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プロメテウス

洋画メモ、NO、111、シアター

2012年、20世紀fox、124分

監督- リドリー・スコット、 撮影- ダリウス・ウォルスキー、 音楽- マルク・ストライテンフェルト、

出演- ノオミ・ラパス、シャーリーズ・セロン、マイケル・ファスベンダー、ガイ・ピアーズ、イドリス・エルバ

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 目的の惑星に達するまでの宇宙船内の描写がちょっと退屈なのと、編集が荒い感じを除けば、なんとか合格の60点を付けられる出来。

 1979年の「エイリアン」で、乗組員が遭遇する知的生命体の痕跡にワクワクし、いつかスピンオフであの生命体を探求する映画が出てこないものかと期待していたので、一応、その想いを解決させてくれた。

 登場する知的生命体のあのデカ親爺達は、人類に重要な働きをしていたのだが、せっかくはるばる遠い地球から訪れた自分たちの作品である人間を、超人ハルク並の腕力でぶちのめしてしまう。人間よりはるかに進んだ知的生命体らしかぬ無意味な暴力行為に、彼らと人間との意思疎通を期待していたのでショックだった。

 ところで、自分はSF作品に物理的・工学的整合性を求めるタイプなので、この映画でも大いに気になる点がいくつかあった。

 この映画を観ると、まず、人類の文明は21世紀末になる前に重力を制御する理論を発見、応用する技術を身に着けたようで、これはせんだって存在がほぼ証明されたヒッグス粒子をコントロールする技術がこの映画の時代にもう開発されているということだろう。これはすごい文明の進歩である。

 それは、無重力空間を航行中の宇宙船内で、乗組員が遠心力を利用しているとは見えない固定された船内フロアを1Gの環境でスタコラ歩いたり、普通に生活しているからである。

 つまりあの宇宙船は工学的に重力を船内に発生させ、さらにその応用で反重力をも制御して飛行できる乗り物であると見てよい。また、惑星・建造物内で自由に飛行する球体プローブの存在も重力制御の技術が確立していることを証明している。・・・

追記:この映画の系列となる「エイリアン」シリーズに登場する宇宙船も、すべて床に重力が発生している。

・・・ しからば、なぜあの宇宙船は航行・離着陸時に旧式なロケット噴射のエンジンを使うのだろうか。しかもロケットには推進剤が必要なのだが、その巨大タンクは宇宙船のどこにあるのか。

 今だにこういう矛盾したSF映画が造られることに疑問を感じる。これはスペースオペラじゃないでしょ。スコット監督。

 もう一つ。惑星に到着した宇宙船内の会話で、「地球からここまで9億キロメートルも離れている」という字幕があったと記憶しているが、9億キロなんて、せいぜい木星か土星あたりまでの距離ですがな。戸田奈津子さん、翻訳時に単位を間違えていませんか。それともアチラの脚本家が無知なのか。

 宇宙船が惑星に着陸した後のビーグルなどの描写は2000年「MISSION TO MARS」の影響が観られる。

 デカ親爺の馬蹄形宇宙船がコントロールを失って地上に激突するVFXは、巨大重量物の物理的描写が素晴らしい。

 

 

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コメント

こちらからも。

まあ船内の描写に関してはぶっちゃけ「一般の観客は正確な物理描写なんて関心も興味もないだろうし、拘るだけ予算に響くから」割愛した、というところなのかもしれませんね。それらしいセットを組んでお茶を濁す手段を取った。

要するに観客の最も関心事であろう劇的なドラマ、登場人物達の「手に汗握る冒険」をメインに据える。

だから「知的生命体」理性を持つ筈の異星人がいきなり襲ってきて危機的状況を演出したりするのでしょうね。人類の起源の謎を巡るある種の「哲学的」で高尚なお話は真っ平御免。

別にアメリカの一般大衆の知的水準が低い訳ではなく、映画は基本「娯楽」産業である為、でしょうか。ポップコーンやコーラ片手に肩肘張らない一時を楽しみたい。

勿論そうでない「文芸」作品、メッセージ性の強い内容の作品も少なくなく制作されていますが、「敷居の高さ」はどうしても否めないでしょう。

そういう意味でもキューブリック監督の「2001年宇宙の旅」は並外れて“高尚”なSF作品、と言えそうですね。当時の世相を考えると一層驚異的です。ゴーサインを出したMGMのお偉いさんも別の意味で「手に汗握る冒険」をしましたね。

投稿: ワン | 2012年9月14日 (金) 21時36分

遠心力による人工重力は宇宙船自体を回せばいいので難しいことではないのですが、「さよならジュピター」宇宙船のような構造を私的には採用してほしいですね。平らな宇宙船の床をスタコラ歩いているのは1950年代のSFにも劣って見えます。

でも、「2001・・」ディスカバリーの遠心部は回転半径が小さくて実際には生理的に難しいそうです。「ミッション、トゥ、マーズ」の宇宙船の回転部はもっと小さく、あれはアリエナイと思いました。

「プロメテウス」は人類の起源というオーバーなコピーに対してツッコミどころが多くあまり評判が良くないようですね。本文で書き忘れましたがヘビ型クリーチャーへの乗組員の接触がまるで子供じみています。異星人の暴力アクションとともに、仰るとおりポップコーンと1.5リットルのコーラを平らげる観客用サービスです。

MGMのお偉いさんは「2001・・」の試写会で頭かかえたそうです。キューブリックには親子そろって楽しめる壮大娯楽宇宙映画を造らせるつもりで莫大な予算を出したのです。キューブリックに騙されたのですね。

投稿: アラン・墨 | 2012年9月15日 (土) 09時53分

アランさん

私の勘違いでなければRスコットが始めてCGをフル活用して作った
SF作品ということになるのでしょうか?
突っ込みどこが意外にも多くちょっとショックでは
ありましたが、特撮的表現部分におきましてはかっこ良かったから
まぁ許してしまってます(重力表現関係はおっしゃるとおりですが)
とどのつまりCG臭さはある程度目をつむる事を憶えた自分としては
どれだけ良きセンスを見せられるかが監督の勝負ポイントだと思ってる昨今。故にプロメテウスは数少ない及第点を与えることができた
CG使用の作品となりました。

ところで無重力空間を航行中の宇宙船表現について素人の戯言を...
たとえばデザイン的にグルグル回る部位がある宇宙船が気に入らない監督さんがいたのなら、船窓からみえる星のほうが回っていれば
いいわけですよね?2001年の公衆電話のシーンの窓外の風景みたいに。と考えましたがいかがでしょう?
邦画の『宇宙貨物船レムナント6』ですら回る部位が宇宙船にあったので、そっちの方が不自然にみえないとは思いますが(笑)

投稿: 特撮太郎 | 2012年9月16日 (日) 08時45分

特撮太郎さん。こんにちは。
なるほどスコット監督初のCG作品になりますか。
CGの出来については同感です。最近観た、日本の樋口さんなどの特撮監督が集まって話している番組で、彼らはハリウッドの技術にはどうやっても日本はかなわないと全員認めていました。アチラのスタッフには物理や工学の博士がザラにいるそうです。
この映画では異星人・デカ親爺もCG処理で、あの質感には驚きます。

宇宙船の遠心力メカを採用しない理由というのも、床をフラットに出来ないということもあるかもしれません。湾曲した床ではセット作りや撮影に不便ですが、ただ、巨大宇宙船で回転部を作れば床はフラットにできますが、仰るとおりデザイン的に面倒なのでしょう。
NHKBS「コズミックフロント」の火星旅行で細長い宇宙船を縦方向に回転、重力を発生させていましたが、ビジュアル的にイマイチですね。

仰る通り宇宙船窓外に星々の回転を見せれば人口重力を発生させてるという説明が一発でできますよね。

ディスカバリー号や「さよならジュピター」宇宙船のように静止部と回転部に分かれていればベターなんですが、工学的には反トルク打消しのメカが必要で、またツッコミどころが発生します。

投稿: アラン・墨 | 2012年9月16日 (日) 10時45分

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「プロメテウス」★★★★ ノオミ・ラパス、マイケル・ファスベンダー、 シャーリーズ・セロン、ガイ・ピアース出演 リドリー・スコット監督、 124分、2012年8月24日(公開) 2012,アメリカ,20世紀フォックス映画 (原題/原作:PROMETHEUS ) 人気ブログランキングへ">>→  ★映画のブログ★どんなブログが人気なのか知りたい← 「時は2090年台、 2年の宇宙航海の... [続きを読む]

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