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豚と軍艦

邦画メモ、NO、82、NHKBS

1961年、日活、白黒シネスコ、108分

監督- 今村昌平、 撮影- 姫田真佐久、 音楽- 黛敏郎

出演- 長門裕之、吉村実子、三島雅夫、丹波哲郎、大坂志郎、加藤武、小沢昭一、南田洋子、東野英治郎、西村晃、殿山泰司・・

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 重喜劇という言葉は知らなかった。たしか中学生のころ、この映画の終盤だけテレビで観て、なんという悲しく衝撃的な結末なのだろうと感じたので・・・文学の素養がないというのは悲しいね。こんな文章でしかその時の気持ちを表現できない。・・・喜劇だとは今まで夢にも思っていなかった。

 その衝撃のラストは、私が何かの本によって得た知識によると、当初、今村監督の意向では実際にある本物の××に長門の顔を突っ込ませる予定だったが、美術監督か大道具(あるいは助監督)さんに、それでは俳優さんの尊厳にかかわることだと強硬に反対され、スタジオセットに組まれたもので撮影されたのだという。

 丹波哲郎が病院を抜け出す一連のシークエンスには笑った。まず、病院の隣が墓場というので爆笑。生命保険の看板で爆笑。丹波がけっこう元気なのに、あと三日の命だと大騒ぎなのに爆笑。

 ラストシーン近く、ブタにつぶされた何名かの怪我人を運ぶ救急隊員の担架の一つにブタが乗っかっているのに爆笑。

 俳優さんの喋るセリフが早口なのと、大坂志郎さんの東北ナマリなどが聞き取りにくく、話の展開がよく分からないところがあったが、映像を見ているだけで大まかのストーリーは分かった。

 いくつかのカットで撮影テクニックが面白かった。

 西村晃営むタクシー修理工場?へは、クレーンによる高所からの俯瞰撮影からカットせず移動、そのま工場の内部まで入り込んで行った。ちょっとヒッチコック的演出。

 吉村実子と米兵が連れ込み宿に居るシーン。部屋の天井から真下に向けてカメラを設置、そのカメラをグルグルと回転させてしまった。回転が遅くなり静止すると時間が経過している。この撮影は難しい。カメラにはフィルム送りのモーターがあり、回転させるには電源コードなどの処理が難しいし、遠心力によってメカが停止するかもしれない。ひょっとしてカメラは固定してあり、反射鏡を回転させているのかもしれないが、どうすればよいか自分には考え付かない。

 長門がマシンガンを連射しているが、このプロップガンの発砲が見るからにナサケナイ。50年前の小道具にケチをつけるのはナンだが、威力のない屁のような火炎と煙が、これまた幼稚な発射効果音とともにポンポンと銃口から排出されるのは見るに堪えない。

 こういう日本映画のプロップガンによる撮影は随分後の映画「セーラー服と機関銃」などでも大して改良されてなく、これでは迫力あるシーンを損なってしまう。法律の規制もあり、古い映画に私が文句を言ってもしょうがないのであるが、工夫のしようもあると思う。発砲シーンでは真横からの撮影を止めるとか、もうすこし何とかならなかったか。

 現在なら、製作費がかさむがハリウッドや韓国、香港の撮影所でホンモノのプロップガンを使って撮影するという手があるのだが。CG処理でもやっぱりイマイチ感がある。

↓豚の撮影、当時のスタッフによる裏話

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コメント

こんばんは。

こちらの作品、未見ですが、予告編を拝見する限り黒澤監督のように重厚感を漂わせる演出ではなく、軽くサラッと流すように生々しい展開を描く手法スタイルが「喜劇」としての見立てにも思えます。

見たものを見たままに、人間の醜悪な面すら飄々とした心象スケッチの対象となる。すこし感情の距離を置いた視点意図に独特のユーモアリズムがある。

そんな印象ですが、如何でしょうね。

投稿: ワン | 2012年10月22日 (月) 00時05分

ワンさん。こんばんは。
さすが、ワンさん。私が言いたくても文章力不足で上手く言えないことを代弁していただきました。

この予告編は良く出来ていますね。予告編というものは助監督が制作するようですが、たしか「キューポラ・・」を監督した人だったと思います。名前をど忘れしました。

予告編には私の書いたことがほとんど描写されていてチョット驚きました。

投稿: アラン・墨 | 2012年10月22日 (月) 23時36分

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