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拷問、ショパンのエチュードOP10-1

 ショパンのエチュードといえば、ショパン存命中に楽譜が出版された当時でも、「これ(OP10-2)を練習するなら傍に外科医を待機させろ」と音楽評論家から揶揄されたり、演奏家から演奏困難と非難されたりするなど、手・指に生理的にも大変ハードな要求をする破天荒な難曲で、ショパンからこの曲を献呈された、かのリストさえも初見で弾けず、ショックで2週間は部屋に閉じこもってしまったというエピソードがあるくらいだから、いかにこれが超絶技巧なのかが伺える。

 この曲集が弾きにくいことは180年経った現在でも変わらずで、ピアニストも全曲演奏・録音をためらうほど。

 まず、曲集のどしょっぱな、作品10-1番からして、オクターブを超えた10度から11度音程のアルベジオを1拍のリズムで高速に弾かされる。

↓マウリッツィオ・ポリーニの演奏と楽譜

 ショパンが当時使っていた1800年代初頭のピアノは現代のものと比べて鍵盤の幅も少し狭く、ハンマーアクションも軽かったにせよ、依然、手の小さい日本人には特に困難を強いられる。

 この曲を、さして手の大きくない自分が無謀にも終わりまでさらってみました。

 まず私の手というのがこれ↓。自分でも情けなくなるほど男性にしては貧弱なサイズ。

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 なんとか9度に届く大きさ。ただし、届くだけで弾けない。一つ内側の鍵盤まで一緒に押されてしまう。結局、白鍵は8度音程のオクターブを弾くのがやっとです。これは思うに日本人の女性も平均してだいたいこれらいの大きさだと思う。

 コレでさっそく3小節目から泣かされる。親指のドから始めて小指のファまで11度音程を弾かなければならい。

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これを解決するにはこのように手の捻りを加える必要がある。

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↑まずド、ラ、ドを親指・人差し指・中指で弾いた後、・・・

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↑手首を右に捻り小指をファに届かせる。これで1拍終了。(小指で次の拍となるが)

 つまりワッキーのやる「芝刈り機」のコントのように手首を振らせればよい。これは遅いよりも、むしろ速く弾いたほうが勢いがついてうまく弾ける。

 と、これが全体を通してのこの曲の弾き方となる。ただ、これをスムーズにやるには手の動きに海面が波打っているようなローリング・回転を伴わせなければならない。このローリングテクニックがこの曲の練習主題ともいえるだろう。これがなかなかムズイのです。速く弾いても遅く弾いても。

 ショパンはヘビが口を大きくあけて獲物を追いかけているように手を動かしてピアノを弾いたというが、たぶんこの曲をローリングして弾いている時の様がそうなんだろう。

 30小節あたりからは、白鍵と黒鍵を交えて弾かなければならなくなるので、さらに難易度がアップするのだが、自分は遅く弾くのなら・・・・というか速くは弾けない・・・案外早く暗譜してしまい、むしろこのページは弾きやすかった。

 むしろツライのは白鍵ばかりの最初から2ページ目までで、特にこの23小節が痛い。親指から人差し指まで7度を弾かなければならず、拷問である。

 だいたい、この曲の右手第1音は人間のヘソよりかなり左の位置から始めなければならず、これからして弾きにくく、そのため、ぐっと引き延ばした1指・2指の音を1拍目からハズスことハズスこと。これと同じ音程が前の小節の下降部分にもあるのだが、どの小節もそうだけれど、下るほうは上るより楽なのである。音階を弾く時もでもそうだが、これは手の構造上によるものだろう。

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 これを解決させるせるには私が楽譜に記しているように、左手を使うという手もあるが、コンクールではやってはいけないとも言われる。

 この曲を時間をかけて練習すると、一日たっても右手が熱を帯びている。やりすぎると本当に整形外科に行くハメになりそうだ。

ギャリック・オールソンの演奏

大口を開けたヘビがノタウチ回っているように見えますかな。

いや、手の大きい人がうらやましい。

こういうふうに弾けたらね。

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