« パソコン買ったったwww | トップページ | 第9地区 »

家族

邦画メモ、NO、76、NHKBS

1970年、松竹、107分

監督- 山田洋次、 撮影- 高羽哲次、 音楽- 佐藤勝

出演- 倍賞千恵子、井川比佐志、笠智衆、前田吟、塚本信夫、渥美清、花沢徳衛・・

--------------------------------------------

 たぶん、公開当時に今の自分が居たら観る気がしない映画だっただろう。

 山田洋次監督の作品は全作品をまともに観てないのにもかかわらず、なにか苦手意識がある。

 なぜかというと、この人の作品には「泣けるでしょう?」「笑えるでしょう?」「感動するでしょう?」という押し付けがましい作為を感じてしまうからだ。これは私がヒネクレた性格だというのも関係があるかもしれない。

 だから、いかにも感動的体験を思わせるタイトルの「幸福の黄色いハンカチ」も、あえて観ていない。幸福という安っぽい言葉が入っているこのタイトルは嫌である。

 今回、観る気が起きたのは1970年への懐かしさがあったからだ。ほとんどゲリラ撮影に近い街並みのシーンや大阪万博会場のカットは、自分を当時に戻してくれた。あの頃12歳だった私は、とうとう万博に行けなかったので、少しは訪れた気がした。

 素晴らしいと感じたのは列車内のシーン。すべて本モノの移動する客車で撮影している。さすが鉄道ファンの山田監督だけはある。これがスタジオのニセの客車セットで、窓外の景色をリアプロジェクションで投影した撮影では、あの臨場感は出ない。本モノ撮影ならではの演出・・・列車の動きに合わせて、慣性の法則で人物や物体が一斉に右・左と揺れることにより、乗客との一体感ある旅情が得られるのだ。列車内の撮影は本モノに限る。

 追記: 笠智衆さんが空気枕を使うシーンは「東京物語」へのオマージュか。

 時々、フラッシュバックにより過去の記憶が映像化されるのは、良く使われるテクニックであるが、山田監督の作品でいつも舌を巻くのは、そういうカット割のタイミングが実にピッタリと決まっていることだ。編集の妙というのもあるが、山田作品はカットバックのつながりも、ひとつのモタツキもなく完璧である。

 だけど、いい映画でした。少しは山田作品への先入観が薄まりました。

 赤ちゃんが重病となり、病院探しをするところでちょっと疑問を感じた。当時では119番して救急車に任せるという慣習はなかったのだろうか。

 笠智衆さんは総入れ歯で、時々外したりして演技していることが分かった。入れ歯をしているとやっぱり若く見えますな。これが外しているときは全くのクシャ爺さん。前回観た「宮本武蔵」の沢庵役でも感じました。

 笠さんは、この映画「家族」で、初めて松竹の城戸所長から「笠さんは小津監督のせいでヘンな癖をつけられちゃったけど、この映画は自然で良かったよ」と演技を褒められたという。

 

|

« パソコン買ったったwww | トップページ | 第9地区 »

邦画メモ」カテゴリの記事

コメント

こんばんは。

このタイトルの作品は未見ですが、墨さんの解説を拝見して興味が沸きました。

山田洋次監督の作品では「学校」を唯一まともに鑑賞しました。中々日の目を当たる事のない人々のつましくも血の通う生活描写の丹念な積み重ねに好感と言いますか、そこはかとない共感を覚えた記憶があります。

監督独特のリアリズムを装いながら、凄惨で生々しい表現はあまり見受けられないんですよね。悲劇的、悲壮な場面も時に織り込みつつ、温かい眼差しが随所に込められている。緩やかなユーモアに支えられた楽天主義的な「救い」。どんなに底辺に追い詰められ、追い込まれても「どうにかなるさ」と一笑に付すある種のゆとり、安心感が作品全体を通して根付いている。

そんな印象のある内容でした。「家族」は如何でしたか?

キューブリック監督は逆にかなり「突き放して」いますよねcoldsweats01独善的で残酷なエゴイズムの容赦なくそれでいて滑稽な描写は、監督の鋭く手厳しい「人間批判」の顕れなのでしょうか。

投稿: ワン | 2012年3月25日 (日) 23時44分

訂正です。

日の目を当たる事のない→日の目に当たらない

でしたcoldsweats01

投稿: ワン | 2012年3月25日 (日) 23時48分

70年という時代を良く映し出した映画ですね、今見るとそう思います。空気枕のシーンは私も全く同じことを感じました。旅支度している時に妻といっしょに空気枕を探していましたよね。本作では笠さんの空気を吸い込んだ時の顔が可笑しかったですhappy02 あと、「炭坑節」を唄うのは、小津作品にヒントを得た演出ではないでしょうか?

投稿: マーちゃん | 2012年3月26日 (月) 10時45分

ワンさん。こんばんは。
そうですね。暖かく見守っている感じが「家族」にもありました。山田監督の目ですね。
悲しいところも、仰る通り、なんとかなるさという楽天的な見通しもあります。
結局、明るく終わります。
山田監督作品は小学校のころ、「馬鹿がタンクでやってくる」を観たのが最初です。ハナ肇とクレイジーが出演するので一応喜劇っぽいのですが、ラストは随分と悲しい気持ちになったものです。でも主人公は死ななかったのですよ。救われた気持ちになりました。
キューブリックの作品は全部観ていませんが、そうです。厳しい目ですね。

投稿: アラン・墨 | 2012年3月26日 (月) 23時25分

マーちゃん。こんばんは。
空気枕というものの存在は「東京物語」で知りました。
そうそう、「家族」では笠さん、うれしそうにふくらましていましたね。今は鉄道の旅も飛行機並みに速くなったので、ああいうものは使わないですよね。

炭鉱節も笠さんのおハコなんでしょう。笠さんは下戸なので、小津映画の打ち上げでは、飲まないで随分と歌わされたみたいですよ。
「長屋紳士録」の覗きカラクリといい、独特の節回しで小津さんも喜んだのかもしれせん。

投稿: アラン・墨 | 2012年3月26日 (月) 23時38分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/412224/44626969

この記事へのトラックバック一覧です: 家族:

« パソコン買ったったwww | トップページ | 第9地区 »