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裸の島

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邦画メモ、NO,62、NHKBS

1960年、近代映画協会、白黒、シネスコサイズ、96分

監督- 新藤兼人、撮影- 黒田清己、音楽- 林光

出演- 乙羽信子、殿山泰司、田中伸二、堀本正紀

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 随分前から観なければならない作品だと頭に記憶していたが、ついに鮮明な画像で鑑賞できた。NHKプレミアムBS3チャンネルのおかげである。さっそくディスクの永久保存版とした。もっともNHKBSで放送される映画の80パーセントは再放送であり、1.2年もすればまた観られるのだが。

 音楽や効果音、人の泣き声などは入っているのに、セリフがまったくないこの映画は、大人の絵本というべきか。リアリズムはない。

 なぜ水を運ぶ桶が4つしかないのか。舟に8つ載せれば舟による往復は半分で済むはずで、その水桶を買う現金収入くらいはあるだろう。

 一家が尾道に鯛を売りに出かけるシーンまで、年代設定は不明であった。当初、地主のような家に収穫した麦の袋を納めにゆくシーンがあり、私は昭和一桁の時代の話だと思っていた。地主の家がある町並みの屋根にはテレビアンテナもなく、クルマも走っていない。

 第一、島の一家の生活は完全に小野田さんか横井さんかロビンソン・クルーソーのそれで、文明の利器もランプ一つであり、何時の時代かわかろうはずがない。後のシーンで分かるが、島から離れた尾道の街にはテレビがショーウィンドーに飾られ、トヨペットクラウンが走っていて、ようやく映画の制作年ころだと分かる。

 黒澤的リアリズムで言えば、乙羽、殿山夫婦が水桶を運んだり、耕すなどして労働しているアクションは農民には見えない。足腰の力の入れ方が農民ではない。過酷な撮影に耐えた二人の役者さんには悪いのだけれど。

 特に乙羽さんは、舟を漕いでいる動きなどは元宝塚スターだけあって、まるでダンスのようにしなやかだ。重くしなる天秤棒をかついで歩いていても、アップになった顔と華奢な体つきはエエトコの子である。

 と、私がグダグダ言うようなことも新藤監督は承知済みでこの映画を作ったのだろう。なにせ制作費約500万円の映画である。

 作物に水をくべてやるシーンが当初延々と続き、尾道への一家遠出のほのぼのした束の間の平和を見せる映画の前半では、私は劇的展開にもっていくには子供を病気かケガで死なせるしかないだろうと感じたが、その通りになった。

 子供の弔い・・・お坊さん一人による質素な読経と大地での火葬。親戚も来ていないので、せつない・・・ にクラスメートと担任が島に艀でやってくるシーンでは涙が出てきた。

 子供を荼毘にふした後、乙羽さんが島の上に佇み、島向こうで炸裂する花火を呆然と眺めているシーンが素晴らしい。・・・フィルム露光のむずかしい撮影だ。

 流れている音楽は、時々鉄琴かチェレスタのような音が、星が瞬くように効果的に使われてあって、メロディーも永く頭に刻まれるものであった。「名もなく貧しく美しく」の音楽に感じが似ているなと思ったが、調べると同じ作曲家であった。どちらの映画もセリフを言わないアクションだけのシーンがあるということで共通している。

 この映画でもっとも予算を食ったシーンは、ファーストとラストのヘリによる、段々畑や二人が耕している島の引きの空撮だろう。もちろん映画のことだから、1回で同時に撮影したに違いない。

 役者さんのギャラは3ヶ月の生活費だったという。二人の子役はもうそろそろ還暦というところだが、資料では故人らしい。彼らから撮影エピソードを知りたい。

 

 

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