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ハワイ・マレー沖海戦、その1

円谷英二の特撮、作品AS-3

1942年、東宝、白黒スタンダード、115分

監督- 山本嘉次郎

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 戦中の情報不足のなかで制作された円谷特撮でも重要な位置に存在する作品。本編と実写映像と特撮のつながりは相変わらず自然であり、特撮と知りつつも見応えがある。

 尚、よく「実写と見間違える」または「すべて実戦の記録フィルムだと疑わなかった」という字句を目にするが、少なくとも私自身はそういう場面は3カット位しか無かった。

↓荒波に揺れる航空母艦。

 最初の特撮シーンであるが、ここで円谷は艦船を直接揺らし、カメラを喫水線から上の、あたかも空中に静止しているように撮影するという「神様目線」で捕らえている。ミニチュア撮影では描写が難しい波・水しぶきを見せないという苦肉の策かもしれない。したがって荒れた海面も見えず想像するしかないうえに、艦船のピッチングも速いのでミニチュア然となってしまった。

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 このシーンには航空機が着艦に失敗し、甲板から墜落するカットがあるのだが、ミニチュアが小さいのみならず、例によってハイスピート撮影が適合しておらず、ポロンとオモチャのように落下してしまうという残念な映像がある。この映画を若かりし頃大いに期待しながら初見した当時の私は、このドッショッパナのまずい特撮で大変ガッカリしたものだった。

↓雲間から見える真珠湾。ミニチュアの上のガラス板に綿で雲を再現し撮影。たいへん効果的で印象のある特撮カット。ただし、現代の超微粒子のフィルム、あるいはCCDと性能の高いレンズで撮影するとアラが出てしまう特撮である。

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↓ミニチュア航空機とカメラを固定し、バックの山並み・大地を動かすという円谷の独創的アイデアによる撮影。2.3機、ちょっと吊りだと分かる揺れ方をしていて残念。

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↑真ん中の航空機1機は進行方向に対して機体ピッチ角が下がってしまいおかしなことになっている。修正して撮り直すべきカット。円谷は観客がNGだと分かるフィルムを採用してしまうことがある。これがその例と言える。

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↑スモークで遠近感・空気感を強調し、仰ぎで捉えた迫り来る航空機。

 手前に向って速すぎない速度で・・・(円谷はしばし、プロペラ機の速度をジェット機の速度にさせてしまう)・・・、ワイヤーワークは手振れによる揺れも無く滑らかで実写に近い素晴らしいカット。風圧で樹木が揺れるという効果を出しているが、ちょっと木の揺れが速くミニチュアっぽい。尚、ハワイの荒れた山岳周辺にはあのような針葉樹らしき樹木は植生していないので、これは映画のウソというやつである。ただ当時のスタッフがハワイの地形をよく知らなかっただけであるが。

 

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