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第15話、「大ワニの襲撃」

サンダーバードの特撮、NO,5

原題- ATTACK OF THE ALLIGATORS!.

監督- デヴィット・レーン

登場メカ- 1号、2号、ホバースクーター

-------- シリーズ中、最も困難を極めた撮影? 

 実際に生きている小型ワニが使われているが、もちろん調教師が付いて来たという。このワニのサイズは、本モノがラストシーンでバスタブの中で泳いでいるので、だいたいの見当がつく。身長は50センチから1メーター位のようだ。

 実際の生き物をミニチュア特撮の中で巨大生物として動かした例としては、アーウィン・アレン作品でのトカゲや東宝「キングコング対ゴジラ」でのタコ(「ウルトラQ」でも流用)がある。

 私はこのやり方に特に批判するものでもない。本モノなので圧倒的リアル感がある。なまじっかゴム長靴のような出来の悪い着グルミや、ギクシャクしたフィギュアを動かした下手なストップモーション撮影よりよっぽど迫力がある。

 サンダーバードのこのエピソードは、生き物を使ったミニチュア特撮の中では最も成功したものの一つだと思う。

 ただし、撮影の困難さは想像してあまりある。一般の映画の撮影でも、動物と子供に関しては思い通りにいかず時間を食い、フィルムを浪費して泣かされるようだが、相手が爬虫類ときてはサンダーバードのスタッフにも当初絶望感が発生したのではないだろうか。 なぜなら、ワニというのは動物園で見るかぎり、剥製のようにジッとしていて、めったに動かないからだ。

 調教師がいるとしても、どうやってワニを動かしたのだろうか。電気ショックという手もあるが、外に知られたら虐待だのと騒がれる。

 特に驚いたのは、ワニ君の横移動撮影があるカットだ。

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 元気なワニ君が左に向って突進しているところをレールに乗せたカメラで横移動撮影。ワニの後ろからツッツイたのか、前方でエサをちらつかせたか不明だが、レールと平行に走らせたスタッフに脱帽。恐らく何テークもの撮影の中の1本。相当フィルムを使っただろう。

 さて、研究所の建物をワニが襲撃する場面はどうしただろうか。ワニの尻尾が壁や窓を破壊するカットは、ラバーかなにかで制作した尻尾だけのニセ物を、クローズアップしてスッタフがぶつけて撮影している。

 しかし、明らかに生きたワニ自体が暴れて建物を破壊しているシーンがあり、このカットを凝視すると、カメラに入らないワニの頭の後ろあたりに、人の指らしきものが写っているのが見えた。つまり、どうやら頭を手でつかんで押さえ込み、ワニの胴体を振り回して撮影していたらしいのだ。

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--- 画面、右端がスタッフの指(左手の人差し指)と思われる。

 これはちょっとした動物虐待であるが、事実、ジェリー・アンダーソンによると、このエピソードは動物愛護団体から問題視されたようである。たしかに麻酔?・・・でワニが腹を向けて引っ繰り返るシーンもかわいそうな気がしないでもない。

 さて、今回は2号の装備ではたいしたものが登場しないが、湿地帯を進むのにホバースクーターが活躍する。(第5話、「CITY OF FIRE」などでも登場)

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 このスクーターはアンダーソン作品では、「宇宙船XL-5」から同様の物が見られるが、これはマリオネットでは人の歩くシーンが不自然に見えるので、極力、移動はパペットが座っている姿にしたいための手段として用いられている。つまりパペットはスタコラ歩いてはいけないのだ。

 アンダーソン作品の他のスーパーマリオネーションでも、人は歩かず、ただ操作卓のイスにすわっているだけで自動的に移動したり、電動の車椅子に座って移動するシーンなどが多々見られる。これは操り人形での一つのテクニックなのだ。ゴマカシと言えばミもフタもないのだけれど。

 しかし、このスクーター。当然、強力なジェットを下向きに噴射しなけれは宙に浮かないはずだが、廻りの草木が風で揺れたり、ホコリが舞い上がるなどのジェット描写がいっさい無く、ただ、無重力状態のように浮いている。この演出には私は不満を持っている。

・・・ 追記: それとも「サンダーバード6号」のスカイシップ1のような反重力エンジンが搭載されているのだろうか。

 ワニの鳴き声はどの動物から採ったのだろうか、なかなか迫力のある声。またジャングルの鳥たちの鳴き声もステレオ録音で素晴らしくいい音。

 全作品の中でも、特にこのエピソードはデジタル・リマスターの画質・音が優れている。

そのため、撮影中のカメラとオペレーターの手が写りこんでしまったカットがあった。

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--- 左の窓ガラスに、ズーミングしていくカメラとオペレーターの動く手が反射して写っている。(実際の動いているDVD画面でないと確認できない)

 ナゾの夫人は、原語ではペネロープ役のシルヴィア・アンダーソンが吹き替えているようだ。

追記: 「サンダーバードを作った男」- 著・ジェリー・アンダーソン・・・に、このエピソードの裏話が載っていて、ワニを動かすには実際に12ボルトの電気ショックを使ったことがあると記載されていた。 又、サンダーバードの撮影とは知らず、うわさを聞いた動物愛護協会の査察官がスタジオに抜き打ち検査に来たが、たまたまサンダーバードの大ファンだったので、逆に協力を受けたということだ。

 

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コメント

唐突なコメントで失礼します。

「麻酔でワニが腹を向けて引っ繰り返るシーン」て
これ、ワニをむりえり仰向けにして起き上がるのを撮影して逆回しにしただけと違いますか。
足とかの水滴の動きがそんな感じ。

投稿: たぶん同年代のおっさん | 2010年7月22日 (木) 19時55分

同年代のおっさん・さん。コメントありがとうございます。
ワニに麻酔をかけて、あのように腹を向けてひっくり返るのか自分でも疑問をもっていましたが、その手がありましたね。もう一度確認してみます。
2号が格納庫にバックで戻るカットは逆廻しでしたね。

投稿: アラン・墨 | 2010年7月22日 (木) 20時44分

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