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安城家の舞踏会

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邦画メモ、NO,58、レンタルDVD

1947年、松竹、白黒、スタンダード、89分

監督- 吉村公三郎、 音楽- 木下忠司、 脚本- 新藤兼人

出演- 原節子、滝沢修、森雅之、逢初夢子、神田隆、殿山泰司、津島恵子、日守新一、村田知映子、清水将夫

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 オープニングの音楽、松竹管弦楽団の演奏がひどい。特にバイオリンのパートは素人レベルだと思う。 同時代、東宝の楽団の演奏も同じようなものだった。楽士たちも戦中・終戦と、楽器の演奏で食べていけるものでもなく、技術も落ちたのだろう。

 音楽は木下忠司氏が担当だが、この人の作る歌というのはどれも感じが似ていて面白い。

(破れ太鼓)・・・「♪だーれが捨てたか大太鼓」、

(喜びも悲しみも幾歳月)・・・「♪おーいら岬のー」、

(水戸黄門のテーマ)・・・「♪じーんせい楽ありゃ」、

などがフレーズ、曲の流れがソックリ。いずれもリズムがしっかりして歌い易い。ただし、今回の映画には歌はない。

 脚本は新藤兼人氏。たしか今年、御年98歳で映画を監督するという。脱帽。

 その新藤氏の63年前の台本内容は、終戦によって旧華族が没落。借金65万円も払えず、家が抵当に入っているというのに、自宅の洋館で最期の舞踏会を開く話。 

 付き合いのあった上流階級の人々を招待し、舞踏会を開催するには楽士を呼んだり、高級な料理や洋酒をふるまうために2.3万円のお金が要るというセリフがあるのだが、それをどうやって工面したかは説明が無い。

 この旧華族、伯爵だった主を演じるのは滝沢修だが、ただただ、絵を描いて過ごしてきた道楽者。 映画のセットがウソくさい洋館なので、彼が出るシーンは本当に新劇のような雰囲気がある。彼の演技がうまいのかどうかは私には判断できない。

 その息子はグランドピアノを奏で、使用人の女に手を付けてきたボンボン・森雅之。・・・ 彼はショバンのエチュード・作品25の1、作品10の12と24の前奏曲・24番を弾きこなすのでかなりの腕前。例によって物事や運命をすべて掌握しているニヒルな人物。

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 原節子は次女だが、彼女だけは、ちゃんと働いて暮らしていこうと前向き姿勢。撮影は彼女の美しさを十分捉えていない気がする。

 一方、長女、逢初夢子は結婚に失敗した出戻り娘で、運命を享受するデカダンなキャラクター。前回観た「となりの八重ちゃん」から13年ほど経つので初々しさはもう無く、熟女を好演しているが、なんとなく木暮実千代にソックリ。

 その長女を慕っていた元・運転手が神田隆氏で、テレビの時代劇では悪役一本だった彼が、若かりし頃はシッカリした顔つきで、まあまあの二枚目を演じていたことを知った。彼、東大・フランス文学課程卒なんですな。 あの悪代官が。

 彼が酒に酔って洋館のホールで喚くシーンは本当に新劇の芝居のようにダイナミックである。ただし、演劇のように芝居がくどいという感じはしない。

 殿山泰司氏が使用人の執事として出演。本人の実年齢は30歳くらいだか、映画では70歳近い設定の老け役。彼は新藤兼人氏が係る映画の常連であるが、いい味を出している。

 津島恵子さんが、ポッチャリしていてかわいいが恐らくデビューしたばかりだろう。演技はまだ素人。 酔いつぶれて寝込んだ彼女が、婚約者の森雅之に操をからくも奪われそうになるが、このシーンの後では彼女のプラウスの背中のジッパーが少し下がっているのが見える後姿のカットがあり、これらの映像は、当時では結構センセーショナルだったらしい。

 この映画の主人公は誰に設定すればよいか判断に悩むが、私は神田隆役の人物が一番印象にある。彼はこの映画唯一、努力し裸一貫でお金を稼いできた人物だ。

 公開当時、キネマ旬報1位だったそうだが、当時の市民が華族の没落をいい気味だと思いながらも、同情できる話にもっていった新藤氏の脚本と吉村監督の演出、豪華キャストのおかげかもしれない。結局、彼等のその後は何とかなりそうだとのハッピーエンド的な終わり方をしている。

 バタくさい映画なので、GHQの検閲官もスンナリ理解したことだろう。

 

 

 

 

 

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コメント

こんばんは。コメントありがとうございました。
名前のバル…、この点々て潰れちゃって、がんばるの「ばる」じゃなくて、引っ張るの「パル」の間違えられるのはしょっちゅうですから、どうぞお好きな方で?呼んでください。

今はこんな古い映画でもDVDが出てるんですね、
驚き。
出演者の説明が詳しくて、なんとなく見た気分に
なってしまったのはアランさんの力でしょうか。

投稿: バルおばさん | 2010年6月26日 (土) 21時57分

バルおばさん。おはようございます。
パルって、ペンパルのパルで友達と言う意味でしょうか。バルとパルとどちらもよろしいのですね。
これからもどちらかでお呼びします。
キーのタイプも濁点と半濁点とよく間違えてしまいますので。笑
映画批評が下手なので、出演者の特徴で終わってしまいました。津島恵子さん以外故人ですね。

投稿: アラン・墨 | 2010年6月27日 (日) 09時49分

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