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2011年6月

操演とは

墨氏の愛した特撮

 「エイリアン2」には惑星周回軌道で待機するマザーシップから分離して大気圏に突入し、空中を飛行、さらにホバリングと垂直離着陸できる「ドロップシップ」と呼ばれる飛行体が登場する。

 このドロップシップの撮影は明らかにワイヤーワークによるミニチュア特撮であるが、実に粋な演出がなされている。

 それは、垂直離陸時にヘリコプターの挙動態勢をとっていることだ。

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↑垂直離陸した後・・・

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↑機体の姿勢をヘリコプターの初動のように前方に傾けている。

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 つまり、このドロップシップはガスジェットを噴射して垂直離陸しているので、ヘリのようなメインローターを傾けて前方に進行する必要がないものを、あえて、傾きをかけて演出し、観客側に向ってくる進行方向をアピールしているわけである。

 こういうのが「操演」の「演」ということなのではないだろうか。

 これを凡庸な特撮マンが操演すると、モデルを垂直に持ち上げたあと、機体を傾けず水平に移動させるだけである。それは航空機の動作としてはダイナミックではない。映像としても面白くない。

 ↓尚、このドロップシップは、離陸反転でもダイナミックで曲線的な演出をされている。

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↑、この動きは見事だ。機体にひねりをかけて反転させている。

 ドロップシップはその後、機内に侵入したエイリアンによって女性パイロットがやられ、操縦不能となって岩に激突、大破炎上する。

 この一連のシーンは、スタジオでのフロントプロジェクション撮影による人物の逃げまとうカットとともに、パイロテクニックと音響効果で盛り上げられ、素晴らしいミニチュア特撮シーンとなった。

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↑プラント内に突入、爆発炎上するドロップシップ。画面中央の金属片の地面を引きずる効果音がちゃんと入れてある。

 すべてにおいて完璧なミニチュア特撮。

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地デジアンテナこれでOK

地上デジタル放送のアンテナはこんなんでバッチリ写りました。

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 これは永年使用してきたアナログ用UHFアンテナのケーブルが接続されている部分で、送信用ヤギアンテナだと放射器の部分(受信アンテナなので受信器と言うべきか)。

 これを2階のベランダにロックタイで括り付けただけで全チャンネルが問題なく写りました。(アンテナの向きは中継塔の方向にほぼ合っている)

 私の家はテレビ中継塔から直線で5キロほど離れていますが、このアンテナの位置は家の陰に隠れていて、中継塔は目視できない位置にありますがOKでした。

 実はこのアンテナ、家の中の床に転がした状態でもちゃんと写ったのです。

 そこで思いました。

 地デジに換えようとしているみなさん。

 お宅の家からテレビの中継塔が見えるのだったら、地デジアンテナは今まで使っていたUHFのアンテナか室内アンテナで十分ですよー。

 業者が勝手に値段の高い多素子の地デジアンテナを取り付けようとしたら

 ボッタクリだと思ってください。

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↑こんな多素子の地デジアンテナは要りませんよー。

 このアンテナは飛騨高山から愛知の地デジ電波を受信しようとして設置した多素子・高利得のアンテナ。テレビ愛知を観たいがためにやってみたが結果はダメでした。 

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いい歳して涙もろい

 最近、なんというピアニストだったか忘れたけれど、NHK・Eテレの日曜日夜9時に放送しているクラシック番組でラフマニノフの特集があり、女性ピアニストがパガニーニ・ラプソディの18変奏を弾いているのを聴いた。

 映画やテレビのCMなどで、協奏曲2番と同様、さんざん使われている、あの甘い、あまーい曲であるが、このピアニストの演奏では私はちょっと物足りなかった。

 なぜ物足りなかったというと、メロディーの中声部があまり強調されていなかったからだ。これは別にこのピアニストの演奏が良くないというわけではなく、彼女がそのように解釈して演奏したにすぎなく、私の好みに合わなかったというだけ。

 それで、私の好きな演奏というのはルービンシュタインの弾いたもの。

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 ↑小学校6年生から愛聴しているレコードのB面に録音されている演奏。これが私のこの曲のスタンダードになっている。なんせこの演奏録音とはもう40年つきあっていますから。

 ルービンシュタインは、この18変奏の中声部を高音部のメロディーに埋もれて消されないように、少し目立せて弾いているのだ。↓赤い線の旋律。

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 文学センスがないのでうまく表現できないが、ルービンシュタインの弾く、この高音のメロディーと中音のメロディーの二重奏は、寄り添う男女の会話のようで、傷ついた女性を男性が優しく抱擁し慰め、いたわっているような描写・雰囲気を醸し出し、映画の一シーンのような・・・

 あ、いかん。 アルコールが入っていると感情が増幅されて目の前が涙でぼやけてくる。いい歳して。

 この空想シーンで登場する女性・・・大概イングリット・バーグマンかグレース・ケリー・・・というのが最近観た映画での高峰秀子サンと重なってしまって。・・・

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 ↑これは五所監督・「煙突の見える場所」での高峰さん。ただし、18変奏でのイメージはどちらかというと成瀬監督・「浮雲」のかわいそうなゆき子だろう。 なんで死んじまったの、ゆき子さん。

ルービンシュタインの演奏。17変奏から。

 

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ライダーよ、卑怯者になるな

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 交差点での信号待ちのとき、横断歩道を歩いていても車に乗って停車していてもオートバイで停車していても、こういう横着な停車をするライダーを見かける。

 停止線を越えて横断歩道、交差点に侵入しているわけで、完全なる交通違反であるが、違反うんぬんより以前に、他人を出し抜こうとする姑息で卑怯な精神が腹立たしい。

オートバイ乗りよ、ライダーよ

 卑怯なマネは止めよ。

 周りからの冷たい視線を感じよ。

  

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裸の島

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邦画メモ、NO,62、NHKBS

1960年、近代映画協会、白黒、シネスコサイズ、96分

監督- 新藤兼人、撮影- 黒田清己、音楽- 林光

出演- 乙羽信子、殿山泰司、田中伸二、堀本正紀

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 随分前から観なければならない作品だと頭に記憶していたが、ついに鮮明な画像で鑑賞できた。NHKプレミアムBS3チャンネルのおかげである。さっそくディスクの永久保存版とした。もっともNHKBSで放送される映画の80パーセントは再放送であり、1.2年もすればまた観られるのだが。

 音楽や効果音、人の泣き声などは入っているのに、セリフがまったくないこの映画は、大人の絵本というべきか。リアリズムはない。

 なぜ水を運ぶ桶が4つしかないのか。舟に8つ載せれば舟による往復は半分で済むはずで、その水桶を買う現金収入くらいはあるだろう。

 一家が尾道に鯛を売りに出かけるシーンまで、年代設定は不明であった。当初、地主のような家に収穫した麦の袋を納めにゆくシーンがあり、私は昭和一桁の時代の話だと思っていた。地主の家がある町並みの屋根にはテレビアンテナもなく、クルマも走っていない。

 第一、島の一家の生活は完全に小野田さんか横井さんかロビンソン・クルーソーのそれで、文明の利器もランプ一つであり、何時の時代かわかろうはずがない。後のシーンで分かるが、島から離れた尾道の街にはテレビがショーウィンドーに飾られ、トヨペットクラウンが走っていて、ようやく映画の制作年ころだと分かる。

 黒澤的リアリズムで言えば、乙羽、殿山夫婦が水桶を運んだり、耕すなどして労働しているアクションは農民には見えない。足腰の力の入れ方が農民ではない。過酷な撮影に耐えた二人の役者さんには悪いのだけれど。

 特に乙羽さんは、舟を漕いでいる動きなどは元宝塚スターだけあって、まるでダンスのようにしなやかだ。重くしなる天秤棒をかついで歩いていても、アップになった顔と華奢な体つきはエエトコの子である。

 と、私がグダグダ言うようなことも新藤監督は承知済みでこの映画を作ったのだろう。なにせ制作費約500万円の映画である。

 作物に水をくべてやるシーンが当初延々と続き、尾道への一家遠出のほのぼのした束の間の平和を見せる映画の前半では、私は劇的展開にもっていくには子供を病気かケガで死なせるしかないだろうと感じたが、その通りになった。

 子供の弔い・・・お坊さん一人による質素な読経と大地での火葬。親戚も来ていないので、せつない・・・ にクラスメートと担任が島に艀でやってくるシーンでは涙が出てきた。

 子供を荼毘にふした後、乙羽さんが島の上に佇み、島向こうで炸裂する花火を呆然と眺めているシーンが素晴らしい。・・・フィルム露光のむずかしい撮影だ。

 流れている音楽は、時々鉄琴かチェレスタのような音が、星が瞬くように効果的に使われてあって、メロディーも永く頭に刻まれるものであった。「名もなく貧しく美しく」の音楽に感じが似ているなと思ったが、調べると同じ作曲家であった。どちらの映画もセリフを言わないアクションだけのシーンがあるということで共通している。

 この映画でもっとも予算を食ったシーンは、ファーストとラストのヘリによる、段々畑や二人が耕している島の引きの空撮だろう。もちろん映画のことだから、1回で同時に撮影したに違いない。

 役者さんのギャラは3ヶ月の生活費だったという。二人の子役はもうそろそろ還暦というところだが、資料では故人らしい。彼らから撮影エピソードを知りたい。

 

 

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煙突の見える場所

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邦画メモ、NO,61、NHKBS

1953年、新東宝、白黒、スタンダード、108分

監督- 五所平之助、撮影- 三浦光雄、音楽- 芥川也寸志、

出演- 田中絹代、上原謙、高峰秀子、芥川比呂志

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 初見の時はたいして印象にない映画で、ただ、今まで観てきた高峰秀子出演の映画では一番彼女がステキに見えた作品だと思った程度。 下宿の自室で安っぽい作務衣みたいな黒い普段着の姿の彼女がカワイイ。高峰28歳の時の作品。彼女の年齢は昭和の年号と同じである。

 芥川比呂志が長セリフを喋っている演技を初めて観た。私にとって彼は「どですかでん」のイメージが強烈で、物も言わず、目を瞬きしない得たいの知れない俳優だったのだ。そんなに芝居が上手いようには見えないけれど、相変わらず頬がコケていて病弱な感じだなー。

 昭和28年の東京足立区北千住の町並みや生活が良く分かる。クルマに載せたカメラによる横移動撮影の下町風景は、後にゴジラが踏み潰し蹴散らしていった町並みである。2階に高峰と芥川を下宿させている田中絹代と上原謙夫婦の住む借家は、戦後のバラックをちょっとましな程度にしたくらいのあばら家で、つぎはぎだらけの襖や戸は閉めてもピッタリと閉まらない。

 ちょっと大声の会話も近所にまで筒抜け状態で、捨て子を無理やり預けられた上原・田中夫婦の家に顔を出した2.3軒向こうにあるラジオ修理屋のオッサンも、すべて事は周知済みで、二人に事情も聞かず「子供はさずかりものですよ」と話しかけるのも笑ってしまう。

 下宿している独身の男女、芥川と高峰の部屋が、襖一つ隔てただけというのも驚きであるが、考えてみれば、日本旅館の宿泊ではこういうこともあったものだ。ただし、その女の高峰は襖に男が部屋に入ってこれないよう、カンヌキみたいな簡単なロックをしていて笑わせる。

 笑わせるといえば、芥川が高峰におみやげとして買ってきた鯛焼きの薄さ。一個5円だからそんなに安いわけではないが、厚さ1センチもなかった。高峰はペラペラのたい焼きを、わざとフラフラと振って見せる。未来の人に向かって「昭和28年の鯛焼きはこんなんですよ」とディスプレイしているみたいだ。

 この映画が含蓄のある重要な映画だと気が付いて、2度観たのは山本晋也氏の解説による。晋也監督はラストカットの、水面で反射して見える、ゆらゆら揺れる4本のお化け煙突は、フラフラして方向性の定まらない登場人物を反映していると解説した。

 なるほど、この映画のすべての人物はしっかりとした信念を持たず、迷っている。ちょっと違う場所に移動すれば、火力発電所の煙突は4本であることは分かるはずなのに、ずっと3本だと思い込いこんでいた。みんな観念というものにとらわれている。

 これは、ちょっとした哲学書より、ずっと人間とは何かを暗示させるものではないか。

 ひょっとして、すごい映画なのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

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洋画メモ、NO,87、NHKBS

1979年、20世紀フォックス、118分

監督- リドリー・スコット、撮影- デレク・ヴァリント、音楽- ジェリー・ゴールドスミス

出演- シガニー・ウィーバー、トム・スケリット、ジョン・ハート、イアン・ホルム、ヴェロニカ・カートライト

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 懐かしかったけど、特撮やSF映画に血湧き肉踊ったころに観た当時同様、

現在でも自分としてはあまり印象のいい映画ではない。

 この映画でもっともワクワクするところは惑星に着陸して、異星人の遺跡に遭遇する場面。

人類初めての地球外知的生物の発見はSFファンとしてはセンス・オブ・ワンダーを体験するおいしいところ。

 ガスで霞んで見える藁で出来たような不思議な宇宙船やその内部、巨大な異星人の化石などの描写が素晴らしい。

 が、もう少し時間をさいて探検させてほしかった。せめて警告信号の発信装置の発見まで見せてほしい。

 なぜ、私の印象が良くないかというと、エイリアンがジョン・ハートから飛び出したところからこの映画はハードSFから、宇宙船というより、廃棄された工場内部のような、水が滴るガラクタ置き場地下室や換気ダクトなどでの怪物退治映画になってしまうこと。

 やろうと思えば無重力空間が作れる宇宙船内なのに、地球同様、1Gの重力の環境で、汚い言葉をたれる、あまり賢そうでない乗組員が右往左往している。

私にはおおいに物足りない。

 その怪物退治もリドリー・スコット得意の演出・・・暗いセットでフラッシュ・ライトの瞬き、天井からの水の滴りがさらに私の趣味になじまない。生理的不快で恐怖を煽る方法が気に食わない。

 それに加勢して不快なのは、エイリアンと遭遇してもただ立ち尽くし、キーキー泣き喚くだけのヴェロニカ・カートライトの醜い顔。・・・2.3発ひっぱたいてやりたい・・・ 彼女の妹、アンジェラ.(「宇宙族ロビンソン」のペニー)はカワイイんだけどなー。

 リドリー・スコットはどうしてアア、強烈な光の点滅や回転が好きなのだろうか、あるカットでは宇宙船内の壁に、物理の加速度の実験などで使うストロボライトが二つも埋め込まれ点滅していた。安直な演出だと思う。

 ハイビジョン映像は映画館で観るより圧倒的に画像が良い。30年前のこの映画はもっと暗くシャープではなかった。その画質の良い画面で気が付いたことは、ノストロモ号のモデルの凸凹は、あまり上手に作られていないこと。

細かい凸凹がしつこく雑である。

 セットに組み込まれているCRTディスプレイ、コンソール、キーボードがあの頃の8ビット・コンピュターの感じで懐かしい。キーポードを操作するとハードディスクらしき音がギーギー・ガタガタとするのはこの映画が初ではないだろうか。

 

 

 

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