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トイ・ストーリー3

トイ・ストーリー3 [DVD] DVD トイ・ストーリー3 [DVD]

販売元:ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
発売日:2010/12/01
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洋画メモ、NO,93、DVD

2010年、ピクサースタジオ、103分

監督- リー・アンクリッチ、音楽- ランディー・ニューマン

声出演- トム・ハンクス、ティム・アレン、ジョーン・キューザック、ジョディ・ベンソン、マイケル・キートン

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 私にとって10年に一つあるかないかの傑作。

映画館で観るべきだった。 廻りの観客と一緒に笑いと感動を共有すべき作品。

 脚本はケチをつけるところがない。各キャラクターは、主役級でなくとも一度登場したら必ずどこかで大活躍をして再登場する。決して忘れ去られない。

 緻密に計算されつくした脚本。脚本を練るのに2年半かけたという。黒沢明は「映画は脚本が良くなければ、どんなに優れた監督でもいい映画にならない」と語っていたが、それをこの映画は証明したと思う。

 その黒沢の「七人の侍」に匹敵する贅沢な映画。

 カツドンの上にステーキとウナギを乗せてビーフカレーをかけて食べたような満腹感が満載。 しかもエンドロールは、くだらないNG集ではなく、すてきな後日談とアンコールに応えたようなダンスシーンの、おいしいデザートまであって、最後の最後までフルコースを堪能させてくれた。

 画質も完璧になった。これも、もうケチをつけるところがない。1作目では背景の自然描写、樹木・植物の葉っぱなどが生きていなく、時間が凍結したように見えたものだが、今回は手抜かりが無く、すべてのオープンシーンでは、気づかないくらいでバックの木の葉っぱが微妙に風で凪でいて驚いてしまう。 あれはどうやって処理しているのだろう。実際に撮影したムービー映像をデジタルに変換しているのか、それとも完全にコンピューターの中で再現させているのか分からない。

 オモチャではぬいぐるみロッツォのモフモフ感と人間が入っているような動作がいい。

 人間の顔も一作目より大分よくなった。ただ、アンディの母だけはちょっとキモイ。これはオモチャの世界の話であって致し方ないか。完璧に人間のツラにすると、かえってロボット人形のような違和感が発生するためということもありえる。

 その人間の顔がアップとなるシーンでは4歳の少女・ボニーがほんとに可愛いかった。彼女が日本人の子供のようにハニカミ屋であるという演出も加勢しているが、ラストのアンディにおもちゃを譲ってもらうシーンの可愛さにはマイッタ。

 爆笑したのは老犬バスターの登場。年月の経過を笑いを伴って表現する見事なテクニック。 バスターで宮崎映画「ハウル・・・」の犬を思い浮かべた。

 また、バズがスペイン語モードになったとたん、ジェシーをくどきにかかったのにも爆笑した。めったに一人では笑わない私であるが、ラテンの国の男性というのはほんとに・・・。

 ゴミ処理場の描写には驚嘆。流れ崩れていくゴミの動きの見事なこと。

 そのシーンでは死の運命に向うカットがあるのだが、アメリカのパニック映画にありがちなキーキー・ワーワー叫ぶ、まぬけのようなスクーリームは避け、極めてアダルトで感動的な演出を採っている。

 ああ、おもしろかった。ぜひ、また観るべき映画。

 

 

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洋画メモ」カテゴリの記事

コメント

 東宝特撮に辛口ですね。
 技術的には、英米と比べると、日本は後進だと思います。そもそも比べるのが間違いという意見もあるようです。予算や制作期間では、どうだったのでしょうか?
 海洋特撮でのミニチュアの波の効果については、いいものが少ないと思います。中々良いのは、東宝の「連合艦隊」ではないでしょうか?個人的には、新東宝「明治天皇と日清戦争」の波はお気に入りですけど‥。
 

投稿: 池田 | 2011年2月15日 (火) 14時17分

 テレビ「サンダーバード」シリーズの特撮セットの小ささに驚きました。でも、あれだけのクオリティーなのですから、凄いです。
 日本の特撮はできなかったクオリティーなのでしょうか?

投稿: 池田 | 2011年2月15日 (火) 14時21分

池田さん。ようこそ。初コメントありがとうございます。
私は日本の特撮については子供のころの見た正直な印象で書いています。「王様の耳はロバの耳」といいましょうか、「子供に子供騙しの特撮を見せてどうするんだ」というところですね。
日本の特撮では仰るとおり。予算と制作期間の厳しさが目立ちますね。そのせいか円谷氏はうまくいかなかったNGカットまで本編に入れているように思えます。出来にムラが多いんです。
円谷氏の作品では最後の映画「日本海海戦」が最高傑作と私は思います。
波の演出ではやっぱりラージスケールのモデルを使ったものが良く見えますね。小さいミニチュアではダメですね。「トラ・トラ・トラ」や「深く静かに潜行せよ」の波の演出は優れています。
「連合艦隊」と「明治天皇と日露戦争」は観ているのですが印象にありません。再見したいと思います。
サンダーバードの特撮はあくまでも人形の世界の話ですので、スモールスケールの特撮も違和感がありません。なんといっても超ローアングルのカメラと贅沢なハイスピード撮影、優れたパイロテクニックとミニチュアモデルヘのこだわりが日本の特撮にないものだと思います。照明もすばらしいですね。スタジオ感がありません。

投稿: アラン・墨 | 2011年2月15日 (火) 20時03分

 「深く静かに潜航せよ」は、MGMの特撮監督アーノルド・ギレスピー、ユニバーサルの特撮監督クリフォード・シュタイン、旧リパブリックの特撮監督・ハワード・ライデッカーという物凄く豪華な技術陣ですよね。
 輸送船に魚雷が命中するシーンなど、海上シーンは凄く上手かったですが、潜航中のシーン(擬似海底)はいまいちでしたね。ワイヤーもはっきり見えてたし‥。
 特撮は大変だと思いますが、いいものですね。

投稿: 池田 | 2011年2月16日 (水) 08時36分

池田さん。こんばんは。
「深く・・」の海上シーンはすばらしかったですね。アーノルド・ギレスビーは「東京上空30秒」にも係ってアカデミー特殊効果賞を得ていました。
1940年代から50年代のアメリカの特殊撮影は完全に同じ時代の円谷特撮を凌駕しているところが多いと感じています。
ライデッカーの操演もアボットと組んで腕を発揮していますね。1960年代のアレンTV作品は子供心にもウルトラシリーズよりスゴイ特撮だと感じていました。
それにしても池田さん。かなりお詳しいですね。
また、いろいろ教えてください。

投稿: アラン・墨 | 2011年2月16日 (水) 21時10分

 沢山の投稿、すみません。
 英米の特撮と日本の特撮の比較は、予算・製作期間・技術力で、比べるべきではないと思いますね。やっぱりナンセンスです。50年代後半、ジョージ・パルが「B級特撮映画は日本人が作ったものに任せたらいい」なんて言っています。太平洋戦争での国力差みたいですよね。所詮、かないません。
 日本の特撮を見てみると、特に東宝はミニチュアワークに精を出しすぎて、リアルさを無視しているような気がします。それは、マットペインティングと合成技術の遅れではないかと思います。
 1940年代、50年代のモノクロ映画期は、比較的マットペイントの技術が多様された時期で、新東宝の「ブンガワンソロ」や日活の「ビルマの竪琴」などが、中々出来がいいです。ただ、モノクロだからごまかしが効きましたら、カラーになると粗が目立つようになりました。「大魔神シリーズ」は中々いい出来だと思います。
 海洋特撮での波の効果と同様で、やっぱり無理ですね。遅れています。

投稿: 池田 | 2011年2月17日 (木) 08時34分

池田さん。こんにちは。何度でも投稿大歓迎です。
日本の東宝特撮にリアルさがないのは同感ですね。
私の考えですが、ハリウッドの特撮マンは観客に特撮と気づかれないように画面作りをしているように感じます。
ところが日本では「見てのとおりミニチュアだけど本モノと仮定して観てください」という制作態度に感じます。いくら精巧にミニチュアを作っても本モノに見えないのです。そういうコンセプトからして次元が違うのですね。
「ビルマの竪琴」のマット撮影は背景の山並みなど良かったですね。私もそう記憶しています。
そのマット画がまたいい出来でした。
また東宝の悪口になりますが、当時の東宝映画のマット画は、こう言っちゃ悪いのですが、銭湯のペンキ絵のレベルです。
「大魔神」の合成は仰るとおりよかったですね。砦の櫓にいる武士たちとバックで襲い掛かる魔人の顔とのカットは何度観ても合成の境目が目立たず迫力がありました。
大映の黒田監督の特撮とカメラの使いかたには一目おいておりました。大きなミニチュアセットの出来も素晴らしかったですね。
円谷プロのオプチカルプリンターによる合成は「ウルトラQ」での白黒画面で自然に見えました。しかし、カラーの「ウルトラマン」から私もなにか違和感を感じたものです。

投稿: アラン・墨 | 2011年2月17日 (木) 17時34分

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