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切腹

邦画メモ、NO,70、NHKBS

1962年、松竹、シネスコ、白黒、133分

監督- 小林正樹、撮影- 宮島義勇、音楽- 武満徹

出演- 仲代達矢、石浜朗、岩下志麻、三國連太郎、丹波哲郎、三島雅夫、中谷一郎、稲葉義男・・

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 見応えのある邦画だった。黒澤作品を観ているような重厚感。これが大船調・ホームドラマを連作してきた松竹の映画とは信じがたい。

 デジタルリマスターしてあるのかどうか知らないが、フィルムに傷一つなく、最近の映画のような質感。録音もすばらしく、俳優の声・活舌をもれなく捉えている。なんといってもシネスコのレンズが実にシャープで画面の隅から隅までボケと歪みが一切無い。光のコントラストは望遠レンズを多用した黒澤作品のように極端でもなく見易い。

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↑後ろからの照明で顔の輪郭を明確にする撮影が多用されている。また、真正面からのカットでは正座した仲代の顔から上の背後は日陰でバッサリ線引きされている。首がはねられることを暗示させているのか。

 武満徹の音楽は琵琶の連打により物語性を強調。弦楽器とフルートを用いた楽曲は「2001年宇宙の旅」に用いられたリゲティの「無限の宇宙」のフレーズを連想する。

 橋本忍による脚本は、やはり時々フラッシュバックを使った黒澤作品の匂いがする。一部のスキもない脚本だが、仲代のセリフに追加をいれてもよいと思うシーンがあった。

 津雲が切腹所で身の上話を始めるシーン・・・

 ・・・「ところで斎藤勘解由殿、お詫びをせねばならぬ。先ほど、千々岩求女という人物を知らぬと申したがあれは嘘であった・・・」。

 また、津雲は3人の介錯人の名をどうやって知ったのだろうか。彼等を探るシーンを追加するか、あるいは遺体を届けたときに3人に名乗らせてもよい。

 丹波と仲代の原っぱの決闘では真剣が使われているという。道理で動作が重く、及び腰に感じた訳だ。でも、オッソロシーなー。ここのシーンでは時々、斜めになった構図があるが、私はこういう劇画みたいな撮り方は好みではない。

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↑数えで11歳の少女を演ずる当時21歳の岩下志麻。小さく写るように撮影されているがそれでもチョット無理がある。

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コメント

アラン・墨さんならではの技術的な解説、ありがとうございます!映像も音声も鮮明でキレがありますね。

たしかに黒澤作品に通ずる空気をもった作品ですね。

決闘シーンと最後の斬り合いは、
仲代さんの語りの部分がいいだけに
ちょっと、作り込み過ぎているかもしれませんcoldsweats01

「一命」がDVDになったら、ご覧になってくださいまし。
笑っちゃいますよーsmile

投稿: マーちゃん | 2011年12月 7日 (水) 19時03分

映像のすばらしさには目を見張りました。
ハイビジョンのおかげでしょうか。翌年制作された同じ松竹の「秋刀魚の味」よりずっと画質はいいですね。ほぼ同じ制作年とは思えないです。
ただし、保存はブルーレイの25ギガではギリギリ収まらず、50ギガのディスクを使うはめになりましたな。
井伊宅内での斬り合いは私も少し長く感じました。
三國さんの演技は顔面ピクピクが決まりましたね。

「一命」はコケたみたいですね。こちらの映画館でもまだ架かっていません。

投稿: アラン・墨 | 2011年12月 7日 (水) 23時58分

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受信: 2011年12月31日 (土) 21時45分

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