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宇宙の終焉と「未完成」

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 つい最近の観測によると、宇宙の果てではビックバンによる膨張速度が速くなっているという。

 加速膨張によって空間も広がるのだが、それによって宇宙空間に満ちているダークエネルギーは、密度が下がるどころか、どんどん増加していって、しまいには宇宙全体の重力を崩壊させる影響を及ぼすらしい。

 そうなると、重力によってまとまっていた銀河系の星々、太陽系の惑星、衛星はテンデンばらばらになり、その後、地球などの固い惑星の構造自体も砕け散って、分子・原子もチリヂリに分割されてしまう。

 どうやらこれが宇宙の終焉ということになるらしく、ビックバンの反対の意味として、これを「ビックリップ」と呼ぶ。・・・BigRip

追記:ビックリップは宇宙の終焉モデルのひとつにすぎない。

 ところで、この宇宙の黄昏のエンディングにふさわしい、寂しい音楽はなにかというと、私の乏しい音楽ボキャブラリーではシューベルトの「未完成」交響曲が該当する。

 ちょっと想像してみて、「スタートレック」の宇宙船エンタープライズ号が、超生命体Qによって、このビックリップが起こり始めた宇宙にタイムスリップさせられたとする。

 重力コントロールも効かなくなってしまったエンタープライズ号は、拡散し始めた恒星のガス雲や崩壊した惑星たちの残骸の中を、黄昏に向かって消え去ろうとしている。

 この時のBGMが「未完成」の第二楽章。

 「未完成」は第一・第二楽章とも三拍子であるが、これは人間という知的生命体が脳細胞の中で認識しているリズムであり、宇宙・自然界には存在しない。この三拍子によるメロディーがエンタープライズ号や乗組員を意味する。

 第二楽章のフォルテで演奏される部分は、惑星の崩壊・分裂である。

 そしてクラリネットとオーボエの独奏。 全音符が続き、三拍子のリズムが希薄になったこのシークエンスは、エンタープライズ号を宇宙の終焉へと誘いだすかのようだ。

 その呼びかけに、エンタープライズ号からの信号なのか、ホルンが「おーい」、「おーい」と当てもなく答え、やがてエンタープライズ号は点となって消え去る。

というイメージ。お分かりいただけましたかな。

 

 

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日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

こんにちは。大変ご無沙汰しておりますが、お元気でお過ごしの事・・・と思いきや、昨年の記事に目を通すに何と事故に合われて大怪我をされていたのですね。その節には暫くお邪魔も出来ず、事情を全く預かり知らないとは言え、すっかり不義理を通してしまいました。

改めまして申し訳ありません。

退院もとうにすませて日常生活も滞りなく快復されているものとお察ししますが、今、お具合は如何でしょうか。私としては墨さんの楽しくまた含蓄に富む記事をこれからも末永く拝見させて頂きたく心より思い願っています。

そしてこちらも大変遅ればせながら、年明け始めのコメントに新年のご挨拶をさせて頂きますね。

昨年はお世話になりました。今年もどうぞ宜しくお願いします。


さて、今回の記事に関しまして、宇宙とクラシックを絡ませる墨さん独特の感性に少なくない共感を覚えました。

カラヤン指揮の荘厳なる交響曲の調べに乗せて深淵なる漆黒の世界の果てを独りゆく宇宙船、エンタープライズ(形状から見てD型でしょうか)。寂寥と孤独、諦観と決別。重層に織りなす静謐なる旋律のイメージが私の脳内に(拙くも)響き渡りました。

和声と律動、そして旋律からなる音楽も「人の感情」あってこそ初めて意味を成すんですね。墨さんからの教唆に少々、ため息が出てしまいました。

また、コメント寄せますね。失礼します。

投稿: ワン | 2012年1月21日 (土) 13時07分

ワンさん。こちらこそ本年もよろしくお願いします。
また、怪我へのお心遣いありがとうございます。今はもう生活に支障はありません。今回のことは良い経験でした。

ビックリップのことはNHKのシリーズで知りましたが、今まで宇宙は膨らんだら収縮すると思い込んでいたので驚きました。
最近、同じNHKの音楽アワーで「未完成」と8番交響楽の4楽章を放送し、どちらも耳に残っていて、暇があると頭の中で音楽が鳴っています。特に8番は第4楽章でも初めて聴くもので、これは新鮮でした。
「未完成」は番組の中でもタソガレの音楽と形容していたので、私のイメージもありきたりの物かもしれません。
まあ、でも今回のこの文章を書くにあたって、自分の文才の無さに絶望いたしました。これくらいのことしか書けません。
私の頭もビックリップが始まっています。笑

投稿: アラン・墨 | 2012年1月21日 (土) 15時59分

コメントありがとうございます。ちょっと訂正なんですが、「示唆」の積もりで「教唆」と誤って打ち込んでしまいました。後者では、悪い意味に捉えられてしまいますね。勿論悪いのは私です。私の語彙力もご覧の通り貧弱でして、ご容赦頂ければ幸いに思いますcoldsweats01


訂正ついで、と言ってはなんですが、ひとつ付け加えさせて下さい。

遅ればせながら、つい先日、墨さんと私(そして勿論多くのファン)の敬愛してやまない例の「2001年宇宙の旅」のBDと、関連書籍「未来映画術」を購入しました。出来る限り詳細に綴られた制作過程を俯瞰しつつ、改めて筆舌に尽くしがたい奥深き究極的表現、世界観を堪能する次第です。

ところで鑑賞中にふとした疑問が生じました。と言いますのもディスカバリー号船内のうち、遠心重力室は絵的にも十分納得がいくのですが、その他の場所、例えばスペースポッド格納庫等での乗組員の活動描写が地球上と同じ1Gで表現されていますよね?同室内のインテリア、各種器具も見る限り、床下の方向に一定して1Gが働く事を前提とした配置になっているようです。

通信機器を回収してHALとやり取りするシーンや、宇宙空間に投げ出されたプールを回収するために格納庫にボーマンが向かうシーン等に、個人的に少々違和感を覚えてしまいました。

私の覚束ない見識を越えた何かしらの“処置”がそれとも施されているのか、墨さんにお尋ねいたしたく、明記させて頂きました。


続けてすみません。

投稿: ワン | 2012年1月21日 (土) 17時24分

ワンさん。こんにちは。
「未来映画術」は私も所有しています。
かなり値段の高い本ですね。
あの本より撮影のカラクリがかなり解明できましたね。
さて、問題のシーンですが、私も「映画のミス」としてどこかにメモするつもりでしたが、省きました。
その理由はこの映画の冒頭で、バンナムのシャトルのキャビン・アテンダントがグリップシューズを履いて床を歩いているシーンがあるからです。
つまり、最初にこれを見せることで、無重力の船内でも、歩く行為が出来ますよ、とキュブリックは念を押しているのですね。
ということで、ボーマンがコンピュタールームのハルの息の根を止めるために無重力の床をスタコラ歩いているのは、グリップシューズを履いているとゴジツケテ観ています。
でも、仰るとおり、あれは違和感がありますね。階段を登っていますし。
月面基地でも重力は六分の一のはずですが、人は1Gの動きですね。
キュブリックもそのへんは大目に見てくれと言いたいのでしょう。

投稿: アラン・墨 | 2012年1月22日 (日) 17時14分

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