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ショパン・「舟歌」のナゾ

 NHKBSの番組「名曲探偵」でショパンの「舟歌」-バルカロールをとりあげていたので観た。

 この曲はショパンの最高傑作であるが、演奏するピアニストにとっても、すくなくとも作曲した時のショパンとおなじ年齢と波乱な人生経験を重ねないと弾けない難曲ではないだろうか。

 だから、コンクールに優勝したばかりの、人生の甘い・苦い・辛い・酸っぱいを経験していないハタチそこそこの若いピアニスト・・・特に処女と童貞・・・がこの曲を大人ぶって弾いても自分にはサッパリ情緒が感じられない。ショパンの舟歌は半生を経たアダルトな円熟ピアニストの妖艶?な指使いでなければ演奏出来ない曲なのだ。

 というのは私の考えであり、勝手にそのように解釈してもう数十年。ショパンの曲の中でもただ一曲しかないこのバルカロールは私にとって大事な大事なお気に入りの一つである。

 番組の中でピアニストの小山実稚恵さんが面白いことを語っていた。

この部分が、ゴンドラ(舟)が河の支流に迷い込んだかのようだ・・・と、仰るのだ。

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 ああ、そういう想い方もあるのだなと目からウロコが落ちた。ロマン派の曲の概念として、当然、これは二人の男女がゴンドラに乗り合わせているイメージで、そのゴンドラが漂っているのは月明りの夜のベネチアの海側だとずっと思い込んでいて、河という概念はなかったのだ。 

 私はこの部分は、一緒に舟に乗り合わせた恋仲の男女のうち、女のほうが会話を中断し、揺れる波間を見つめながら「この人、ほんとは私のこと愛してないだわ」と訝しげている様子をイメージしていたのだが・・・。(これは私の想う映像シナリオで、ショパンはこういう状況を表現しているのだ、というような解釈ではありませんので、念のため)

 ところで、番組はこの曲のコーダ(エンディング)のことを取り上げなかった。

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 舟の櫂をこぐ伴奏に乗って、明るい調子のさざ波が上下に揺れ、クレッシェンドで大滑降。 そして最後、単純なオクターブをフォルテッシモで、

これでお終い・・・ 「じゃん・じゃん-ジャン・ジャン」

 どうも、ショパンの曲にしては珍しい、まるでリストの曲みたいなダブルオクターブを使った単純な終わらせ方。まるでコントの落ちみたいではないか。この明るい能天気さはどうだ。

 こうしたのはなぜだろうか。まるでゴンドラに乗せていた恋人(彼氏・彼女?)を、幸せそうな顔を装いながら片手で海に突き落としたかのようではないか。

 ショパン・・・「これでサンドとの仲も、過去もきれいサッパリお終い」・・・「じゃん・じゃん」。

というような。

 突き落とされたのはサンドだろうか、それともショパン?。

(これも、私のイメージ・シナリオによるもので、ショパンはこういう状況を表現しているのだ、というような解釈ではありません。)

 

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ピアノ」カテゴリの記事

コメント

先日、BSで放送されたショパン生誕200年の特別番組を2時間ほど見ました。冒頭、3人のピアニストが代表曲のさわりだけ演奏してくれました。疎い私でも知っている曲ばかりでしたよ。「子犬のワルツ」は情景が浮かんできます。

投稿: マーちゃん | 2010年11月 6日 (土) 09時58分

ああ、その番組観そびれたました。ショパンの曲はちょっと耳に聴こえたり、サワりだけ聴いてもジーンと来ますね。ただ、大田胃酸のCMのプレリュードの演奏は嫌ですね。あの弾き方、重いんですよ。音が硬いのです。
「子犬のワルツ」は簡単そうですが、トリラーの指の入れ替えが難しくて、その部分が引っ掛かって今だに弾く気がしません。
あの曲はサンドとの関係が、そろそろまずくなってきた頃のものですが、彼女が子犬と戯れているのをホノボノと眺めているショパンを想像します。

投稿: アラン・墨 | 2010年11月 6日 (土) 10時41分

こんばんは。ちょっと間を空けてしまいましたけど、お元気そうで何よりです^^

ショパン・ピアノネタと言えば飛びつかない訳がなく(笑)。とは言え恥ずかながら、「舟歌」は初めて聞くタイトルで、当然未聴なんです。色々と墨さんの解釈、を面白く拝見させて頂きましたyoutubeでも先ほど聴きましたけど、今度CDでも聴いてみよう、と思っています。

「雨だれ」や「英雄ポロネーズ」と違って何と言いましょうか・・・まあ私の“日本人”としての一種の偏見、なのでしょうが少々「演歌的」ですね。と言うか思い切り八代亜紀の「舟歌」を単純に連想していました。そして“酸いも甘いも噛み分けた”円熟した人生を送るピアニストが初めて弾きこなせる、の件を聞き「やっぱり演歌に通じている?」と感じてしまう私です(笑)。

冗談はさておき、勿論所謂「こぶし」は入っていないし、ちゃんとショパンの一連の作品の風格も曲調には込められていますけど(と思いますけど)。静かな抑制の利いた旋律が如何にも大作然としない「性格小品(Character Pieces)」の優雅な風格を良く顕していますよね・・・(うっとり)。

ショパンは「ロマン派を代表する」ピアニストの第一人者、と改めて思いましたhappy01

投稿: | 2010年11月 6日 (土) 18時19分

あ、すみません、私のHNが入っていませんでしたね。上の投稿文は私ことワンからでした。

どうもすみませんcoldsweats01

投稿: ワン | 2010年11月 6日 (土) 18時21分

ワンさん。こんばんは。
こうして時々訪問して頂けることに大変感謝しています。
舟歌が日本の演歌に近い感じというのは言いえて妙ですね。どちらも女ヘンが係ってきます。日本も外国も舟には男女で乗るんですね。船頭さんを除いて。
なんか状況が艶っぽいのです。時間は絶対、夜です。モネの絵にこんな景色があったでしょうか。
ショパンは他にも舟歌調のものがあります。ノクターン12番とスケルツォ3番の中間部分です。どちらも波に揺られています。仰るとおり、いくつになってもウットリしますね。

投稿: アラン・墨 | 2010年11月 6日 (土) 21時42分

ショパンの音楽は基本的にここはこういうシーンとかっていうように具体的な何かを表現したようなものではないのでは?

小説とかではなく音楽は音楽だと思います

革命のエチュードでもそうですが、物語やシーンを付け加えることは本質から外れると思います

投稿: | 2016年6月22日 (水) 08時40分

どちら様か、コメントありがとうございます。
でも、あなたも同じクラシック音楽愛好家でしたら、コメントは「はじめまして」から始める常識をもってください。

表題音楽でなく、純粋なピアノ音楽であるショパンの作品に物語性を与えることが適当でないのは私も100パーセント同意いたします。ショパンはイギリスの出版社が「24の前奏曲」一つ一つに勝手に物語のような表題を付けたことに激怒したといいます。またピアニストのコルトーもこの曲に各々タイトルを付けているそうですが、正式なものではなく、彼のイメージにすぎません。
 私の場合も、ショパンはこんなストーリーを曲に盛り込んだのだろうと想像、解釈してこの記事を書いたのではないので誤解なさらないでください。あくまでも個人のイメージです。

 ショパンの物語性のある作品はパラード以外に、この舟歌やマズルカ、ファンタジーなどでも言葉では表現できない映画の一シーンのようなボヤっとしたイメージが私の頭の中にあって、そういう想像の自由をショパンも聴衆にまかせたのではないでしょうか。

投稿: | 2016年6月22日 (水) 13時25分

この曲は絶望の中書かれたもので、人生をゴンドラに例えて12/8の複合拍子の舟歌形式で書いたのかもしれません。
この曲の真価はコーダからカデンツァに向かったあたりに、絶望の中やりきれない苦しさが出ている、とてもショパンらしい作曲技法も内容も素晴らしい最高傑作の大曲のひとつでしょう。

投稿: 通りすがり | 2017年4月 1日 (土) 08時13分

通りすがりサン、コメントありがとうございます。

>絶望の中やりきれない苦しさが出ている、とてもショパンらしい作曲技法も内容も素晴らしい最高傑作の大曲のひとつでしょう。

100パーセント同意いたします。

投稿: | 2017年4月 5日 (水) 09時49分

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