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おもろいロケット、アトラス

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 アトラスロケットを解説した英語のページを自動翻訳させると「地図帳ロケット」となっていて笑ったが、この1950年代から本格的にICBMとして開発され、1960年代まで活躍した初期型のアトラスロケットは実際にロケットファンからすると実に面白いロケットだ。

 まず、打ち上げは1.5段方式ということからして変わっていて、3つあるロケットエンジンは中央がサステナーエンジンで左右にブースターエンジンという配列であるが、リフトオフから3つのエンジンが燃焼し、140秒後には左右二つのエンジンが燃焼を停止して、まるで双眼鏡のような形で繋がったままエンジンだけが切り離されるから普通とちょっと違う。エンジン二つ落としたところで2トンくらいの重量軽減だと思うけど、そこまでするほどギリギリの能力で運用されたということかな。

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 ユーチューブのどこかのロケット搭載カメラ映像でその切り離しを見たが、それは、なにかパンツを脱ぎ捨てるような感じ。

 この段階で1段目が終了で、残り0.5段は二つのエンジン分の重量減と燃料消費により軽くなった本体を中央1個のサステナーエンジンの燃焼で宇宙空間まで加速し続ける。この方式はロシアの史上初めて人工衛星を打ち上げたスプートニクから、現在でも現役のソユーズを打ち上げるR-7型タイプに近いが、ロシアのはエンジンとブースターの燃料タンクも切り離されるタイプであり、若干方式が違う。

 このロケットのカウントダウンゼロからの打ち上げは見もので、まず、燃料をエンジンに圧送するターボポンプの排気口からガスが噴き出し、それにつれてエンジンノズルから点火した火炎が噴出する。その炎にターボポンプからの噴出ガス(不完全燃焼ガス)が引火して火炎放射器のように炎を発射台周辺にまき散らす。

 さらに面白い動作があり、本体のエンジン上部左右に2個のバーニアエンジンが点火して可愛い小さなロケット噴射の炎が現れる。このちっこいロケットエンジンはロケットダイン社のもので、恐らく推力は1トン未満程度のものだろう。本体の姿勢制御役割を果たす。

↓バーニアエンジン。首を振って動くメカになっている。
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 ロケットは推力が上昇しても発射台に静止したまま5秒ほどモッタイブッテいて上昇しない。これはまだ試験段階のシーケンスで、たぶん推力が安定するのを確認するためだろう・・・・デレク・メディングスの特撮にこれと同じような描写がある。恐らくアトラスの打ち上げを参考にしたのだろう・・・・ その後ロックピンが外れ、わずかに上昇した瞬間、左右のブースターエンジンにつながっていた燃料パイプ・ケーブル類が外れ、エンジンカバーがパコンと紐で引っ張られ閉じて、ようやく発射台を上昇するという塩梅。

 上昇中もターボポンプからの炎はハデに噴き出していて、なにか異常が起こったかのように見えてしまう。この捨てて燃焼されているガスのエネルギーがモッタイナイと思うのは技術者の人情で、このガスもエンジンの燃焼室にぶち込んで燃やし、性能アップさせようという技術がH2-AのLE-7Aエンジンに採用されている二段燃焼サイクルというもの。

 おもろいことはまだあって、このロケットの燃料タンクの構造が超薄いステンレスで出来たバルーン構造であること。ペラッペラのタンクなのである。どのくらい薄いのだろうか。自分はよく、旅客機をソックリそのままプラモテルサイズに縮小したら、機体表面はアルミホイルくらいの厚さと強度だろうと想像しているが、そんな感じではないだろうか。

 バルーン体ということで、実際に空タンクになっているときは窒素ガスで加圧し膨らましていないと本体を支えられなくて自重で崩壊してしまうという。ユーチューブには燃料注入中にタンクの加圧に不具合があったのか、発射台でヘナヘナと崩れるアトラス・アジーナの映像があった。

↓ケロシンを充填したのち、空の液体酸素タンクが崩壊したものと思われる。

 この当時のアトラスロケットの成功率は30から50パーセントで、新聞だか雑誌だかSF作家が、「成せば成る、NASAは成さぬ」とかの言葉で揶揄したものだ。・・・・ドリフの「全員集合」のコントでもありましたっけ・・・・。

↑アトラス・セントール打ち上げ失敗マルチカム映像と解説。

  その他失敗映像は、まだユーチューブに五万と載っているが、その液体酸素を積んだロケットの爆発は、小型核爆弾並みのもので圧倒される。アトラスによりフレンドシップ7で宇宙に行ったジョン・グレンも決死の覚悟だっただろう。

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