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2017年8月

怪談

邦画メモ、NO,105、NHKBS

1964年、東宝配給、183分、シネスコ、カラー

監督: 小林正樹、 撮影: 宮島義勇、 音楽: 武満徹

出演: 三國連太郎、新珠三千代、仲代達矢、岸恵子、中村嘉津雄、滝沢修、他著名俳優・名優

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↓画質がBS放送より良い。

 この映画は十数年前、NHKBS2で放送されたものをVHSで録画していたが、なにせ3時間の長編を画質の劣る3倍モードで鑑賞する気も起らず、ほったらかしにしていた。しかし、今回、高画質で観られて良かった。NHKBSの映画の半分以上は再放送をひたすら繰り返してるという感じでウンザリするが、たまにはこういう有難いことも発生する。

 映画のオープニングクレジットは水中に色インクを垂らすという映像。なにか70年大阪万博などで写されていたような懐かしさを感じる。

第一話、「黒髪」。 

 朽ち果てた廃屋の門が不気味に開いて観客は映画の中に導かれる。カメラは廃屋のセット内を進んでいくが、現在だったらカット割りされず、ステディカムで長回しの撮影となるところ。自分は門が開くところから、オーソン・ウェルズの「市民ケーン」やヒッチコックの映画テクニックのように長回しのまま1カットで門をくぐって廃屋の中に入るのを期待した。

 廃屋のセットが素晴らしい。カビ臭さが漂い、腐った床板が抜けそうで、観ているこちらまでヒヤヒヤ歩いている気分。時々、心に突き刺すような木片が裂けたような音が鳴る。これは音響監督・武満徹の演出で、ヒッチコック「サイコ」でバーナード・ハーマンがバイオリンを効果音として使った「キュン・キュン」音響の日本版ともいえる。後のエピソードでも琵琶がいきなり「ギャン!」と鳴る効果音があり、こういう音に日本人はショックに近い心理効果をもたらす。

 ハーンの原作は「和解」という意味深なタイトルの物語で、この映画とはラストが違い、妻への慈しみを覚えさせる終わり方のようだ。映画のエピソードは脚本・水木洋子と小林正樹のイメージによるもので、それはタイトルに従って女性の長い黒髪を恐怖の対象としたホラー調で終わる。変わり果てた妻の遺骸を見て、三國が当時の特殊メークでしだいに狂った恐ろしい形相に替わっていくのは見もの。尚、女性の長い黒髪は次の作品「雪女」へと引き継がれる。

第二話、「雪女」。

 雪女を演じるのは当時32歳の岸恵子。夫となる仲代も同い年だが、ストーリーで彼は18歳という設定なのにはちょっと無理がある。熟年・熟女の「雪女」。しかし艶っぽい雪女もまたよろし。前作の「黒髪」から観客はホリゾントのカキワリのシュールさに気が付いてしまうが、特にこの作品は空に目玉が描いてあって、異様な感じを受ける。ここで、映画と舞台演劇の中間のような作品と理解する。木下恵介「楢山節考」スタイルに近い。降りしきる雪もまた発砲スチロールを細かくしたものでウソくさくリアルさはないので、美しい舞台芸術を見ているようだ。セットがいかに巨大か、いかに制作費をかけたかがこのエピソードから分かる。ぜいたくな気分で見られる「雪女」映画。

第三話、「耳無芳一の話」。

 この映画の中で一番尺が長い作品。壇ノ浦の戦いシーンが少し長く感じるが、これもまた巨大なセットのプールを使っているのが分かる。海の合戦シーンの撮影というのは陸戦シーンより困難なのではないか。スタッフ、役者の努力に頭が下がる。芳一が琵琶で謡う幽霊の館もこれまた広いステージ調。広すぎて幽霊を演じている役者が芳一を館に案内する丹波哲郎を除いて誰だかよく分からない。飛び交うヒトダマが吊るワイヤーも見えず、いい雰囲気の操演をしている。映画で唯一、お笑いシーンがあり、田中邦衛と花沢徳衛さんが熊さん八さん調コメディーリリーフを演じている。なお、芳一を演じている中村嘉津雄は後年、テレビドラマ「それからの武蔵」でも盲目の琵琶法師を演じている。自分が聴いた記憶では映画もドラマも謡っているのは中村嘉津雄本人自身だと思う。「壇ノ浦」の謡いがどちらも同じ声なのである。それとも琵琶演奏担当者の謡いなのだろうか。

第四話、「茶碗の中」。

 一番尺の短い作品。小松左京の短編のようなちょっと軽い作品。明治時代初期と江戸時代を挟む面白い脚本で、今までの舞台調ではなく、四本の中でも最も映画っぽい。現代劇でも不気味な微笑みをたたえる俳優・仲谷昇さんが、茶碗の中でも無音で微笑むカットは、いっそう不気味に見える。それに応じる歌舞伎役者の中村かん右衛門が、ブスっした表情でこれまた無音でアクションするのも面白い。中村雁次郎と杉村春子というドエライ役者さんがチョイ役で出ているという、贅沢な作品。

 

 

 

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スタートレック Into Darkness

洋画メモ、NO,128、NHKBS
2013年、パラマウント、133分
監督: J・J・エイブラムス、 撮影: ダニエル・ミンデル、 音楽: マイケル・ジャッキーノ、
出演: クリス・パイン(カーク)、ザカリー・クイント(スポック)、カール・アーバン(マッコイ)、ゾーイ・サルダナ(ウフーラ)、サイモン・ペグ(スコッティ)、ジョン・チョー(スールー)、アントン・イェルチン(チェコフ)、ピーター・ウェラー、ベネディクト・カンバーバッチ、レナード・ニモイ(絶作)
 
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 前作に続き、パラレルワールドのスタートレック。まあそれなりに見られた。メンバーのツラや特徴が旧作に合わせてあって面白い。
 ヤンチャ坊主的性格のカークを演じるクリス・パインはTV「ジョン アンド パンチ」CHIPSで所長を演じていたロバート・パインの息子だった。それとなく親父に似ている。スコッティのサイモン・ペグは旧作の彼とは全然似ていないが、なんとなくミッキー・ルーニーに近い顔だち。
 昨年2016年にチェコフを演じたアントン・イェルチンが不慮の事故で亡くなった。あの強いロシアなまりの面白い英語が次作「BEYOND」を最後にもう聞けないので残念。ロシア人は距離の単位のMERTER・メーターを「メートル」と発音する。名前のピーターはロシアではピョートルになるのと同じ発声なのだろう。
 
 CG・VFXはケチのつけようがないほど素晴らしいが、一か所つまらない演出があった。それはエンタープライズが大気圏内で上昇しているカットで、機体の各所からアフターバーナー調の燃焼ガスが一斉に噴射されていたのである。これはありえない。もうあの時代は反重力エンジンが当たり前に利用されているはずなのだが。それとも反重力エンジン故障による非常手段なのだろうか。でもあの為の莫大な燃料・推進剤はどうするのだ。
 
 撮影シーンを見て驚いた。今時カメラはフィルムを使っていた。エイブラムズ監督はデジタル撮影嫌いのようで、CGシーン以外はフィルム撮影に拘るようだ。
 

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