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2014年6月

おもろいロケット、アトラス

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 アトラスロケットを解説した英語のページを自動翻訳させると「地図帳ロケット」となっていて笑ったが、この1950年代から本格的にICBMとして開発され、1960年代まで活躍した初期型のアトラスロケットは実際にロケットファンからすると実に面白いロケットだ。

 まず、打ち上げは1.5段方式ということからして変わっていて、3つあるロケットエンジンは中央がサステナーエンジンで左右にブースターエンジンという配列であるが、リフトオフから3つのエンジンが燃焼し、140秒後には左右二つのエンジンが燃焼を停止して、まるで双眼鏡のような形で繋がったままエンジンだけが切り離されるから普通とちょっと違う。エンジン二つ落としたところで2トンくらいの重量軽減だと思うけど、そこまでするほどギリギリの能力で運用されたということかな。

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 ユーチューブのどこかのロケット搭載カメラ映像でその切り離しを見たが、それは、なにかパンツを脱ぎ捨てるような感じ。

 この段階で1段目が終了で、残り0.5段は二つのエンジン分の重量減と燃料消費により軽くなった本体を中央1個のサステナーエンジンの燃焼で宇宙空間まで加速し続ける。この方式はロシアの史上初めて人工衛星を打ち上げたスプートニクから、現在でも現役のソユーズを打ち上げるR-7型タイプに近いが、ロシアのはエンジンとブースターの燃料タンクも切り離されるタイプであり、若干方式が違う。

 このロケットのカウントダウンゼロからの打ち上げは見もので、まず、燃料をエンジンに圧送するターボポンプの排気口からガスが噴き出し、それにつれてエンジンノズルから点火した火炎が噴出する。その炎にターボポンプからの噴出ガス(不完全燃焼ガス)が引火して火炎放射器のように炎を発射台周辺にまき散らす。

 さらに面白い動作があり、本体のエンジン上部左右に2個のバーニアエンジンが点火して可愛い小さなロケット噴射の炎が現れる。このちっこいロケットエンジンはロケットダイン社のもので、恐らく推力は1トン未満程度のものだろう。本体の姿勢制御役割を果たす。

↓バーニアエンジン。首を振って動くメカになっている。
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 ロケットは推力が上昇しても発射台に静止したまま5秒ほどモッタイブッテいて上昇しない。これはまだ試験段階のシーケンスで、たぶん推力が安定するのを確認するためだろう・・・・デレク・メディングスの特撮にこれと同じような描写がある。恐らくアトラスの打ち上げを参考にしたのだろう・・・・ その後ロックピンが外れ、わずかに上昇した瞬間、左右のブースターエンジンにつながっていた燃料パイプ・ケーブル類が外れ、エンジンカバーがパコンと紐で引っ張られ閉じて、ようやく発射台を上昇するという塩梅。

 上昇中もターボポンプからの炎はハデに噴き出していて、なにか異常が起こったかのように見えてしまう。この捨てて燃焼されているガスのエネルギーがモッタイナイと思うのは技術者の人情で、このガスもエンジンの燃焼室にぶち込んで燃やし、性能アップさせようという技術がH2-AのLE-7Aエンジンに採用されている二段燃焼サイクルというもの。

 おもろいことはまだあって、このロケットの燃料タンクの構造が超薄いステンレスで出来たバルーン構造であること。ペラッペラのタンクなのである。どのくらい薄いのだろうか。自分はよく、旅客機をソックリそのままプラモテルサイズに縮小したら、機体表面はアルミホイルくらいの厚さと強度だろうと想像しているが、そんな感じではないだろうか。

 バルーン体ということで、実際に空タンクになっているときは窒素ガスで加圧し膨らましていないと本体を支えられなくて自重で崩壊してしまうという。ユーチューブには燃料注入中にタンクの加圧に不具合があったのか、発射台でヘナヘナと崩れるアトラス・アジーナの映像があった。

↓ケロシンを充填したのち、空の液体酸素タンクが崩壊したものと思われる。

 この当時のアトラスロケットの成功率は30から50パーセントで、新聞だか雑誌だかSF作家が、「成せば成る、NASAは成さぬ」とかの言葉で揶揄したものだ。・・・・ドリフの「全員集合」のコントでもありましたっけ・・・・。

↑アトラス・セントール打ち上げ失敗マルチカム映像と解説。

  その他失敗映像は、まだユーチューブに五万と載っているが、その液体酸素を積んだロケットの爆発は、小型核爆弾並みのもので圧倒される。アトラスによりフレンドシップ7で宇宙に行ったジョン・グレンも決死の覚悟だっただろう。

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サントリー伊右衛門、特茶のCM音楽って

本多・円谷コンビの映画ファン、伊福部昭ファンの方なら一発でお判りですよね。

このCMのデモDVDでは「宇宙大戦争」のテーマがそのまま使われていたという。

 その音楽イメージを壊さず作曲家の中川俊郎氏が曲を付けたようだ。これを短絡的にパクリだなんだとは言えないだろう。中川氏もそういう声に対する説明は準備しているかもしれない。でも、CM画面の片隅に小さな文字でよいから「伊福部昭に捧ぐ」というテロップがあってもいいと思う。ひょっとしてスコアに「献呈・伊福部昭」と記載してあるかもしれないですが。

追記:中川氏は伊福部昭、生誕100年への想いを込めて作曲したとフェイスブックで述べておられた。

 そういう伊福部先生も、他人の曲ではなく、過去の自作曲をアレンジした音楽が結構あります。↓

 元々、↑の映画やゴジラのテーマにはこういう経緯があるようで、ウィキからそのままコピペすると・・・・

『ゴジラのテーマ』は、ラヴェルの『ピアノ協奏曲ト長調』の第3楽章のある部分のメロディと似ている部分がある。もともとゴジラのテーマは『ヴァイオリンと管弦楽のための協奏風狂詩曲(ヴァイオリン協奏曲第1番)』の管弦楽トゥッティ部分からの転用であり、この曲におけるリズム細胞の構築の仕方がラヴェルのピアノ協奏曲に良く似ている。「ゴジラのテーマ」の旋律はゴジラ第1作(1954年)より前に、映画の『社長と女店員』(1948年)や『蜘蛛の街』(1950年)でも使用されている。

・・・・ということらしいです。

 ユーチューブ「社長と女店員」のコメント欄には伊福部先生のその他自作曲アレンジが沢山指摘されていますが、私自身も「サンダ対ガイラ」のメーサー砲マーチの主題を市川映画「ビルマの竪琴」で発見しました。また、「ゴジラ」での被災地を描写する鎮魂の音楽はソックリそのまま「座頭市」シリーズのあるエピソードで使われていたと記憶しています。

 作曲家が過去の自作曲をアレンジしたりテーマを再利用するのは普通のことで、モーツァルトやベートーベンもやっていますが・・・・伊福部映画音楽にはちょっとそれが多いように感じます。伊福部先生、忙しかったのかなー。

 それにしても、自分がピアノ好きだからかもしれないが、伊福部音楽で多用される、弦楽器の物哀しいメロディーを支えるピアノの低音部のゴーン・ゴーンという律動音、胸に染み入りますなー。

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フィフス・エレメント

洋画メモ、NO、112

BS民放、1997年、米仏、126分(2時間放送)

監督: リュック・ベンソン、 撮影:ティエリー・アルボガスト、 音楽:エリック・セラ

出演: ブルース・ウィリス、ミラ・ジョヴォヴィッチ、ゲイリー・オールドマン、トリッキー、イアン・ホルム、クリス・タッカー

 今まで散々地上波放送されていたけれど、見逃していた。

 ゲイリー・オールドマンが、たいがいの映画で演じるキャラクターは、テロリストからべートーベンまで、ちょっとキ印がかっていて面白く、そういうところで彼のちょっとしたファンであった。だから、この映画も必見だったが、期待通り、跳んだファッションや半分刈り上げたヘアスタイルにマッチした狂人ぶりだった。ちょっとどこか抜けていて愛嬌もあったけど。

 「ブレード・ランナー」やスピルバーグ、ルーカス映画のパクリ・オマージュが面白い。すごい評価の高い映画らしいけど、ひとつ間違えると大ゴケだったのではないか。9000万ドルの製作費で約3倍の収入があったので大成功。終わり良ければすべて良し。

 リュック・ベンソンはミラちゃんに入れ込んでいたようで、こういう女へんが関わる監督というと、チャップリンやヒッチコックなどが居たが、彼ら同様、自分の選んだ女優への想いが映画の成功につながったのかもしれない。

 オールドマンの吹き替えは山寺宏一さんで、クリス・タッカーも彼だったか。気が付かなかった。彼、天才だね。

 青いイカ娘がオペラハウスで独唱するシーンは早送りしてしまった。私、ソプラノ独唱は苦手なのです。ママさんコーラスも嫌です。

 ところで、冒頭に出現する小錦クン異星人(ロボット?)は結局なんだったんだろうか。ノーカットの完全版を観たい。

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藁の盾

邦画メモ、NO、90

W・B、2013年、125分(日本テレビで2時間)

監督: 三池崇史、 撮影: 北信康、 音楽: 遠藤浩二

出演: 大沢たかお、松嶋菜々子、岸谷五朗、伊武雅刀、藤原竜也、山崎勉

 面白かった。基本的にこういうロケ撮影の緊張感を漂わす逃走劇は好きだ。 だが、登場人物が多すぎやしないか。

 大沢たかおは防弾チョッキを付けていて助かったのに、なぜ、松嶋菜々子は防弾チョッキをしていなかったのか。観客の多くは疑問に思ったはずで、ここだけでも面白い話ができると思うが、脚本制作段階でこの経緯がカットされたのだろうか。それとも私がその経緯のシーンを観過ごしたか、あるいはテレビ放送でカットされたか。

 藤原竜也クンはここ10年ほどクズ人間ばっかり演じていると話題になった。が、今回は罪もない児童とはいえ、たった二人しか人を殺していない。クズに徹するなら、もうちょっと超極悪クズ人間にさせてほしかった。つまり、7.8人は殺っていないとコッチまで憎しみが湧かない。彼が童顔だというのもどうもね。

 大沢たかおサン。「地下鉄に乗って」ではクサイ芝居のする役者だなー(失礼)と思ったものだが、今回では自然でウマイと感じた。役者というのは成長するもんだね。

 冒頭の拳銃の射撃訓練や、ガンアクションではビックショットという会社のプロップガンと効果が撮影に使われている。銃口から噴き出る炎はCGによる合成なのか分からないが、昔の日本映画と比べて随分と迫力ある射撃シーンになったものだ。発射音もウソクサくなく恐怖感のある音でよろしい。

 「バッヒューーーーン」なんて昔のアクション映画やテレビドラマの効果音には興ざめしたものである。

 ただ、やはりまだ、発射時の銃の反動があまり感じられない。日本では実際の空砲弾と実銃を改造したプロップガンが使えないので致し方ないが、こうしてはどうか。

 プロップガンの中に強力なバネで支えられた重いバランサーを仕込み、発射と同時に高圧空気でスライドさせ強い反動を起こさすメカというものは考えられないだろうか。コンプレッサーからのエアチューブは役者の袖から通し、カメラの死角とするかCGで消す。

 こんなアイデアは既に実用化されているかもしれないが、まだ無かったとすれば、またどこも考えられてなかったとすれば、メカの名前は「ショット・カウンター」と命名したい。アイデア著作権は私にありますぞ。

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ミニチュアの剛性を弱くする。

 ダイハード2、旅客機激突シーンのミニチュア特撮

 この映画は航空関係者や航空ファンには笑ってしまうシーンがいくつか登場するが、少なくともミニチュア特撮スタッフは航空機の構造をよく理解してミニチュアを制作している。

 航空機は重くなってはいけないのに、風圧や翼の揚力、過酷なGに耐えなければならない。そのため重からず、弱からずのギリギリの線で設計してある。つまり「柳に風」の理屈で部分的にはワザと柔な構造になっている。実際に旅客機に搭乗して窓から翼を観察すると、旋回や気流の乱れでは、翼のエンジンから先端にかけてグニャグニャと捻っているのを確認することができる。つまり、柔らかくして力を逃がす構造になっている。

 映像を観ると「ダイハード2」のミニチュアビルダーは、旅客機を実際の航空機のように、そのグニャグニャに剛性を弱くして柔に制作し、滑走路への激突では主翼や尾翼が上下にしなって実写感・実機感を出すことに成功している。特撮用航空機のミニチュアはプラモデルやラジコン機のように硬く造くるとオモチャ然に見えてしまう。彼らはそれを計算している。

 滑走路に激突した旅客機は、燃料の搭載されている翼付近から炎上し爆発、これも極めて実際の構造に従ったもので、実写感がある。

 その後の機体全体の大爆発は、恐らく20倍程度の超ハイスピード撮影で、実際とはトンデモなく、スローモーな映像であり、また爆発・炎上も誇張してあるが、これは迫力を増す演出なので問題ない。これを、もし3倍程度のハイスピード撮影にすれば、動きもオモチャ然になり、たとえミニチュアの出来が良くても台無しの特撮になるだろう。そういうミスは、今もって日本の特撮にありがちなことだ。

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