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2011年4月

有りがたうさん

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邦画メモ、NO,60、DVDレンタル

1936年、松竹、78分、白黒、土橋式トーキー

原作- 川端康成、 監督- 清水宏、 撮影- 青木勇、 音楽指揮- 堀内敬三

出演- 上原謙、桑野通子、築地まゆみ、二葉かほる

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 私の愛読書、川本三郎さんの「映画の雑貨店」で紹介されていた作品で、いつか観たいと願っていたが、レンタル店でソフトを見つけ、喜び勇んで鑑賞した。

 セリフの意味が良く分からないカットがあり、英語字幕付きで再度観た。

 録音状態は良好で、古い黒澤映画のように何を言っているのかサッパリ分からないということは無かった。役者のセリフ録音はすべてスタジオによるアフレコで、多少マイクはスタジオの残響を拾ってしまっている。効果音は、せいぜいバスのエンジン音やブレーキ音くらいで、ロケ撮影の環境音がほとんど編集されていなくて、音は耳が遠くなったような無機質な感じに聞こえる。

 その役者の演技はすべて素人くさく感じるが、これは清水監督の演出方法によるものだろう。 セリフの発声や間合いは今の映画ではありえないほど超スローモーで、初めて小津作品を観たときのような、ちょっとしたショックを感じる。 

 ただし、これは当時のトーキーの再現性を考慮したものとも考えられる。映画館の再生装置も性能が悪いため、わざと解りやすくユックリ発音したのではないか。

 全席15人分の小さな乗り合いバス(映画の中で乗客は単に「自動車」と呼んでいる)が伊豆の下田から天城トンネルを越えていくロードームービーで、今では信じられないほど善人の運転手さんとお客さんたちのお話。

 乗客たちでは、バスの中の一人の娘のように、娘を人買いに売るだの、男は勤め先がないだの、当時の大不況の暗い話ばかりが語られるが、何故か流れている音楽はジャズ調かスィング調の明るいものばかり。この対比がおもしろい。

 英語字幕で意味が分かった箇所は、東京ではターキーこと男装の麗人・水の江瀧子が流行っているという会話のシーン。私は当初、トーキー映画だけのことだと聞き違いしたのだが、水の江ターキーとトーキー映画のことがゴッチャに語られているのでヤヤコシイ。

 全シーンは完全ロケで、当時はこういう映画は珍しかったという。恐らく撮影ではバスを二台準備し、フロントガラスからバス内にカメラを向けたカットとリアガラスから設置したものと使い分けて撮影しただろう。 役者さんには交互に乗り換えてもらい、カットの続きを撮影する方法。

 それとは別に、人や荷車などとすれ違うカットでは、走りながら前方と後方を全面撮影できる専用撮影車が使われているだろう。このシーンが乗り物好きには楽しい。ただし、全区間、未舗装の道で、時速30キロ程度の速さなので、のんびりしたものだ。

 「有りがとうさん」というあだ名の運転手が乗客たちをチラリ・チラリと観察するには、窓の上に設置されたルームミラーを使う。このミラー越しの撮影演出も当時としては斬新ではなかったか。

 この映画でもっともシンミリとするのは、密かに運転手に恋心を抱いていた派遣労働者の朝鮮の娘が、天城トンネル手前の休憩停車で偶然「有りがとうさん」に出会い、「日本の着物を着て、貴方のバスに乗りたかった」と告白するシーン。この娘は峠の途中からバスを懸命に追いかけていた。 彼女は次ぎの仕事場、信州に向う途中で、死んだ父の墓を残してきたので、花と水を供えてくれと彼に乞う。

 当時の在日朝鮮人すべてが強制的に徴用されて日本に来たのか、あるいは望んで稼ぎに来た者もいるのか私には不明だが、歩いて峠を越えている彼女や彼等一行の姿には、何か胸に込み上げるものを感じる。また、そう感じさせるのは清水監督の演出力にもよる。

 ラストシーンでは上りのバスに乗って東京に売られていくはずの娘が、なぜか帰りのバスに乗っているという、ちょっとしたドンデン返しがあるのだが、その理由は映画を観て判断するしかない。どういうことなのか、ドンカンな私は直ぐには判らなかった。

 昭和10年ごろの巷では、セコハン(和製英語)、ハイキング、ピクニックという英語が田舎でも使われていたのが分かる。

 この映画に写っていた伊豆や下田の景色や道路は、現在どうなっているだろうか。だれか同じ道、下田から修善寺をたどって、過去と現在の比較映像をユーチューブで紹介してくれないかな。

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追記: 2012年12月21日にNHKBSで放送され、再見した。

 解説で山本監督が指摘した、バスの窓ガラスを外して撮影しているカットがあることは自分でも見分けられた。

 一部のシーンだけなのか、あるいは全編の撮影がそうなのか判断できないが、カメラのコマ送りが毎秒24コマの標準撮影ではなく、毎秒30コマ程度の間延びした画像になっているのを感じた。それは、少年がタダ乗りするためバスの後ろに飛び乗ろうとしているカットと、朝鮮人の娘が「ありがとうさん」と会話するシーンなどで見られた。思うに、ロケ撮影の際、カメラのコマ送りモーターの電圧が安定していなかったことが考えられる。

 

 

 

 

 

 

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スターウォーズ、エピソード3

 スター・ウォーズエピソード3シスの復讐 スター・ウォーズエピソード3シスの復讐
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洋画メモ、NO,84、BDレンタル

2005年、20世紀fox

監督- ジョージ・ルーカス、撮影- テビット・タッターサル、音楽- ジョン・ウィリアムズ

出演- ユアン・マクレガー、ナタリー・ポートマン、ヘイデン・クリステンセン、イアン・マクダーミド、サミュエル・L・ジャクソン

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 ダース・ベイダーとジェダイたちの生い立ちを知りたくてエピソード1から3まで観た。

このエピソード3が一番観ごたえがあった。

 ずっとずっと昔の、遥か遥か彼方の銀河間での政治的ゴタゴタには興味が無く、ルーカスの創作した話には、自分はいまいち集中できない。話に出てくる分離院ていったい何なのだ。

 それで、各エピソードの冒頭の、文字による政治的ゴタゴタや経過説明も私にはどうでもよく、なにか利害関係のトラブルがあったんだなという程度でいつも観ている。

 エピソード1より撮影技術はものすごく進化していて、特にヨーダのCGIはエピソード3で完璧になったといってよい。そのためフランク・オズはエピソード2から声だけの出演となってしまった。彼のパペットの演技も、あれはあれで優れたものだった。

 CGの処理はすべてコンピューターの中だけで創造するのではなく、自然の描写は各国で取材して実写感を保っている。火山噴火はイタリアのエトナ火山のものを利用している。また、ミニチュアやマット画も利用し、すべてがCGではないが、違和感が全くない。

 アメリカの特撮でいつも関心するのは、物理的センスが優れていることで、重量物が停止するときや飛行体が着陸するときの慣性の法則をちゃんと表現していること。宇宙船のランディングギアがぐっと沈み込んで傾ぐなどの動きは既に「2001年宇宙の旅」など40年以上も前に表現がみられるが、日本の特撮では、現在過去を問わず、ミニチュアであろうとVFXであろうと、こういうことに鈍感で、ゴジラ映画に出てきたスーパーXとかなんかの動きのセンスの無さにはあきれてしまう。

 エピソード3では大都市での遠景描写も秀逸で、CGなのかマット画なのか不明だが、夜の摩天楼では遠くで霞む気流の揺らぎなどがちゃんと表現してあった。あれは素晴らしい。

 R2-D2の活躍や、エピソード4に繋がる伏線がいたるところに見られ、ファンも大喜びの映画。 また、前作のエピソード1・2からルーカス心の師匠、黒澤明へのオマージュも随所見られた。

 ちょっと気が付いたこと。

 ユアン・マクレガー演じるオビ-ワンの年齢はアラサーに見えるが、20年後の話、エピソード4で演じるアレック・ギネスの彼は、どう見ても70代である。

 年齢設定を間違えていませんか、ルーカスさん。

 

 

 

 

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