに刻まれます。 脱帽、土下座

 それから、爆発後に飛び散ったり、落下してくる鉄骨などの効果音もちゃんといれてありました。 過去の日本映画では、よくこういうことがサボッテありました。

 合成がまたすばらしい。 自衛隊が森の中でイリスと対峙するシーンは、ライブ撮影との違和感が全くない。 

 その自衛隊の小銃発射は、うれしいことに実際の隊員による本物の空砲射撃で、その衝撃、反動、発射音は迫力があり、ホットとしました。 あれが撮影用のモデルガンを使ったのでは、パチパチとなさけない炎と煙を銃口から出して、映画を台無しにしてしまいます。 おそらく本物の銃を使った映画撮影は近年ではこれが最初ではないか。 自衛隊へのネゴシエーションをよくやりましたね。

 さて私は、今になってこの映画をDVDで観たのであるが、1999年に観るべきであった。 日本のミニチュア特撮映画は、ここしばらくゴジラとガメラであったが、ガメラ1が放映された1995年で、もうこれに匹敵するものは無いであろうと判断し、このての映画の鑑賞を控えていたからだ。 東宝の川北特撮によるゴジラも大体想像つき、観るに及ばないと放っていた。 しかし、ガメラの樋口特撮はさらに進化していたのですね。 観ないで惜しいことをしました。 

 ところでその東宝のゴジラは1999年以降制作されてましたっけ。 あるのでしたら、この1999ガメラ3を日本の標準的なミニチュア特撮の基準として、比較しながら観てみたいと思う。 ガメラの影響をうけて進歩しているだろうか。

 戦艦のクラスを比較するのに「ド級」という言葉がある。これは1905年ごろ建造されたイギリスの戦艦「ドレットノート」のドをとったものだが、そのド号は以前の戦艦の造りや常識をくつがえす、遥かに優れたコンセプトによる戦艦であり、当時驚きの目で迎えられた。 そしてそれ以降の新しいドレットノート型の戦艦を「ド級」といい、以前の陳腐化してしまった戦艦と区別されるようになったのである。 ちなみに戦艦大和は「超ド級」といいますね。漢字では「弩」の字をあてます。

 私は日本のミニチュア特撮史において、この「1999ガメラ3」は、戦艦ドレットノートの出現に匹敵する画期的な作品だと考えます。 そして、もし以後この映画に値するミニチュア特撮映画が現れたら、「ガ級」特撮と宣言し、特別なものとして区別したい。

 1999年以降造られた映画「ゴジラ」がはたして「ガ級」といえるかどうか、そして「ガ級」映画がこれから日本で造られていくか、それともこのガメラ以前の陳腐化した映像を相変わらず作り続けていくのか動向が楽しみである。

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平成 ガメラ作品

ガメラ監督日記 Book ガメラ監督日記

著者:金子 修介
販売元:小学館
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 平成時代になって制作された大映・徳間映画の「ガメラ」は、2作品観ているが、何れも印象に残り、ミニチュア特撮も、不愉快な思いもせず、上質な映像で、入場料に見合った作品であった。 

 監督は金子修介氏、特撮監督は樋口真嗣氏である。 まずミニチュア特撮は、全面的にカメラアングルが我々人間が地上に立った位置でのものが多く、臨場感がある、 そして圧巻なのは、セットの凄いこと、あんなに作りこまれたミニチュアは日本特撮史上かってない。 例えば日本の町並みは乱雑で、家のモノホシから屋根瓦、あるいは看板から、電柱、そのトランス、電線、信号、電話ボックス、商店街の八百屋、カーブミラー、コンビニ、と、もうカオスに近い状態であるが、よくぞあれほど再現したものである。 ミニチュアセットを作ったスタッフのみなさん。あなた方はいい仕事をしました。脱帽。 

 また、それを指示したのは、樋口監督であろう。あなたの演出は正しい。ビルディングのたたずまいも、箱を並べた感じではなく、ウェザリングも適切で存在感がある。そのビルの屋上などの電光看板も手抜きが無く、発光も自然である。

 その建築物の破壊、倒壊も物理的に実写に近い感じで、迫力がある。よくビルの爆破作業の映像をテレビで見せるが、大変なホコリが発生するものであるが、その描写も演出してあった。

 さらに、ミニチュア撮影は野外で行われたものが多く、太陽光での自然なライティングは実写感を盛り上げていた。 特に日本特撮の歴史的名シーンに数えられるのは、ギャオスが破壊された東京タワーで、太陽の逆光を背に、留まっている場面です。 

 例によって自衛隊が全面協力しているが、ほんの一部を除いて、それらのメカや、その動きがミニチュアを使ったものでなく、実物であるのは、映画をしらけさせず、リアル感を出している。 実際に存在する戦車などが、ミニチュアでカタカタと、砲身を揺らしながら動いていたのでは、興ざめである。

 少々残念なのは、やはり、カメラの高速回転が遅い点で、特に東京タワーの倒壊シーンは動きが速く、迫力に欠けていた。ああいう物はユックリ、ユックリ倒れるものです。

 ガメラのキグルミは表情がよくできていました。 コンビナートでのアニマトロニクスによる表情の変化はゴジラより良い。

 パイロテクニックも上々で、油脂を混ぜた爆発と、粉を混ぜた爆発を組み合わせ、厭きない演出でした。

 私は、平成ガメラのミニチュア特撮は、日本映画史上、最も優れたものと認めている。 

 そして、多分、公に言えなかったであろう、彼らスタッフの意思を代弁して私が言うと、 「東宝の特撮だけはマネしたくない。」 である。 いや東宝の特撮監督には申し訳ないが、彼ら大映系のスタッフは、東宝のミニチュア特撮を反面教師としているように私は感じる。 それはすでに昔の「大魔神」からでも感じることができる。 

 平成ガメラ作品は、円谷特撮にしばられてきた日本の特撮の考え方を翻す、最もエポックメイキングな存在であったと私は思っている。 また、私がやりたかったことを、かわりに実行してくれて、じつに爽快であったと同時に、少々悔しい思いもある。

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Doppelganger 決死圏SOS宇宙船

 アンダーソン作品であり、サンダーバードのスタッフが制作している。原題の別タイトルは「Journey to the Far Side of the Sun」で、ネタバレしてしまっている。 それにしてもなんたる邦題であるか。巨人大鵬卵焼き、カレーハンバーグラーメンではないか。 が、このつけ方もわからなくもない。 ドッペルゲンガーではお客も来そうもない。 

 アンダーソン夫妻はスーパーマリオネーションで大成功をおさめたが、人形による表現から人物実写物に挑戦したいと考え、これがその第一作である。 以後実写物としては、TV「SECRET SERVICE ロンドン指令X」、「UFO 謎の円盤UFO」へと続く。

 暗い内容の映画であり、ラストは哲学的で、なんとなく「2001」に似てなくも無い。 だいたい役者のロイシネスからして「インベーダー」いらい、陰鬱としたキャラクターである。 あの人、お笑いでもやったらどうか。 今はどうか知らないが。

 この映画、決して家族一家で観る娯楽映画ではない。 子供ができないのは、こっそり薬(避妊薬)をのんでいるからだ。というシーンもありSFなんだか、シリアスホームドラマなんだかわからない話なのだ。 これは子供むけのマリオネーションばかりやってきたことへの反発かもしれない。

 ただし、ミニチュア特撮がすばらしい。特撮監督はアンダーソン夫妻の右腕であるデレクメディングス。 さらに「2001」の制作に呼ばれたスタッフが戻ってきて仕事をしているはずだ。その影響大である。 それは後のTV作品「UFO」、「SPACE1999」でもみられる。

 デレクメディングスは「サンダー」いらい、しだいに腕を上げてきており、特に映画「サンダーバード6号」のミサイル基地爆破シーン、そしてこの映画で最高の仕事をしている。まさに世界でも1960年代ピークのミニチュア特撮である。

 特にパイロテクニックがすばらしく、小さなミニチュアで大きな効果を発揮させている。カメラの高速回転や照明も適切で、どのシーンも実写に近い安定感がある。 私が日本の特撮と比較するのは、この部分である。

 またミニチュアセットの生活観ある汚しのテクニック(ウェザリング)も「サンダー」いらい非常にうまい。 ビルディングや道路などの建築物も、本物かのように見える存在感である。 あれはかなり小さいセットなのだ。

 圧巻はロケットの発射塔のセットで、あんなに造りこまれたミニチュアはちょっとない。 その発射塔でNASAのサターンに似たロケットが大爆発するが、おそらく野外で撮影したと思われる、ハイスピードで撮影したそのシーンは大変な迫力である。 現場では一瞬のことであり、タイミングが問題となる困難な撮影である。

 宇宙空間での描写も真空感があり、きわめて「2001」的リアルさだ。そのシーンでのバリーグレイの音楽もすばらしい。

 残念なのは、この作品のDVDがないこと。ビデオテープではあるはずだが、入手は困難であり、中古でもかなり高い。世界のアンダーソンファンがDVD化を望んでおり、発売が期待されるところである。

 

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Forbidden Planet 禁断の惑星

禁断の惑星 DVD 禁断の惑星

販売元:ワーナー・ホーム・ビデオ
発売日:2000/04/21
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 1956年作品であるが、当時アメリカであっても、SF物といえば、低予算で、週末の映画館で、ティーンエイジャー向けに、何本か立てで見せる幼稚なものが主流であった。 また、日本ではなおさら、SFという言葉すら知られていなく、こういう映画は、「空想科学映画」と呼ばれ、まともな大人には「荒唐無稽」物で片付けられていた。 

 しかし、そういう大人にかぎって、「ロケットは、ガスの噴射によって、地球の空気を蹴飛ばして、その反作用で進むのだから、空気の無い宇宙では、前に進めない」という、いまとなっては信じられない、ばかげた勘違いをしていたのだが。

 いや、これはアメリカの新聞社が、月旅行の可能性を論じた、ロケット工学者のゴダートを批判する記事で書いた、本当の話である。

 という、時代にあって、この映画は、今でも大人の鑑賞に堪えられるSF映画史における傑作である。 オープニング、西暦2200年では、人類は、光速を超える宇宙船を開発し、銀河の他の惑星に進出していることを、ナレーションで、さらりと解説している。 安物の映画だと、宇宙船に乗り込んでいる素人の乗客に、博士が、くどくど説明するところである。 

 宇宙船は円盤スタイル。 当時、巷では「フライングソーサー」事件が相次いでいたので、トレンディーだったかもしれない。 日食の描写がすばらしい。 また宇宙空間の星々も、日本の特撮物のようにスタジオ的に見えず、上々である。宇宙船の動きも滑らか。 感心したのは、宇宙からみたアルテア星の表情で、立体的で、大気圏突入時のアップにも耐えられるものである。

 オープニングのタイトルから、電子音楽が使われている。 マルチ録音か、いくつかの音が重なっており、時には不協和音のようで、時々不快であるが、見知らぬ惑星への不安感は盛り上がってくる。 あの当時であるから、音作りは真空管による発振を利用しているはずだが。

 惑星に着陸してから、ロボットの「ロビー」がビークルで走って来るシーン。あのカキワリの間で、スモークを動かすのは、ちょっとお粗末です。まるで人形劇のバックみたい。

 ロビーは知らない人はいない、今でもブリキオモチャでは、大変値の張る人気者だ。 デザインしたロバートキノシタは、プラスチック整形の専門家で、ロビーの頭や、宇宙船の慣性装置の透明カバーの制作は慣れたものでしょう。 TV「ロビンソン」でも、活躍しています。この二つのロボットと宇宙船は良く似ている。 また、ロビーは、この映画の以降、20世紀フォックス、ユニバーサルなどに呼ばれ、大活躍している。 

 このロボット。人には危害を加えない、その命令を受け付けないという、アシモフ的ロジックにより動く。 よく観ると足から電線ひきずってますね。 私はあのしゃべるときの青いネオンの光が大好きです。

 さて、この映画の原作は、シェークスピアの「テンペスト」であるが、外国文学の、それも古典というのは、どうも苦手で、読んだことがない。 ベートーベンが自作の、あるピアノソナタの作曲の動機を問われ、「テンペストを読みたまえ」と言ったエピソードがあり、多少興味もあるので、読んでみるとするか。 ロシア文学のように、人物が舌をかみそうな名前ではないしね。

 出演者のレスリーニールセンは、まじめに演技してますね。いまでは、お歳ですけど、レーザーブラスターを裸の銃に換えてガンバッテいます。 20何年前「カトちゃんケンちゃん」にゲスト出演したけど、「禁断の惑星」のパロディでもやれば面白かったのに。 モービアス博士のウォルターピジョンはやはり舞台役者だけあって、太い芯のある声でしゃべりますね、演技もやっぱり舞台ぽい。 イギリスでは、本当にシェークスピアをやっていたのかもしれない。

 イドの怪物がアニメ(ディズニーから出向したアニメーターによる)によって描写されますが、ちょっと肩透かしだと、非難されるところ。 でもまあ、MGMのライオンの楽屋落ちだと思えばいいですか。

 あるエネルギーによって(詳しく言わないので映画を観てね)分厚いドアが溶けてきますね。 赤くなってくるのは、最初観たとき合成によるものだと思いましたが、本当にボロボロと熱で溶け出すのには驚きました。 また地下ファクトリーのマット画もいいですが、これは当時の標準レベルでしょう。

 この映画は日本公開時、東宝「地球防衛軍」と二本立てだったそうで、このマット合成に、両方とも良く似たシーンがあるのです。偶然の一致でしょうか。

 アルテア星の最後のシーンのずばらしいこと。破片が飛び散るのでなく、超新星のように光輝く。 「2001年」的クールな撮影。

 「禁断の惑星」は人間の心理に、高度に発達した異星人の文明(まるで2001年宇宙の旅のモノリスを地球に送った生命体の一歩手前の存在)をからめた、屈指の映画です。

 映画の邦題を英語の直訳にした配給会社に拍手を送りたい。 「宇宙の~」とか「ロビーの~」なんてタイトルだったらイヤだよ。

この映画で好きなセリフ。 「指揮官に必要なのは、頭脳より大きな声だ」  

 

 

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Fantastic Voyage ミクロの決死圏

ミクロの決死圏 DVD ミクロの決死圏

販売元:20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
発売日:2006/09/29
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 公開当時、私は中学生だったが、「トラ・トラ・トラ」と2本立で観る事ができて、大変満足感に浸ったことを記憶している。どちらも監督はRフライシャーであり、特撮監督はLBアボットである。しかも2本とも大変制作費がかかっている。私にとっては、盆と正月でした。

 それにしてもド肝をぬいた邦題である。いかにも観に行かねばならないようなタイトルだ。 これに似た驚く邦題は他にも「決死圏SOS宇宙船」というのがある。両方とも誰が考えたのだろうか。 水野晴郎さんか、淀川さんか。

 オープニングクレジットで流れている効果音は、20世紀FOXTVの「宇宙家族ロビンソン」でも使われています。映画中の細胞や肺胞の一部セットは、同じく「ロビンソン」のあるエピソードで使われています。ま 同時期の同会社での撮影ですからね、経費削減です。

 電気自動車に乗って、ながーい通路を移動します。いかにも、国家機密のビックプロジェクトであるかを描写していますね。あれはアメリカのどこかのビックアリーナで撮影したそうです。 しかし他は完全なセット。 特に縮小室は予算をかけた、豪華なつくりですね。手抜きが感じられない。 また潜水艇もハリボテ感がしない。曲面の多いデザインなので制作は大変だったと思います。また撮影用に、あっちこっち外せる造りになっているはずですが。

 赤血球などがブヨブヨ動いていますが、あれは多分、油を使ったのではないか。同じようなオブジェがありますよね。 その体内のfantasticな色彩表現は、どこかで聞いた話では、ダリの助言を得たとか。ほんとですかね。

 特撮監督のアボットは潜水艦物などの特撮でアカデミー賞を得た人で、水物が得意なのですが、今回は一部を除いて、ミニチュア撮影はスタジオでのワイヤーワークです。過不足のない撮影です。

 肺の中で、人が回転しながら吹き飛ばされますが、この手の吊物は、現在ではホンコン映画のお家芸ですね、 でもあの当時のハリウッドもなかなかやりますね。 TV「タイムトンネル」の時間移動のシーンも、同じ吊テクニック。 これまた同じ会社ですから。

 出ている俳優さんでは、印象に残るのは、やはりドナルドプレザンス。 名バイプレーヤーですね。「大脱走」の人のいいおじさんが、あんな結末に遭うとは。この人、ホラー映画ファンにはおなじみの役者さんですね。

 音楽担当はレナードローゼンマンという人です。ジェームズディーンと親交があったそうです。 TV「コンバット」、「続・猿の惑星」など他の音楽家にはマネのできない曲作りをする人です。 彼の係る作品の、劇中の音楽は、ほとんど現代音楽と言ってもいいほど。

 ところで、ミクロマンたちは、体液の中で泳いでいますが、実際に縮小できたとしても、体液は分子間引力などの影響で、葛湯かハチミツみたいで、とても泳げないでしょうね。 「ミクロキッズ」では、若干その描写がしてありましたけど。

 

 

 

 

 

 

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大怪獣バラン

大怪獣バラン DVD 大怪獣バラン

販売元:東宝
発売日:2005/01/21
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 白黒映画であるが、意外なことに、カラー撮影の「地球防衛軍」、「ラドン」の後の映画である。TV映画用として予定していたためであろう。それならスタンダードサイズでよいと思うが、トイレットペーパーサイズなのは謎である。オープニングにTOHOスコーブでなく、パンスコープとあるので、そこに何かシカケがあるのかもしれない。

 少年時代、テレビで観ただけであり、以後印象になかったが、改めて、今回DVDで観ると、本多、円谷物では、佳作であると思う。 一匹の悪い怪獣を退治すべく、エンディングに向かって、いっきにシンプルなストーリーが展開していく。

 自衛隊の描写が秀逸である。実際の隊員出演とともに土屋さんが、違和感なく、テキパキと演技している。土屋嘉男さんは「七人の侍」のウジウジした利吉からクールな宇宙人までこなす、演技のキャパの広い人だ。

 本間文子さんが出演しているが、泣き叫ぶ演技が印象的な人である。黒澤監督によく呼ばれる、うまい女優さんです。

 千田是也さんは、博士役として出演するのは、初めてのような気がするが、以後お馴染みの、白衣の似合う演技です。 演劇界の大先生ですからね。 研究室に閉じこもる博士というのは、人なれしない、恥ずかしがり屋が多く、その相手の目を見ないで、顔をそらす演技がまたいいのです。 知らない方にお伝えしますが、この芸名は「千駄ヶ谷のコリアン」という意味だそうです。その理由は調べてね。

 バランの登場シーンから、羽田シーンまで、カメラの高速回転は、ほぼ一定であり、バランの動きに安定した巨大感を与えている。私はあれくらいの回転数がもっとも適切だと考える。 

 円谷さんの高速度撮影は、シーン、カットにより回転数が変化する傾向にあり、怪獣の動きや、ミニチュアの破壊、燃焼を観るとき、物理感覚やスケール感が混乱してしまうのだ。 時にはカメラを通常の速度で回してしまい、 観客を特撮スタジオに案内し、しらけさせてしまう。

 その極端な例が、「ゴジラの逆襲」にある。ゴジラとアンギュラスの格闘場面は、高速度撮影でなく、逆のコマ落とし撮影を行い、スタジオ然となってしまった失敗のシーンである。 一部の方は、迫力があるというが。

 戦車のミニチュア移動撮影。私ならカットしますね。キャタピラものは、円谷さん、どうもいけません。それを撮らせてうまいのは、「サンダーバード」のチームです。 これより随分後の作品ですが、「UFO」のシャドーモービルを参考にしていただきたい。 やればできるのです。 一部野外で撮影した自衛隊艦艇のシーンは、標準的です。上陸用舟艇描写が特に良い。

 一部、「ゴジラ」の特撮カットがあるが、いたしかたないか。他の映画でもあること。そういう例は外国映画でもある。「ゴシラ1984年」でも「日本沈没」のカットが流用されていた。円谷英二物でも以後、以前の映画の流用カットが相次ぐ。         

 でも、観客の立場から言わせてもらうと、買った新車に中古の部品がついてるみたいで、気分よくないですな。

 バランのしっぽで、羽田のDC6が跳ね飛ばされますが、実際は、しっぽが当たった時点で、コナゴナになるはずです。ヒコーキなんて、ペラペラの金箔で作ったようなものです。そんな演出をすれば、もっとリアルで迫力あるんですがね。

 伊福部昭さんによる、オープニングテーマは、以後、怪獣映画の登場シーンに使われます。 メロディーの一部は、「海底軍艦」ムー帝国の描写に使われます。  自衛隊の活躍シーンでも後の「宇宙大戦争」で入る音楽が登場します。本多円谷映画音楽の本店ですね。 今回、DVDを観てわかったことです。

 これも以前の映画の流用といえるが、伊福部さんの音楽がすばらしいので、許しちゃう。

 エンディングナレーションは要らないと思います。

 

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ゴジラ 1984年版

ゴジラ Book ゴジラ

著者:東宝
販売元:くもん出版
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 この映画公開時、わたしはサイクリングのヘルメットみたいなのが出できたところで映画館を出たと記憶している。 この映画については、良い印象がなかったが、改めて観てみると、テンポが良く、演出も結構冴えている。 が、それはベテラン俳優陣にささえられているが。

 核爆弾の使用を即時主張する二国の論理展開は、少し幼くないか。 脚本家は、戦略や防衛の専門家へ取材し、シミュレーションしてもらっただろうか。 だが小林桂樹さんの抑えた演技で、緊張感は出ている。

 制作当時、平田昭彦さん、志村喬さんが故人となられたのは、まことに惜しい。出ていただきたかった。宝田明さんはスケジュールの都合があったのか、これまた残念である。きりがないが、河内桃子さん(後に出演)や、先ごろなくなった村上冬樹さんなども。 

 沢口靖子さんの演技、公開当時、いろいろ言われたでしょうが、まだ若いしね。必死になって芝居しているので、むしろ好感がもてる。現在、彼女は円熟した女優になられた。「千と千尋」のアフレコで判ります。

 中野昭慶さんの特撮演出は、「日本沈没」より拝見しているが。感心したシーンは、わずかしかない。この映画について重箱のスミ的指摘をすると。

 相変らずわらず、スモークを焚いているのに空気感がない。ミニチュア然としている。ミニチュアにあたった光や、ビルの窓、街路樹灯、看板灯、ネオンの光に生活感を感じるような艶、にじみが無い。

 人間の目の高さからのアングルが少なく、ゴジラも高層ビルも巨大感が無い。つまりスタジオの三脚で据えたカメラの高さの撮影が多い。これを「神様目線」というが、よく指摘されていることである。この目線では、観客は特撮現場に立たされてしまう。

 物理的、工学的に説得力がない。 スーパーXというのは、重量100トンを超えると思われるが、どのような理屈で空中に微動だにせず、静止できるのだろうか。自衛隊は反重力エンジンを開発していたのか。 あ いや、機の底にリフトファンが三つあるので、空気を噴射して浮いているのでしょう。だったら、ルーフに大きな吸入口がなければならないが。

 中野さん。 スーパーXの真下で、噴射の風圧で、砂塵が舞い、樹木がなびく演出はできませんでしたか。 スーパーXが前進や旋廻するとき、機がすこし傾く操演はできませんでしたか。 ホバリング中、機を少し揺らす操演はできませんでしたか。

 この映画の特撮において、一番の功労者はキグルミに入っている薩摩剣八郎さんです。 彼の演技は、他の足らない部分を補っている。 撮り直しのきかない特撮現場で、一番胃が痛かったのは彼でしょう。

  この映画の特撮で唯一好きなシーンは、ビルの窓ガラスにゴジラが映るところです。

 

 

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宇宙大怪獣ドゴラ

宇宙大怪獣ドゴラ 宇宙大怪獣ドゴラ

販売元:東宝
発売日:2005/10/28
Amazon.co.jpで詳細を確認する

  物理的にカタイ生命体が、セットを破壊するわけではないので、どうも迫力に欠ける。恐怖心が薄い。

  つり橋の破壊はまあまあ。橋の土台がちぎれるシカケと操演は苦労されたでしょう。しかしカメラの回転をもう少し速くしたほうがいいのでは。 つまり遅く動いたほうがよい。 これは円谷特撮全般に言えること。

  オネストジョン(ミサイル)の発射は「地球防衛軍」のそれ、「宇宙大戦争」ロケット艇発射シーンよりいいです。 ならんだ大砲の発射はどうも奥行きに空気感がない。発射の反動で砲身が後退するシカケはできないものでしょうか。  人形が動いているのはご愛嬌。

  夏木陽介さん若いけどけっこう芝居うまい。(視線の動きなど) 「用心棒」では監督に絞られたようですが。 中村伸郎さん、なにやってもうまいですな。よくうつむくんです。あの人。

  分裂した生命体は、光が明滅していますが、なんでもダイオードを使ったとのこと。LEDのことでしょうか。あの当時LEDがあったのでしょうか。 しかもあんな明るい。

本多猪四郎さん、ギャング物は始めてなのでしょうか。どうも演出が定まっていない。

: 空気感---「多くのSFXピープルが犯す間違いのひとつは、クリアーな場所でミニチュアを撮影することだ。スモーク無しでは、ミニチュアに大気が作り出す淡いパースペクティブをあたえることはできない。」---ダグラストランブル  

      SFX CINEMATIC ILLUSION:2 中子 真治 より

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