「逃亡者」トリビア
「逃亡者」のDVD、全シーズンを観終わって、ちょっと気が付いたことをメモします。
まずオープニングにロングバージョンと短縮バージョンの2種類があること。
この二つには、矢島正明さんのナレーションの違いとともに、挿入されているカットの違いがある。
ロング版と短縮版の違い。
赤字・黒字がロング版。赤い部分のみが短縮版のナレーション。
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「リチャード・キンブル、職業医師」、「目的地、州刑務所の死刑執行室」
「リチャード・キンブルは、その妻を殺害した罪に問われ、死刑の宣告を受けた。しかし、法律は神ならぬ人間の手によって作られ、人間が執行するものである。恐るべき誤審はここに生じるのだ。」
「リチャード・キンブルは無実であった」、「だが、彼は自分の容疑を晴らすに足る事実を立証できなかった。」
「彼は妻の死体を発見する直前、片腕の男が家から走り出すのを見た。しかし、その男はついに発見されなかった。」
「彼(リチャード・キンブル)はこの世の名残に外を見つめながら、自らの運命をじっと考えていた。窓の外も自分の将来も暗黒だった。」
「しかし、その暗黒の中にも、運命の計り知れぬ力が潜んでいたのだ」・・・・
追記: 矢島さんのナレーションは、各エピソードごとに微妙に異なるバージョンが存在し、毎回、録音をしていた可能性もある。
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ロングバージョンにはキンブルが小川を逃げているカット(2種類のBGMがある)の前にカエルのカットが継ぎ足され、
列車事故後の現場でのカットが短縮版と映像が違っている。(短縮版は脱線した列車の前をたくさんの乗客が移動していて、ロング版は乗客が乗車口から助け出されている)。
一方、短縮版には客車内で、ジェラードからもらったタバコを吸うキンブルの顔のアップが継ぎ足されているが、ロング版ではこのシーンは二人の引きのカットだけである。
このオープニングの違いはどうしたものだろうか。時間にして10秒違うくらいのものであるが、本編やCMの時間の都合によるものなのか。
尚、後のシーズンでは、これらとはナレーションも違う、スチル映像が挿入されたバージョンになるのはご承知のとおり。
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リチャード・キンブルの素性。
↑番組冒頭での主演者・共演者・ゲスト紹介の演技が静止している映像は、カメラスタート後にカチンコを打つまでのスタンバイ映像を使ったと思われる。
・リチャード・ディビット・キンブル、職業医師。
出身地、インディアナ州スタッフォード(架空の街)、ここで33年間過ごした。
学歴・経歴: コーネル大学医学部卒、ニューヨークでインターン、ロンドンのガイス病院、シカゴ記念病院の医局員を務め、後、開業医。専攻は小児科・産婦人科。朝鮮戦争で衛生兵をやっていた。(各、固有名詞の病院も創作の可能性あり)
家族: 母親-エリザベス・キンブル死去、父-ジョン・キンブル医師(引退)、後、心臓発作で死去、妹-ドナ・キンブル・タフト、弟-レイ「レイモンド?」、妹ドナの夫-レナード・タフト。
妹ドナに二人の息子、つまりキンブルの甥が二人いる。その一人長男ディビットを演じているのはビリー・ムーミーで、吹き替えは「宇宙家族ロビンソン」のウィルと同じ山本嘉子さん。
・ リチャード・キンブルはローラースケートがめっちゃ上手い。またクレー射撃で州のチャンピオンになったことがある。ボーイスカウトだった。
・ リチャード・キンブルは警察の姿に恐れ、日々、逃亡生活を送っているにもかかわらず、平気で無免許運転をしている。(あるいは偽造免許証を使用)、彼は大型トラック、トレーラー、フォークリフト、ブルドーザーを運転出来る。
・ 一度、保安官に逮捕され、留置所から脱出する際、糞ジェラードをぶん殴って気絶させている。尚、幾度となく警官を殴って気絶させ逃走していて、少なくとも傷害と公務執行妨害の罪は存在する。
・ 副保安官となって、犯人を護送し、その模範的行動によって警察官となるよう推薦されたことがある。
・ 東宝「フランケンシュタインの怪獣・サンダ対ガイラ」のスチュワート博士役はリチャード・キンブル、いやデビット・ジャンセンが当初キャスティングされていたが、彼のスケジュールの都合でラス・タンブリンが代役した。・・・・土屋嘉男さんのコメンタリーより。 タンブリンの日本語吹き替えはキンブルの睦五郎さん。
・ 撮影に使われる車両はフォード社のものがほとんど。
・ 第二シーズン、「死刑囚の身代金」は黒澤映画「天国と地獄」にインスパイアされている。
・ 第二シーズン、25話でキンブルは初めて警察の銃弾で重症を負う。
・ キンブルが逃亡中、手にした収入の最高金額は1000ドル。二番目に多く手にした金額は500ドルで、旅客機を使って現場を去った。
・ 第三シーズン、第9話「錯乱」前篇のエピローグ後にジャンセン自身が次週・後編の紹介をしている。
・ 第三シーズン終了の30話で、子供が通信販売で銃が購入できるアメリカの社会問題を、保安官の声を通じて視聴者に訴えている。尚、このエピソードには、かつてジェラードの息子を演じたカート・ラッセルが違う子役で出演している。この回の監督はリチャード・ドナーで、このころから子役の演出は冴えている。
・ 第四シーズン第1話のどしょっぱなから保安官による銃撃で足を負傷する。このシーズンより、プロデューサーはアラン・A・アーマーから、ウィルトン・シラーに変わってアクションシーン、ファイティングシーン、ラブシーン、カースタントが多くなる。
・ 第四シーズンよりキンブルに一万ドルの賞金がスタッフォードの新聞社によって懸けられることとなる。
・ ゲストを吹き替えた役者さん・声優さんたち。私の分かる範囲で、・・・羽佐間道夫、納谷悟朗、田中信夫(不良役多し)、家弓家正、城達也、小林昭二(出演多し)、穂積隆信(出演多し)、織田政雄、山田康男(不良役多し)、増山江威子、武藤礼子、山本嘉子(子役、娘役)、波平、タラオちゃん(子役)、フネさん(出演多し)、愛川欽也、小松方正、若山弦蔵、小沢重雄(出演多し)、金内吉男、久松保夫、吉沢久嘉、小林修、富田耕生、市川治、森山周一郎、雨森雅司、塩見竜介、中村正、小林清志、中田浩二、久米明、田口計、三東昭子、浦野光、大塚周夫(ブロンソン)、松島みのり・・・
・・・・昭和の役者さん、もうお亡くなりになった方もいるけれど、いつまでもお元気で。
・ スタートレックファンはウィリアム・シャトナーとディフォレスト・ケリー、ジェームズ・ドゥーアンがゲスト出演しているエピソードがあるのでお楽しみに。スコッティの吹き替えはマッコイの吉沢久嘉さんが演じている。
・ 劇中の音楽で一部チェンバロを使った楽曲は、後に「刑事コロンボ」でも使われている。(未確認)
・ キンブルは銃撃により3回足を負傷し、脇腹と左腕を1回負傷している。足の負傷では自分で手術して弾丸を摘出したことがある。
・ 第四シーズン28話「森の人」はバリー・モースが監督として演出している。
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ジェラード警部の素性。
フルネーム- フィリップ・ジェラード、遠近両用メガネを愛用している。趣味は息子との釣り。
、逃走するキンブルに、窓越しに一発拳銃を発射したことがあるが当たらず。キンブルにより間接的に命を助けられたこと1回、負傷してキンブルに手当され命拾いしたこと1回、銃弾を防いで命を助けられたこと1回。
妻- マリー。夫婦仲は良くない。
息子- フィリップ・ジェラード・ジュニア、もう一人弟がいる。
第二シーズン、第3話で糞ジェラードのファーストネームと息子の名前が明らかになった。
このエピソードでの息子役はカート・ラッセルだけれど、第一シーズンの、あるエピソードでは違う子役が演じていた。今回、ラッセルはゲストスターとして正式にクレジットされているので、今後のエピソードでも共演として登場するかどうか注目しよう。また違う子役だったら怒るよ。
カート・ラッセルは1951年生まれなので、現在、還暦を過ぎている。としゃー取りたくねーな。
この子の吹き代えは、恐らく「サザエ」さんのタラちゃん役の声優さんだと思う。もう50年もあの声やっているのね。すごいもんだ。(注: このDVDボックスでは吹き替えているゲスト声優さんの情報が載っていません)
「宇宙家族ロビンソン」でウィルと戦ったときのラッセル吹き替えは小宮山清さんだった。
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片腕の男の素性。
自称- フレッド・ジョンソン。(別名-ガス・エバンズ)
年齢- 47歳…前後、血液型- B-
演じるはビル・ライシュ(Bill.Raish)、1905-1984。第二次大戦で右腕を無くす。1930年代はダンサーだった。1962年、カーク・ダグラス主演の「Lonly and the Brave」で好演。後「逃亡者」の10のエピソードに出演。バート・ランカスターのスタンドインを長く務める。晩年は演技指導もした。
第四シーズン、第2話「静かなる暗黒街」では出演する全エピソードの内、唯一、スーツ姿で登場する。
To be continued.
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コメント
シャトナーさん。ようこそ。
コメレス遅れてスミマセン。
シャトナーの吹き替えは矢島さんではなかったと思います。そうだったら私も喜んで記しているでしょう。シャトナーは障害を抱えた子供を扱う施設の先生役だったような気がします。
投稿: | 2021年11月14日 (日) 22時58分
はじめまして。
どこかで、シャトナーがゲストした回の吹き替えは、矢島正明氏だったのでしょうか?
もしも、よろしければ、ご教授ください。
投稿: シャトナー | 2021年10月 8日 (金) 01時01分
Youki-ya さん、ようこそ。コメント情報ありがとうございます。
去年の今頃から観はじめて、3ヶ月ほどで全巻一通り済みました。また、仰られた事例を確認する楽しみが出来ました。1960年代のアメリカの雰囲気が好きです。ワンコインにソフトがあることも知りませんでした。
投稿: | 2014年11月16日 (日) 09時15分
はじめまして。
自分も「逃亡者」は大好きです。
補足と致しまして、シーズン1のOPナレーションは一字違い、単語の順番等、微妙な違いで7、8種類あります。メモにとる等して確認してみて下さい。
スタートレック(宇宙大作戦)の機関士役の?さんも、ある病院の医師役で出演しています。
「炎の中の誕生」でキンブルが語った医歴と「亡き妻の家へ」の冒頭ナレーションのキンブルの医歴は矛盾しており、そのナレーションは「真相」におけるキンブルとヘレンの出会いとも矛盾しています。
見れば見るほど新しい発見があり、本当に最高のドラマですね。
好きすぎてBOXの他に、ワンコイン版(シーズン2まで、全60巻、各500円)のDVDも購入しました。特典映像のノーカット原語版と吹替版を比べて、カットシーンを探すのがまた楽しいです。
投稿: Youki-ya | 2014年11月15日 (土) 19時20分
無無無さん。こんばんは。
コメントのこと、ブログのトラブルか何かと思っていました。全然気にしておりませんです。
DVDは第二シーズン10話まで来ていますが、
正月は録りだめしといた映画をこなそうかと・・・
いや、やっぱり観ちゃうかな。
投稿: アラン・墨 | 2013年12月30日 (月) 23時14分
お久であります。
当方のブログコメントへのお返事が
何かの不具合で公開状態になっておりませんでした。
(面目無いです。。)
お正月は、もしかして全巻制覇を狙って
おられるとか?
(≧∇≦)
投稿: 無無無。 | 2013年12月30日 (月) 16時58分