« インシテミル | トップページ | 秋刀魚の味 »

おかあさん

邦画メモ、NO,64、NHKBS

1952年、新東宝、98分、白黒、スタンダード

監督- 成瀬巳喜男、撮影- 鈴木博、音楽- 斎藤一郎、

出演- 田中絹代、香川京子、三島雅夫、中北千枝子、加東大介、岡田英次、沢村貞子・・

-------------------------------------------

 ひさしぶりにいい邦画を観た。成瀬監督のものでは、名作・「めし」、「浮雲」よりずっとこの映画のほうが好きだ。

 標準レンズを使った何気ない構図がよい。成瀬作品は、同じ標準レンズによるバストショットを多用した小津監督作品のように、役者がガチガチになって演技しているものより、はるかに硬さの取れた自由性を感じられる。また、特にこの作品では、田中絹代のさりげなく見えて、よく計算された演技で「ホッ」としたような安心感もある。

 香川京子は撮影時、21歳で、この育ちの良さそうな顔立ちの整った美人が、せんべい布団で兄弟ザコ寝する、赤貧洗うが如しの家庭の長女を子供っぽく演じているのは、また意外な面白さがある。彼女には友達以上恋人未満という関係の岡田英次と付き合っているのだが、当時岡田は30歳を超えていて、その岡田もまた子供っぽい仕草と行動なので、この二人はちょっとアンバランスであった。

 香川が花嫁衣装になるシーンでは、さすがに五十路に達した人間には「ホロッ」とくるものがある。それに見惚れる母親・田中絹代の顔にも、これまた「ホロッ」とくる。

Dscf0007_medium

Dscf0008_medium

 年齢18歳役の香川京子が嫁入りするかどうかは、ネタバレになるので話せない。

 ただし、個人的には、このヨットみたいな帆掛け舟みたいな頭の島田・花嫁姿は、好きではない。それにしてもこの時代の香川京子は本当に清純で可愛い。今はもう80歳になるのだけれど。

 冗談も言わない真面目な監督のイメージがある成瀬作品としては珍しく、ちょっとした、いたずら・カットで観客をビックリさせているので、まだ未見の方は楽しみにして観てほしい。

 原作は素人の作文からきているそうで、その作文応募では森永製菓が関与している。その為かオープンセットのシーンでは、しきりに「森永キャラメル」の看板が現れる。その広告代で権料をまかなったのだろう。

 録画して保存し、何度も鑑賞したい、大事な作品。

|

« インシテミル | トップページ | 秋刀魚の味 »

邦画メモ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/412224/42644860

この記事へのトラックバック一覧です: おかあさん:

« インシテミル | トップページ | 秋刀魚の味 »