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カサンドラ・クロス

洋画メモ、NO,107、BS朝日?

1976年、イタリア・イギリス・西ドイツ、129分

原題- The Cassandra Crossing.

監督- ジョルジ・パン・コストマス、撮影- エンニオ・ヴァルニエッリ、音楽- ジェリー・ゴールドスミス

出演- ソフィア・ローレン、リチャード・ハリス、イングリット・チューリン、バート・ランカスター、エヴァ・ガードナー、・・・

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 カサンドラ・クロスって、サザン・クロスのように、ずーっと星の形の一つだと思っていた。要するに列車の名前がカサンドラ・クロス号だと。クロスと原題のクロッスィングではニュアンスが違いますがな。 

 面白かったけれど、やっぱり129分の作品を、CM付きの2時間放送というズタズタカットで観たのでは素直に評価できない。

 冒頭のヘリ空撮が素晴らしい。もう既にこの頃、カメラの振動を抑えるメカが完成されていたらしい。実に映像が滑らか。ああいう空撮はキューブリックの「シャイニング」が初めてだと思っていたが。

 この映画は今までさんざんTV放映されていたけれど、観たのは初めて。というのも、私が軍隊に取られていた3年間の間に撮影・公開された映画であり、丁度あの時期の作品ということで、嫌な軍隊生活を思い出しまいと観るのを避けていたからだ。尚、軍隊とは私の通っていたクソ高校のことをいう。あの頃、教室でこの映画が話題になっていたものだ。

 それを今回あえて観たのは、吹き替えなしの字幕スーパーだったのと、デジタル放送ゆえ、画質が鮮明になったためである。

 字幕スーパーで観てよかった。ソフィア・ローレンの喋る英語が、イタリアなまりのない端正な発音だと分かったからだ。 彼女が喋っている唇を観察したが、声と寸分たがわず一致していた。私は別人の吹き替えではなく本人の声だと見た。もし吹き替えだとしたら、その声優さんは天才である。

 ヘリで、感染した犯人と犬を、動く列車から吊り上げるというスリリングなシーンで疑問を感じた。停車できない理由というは、病原菌に感染した恐れのある乗客が、停まった列車から出てしまうからだという。まるで乗客全員をマナーのない民度の低い人物として決め付けてしまっている。脚本で、列車に乗り間違えた何人かのチンピラ風情を乗せ、今にも列車から逃げ出しそうなトラブルを起こさせればよい。

 列車内の描写は、窓外の景色がプロジェクションによるスタジオ撮影だが、やはり実際の走る列車内で撮影すれば、もっと迫力が出ただろう。黒澤「天国と地獄」の列車内シーンのように。

 列車の鉄橋転落シーンはミニチュア特撮。オープン撮影により、そこそこの本モノに見える特撮となっている。ただ、ちょっとハイスピート撮影の回転が遅い。そのため列車の落下速度が速く見え、少しオモチャッぽくなってしまった。

 列車のミニチュアは、バラバラに壊れやすく作られていれば、もっとリアルな落下崩壊シーンになっただろう。実物というのは、ミニチュアモデルより柔でグニャグニャしているものだ。

 鉄橋の崩壊シーンのハイスピート撮影はドン・ピシャリである。ただ、波しぶきが残念なことになっている。これは水を扱うミニチュア撮影では、どうしても付いて廻る問題なのだが、スピルバーグ「1941」で観覧車が海に落下したときのように、火薬の水中爆破による水しぶき効果を追加するという手もある。

 これは無線愛好家だけにしか分からない、どうでもいいこと。ジェネーブの事務所内のコンソールにヤエスの無線機・FT-200がはめ込んであった。

 あの事務所の機器類のデザインもちょっとウソくさいなー。

 

 

 

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コメント

こんばんは。この映画日曜洋画劇場で一部を視聴した記憶があります。通しては見ていないのですが、興味はひきますね。パニックサスペンスもの、といったところでしょうか。

ところで余談ながらタイトルの「カサンドラ・クロス」の響きがどうも私の耳には「カサブランカ」と重なってしまいまして・・・coldsweats01全くジャンルの違う内容なのに、ただ“カサ”の部分だけがあわさるだけで混同してしまう私の頭は滑稽かつ単純ですね(苦笑)。

ミニチュアのシーン、確かに撮影スピードに弱冠難があるようですね。次々と犠牲となる乗客達の惨劇のシーンが恐怖感を上手く演出されていて、不備を補っている印象があります。この本編の一連のカットバックは一種の苦肉の策として編集されたのかな、と想像しました。

出演者にバート・ランカスターの名がありますが、制作国のイタリア、と相俟って思わずルキノ・ヴィスコンティの「山猫」を想起してしまいました。「シャイニング」でのステディカム使用に対し、「バリー・リンドン」ではご存じようにNASAの開発した特殊なレンズで照明を使わずに蠟燭の光のみで撮影したキューブリックですが、「山猫」でも照明を使わない自然光での撮影を試みたんですよね。

特殊レンズを用いずに大量の蠟燭で光量を補った、という話を聞きました。役者さんも熱くて仕方なかったそうですね。

「カサンドラ・クロス」から話が少々飛びましたけど^^;

投稿: ワン | 2012年2月 2日 (木) 22時24分

補足です。「NASAの開発」ではなく、「NASAのために開発した」レンズ、でしたね。毎回すみませんcoldsweats01

投稿: ワン | 2012年2月 2日 (木) 22時29分

ワンさん。こんにちは。
「カサブランカ」そういえばまだ観ていないです。あまりにも有名すぎて・・しゃれたセリフも有名ですね。
カサンドラのミニチュア特撮はモデルが小さすぎました。サンダーバードの世界ならあれでいいのですが。でも実際の橋を壊したら迫力あったでしょうね。

ステディカムは「シャイニング」においてキューブリックとカメラマンが研究・開発したものだったのですね。先日のBSシリーズで知りました。
「バリー・リンドン」は観たい映画ですが、昔のヨーロッパの世界というものが苦手でして、しり込みしています。でも蝋燭だけの撮影には興味あります。
キューブリックが生きていたら、ラジコンヘリや最近のマルチローターヘリのジャイロカム撮影を使ったでしょうね。私もそうですが、彼も空中で滑らかに動く映像が大好きのようです。

投稿: アラン・墨 | 2012年2月 3日 (金) 17時36分

こんな知識があれば映画も一層面白く観られますね。
昔の映画もデジタル放送になって画像が実に鮮明に
なりましたね~。
NHKでよく放送してる、リマスターされたモノクロの名作は本当に美しいです。

投稿: バルおばさん | 2012年2月 6日 (月) 20時52分

バルさん。こんばんは。
NHKBSの映画はほんとうにありがたいですね。
ノーカットで画質は市販のソフトと変わらないのですから。
ただ、相変わらす再放送ばっかり。
NHKは、これを再放送と言わず、・・・選、・・・特選と言うのですが。笑

投稿: アラン・墨 | 2012年2月 7日 (火) 00時04分

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