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2018年6月

ショパン、エチュードOP10-1中高年のための攻略法

 私のように、中高年となられてピアノを再開されたアマ・ピアニストで、ショパンのこのエチュードをどうしても弾いてみたいとお考えの方々。スローテンポでもいいからお終いまで弾けたらなと練習を始めたところ、演奏困難箇所にぶち当たり挫折してしまった方々。
 そんなピアノを嗜む紳士・淑女に、オクターブしか指が届かない自分が、不肖ながら鼻毛ぬきつつノホホンと考えた、姑息??な攻略法をお伝えします。
 まず第一に、私たちは体の成長はストップして、手首は固まっているので、若い人がやっているようなクラムマーなんとか・・・チェルニー何十番・・・などの難易度の高い練習曲によるハードな予備練習はお止めになったほうがよろしい。残された人生は短いのでこの際近道でいくべきで、音大を受験するような努力は、かえって指を痛め徒労に終わるだけです。        
 自分はこの曲を弾く前はハノンを数曲弾いて指をウォーミングアップする程度ですませています。
 その次の予備練習としてはユーチューブで知った、右手を三連符にして弾く方法。指が広がる真ん中部分は和音にする練習が身になります。
 この練習は本当によく効きます。ぜひやってみてください。なんなら弾きにくいところはしばらく三連符式で弾いておけばいい。しだいに指のポジションが掴め、さらに右手が柔軟になっていくのが分かります。
 そして、この曲を弾いていて最も悩ましい、いやショパンが我々に与えた苦行とも言える30小節からの運指法について。
 ここは楽譜の指示通りで弾くのが本道だけれども、音楽的にはしっかりしたフォルテ音で弾くべきところを、自分の場合、無理をして突っ張った指の弱い音でヘナヘナ弾くと、盛り上りに欠ける演奏になってしまいます。
 
 そこでこの運指法(赤字)を実践してみました。
まず30小節目の最初に出くわす、薬指を痛めそうなあのいまいましいやつは・・・
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↑(コルトー版)。原典版、ゼンオン版では5・4・2・1
これで解決できます。
32小節もこの要領で5・2・1・2とやります。
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どちらも最後の2指は黒鍵と黒鍵の間の白鍵ではなく、手前の白鍵に指を当てます。

↓ここもいまいましい35小節目昇り。4と5の広がりが難しい方は、こうしましょう。これはショパン的運指で、これを見た彼もニガ笑いするのでは。それとも怒り出すか。
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↓そして、その下り36小節も1と2の捻りを利用。
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48小節、上りより指が届かず弾きにくい再現部直前の大アーチ下り部分も、1と2の捻りで弾く。
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 以上の運指で♩=100から130くらいのスローテンポで弾くと、強いフォルテ音で確実に演奏することが出来ます。ただし、これはこれでハイテンポで弾くのは難しいのですが、少なくとも指を痛めることはないでしょう。
 
 また、左手の指を使う方法は、この小節でおなじみ?ですね。
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これはエンディング大アーチでもやれますな。
ここは手の小さい人でも楽譜の運指通りで案外弾けるものですが、一通り弾いてきて手指も疲れているのでこの運指も推奨します。
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 以上。ピアノの先生が見たら卒倒するかもしれない内容ですが、一応最後まで曲を弾き通す手段の一つとして試してはいかがでしょう。同時並行で楽譜通りの運指も気長に練習していきます。

尚、練習後、終日右手に鈍い痛みを感じるようでしたら、翌日の練習はフォルテではなく、ピアノ(P)で力を抜いて練習すると、リハビリ効果でしだいに痛みが取れてきます。毒を以て毒を制すです。この曲を諦める必要はありません。

追記: 入浴後など、指が温まった状態で、1-2、2-4、3-5の指をテーブルや太ももに押し付けて広げる運動もお勧めします。
 
 以上、これは、あくまで私的な攻略法なので、みなさんに適合するかどうか不明ですが、たかがピアノ音楽だと思って楽譜の運指に拘らず、あきらめず、悩まず、気楽にやってみて下さい
 

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ショパン、エチュードOP10-1再び練習する

 3年ほど前だったか、ショパンのエチュードOP10-1にチャレンジし、一通りお終いまでスローテンポでミスりながらもダマシ・ダマシ弾くことは出来たのだけれど、その後はさらに鍛錬することもなく、ほうっておいた。というのもこれを弾くと右手の人差し指がちょっとビリビリし、さらに右手全体が一日じゅうオーバーヒート状態になったからだ。当時は、これは練習を止めるべきだと判断した。
 ところが、最近またこの曲を練習し始めた。というのもネットのYTで、あるピアニストの演奏を拝見して発奮したからである。その演奏がコレ。
奏者は1999年生まれのナタリエ・シェヴァモバ。

追記: この曲をもうかれこれ40年以上、数々の名ピアニストの演奏で鑑賞したきたが、聴きくべてみて、彼女のこの演奏がベストと断定したい。

 なにかクララ・シューマンの姿と重なってしまうような華奢な体格の少女の弾く演奏スタイルが、ショパン自身が理想だと考えるこの曲の本来の弾き方ではないかと思ってしまった。
 上半身は背筋をピシッと伸ばした安定した姿勢。そして、ショパンの演奏を見た人が語った比喩、「右手は大蛇が大口を開けて逃げまとう獲物を追いかけているように見えた」、と思わせるようなダイナミックで、かつ柔軟な動き。たいして手も大きいわけではないのに。
↓ショパン・コンクール審査での演奏
 そして左手は決して鍵盤を叩きつけるような大音響とさせず、右手の演奏を殺さない澄み切ったフォルテ音を奏でている。ショパンは楽譜に強弱記号はF(フォルテ)とだけ指示していて、左手も決してドデカイ音を立てることは望んでいないのである。
 このピアニストと対極な弾き方をしているのがアシュナージで、彼も小男で、手も大きい方ではないが、同じこの曲の演奏では、左手の叩き付けるようなフォルテシモの弾き方が少し力み過ぎているように感じ、演奏姿もアンコール演奏のためか、少し疲れているようで、汗をかきつつ?頭を揺らしながらで、弾くのがツラそうに見えてしまうのだ。対し、シェヴァモバは、彼より安定感が抜群で、凛々しく涼しそうに弾きこなして見える。
 また、アシュケナージやその他のピアニストで時々みられるのは、ショバンが楽譜では指示していない、ノンペタル奏法を部分部分でやっていることで、それはそれで迫力ある演奏ではあるが、一方、奇をてらっているようにも感じないこともないのだ。しかし、シェヴァモバは、当然そういう弾き方も知っているではあろうが、あえてそうせず、楽譜に忠実である。(アシュケナージの演奏が良くないと言っているのではありません)
 自分も練習してシェヴァモバのように弾けるようになるだろうか。それはこの歳では絶対不可能だと思うが、もう少し3年前よりアップテンポで弾けるよう柔軟な手首にさせたい。
 この曲の要は右手指、1と2の拡張、2と4の拡張、3と5の拡張(時に4と5の拡張2と3の拡張)と柔軟さで、その予備練習としては、アルフレッド・コルトーのアドバイスとポール・バートン先生のチュートリアルが効果的だと思う。
 

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