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物理バカとは

 ちょっと前、ネットのあるぺージで「なぜ宇宙ステーションの中は無重力なのか」というテーマが話題になり、自分はこうコメントした。

・・・・「無重力というのは間違った言い方で、宇宙船の高度でも0.9G位の重力が地球からかかっている。それがステーションが地球を周回するために発生する遠心力と地球の重力がつり合い相殺され物体の重量が見かけ上ゼロになっているだけなので、無重量と言うべきだ。」・・・・

 すると、意外にも、この解説のおかげで今まで悶々と分からなかったことが理解できた、という反応がいくつかあった。つまり、人工衛星の飛行する理屈や発生する現象を理解していない人がいるということである。

 これはどういうことなのだろうか。実は自分も無重力以前に、人工衛星の飛ぶ仕組みを解説するのに必ずといっていいほど引き合いに出されるこの図解説明が子供のころ理解できなかった。

P2_ill2

 ボールを遠くに投げても地球に着地する。どんどん速く投げれば遠くに落ちて、しまいには秒速8キロの速さで投げると永遠に地球を回ることになる。これが人工衛星が地球に落ちない理由である。

 なぜ理解できなかったのか。一つは自分の頭が悪く読解力が無かったこと。もう一つは自分がアマノジャクな性格の上、自分の経験で起こる余計なことを考えてしまうことで、つまりボールを遠くに投げて落ちるのは空気抵抗が働くためで、いくら高速でボールを投げたところで、地球を永遠に回ることなどありえないと思ったからだ。どうしてこれが人工衛星の説明になるのか不思議だった。

 大人になって考えると、つまり、このイラストの解説には・・・・

「地球に空気がないものと仮定する」、

「投げる速度は地球からの高度によって変化する」、

「ボールには地球とは逆方向に遠心力が働いている」、

・・・・ という文言が欠けていると分かった。しかも、ボールが地球を周回するとき、ボール自体は無重量になっているという説明もたいてい欠けていることが多い。肝心なのは日常誰でも体験して理解している物理現象である遠心力というものを解説に取り入れていないことで、結局、言葉足らずなのだ。

 こういうイラストを使った説明をする先生や参考書著者は、一つの物理バカと言えるのではないか。生徒があらゆる考察をすることに頭が回らず、自分は分かっているから、これだけの説明でもすべての生徒は分かるだろうという思い込みをしている。

 今だに日本人が、地球を回る宇宙船の中は「無重力」だと言ってしまうのは、こういうイラストを黒板に描いて教える物理バカ先生が学校に居るからだろう。

追記: 地球から垂直に上昇して、高度100キロ以上の漆黒の宇宙空間に到達すれば、もう無重力状態だと勘違いしている人もかなり居るみたいだ。日本の理科教育はどこか間違っているのではなかろうか。

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