« 地デジアンテナこれでOK | トップページ | スーパー8 »

操演とは

墨氏の愛した特撮

 「エイリアン2」には惑星周回軌道で待機するマザーシップから分離して大気圏に突入し、空中を飛行、さらにホバリングと垂直離着陸できる「ドロップシップ」と呼ばれる飛行体が登場する。

 このドロップシップの撮影は明らかにワイヤーワークによるミニチュア特撮であるが、実に粋な演出がなされている。

 それは、垂直離陸時にヘリコプターの挙動態勢をとっていることだ。

Dscf0002_medium

↑垂直離陸した後・・・

Dscf0003_medium

↑機体の姿勢をヘリコプターの初動のように前方に傾けている。

Cocolog_oekaki_2011_06_30_21_23

 つまり、このドロップシップはガスジェットを噴射して垂直離陸しているので、ヘリのようなメインローターを傾けて前方に進行する必要がないものを、あえて、傾きをかけて演出し、観客側に向ってくる進行方向をアピールしているわけである。

 こういうのが「操演」の「演」ということなのではないだろうか。

 これを凡庸な特撮マンが操演すると、モデルを垂直に持ち上げたあと、機体を傾けず水平に移動させるだけである。それは航空機の動作としてはダイナミックではない。映像としても面白くない。

 ↓尚、このドロップシップは、離陸反転でもダイナミックで曲線的な演出をされている。

Dscf0008_medium

↑、この動きは見事だ。機体にひねりをかけて反転させている。

 ドロップシップはその後、機内に侵入したエイリアンによって女性パイロットがやられ、操縦不能となって岩に激突、大破炎上する。

 この一連のシーンは、スタジオでのフロントプロジェクション撮影による人物の逃げまとうカットとともに、パイロテクニックと音響効果で盛り上げられ、素晴らしいミニチュア特撮シーンとなった。

Dscf0004_medium

Dscf0007_medium

Dscf0006_medium

↑プラント内に突入、爆発炎上するドロップシップ。画面中央の金属片の地面を引きずる効果音がちゃんと入れてある。

 すべてにおいて完璧なミニチュア特撮。

|

« 地デジアンテナこれでOK | トップページ | スーパー8 »

墨氏の愛した特撮」カテゴリの記事

コメント

こちらにもお邪魔させて頂きますね。

「待ってました」のミニチュア撮影関連記事。“アラン・墨”節炸裂の「分かる人には分かる」薀蓄が相変わらずたまりません。“見立て”・・・と言うのでしょうか、現実には存在しないガジェットや車輌や機体には「それらしい」演出効果を加えると

本当に「リアリティ」が一気に増しますよね。勿論「実在する」対象においては一層の配慮が必要となる訳で。“動き・動作”と“音響”がピタリ一致したその時、観客はまさしく「画面の中」に入り込む臨場感を得るのでしょう。

私も“シビれる(或いはニヤリとさせられる)”心憎い緻密に作りこまれたシークエンスをおおく鑑賞したいものです(尤も最近はCG関連の表現が多くなったようですけど・・・)。


“爆発した金属片の”地面をひきずる音、と言えば珍しいことに邦画特撮の「ガメラ」シリーズを思い出しました。

先ずは「ガメラ3」での京都駅のコンコースの構造物が爆発四散して地面に激突するシーンの「ガラガラガシャン、カランカランカラ・・・」という音。

そして第一作目の中央線を襲い、中の乗客をギャオスが食べるシーン。この“音”はかなり残酷なので再現しませんが、当時も「これはちょっとリアル過ぎるんじゃ・・・」と少々引いた覚えがありますね。まあ、そこまで「リアル」だったという証左でしょう。

投稿: ワン | 2011年7月 9日 (土) 20時14分

CGだと、かえって物理的アクションが重要ですよね。最近はこれがオーバーな表現で首を傾げます。
これはアニメでもそうですけど、実写の特撮のほうがリアルさを出すのでは楽かもしれません。

実はこの記事のラストに、ワンさん仰った平成ガメラシリーズの効果音について記述しようと思っていたのです。京都駅の崩壊シーンの効果音は日本映画としてはよくやったと感じておりました。
それというのも、また、東宝の悪口になりますが、あの会社の効果音は20年近く、効果音ライブラリーの同じ録音をハメ込むだけで、ひどい手抜きでしたので。
爆発音や銃声など、どの映画のどのシーンでも同じ音で笑ってしまいます。
アンダーソン作品の効果音も緻密でしたね。

投稿: アラン・墨 | 2011年7月 9日 (土) 22時34分

アランさん またまたお邪魔します。そして過去記事へのコメ
失礼いたします。

エイリアン2は私にとって究極の『特撮』作品として記憶に
刻み込まれています。
劇場で初めてみたときに、SF作品=操演(吊り)は使わないでしょ?
という固定観念もあってか、一連のドロップシップのシークエンス
そしてパワーローダーが冒頭で荷物を運搬しているとこやクイーンと
格闘しているる場面は、いささか頭が混乱したものです。

邦画のいい意味で安心感のある特撮を見続け、そしてスターウォーズなどで
ブルーバックでの合成に驚いたあとだけに、
エイリアン2は驚きの連続でした。
子供ながらに合成の画像でない事は空気感?からわかりましたが
こんな動きを模型で?とか、人物との絡みの実物大のシーンと
模型のシーンの照明に破綻があまり感じられないなぁ...
しかも雨降りだなんて...といろいろ特撮好き少年は頭をフル回転しながら
目に焼き付けながらみた記憶があります。

ちなみにドロップシップ墜落シーンでの鉄パイプが転がる音は
あの映画の効果音の中で一番驚いたものです。

投稿: 特撮太郎 | 2012年4月 5日 (木) 09時20分

特撮太郎さん。こんばんは。
仰るとおり、究極の特撮映画ですね。
ミニチュアシーンと実写シーンの融合に違和感がありません。
空港のトーイングカーを改造した軍用車は、実物とミニチュアと交互に登場しますが、見分けがつきません。
ご指摘のパワーローダーはどのように撮影したのでしょうか。私には解りませんでした。

効果音については、ハリウッドではこれが普通のことでしょう。映画ごとに効果音マンがていねいに音作りをします。が、日本映画ですと、ライブラリから音を拾ってきてハメコムだけです。
私は何度も指摘していますが、昔の東宝などは30年近くも同じ効果音を使っています。怪獣映画のお巡りさんの拳銃の音と黒沢「用心棒」の卯之助のピストルの音が同じなんですね。爆発時の破片の音なんて聞こえたためしがありません。

投稿: アラン・墨 | 2012年4月 5日 (木) 22時45分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/412224/40618753

この記事へのトラックバック一覧です: 操演とは:

« 地デジアンテナこれでOK | トップページ | スーパー8 »