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「フレンジー」のカメラトリック、その3

洋画メモ、NO,92

 ヒッチコックの映画「フレンジー」のオープニングについては勘違いしていた。

 ヘリコプターによる空中撮影で、ロンドンの空から撮った街並み映像が、そのままグングン、ズームしてアパートの入り口に入り、部屋の中に入っていくという、ワンカット長廻しのショットだと永年観ないまま想像していたのだ。

 ところが今回、初めてこの映画を観ると違っていた。ヘリコプターの空中撮影は、ロンドンの跳ね橋の下、黒煙を吐くボートが横切るところでカット。川べりで演説を聴く聴衆の場面の空中の寄り撮影でカット。で、地上の撮影となる。

 全然1ショット長廻しではないのだ。

 この勘違いは私だけでなく、結構、他の人にもあるようだが、これはどうやら淀川長治さんのラジオ解説を聴いてこういうことになったのではないか。

 思うに、淀川さんの記憶はオープニングのシーンと、犯人のラスクが女性をアパートに連れ込むシーンがつながってゴッチャになっていたのだろう。 たしか、私はそのようにラジオで聴いた気がする。(それとも私が頭の中でゴッチャにしたのか)

 ヒッチコックは「サイコ」でも、ヘリによる空中撮影からアパートの窓に寄る撮影をしていて、彼はこういうことが好きなのだろう。ただし、当時の撮影技術では1カットで部屋やドアの中まで寄る撮影は困難であった。現在はラジコンヘリ・カメラでやってしまうかCGで繋げて強引にやってしまう。

 「フレンジー」のメイキングカットを見ると、オープニングの空中撮影にはエアロスパシアル社?のターボシャフトエンジンを使ったヘリコプターが見える。

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 このターボシャフトエンジンというのが重要な点で、つまりピストンがバタバタ往復しているレシプロエンジンを使ったヘリより、ずっと振動や機体のブレが少なく、撮影に適しているということである。それでもカメラの設置にも防振処理が施されているだろう。

 昔、NHKのドラマ「源義経」だったかで、ベル社か何かのレシプロエンジンのヘリを使ったと思われる、手持ちカメラによる空中撮影の合戦シーンがあったが、映像がブレブレになっていたものだ。

 ヘリコプターによる空中撮影では、カメラはヘリの前方には向けられない。ヘリのキャビンが写ってしまうからだ。したがって横移動撮影がメインとなるが、「フレンジー」や「サウンドオブミュージック」のオープニングのように正面から寄っていく撮影ではヘリのパイロットにカニ歩き操縦をやってもらうことになる。

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 「フレンジー」では最初からずっとカニ歩き飛行である。パイロットも楽ではない。

 ただし、現在では、ヘリの真下にジャイロカムを設置して360度どの位置でも撮影ができるので、こんなことはやらなくてよい。(恐らくフィルムカメラではなく、デジシネカメラ使用)

 

 

 

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