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手術主治医手術中

「ウッ、グッッ・・麻酔の注射かなんかねえのか・・・」

「おまえみたいな親不孝者にやる注射はない」

               -「酔いどれ天使」-より

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↑手術後、一週間を経て抜糸し、ギプスをつけた状態。

 入院してから三日目の午後一時、手術室に入った。すでに30分前から点滴針がブッスリと刺さっている。この点滴溶液というのは成分を見てみると、ほとんどポカリスエットと変わらないのではないか。

 手術室に入る前、家族から「がんばれ」と言われたが、ワシャ寝てるだけでなんにもしないけどね。「がんばるのはドクターだ」と返事をすると、ストレッチャーを押している看護師に受けていた。

 手術室はエレベーターで降りた2階にあり、感染症防止のためか他の病棟と隔離してある。鉄の重い扉の内側は、さすがに清潔で新しい感じがする。この病院は築60年を過ぎるのだが、手術室だけは最近改築されたようだ。

 手術台は狭い。寝返りをうつと落っこちそうだ。上半身は特別な上着を着せられ、頭にはカバーを着けられた。下半身は履いていたデカパンのままで、フルチンというわけではなかったので安心した。

 麻酔は下半身麻酔である。全身麻酔を経験したかったので残念。骨髄注射麻酔にて行う。体を横臥し、背中にブスリとやられた。骨にやることを聞かされていたので、強烈な痛みを想像していたが、普通の注射と変わらない痛さだったのでホッとした。 

 その後、胸には心電図の電極、右腕には自動血圧計をはめられた。尚、両手とも体が動かないように結束バンドで板に固定される。

 ペン・ケーシーは2人、アシストの看護師は3人。室内は緊迫した雰囲気はまるでなし。時々彼らの世間話的な会話が聞こえる。自分も緊張しているつもりはなかったが、やはりどこかに不安を感じていたのだろう。アホなことをナイチンゲールに語りかけてしまった。

 手術室内には患者の緊張を和らげるため、スピーカーからBGMとしてオルゴールの音楽が流れているのだが、即興演奏のツマラナイ曲ばかりであったので、「宮崎アニメのラピュタやトトロの音楽をオルゴールにした音楽があって、それはなかなか良いですよ」と話しかけたのである。

 ナイチンゲールは「???」、「ああ、そうなんですか」と、ほとんど無視した。五十路のオヤジがイキナリ何を言い出したのかと思ったのだろう。そのとき、私の顔は少し赤面し、計測器の発する心拍数のビート音が早くなった。話さなければよかったと後悔。

 初めて経験する下半身麻酔は面白かった。まず、注射から5分で腰から下が暖かくなってくる。半身浴につかっている感覚。ポカポカと心地良い。やがて、その感覚も消えるとケーシー氏は、なにか冷たい金具を腰から下の皮膚に当てた。麻酔の効き具合を調べるためらしい。

 腰の下は、明らかに何かムズムズした感触があった。ヒザ上10センチ辺りも触っている感触がある。その後、「ここはどうですか」と訊かれた場所はまったく感覚がない。自分は「エエ?」と答えると、ケーシー氏は「良い感じで効いてきましたね」と答えた。ここがザックリ切開する部分らしい。ちょっと安心した。

 切開前に毛脛を剃られた。ワサワサした感覚があった。足を消毒しているとも言われた。感覚なし。いつの間にかオペが始っていた。金具を入れるための骨をゴリゴリ削るような音も全くなし。静かなもんだった。

 こちらは何もすることが無い。つまらないBGMは無視して、退屈なときにやる手段、頭の中でショパンの「24の前奏曲」のCDをかけた。それが終わると作品10と25のエチュード。ピアニストは誰ということもなく、私の演奏解釈も入っている。これだけで1.2時間は過ごせる。

 3分に一回ぐらいだろうか。自動血圧計が作動し血管を押してくる。あのドク・ドクと血管を押されるのは気分の良いものではない。そこで、この時だけショパンの作品10の1番、ハ長調の練習曲を、血管の脈動のテンポに合わせて頭の中で演奏した。これは大変遅いリズムでオサライしているのと同じことである。おかげでいやな感覚を忘れることが出来た。音楽というのはいいもんだ。

 そんなことが続き、いつのまにか手術は終わっていた。終了時間は午後4時半。3時間掛かった。ケーシー氏は「あ、うまくいきましたよ」と、さりげなく答えてくれた。彼にとってはこんなこと、いつものルーチンワークに過ぎないのだろう。

 実は骨折してから足掛け3日間のうち、この手術して麻酔が効いている時間が痛みから解放された一番楽な時間であった。感謝。

 ストレッチャーで手術室から出るとき、自分の右足の太腿あたりを触ってみた。「なにか他人の足みたいだ」と発するとケーシー氏は笑った。

                             To be continued.

 

 

 

 

 

 

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日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

ペン・ケーシーさんはいくつぐらいの先生ですか?
>時々彼らの世間話的な会話
余裕ですね~。ドクターが「あっ!」なんて言葉を発したら怖いですものねsweat01

下半身麻酔で3時間の手術・・・意識があるから、きつかったのでは?

埋めこんだ金具は未来永劫そのままですか?
金属だったら感電しやすい体質になるのでは・・・
(愚問でしょうけど、ちょっと気になります)


投稿: マーちゃん | 2011年10月10日 (月) 00時12分

マーちゃん。こんにちは。
ケーシー氏は30代と40代というところでした。
勤務医というのは若い人が多いですよね。
ルーキーでもなしベテランでもなしですか。

「あっ!」「あれ?」とかなんかの言葉は
柄本明さんがやりそうですね。smile
「気にしない、気にしない」とか弁解して
ギャグのシーンができそうです。

3時間は短く感じました。その半分の感覚。
もう終わったの?という。ショパンのおかげです。

金属はもう入れたままでいいようです。
チタンは高いので火葬場で回収してほしいですね。coldsweats01

山登りで雷にあったらどうしましょうか。
逃げるところがない・・・sweat01

投稿: アラン・墨 | 2011年10月10日 (月) 16時34分

アランさんお久しぶりです。わぁ~・・・やっちゃってたんですね。しかし・・・自らの不幸をネタにするアランさんナイス!
動けない時間を使って、沢山映画を見て、感想をタップリお願いします!・・・なんつって!

冗談はさておき・・・一日も早い完治をお祈りしております。お大事に!


投稿: ぴろQ | 2011年10月12日 (水) 00時01分

ぴろQさん。お久しぶりです。
お見舞いのお言葉ありがとうございます。
やっちゃいました。
入院というものに子供のころから憧れていたので、
それをネタにしています。
バイク事故は悲惨な例が多いので、
これだけの怪我で済んだことを感謝しています。

BSで録った映画はディスクに一杯貯まって
塩漬けになっています。
はい、たくさん観なければ。

投稿: アラン・墨 | 2011年10月12日 (水) 10時58分

おじゃましますぅ。bottle
ドキドキ緊張する手術前なのに、アラン・墨さんて面白いですね。
デカパンのままと言えば・・・母の友人(美人で体がデカイ)が、
病院に検査に行った時、置いてあったバルローブみたいなやつを
2枚重ね着し、脱がなくていいのにパンツまで脱ぎ、バリウムを
一気飲みし「おかわり」と言い、下に何も履いてないのをセンセに
見られてビックリされ、自分で両手で前を隠し、最後に間違えて
知らない人の靴を履いて帰ってきたそうです。。。

頭の中でショパンのCDをかけたり、演奏したりできるなんて、
さすがです。。アラン・墨さんってやっぱり雲の上のお方です。
私なんてせいぜい「帰って来たヨッパライ」ぐらいしか流れてきません。shock長々と失礼いたしました。お大事に。riceball

投稿: ぱんだうさぎ | 2011年10月12日 (水) 23時07分

ぱんだうさぎさん。こんばんは。
今回の入院は貴重な体験でした。
手術も実はちょっとした楽しみだったのです。
でも術後はさすがに苦しみましたね。
やっぱり楽なものでないです。

美人でデカイというと私の想像では
ちょっと古いけど前田美波里さんタイプでしょうか。
ユニークな人ですね。happy02

雲の上はエエデッセー
bottleハうまいしkissmarkちゃんはキレイダ


投稿: アラン・墨 | 2011年10月13日 (木) 20時46分

またまたこんばんは。
お恥ずかしい。バルさんのところにおじゃました後だったので、
バスローブのことをバルローブと書いてましたー。
手術楽しみだったですか?今痛みはありますか?
話せば長くなるので省略しますが、私、手術したことがあるのですが、センセが「あれ?あれ?なんでやろ?」と言ってるのが
聞こえて、ホントに怖かったことがあります。痛かったし。。
ブー残念でした。デカ美人は、前田美波里タイプではないです。
藤原紀香でもない。。。よく考えたら水戸黄門の風車の弥七の
奥さん役の人を太らせて背を高くしたような人です。天然だけど、迫力のある美人さんkissmarkです。

投稿: ぱんだうさぎ | 2011年10月13日 (木) 21時23分

ぱんだうさぎさん。お晩です。
バロルーブというものがあると思いました。
私は私で、長い間バルさんではなく、あのSF監督ジョージ・パルのパルだと勘違いしていたのですよー。coldsweats01
バルサン。殺虫剤みたいだけどゴメンナサイ。

与七の女房ですか、どんな人だったかなー。再放送やっているけど観たいなー。

手術というのはコントにし易いですよね。
上のコメントのように柄本明と志村けんがドクターで・・・
ばんだうさぎさん・・「ダメダこりゃー」、
「ハラホロヘレー」・・ジャン・ジャンdash

投稿: アラン・墨 | 2011年10月13日 (木) 23時17分

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