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テレビ「座頭市」シリーズ

 2011年の秋から続いたBSフジの「座頭市」シリーズが2012年4月に終了した。(ただし、BS放送一般のしきたりだろうか、番組表に再放送の(再)の字も付けず、再び同じ時間帯で再放送が始まった)

 「座頭市物語」26話、「新・座頭市Ⅰ」29話、「新・座頭市Ⅱ」19話、「新・座頭市Ⅲ」26話・・・と、飽きもせず観てきたが、感想としては、映画のような「オモシレー」と唸るものが無かったというところか。全体的にニヒルな座頭市ばかりだった。

 以前、「天才・勝新太郎」という本を読んでいて、あの人物がどういうキャラクターなのか大体解っていたので、勝プロ制作、勝・主演の時代劇が支離滅裂に見えたり一見、不可解な構成のエピソードがあっても驚かず、お終いまで鑑賞できた。

 勝新太郎は音楽ではドビッシューが好きだったという。たしかに、彼が映像に関わると、ドビッシューが音楽の法則から外れた作曲を好んだように、映像理論よりも彼の感性が前面に出る演出をした。ただし、ドビュッシューが用いた不思議な和声や不協和音を理解できない人もいただろうから、奥村利夫・脚本、勝新太郎・監督の一見、跳んでしまったエピソードではテレビのチャンネルを途中で換えたり、スイッチを切ってしまった人もいたかもしれない。とにかく、彼が演出したものは、画面は綺麗でも説明不足や、とってつけたようなカットが多く閉口した。私はなんとか観られたが。

 とはいえ、勝演出のものでも強烈に印象に残ったものがいくつかある。座頭市が河原で大きな夕日をバックにして手前に歩いているカット。この撮影は「天才・勝新太郎」にも記述してあるが、勝の拘りにより、本物の太陽ではなく照明を使った優秀なスタッフによる華麗な撮影テクニックによるものであった。思わず「あっ!」と驚いた映像であった。また、浅丘ルリ子が「ごぜ」を演じたエピソードでは本物の吹雪舞う、冬のロケ撮影の映像がすばらしかった。

 初期のシリーズ「座頭市物語」での監督は、大映系の森一生、三隅研次、黒田義之(大魔神の特撮監督)、安田公義、田中徳三などが多く担当し、彼らベテランによるカット割りや場面のつながりが自然だったので安心して観ていられた。「新・座頭市Ⅲ」なると奥村利夫・脚本、勝・監督のものが増え(彼は編集作業にも手を付けたという)、頭の上に???が湧き上がるエピソードが多くなったが、太田昭和監督の作品は納得して観られた。

 

 

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コメント

テレビシリーズをそんなにご覧になったのですか!凄い!私は一昨日、映画版『座頭市物語』を観ました。実は今まで、勝新さんが苦手だったのですよ。ですが兵隊やくざシリーズを観て、可愛らしく思えるようになりました。
でも、勝プロはめちゃくちゃしますよね(笑)。終戦になったはずなのに『新兵隊やくざ 火線』では、何食わぬ顔をして、まだ戦争してるんですもの。エンディングでは歌が挿入されてるしsweat01

投稿: マーちゃん | 2012年5月14日 (月) 14時06分

「兵隊やくざ火線」は未見でして、いつか鑑賞したいですね。楽しみです。
大映は人気によって時代や辻褄を無視して路線を一気に変えてしまいます。「悪名」なんかもそうですね。

勝新さんは黒澤さんと双璧の存在だと思います。やっぱり天皇ですね。それを支えたのが中村玉緒さんですか。彼女がいなかったら彼はどうなっていたか。
でも彼の演出現場の映像を見ると、黒澤監督のように怒鳴りちらしたりせず、気を使っていたので意外でした。繊細なところもあります。

勝さんのパンツ騒動は笑えませんでしたね。

投稿: アラン・墨 | 2012年5月14日 (月) 23時51分

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