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ベートーベン「英雄」第二楽章の柱時計

 ベートーベンの音楽は自分のタイプではなく、若いころからタイトルがついている有名な曲くらいしか聴かなかった。

 そのなかでも、ベートーベンの交響曲第三番「英雄」は、二、三度くらいしか聴いておらず、それも第一楽章の途中でプレーヤーの再生をストップするという有様だった。なにかナポレオンに関する音楽であるということに抵抗があったからだ。政治家や人物を音楽のテーマにするなんて嫌であった。

 ところが数年前から、七番交響曲の第二楽章が気に入ったのを機会に、ベートーベンの音楽に興味が湧いてきた。歳をとったためと、ベートーベンの死去した年齢を超えたというのもきっかけになったかもしれない。

 それで「英雄」もマジメに全楽章通して聴くようになって、なかなかどうして、巷でよく演奏されるとおり、名曲であると感じた。

 特に第二楽章の葬送行進曲の重厚さと意味深なストーリー性には感心した。これだけでも演奏時間20分近い大曲で第一楽章と続きで鑑賞すると約30分かかり、それでもうお腹一杯となるが、これはベートーベン自身も分かっていたようで、演奏会では全四楽章通して演奏するとお客がダレてしまうので、休憩や別のプログラムでインターミッションを入れたほうが良いと知人に語ったらしい。

 因みに、晩年のベートーベンは自作の交響曲全九曲のうち、この第三番が最も好きな曲だとも語ったという。(もちろん筆談で)

 さて、その第二楽章。自分にはちょっとホラー映像的に怖いと感じた展開がある。

 それは起承転結でいうと曲の終わりに向かわせる「結」の導入部分。↓

(リストのピアノアレンジ編)

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(↑演奏では14分43秒から)

 いきなり始まるこのフレーズを自分は「柱時計」と名付けたい。

 第二楽章は、墓地へ埋葬されようと担がれている棺桶の中の人物の、かつての栄光と没落に至った一生をストーリーテラーが第三者に語っているような展開で、なにか埋葬する墓地の控室・・・ (そんなものが西洋の墓地にあるのか不明だが) ・・・で、語っている最中、部屋の壁に掛かっている停まっていたはずの柱時計のフリコが、いきなりカチカチ動き出すように見えるのだ。

 それは、棺桶の人物が「おい、もう時間だよ、オレのくだらない生涯の話などもう止めて、とっとと土の中に埋めてくれ」と警告しているように感じる。

 これがチョット怖い。

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