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2011年11月

狂った果実

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邦画メモ、NO,69、NHKBS

1956年、日活、スタンダード、白黒、87分

監督- 中平康、撮影- 峰重義、音楽- 佐藤勝、武満徹

出演- 石原裕次郎、津川雅彦、北原三枝、岡田真澄・・

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 かなり以前にビデオテープで録画したものを観たときは、オープニングのフテクサれた顔した津川雅彦とリアプロジェクション映像とのマッチングが悪く、観る気がしなくなって、ビデオの再生を止め、その後ズッーと捨て置いていたものだ。

 モーターボートを操縦しているのに、津川雅彦の体は揺れもせず、微動だにもせず、そのままつっ立ったままなのがヘンだと感じて、まあ演出でも技術でも日活の映画というのは、こんなもんであろうという偏見があった。

 しかし、今回、ディスクに録画したものを終わりまで鑑賞してみると、中平監督のこの作品が、制作された1956年より少なくとも10年は先取りした映画であるような印象を受けた。

 解説の山本晋也氏に言われてしまったが、スクリーンいっぱいの顔のドアップによる短い会話の切り替えしには、ちょっと驚いた。また、彼等の演技の拙さと、何を言っているのか分からない早口のセリフ回しにも、あれで映画が成立するものだろうかとビックリした。ただし、北原三枝さんはウマかった。

 ヘリコプターによる追っかけ・空撮、ホパリング空撮も1956年当時の映画としては斬新だと思う。1950年代の映画でこういうシーンは自分の記憶にあまりない。

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  また、スチルにしても面白い映像がいくつかあった。

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↑小津映画だったらラジオの代わりに一升瓶が立っている。

 尚、山本晋也氏はトランジスタラジオだと語っているが、1956年当時にはまだこのような手提げ式の大型のものは製品化されていない。あれはバッテリー駆動の真空管式ポータブルラジオ。

(追記:1955年にソニーよりトランジスタラジオTR-55が発売された)

 まあ、金持ちの放蕩息子たちの映画で、同じ時代、「にあんちゃん」は栄養失調の妹を抱え、借りた一升の米代の工面に困っているときに、モーターボートと水上スキー、オープンカーを乗廻し、ナイトクラブ詣でを繰り返している彼らには全く同調できないのだが、津川のラストの行動は、その馬鹿息子どもをブッ飛ばしてしまったような、ある種、爽快な気分にさせてくれた。

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↑裕次郎にブットばされた現・東京都知事。

 この人の口癖は「バカなことやってんじゃない・・」、「バカなこと言ってるんじゃない・・」だ。

 まったく馬鹿な顔してスッコロンでいる。 

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にあんちゃん

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邦画メモ、NO,68、NHKBS

1959年、日活、シネスコ、白黒、101分

監督- 今村昌平、撮影- 姫田真佐久、音楽- 黛敏郎

出演- 沖村武、前田暁子、松尾嘉代、長門裕之、北林谷栄、小沢昭一、吉行和子、殿山泰司、穂積隆信、芦田伸介・・

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 子役、沖村武の芝居のうまいこと。目の演技まで出来ている。こんな上手い子は初めて見る。

 大人の俳優たちは日活のカラーかもしれないが、おしなべてオーバーアクト。

 北林谷栄さんも今回は芝居のし過ぎのように感じた。ただし、あの半島の国の人々は、感情表現や会話が日本人よりダイナミックなので、研究しつくされた演技なのかもしれない。

 殿山泰司に経営側の苦難を訴える芦田伸介が、短いシーンながら好演。炭鉱のストをめぐる話では、労働者側の動きに重点がおかれるものだが、この映画では両方の立場をキチンと見せる。

 この映画の存在は中学校の時、社会科の先生より聞かされた。それ以来ぜひ観たいと思っていた映画。ちょっと涙腺がゆるんだのは、末子が鉱山浴場の浴室磨きをやらされているところで高一に会うシーン。そこ以外は、自分はシンミリするより笑顔になることの方が多かった。それで面白かったので2回観た。

 黛敏郎のマンドリンを使った音楽は哀愁を感じるが、泣かせるほど哀しさを増幅するものではなく、時々楽しいフレーズも現れ、むしろあの兄弟たちを暖かく見守っているような感じだった。

 驚いたのは日活のシネスコレンズの実にシャープな描写力。画面の隅から隅までボケや歪み一つ無い。東宝のレンズより明らかに良い。撮影では棺おけの下からの移動撮影や炭鉱住宅の屋根の上・・・(セットかもしれない)・・・にレールを敷いての横移動撮影など、手間のかかったものがあって面白い。夏の夜祭のモブシーンなども見ごたえがある。あれだけのエキストラを集めて、あのカット数をすべて一晩で撮ったのだろうか。

 貧しさという点では、あの4人兄弟より、浜村純の家族のほうが哀れに感じた。

 吉行和子さんて、若い頃は顔がフックラと可愛かったのね。

↓かって住んでいた廃屋社宅に戻り、植えていた花が開花しているのを喜ぶ兄弟。美しいカット。

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父、帰る

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   ↑次男のイワン。最初から終わりまで常に仏頂面。

洋画メモ、NO,105、NHKBS

2003年、ロシア、105分

英題- The Return.

監督- アンドレイ・ズヴャギンツェフ、撮影- ミハエル・クリチマン、音楽- アンドレイ・デルガョフ、

出演- イワン・ドブロヌラヴォフ、ウラジーミル・ガーリン、コンスタンチン・ネヴロネンコ、ナタリア・ヴドヴィナ

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 オフィシャルサイト http://chichi-kaeru.com/

 たまたまテレビを点けたら映画が始まるところで、ロシア映画だし、また小難しい文学物だろうから・・・(菊池寛の小説を翻案したものかと)・・・ 観ないつもりだったのが、結局お終いまでグイグイと引き付けられて観てしまった映画。調べるとヴェネチア映画祭・金獅子賞を獲った作品だった。

 同じ経験は高校の時、初めて観た「サイコ」でもそうだった。あれも、たまたまテレビを点けて放送していたものをヒッチコックと知らず、テレビから離れられなくなったものだ。

 オフィシャルサイトでもあるとおり、観ているこちらは、なぜ・ナゼ・WHY?、で最後の最後まで続く。

 ネタバレになるのであまり話せないが、なんか雨のシーンや草原、湖、水の流れの映像を結構、長尺で見せるので、なんとなくタルコフスキーの影響を感じた。と、言っても、私は「惑星ソラリス」しか知らないのだけれど。 舟を漕いでいるシーンなどは、溝口健二的なものも感じた。

 他のサイトからの情報だが、ロシア正教の日曜から始まり土曜で終わる1週間を象徴的に描いているということだ。だから、ちょっと日本人には意味深なシーンも解り難い。

 一つ、注意というか、知っておくと良いことは、父親は映画の後半近で、自分を頑として受け入れない次男のイワンを初めて「ワーニャ!!!」と愛称で呼んでいる。

 また、肉親の父親を「あの人」と呼ぶほど嫌い、一時はナイフで殺そうとする態度だったその次男は、終盤で父親を初めて「パパ」と呼んでいる。

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戦場にかける橋

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洋画メモ、NO,104、NHKBS

1957年、コロンビア、シネスコ、161分

原題- The Bridge on The Kwai.

監督- デヴィット・リーン、撮影- ジャック・ヒルデヤード、音楽- マルコム・アーノルド

出演- ウィリアム・ホールデン、アレック・ギネス、ジャック・ホーキンス、シェームズ・ドナルト、アンドレ・モレル、早川雪洲、ヘンリー・大川、勝本圭一郎・・

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 鮮明で美しい画面により、やっと観た気がした。

 初めて観たのは高校生の頃で、シネスコサイズをテレビサイズにトリミングしたものだった。もちろん放映時間も民放だったので、本来161分のものを80分くらいにカットしたものだったろう。・・・ ほぼ半分ではないか。

 それにしてもロケ撮影によるセイロンの野生・自然の美しいこと。それだけでも見ごたえがあった。

 斎藤大佐を演じる早川の英語は、あえてジャパニングリッシュにしたのだろうか。彼は永年アメリカにいたので、もう少し流暢に発音していてもおかしくないが。

 それよりも日本兵の日本語が可笑しい。「オイ、オッチャ(お茶)」・・・公開当時の日本の映画館でも失笑が起こっただろう。日本兵が、脱走した英国兵を追うシーンや、橋の上で影絵遊びする彼等の日本語も甚だおかしいが、早川や大川による原語指導が無かったのだろうか。

 日本兵の軍服姿も何かヘンだが、1958年当時は旧日本兵も大勢いて、これまた失笑を買ったかしれない。

 早川の兵舎に床の間があって山水画が飾られているのも、当初はステレオタイプの変な日本人像を感じたものだが、今はそれほどヘンとは思わなかった。ああいう日本人将校もいたかもしれない。

 日本軍がマキシム型機関銃・・・(水冷式なのに水を循環させるチューブがついていない)・・・を使っている。あまり詳しくないが、これは恐らく間違いだと思う。敵から奪った兵器の使用も禁じられていたはずだし。

 と、また揚げ足取りをしてしまった。

 長いけど、見ごたえのあるいい映画です。

 劇中に流れている音楽で、ホールデンの爆破部隊一行がジャングルをさまよっているときの音楽は、1960年代に日本で放映されていたアメリカTV番組「スーパーマン」の中で使われていた。当時のアメリカから買っていた番組は音声が入っていなかったので、日本の番組制作会社がチャッカリこの映画の音楽を拝借したものと考えられる。

 

 

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HACHI  約束の犬

洋画メモ、NO,103、NHKBS

2009年、ソニーピクチャーズ

原題- Hachiko: A Dog`s Story.

監督- ラッセ・ハルストレム、音楽- ジャン・A..P・カズマレック

出演- リチャード・ギア、ジョアン・アレン、ヒロユキ・タガワ、サラ・ローマー、ジェイソン・アレクサンダー、エリック・アヴァリ・・

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 それほどドラマチックな話ではないのに、映画を観て初めて咽び泣いてしまった。やっぱり動物には勝てない。

 泣くつもりなど全く無かったのだが、ラスト近いシーン、雪の舞う中、老いたハチが横たわり、目をつむり、死を迎える前の回想視しているところで嗚咽した。

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 場面的には、私のような映画のド素人は、冷たくなって口から舌を出して死んでいるハチを、ホットドック屋のオヤジが抱きかかえるカットがあるのではないかと予想したが、それは無かった。

 監督は、あえてそれを省略して、映画を見ている観客に、そのシーンを想像させている。オリジナルの邦画・「ハチ公物語」は観ていないけれど、その中で、もしハチ公が死んで横たわっているカットがあるのならば、少なくともこの展開だけは、リメークのほうが一枚上手である。

 撮影は、子犬と雄と雌?の成犬、老犬の計4匹で行われたようだ。 アニマル・トレーナーに頭が下がる。撮影時間は、かなりNGで食われたかもしれないが、デジシネカメラを使えば高いフィルムの浪費は無い。

 大学教授のギアが死んだあと、亡き主人を迎えるハチのシーンでは、CGで見せる四季の変化、冬の雪のシーン、それにシンプルでクールなピアノ音楽のせいで、始終、せつない感じを漂よわせて、しだいにラストの悲しみへと誘う。

 日本のお寺の住職が、なぜアメリカに子犬を送るのかは、説明が無い。

 犬の名札に「八」の漢字しか無く、みんなHACHIと呼んでいるのに、なぜ、大学教授の孫は学校の黒板にHACHIKOと書いているのだろうか。

 毛並みもはっきり分かる鮮明なHD画面の中のハチを、何度ナデナデしてやりたかったか。

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三等重役

邦画メモ、NO,67、NHKBS(10年ほど前録画したもの)

監督- 春原政久、 撮影- 玉井正夫、 音楽- 松井八郎、

出演- 河村黎吉、小川虎之助、森繁久彌、小林桂樹、進藤英太郎、沢村貞子、大泉滉、

関千恵子、千石規子、藤間紫、越路吹雪、三好栄子、村上冬樹・・

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  「いかん、いかん、オールいかんのである。」という社長の文句。この映画を随分前に観てから自分も心の中で、なにか上手くいかない時使うようになった。口に出しては言わない。

 このセリフは小川虎之介、河村黎吉と、もう一人の重役の3人が喋っている。昭和27年当時流行っていたのだろうか。

 イカレポンチこと大泉滉の「オー・ミステイク」や彼女役の「とんでもハップン」という流行語があったことは既に知っていたが、今更「飛んでも八分、歩いて十分」なんて使おうものなら、何言ってんだコイツと思われてしまう。恐らく70歳以上の人間にしか受けぬ。

 森繁久彌も敵わないと自認させた河村黎吉さんの芝居は、今回はあまりウマイと感じないが、南海産業・東京支所での社員への説教は説得力があり、こちらまでかしこまってしまう。ここが演技の見せ場であった。

 ウマイ芝居といえば、越路吹雪さんが良かった。お好み焼き屋の女将役だが、役にはまっている。河村社長が係る、この彼女の出るエピソードは、映画の中でもホノボノするいい話である。

 関千恵子という、ちょっとコケテッシュな女優さん。「煙突の見える場所」にも出演していたが、南海産業の応接室での芝居は、顔の表情の変化など、なかなかうまかった。

 今の若い人はパージということを知っているだろうか。それが分からなければ話にならない映画である。

 それにしても名優さんが沢山出演していい芝居見せてくれる。たのしい映画。

 

 

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