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地下鉄に乗って

邦画メモ、NO、80、BS朝日

2006年、松竹、121分

監督- 篠原哲雄、 撮影- 上野彰吾、 音楽- 小林武史

出演- 堤真一、大沢たかお、(みち子)岡本綾、(お時)常盤貴子、田中泯、笹野高史、北条隆博、吉行和子

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 多少SF物だと期待して観たが、ファンタジー物といってもいい作品。白日夢のような展開。

 過去に戻った堤真一が兄の死を避けるべく行動を起こすが、やっぱり歴史は変えられない。ここで観客はよくあるタイムスリップの法則として納得する。

 ところが、堤と一緒に過去に戻った堤の愛人みち子は自ら歴史を変えてしまう。その結果、みち子に関する事象は一切消滅するはずなのに、現代に戻った堤真一は彼女を記憶しているし、彼女のはめていた指輪まで存在しているという矛盾が発生する。これではSFにはならない。

 時代の認識もなんか変だ。1964年におそらく小学校6年生くらいだった堤真一の生まれた年は逆算すると1952年で、映画の舞台が2006年とすると年齢は54歳である。堤真一では若すぎるのである。

 こういう理屈は無視してもらいたいという脚本なのだろう。それで観客も騙された気分で白日夢を見せられることになる。

 この白日夢を操作しているのが、どうやら映画の始まりと終わりごろに地下鉄ホームに現れる堤の担任の先生(田中泯)のようで、メフィスト的人物と思われるが、何か意味深の言葉を発するだけで、決定的でなく曖昧な存在で消える。その後、映画ははっきりと解決せず不完全燃焼の気分で終わる。自分は大沢たかお(アムール)が死に際、どういう言葉を堤に発するかずっと期待して観ていたのだが。・・・

 堤真一の演技は自然で好印象。その反対に大沢たかおは舞台もこなす俳優だけあって芝居がクドイ。特に戦後の焼け跡バラックで堤と大沢(アムール)が出会うシーンでは、彼は舞台演技そのままのアクションで、顔の表情までムダに大げさすぎる。昭和の巨匠、黒澤・溝口・小津たちはこういう演技を嫌った。常盤貴子は芝居が固いのでヒヤヒヤした。

 1964年の風俗はよく作られていて、駄菓子屋など懐かしかった。

 その東京オリンピック間近の街にあるパチンコとスマートボール兼用の遊戯店の景品棚に、大塚のボンカレーが並んでいた。ボンカレーは1968年発売である。美術監督と小道具さんよ、よく調べてよ。

 

 原作者・浅田次郎が喫茶店のシーンでカメオ出演している。ハゲ頭がよく反射している。彼も光頭会に入会できますな。

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コメント

こんにちは。

こちら鹿児島は、映画館が県内に数件、なんてレベル
ですので(経営難で。。)、いかんせん、DVD とかで
見ることになるんですが、やっぱり映画は映画館のあの”大きさ”で見たいですねえ。。
そう言う意味では、家のテレビで見たくなる作品
(家庭を描いた作品とか?)
もあると思うんですが、日本の古い映画なんかは
どうでしょうか。

投稿: 無無無。 | 2012年9月 2日 (日) 16時09分

無無無さん。こんばんは。
こちらの土肥中は一応シアターはあるのですが、
まだデジタルプロジェクターではないので3Dなんかはやっていません。
最近、気が付いたのですが、その映画館での放映は、家でDVDやBDで観るより画質が荒いのです。
これはどうしたものでしょうか。まさか16ミリフィルムで上映しているのでもないでしょうに。
「テルマエ・ロマエ」を映画館で観ている最中、この画質では、いずれDVDかBD化されればもう一度観たいなと、感じました。

テレビで観たい作品は、私の場合4:3のサイズでフィルムで撮影された作品ですね。
テレビ作品なら昔の「必殺シリーズ」などですか。あの光と影の色合い際立ったフィルム撮影が素晴らしいですね。やっぱり時代劇はフィルム撮影に限りますね。

投稿: アラン・墨 | 2012年9月 2日 (日) 22時21分

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