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バッハはピアノの出現を予見していた?

平均律クラヴィーア曲集第1巻1番フーガの楽譜

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 この曲の終わりにもっていくあたり、赤い矢印のある4小節の間、最終小節までバス音の全音符「ド」が押さえっぱなしになっている箇所がある。(実際は全音符の次の八分音符から)

 ピアノ奏者は、この24小節目から左手の小指を、ドの鍵盤で数十秒間、終わりまで押さえたまま、残りの指を使って左手のパートを弾かなければならない。

 ひょっとして、この曲集を愛聴している人でも、ピアノを弾けず楽譜も読めない方は、この事実を知らないかもしれない。

 この押さえっぱなしの指示は、どういうことなのだろうか。鍵盤楽器ではオルガンを除いて一度叩いた音はすぐ減衰して消えてしまう。押さえっぱなしは無意味に感ずる。

 実はこれは弦が解放されたことによる共鳴の音響効果をバッハはねらっていたからである。・・・・と、私は考えているんですが。

 しかし、バッハが活躍していた当時の、チェンバロやクラヴィコードなどの弦の張力が弱い楽器でその共鳴効果がちゃんと得られるのだろうか。しかも、あの「チンチン」という、か弱い音で・・・。実はピアノでも自分で弾いていてド音がちゃんと共鳴しているかどうか分からないのだ。

 たぶん、全長が3メートル近いコンサートグランドピアノならば残響時間が長く、共鳴音も期待できると思う。実際はどうなんでしょうか。レコードで聴いても気が付かないけど。

 バッハは他の鍵盤楽器の楽譜でも、こういう指示がいくつか見られるのだが、彼は将来、ハンマーで弦を叩き澄んだ透明の音を発し、弦の1音が良く共鳴する、完成された鍵盤楽器が出現することを予見していたからではないか。この部分をオルガンで弾いても鳴りっぱなしのバス音が、ただウルサイだけだと思う。

追記: バッハは、まだ試作段階だった初期のピアノには触れていました。

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↑ソステヌートぺダルの表示は私の校訂。

 このペダルを使わなくとも、音を叩いた後、瞬時に左手の「シ」1指を2指に、右手の「レ」1指を左手の1指に置き替えればなんとかなります。

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