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・・山本五十六・・・

邦画メモ、NO,74、シアター

2011年、東映、140分

監督- 成島出、 撮影- 柴主高秀、 音楽- 岩代太郎、

VFX監督- 鹿住朗主、 VFXプロデューサー- 浅野秀二

出演- 役所広司、玉木宏、柄本明、柳葉敏朗、阿部寛・・・

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 山本五十六は、今まで大河内伝次郎、三船敏郎、山村聰、が演じたものを観てきたが、長身の役所広司では実際の本人像からちょっと離れているように感じた。山本五十六の写真や敬礼している実写動画を記憶しているが、役者さんで言えば、殿山泰司が身長・体格、顔が最も山本に似ていると思う。といって、殿山さんが健在だとしても、山本を演じてもらうのはチョイと無理があるが。

 この映画は戦争映画ではなく、山本五十六という人物の映画である。したがって戦闘シーンなどの描写は淡々としている。特撮も一定のレベルであるが、なにか薄味である。

 山本の家庭の描写や、彼が甘党であるという、彼を一市民として扱ったエピソードは過去の映画には無かったもので、山本を軍神として奉りあげようとした当時の人に見せてやりたい。

 VFXと一部ミニチュアを使った特撮は標準的だが、相変わらず物理センスに欠けている部分がある。

 ゼロ戦などプロペラ飛行機の速度が速すぎるのだ。特にゼロ戦が空母から発艦するカットは、まるでゼロ戦をジェット戦闘機にしてしまっている。ゼロ戦の離陸は、対空母速度では時速100キロほどで空中に浮き上がってしまうので、あんなに速い速度は出さない。このシーンは当時の実写映像があるので、参考にして是非リアリズムでやっていただきたい。プロペラ航空機はゆっくり飛行している姿がカッコイイのである。

 地上の飛行場から離陸するカットは良い。

 真珠湾での魚雷投下も速過ぎる。速すぎるが為にアニメに見えてしまった。

 山本を乗せた一式陸上攻機を護衛するゼロ戦が、戦闘態勢に入るため落下増槽を落すシーンは素晴らしい。回転しながら落ちるタンクは実写そのもの。一式陸上攻機が被弾炎上するシーンでは、大型のミニチュアを使った特撮とVFXの特撮の混合になっているが、ミニチュアの火炎とVFXの火炎が一致していない。ちょっと惜しいシーン。

 予告にもある戦艦長門が洋上を手前に進むカットは、映画を観る前のスチル写真では、VFX映像にしてはあまりにも太陽光線の当たり具合と波の動きが自然なので、大型ミニチュアを実際の海で動かし撮影したのではと推測したが、精巧なミニチュアの制作費用が掛かる割りには短いカットでなので、ひょっとしてこういう方法で撮影したのかもしれない。

 つまり、5メートル程度の小船を利用し、喫水線下のみを長門に似せて改造、甲板から上は合成用のブルーシートを、おおまかな長門の形で小船を組み上げ、海上で進ませ撮影。後はスタジオで長門の甲板上CG映像をブルーシート上にはめ込むという方法。

 ま、実際はどうか分からないが、これがすべてCG映像ならばミニチュア特撮にみせかけたVFXということで完全に一本獲られた映像と言える。尚、長門や大和が停泊しているカットは100パーセントVFX映像だと思う。

 荒れた海上を進みながら航空機が発艦している空母・赤城のロングショットもVFXだが、実写感が、まるで当時の記録フィルムのようで素晴らしい。ここはもう脱帽。

 役所による山本の殉死シーンは、過去に東宝で三船敏郎の演じたシーンと、撮影アングル・微動だにしない山本の演出などがほぼ同じ二番煎じで、ちょっとがっかりした。

 山本五十六の死亡原因は、飛行中、機銃弾がコメカミから顎に貫通したためという説があるが、もし、襲って来たロッキードP-38が武装しているブローニング12.7ミリ弾か20ミリ弾が山本の頭部に当たったとすれば、貫通するどころか彼の頭全体か上半身が消滅したはずであり、弾の貫通説は疑わしい。これが、20ミリ炸裂弾の破片が貫通したとすれば納得出来るのであるが。

 別の一説では、山本は不時着時にも死亡しておらず、恐らく内臓破裂などを被るも、数日間は在命していたという。原作の半藤氏もこの情報は得ているはずで、自分はこの映画では、チラッとそういう展開になることを期待したが、戦中・戦後・現在と、日本人というものは、軍人とはカッコイイ死に方をするべきものと思っているようだ。

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コメント

ご覧になられたのですね。歴史上の人物と言っても、明治以降の人は、写真が残っていて、イメージが出来上がってますからねぇ。私も役所さんの五十六は違和感がありました。高橋秀樹さんの児玉源太郎についても同じことが言えるのですが。

アラン・墨さんならではの戦闘シーンの解説、ありがとうございます。ほんと、お詳しい!!

>山本は不時着時にも死亡しておらず
え~っ、そんな説があるとは知りませんでした。

投稿: マーちゃん | 2012年2月28日 (火) 22時25分

高橋秀樹さんの児玉はマーちゃんのイメージと違いますか。映画「203高地」では・・・たしか丹波哲郎さんでしたっけ?。高橋さんはちょっとオーバーアクションが気になりました。桃太郎侍になってしまいますよね。

アクションシーンの解説はすべて私の勝ってな独断です。sweat01
映画のスタッフに笑われるかもしれません。でもハリウッドのレベルには追いついていないですよねー。

山本のあの死亡説は、自分では70パーセント信用しています。一式陸攻の墜落時も、映画のように爆発炎上していたとは断定できないです。

マーちゃんご指摘のとおり、山本と南雲のお茶漬けシーンは良かったですね。実際にあったことなのかは分かりませんが。

投稿: アラン・墨 | 2012年2月28日 (火) 23時37分

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