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2010年3月

地下水道

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洋画メモ、NO,81、NHKBS

1956年、ポーランド、白黒、スタンダード、97分

監督- アンジェイ・ワイダ、 撮影- イェジー・リップマン、 音楽- ヤン・クレンズ

出演- テレサ・イゼウスカ、タデウシェ・ヤンチェル、ヴィンチェスワフ・グリンスキー

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 冒頭は蜂起の民間兵たちが丘から降りてくるロングショット。カメラはカットせず、手前にやって来た彼らを右にパンして、リーダーの一人をバストショット撮影。その後もカメラはカットせず、一人・一人登場者をナレーションで紹介し、レールによる横移動撮影で彼ら民間兵のキャラクターを説明する。

 この長廻しの撮影でこの映画への期待を持たせてくれる上手い導入部分だ。ただし、撮影はカメラのピントをピタリと人物に合わせるのが手間で、周到にリハーサルをしたと思う。

 民間兵の一人、音楽家はアンダーソン作品・「謎の円盤UFO」のドクター・ジャクソンに似ている俳優さんだなと感じたが、調べると同じ人であった。ポーランド人とは知らなかった。この映画がデビューらしいが、いろいろな映画にチョイチョイ出演している、目のギョロッとしたうまい俳優さんである。

 その音楽家がショバンの「革命のエチュード」と、バラード4番のフレーズをチョイ弾きした。ああポーランド映画だなと感ずる場面。 私はバラードのメロディーをちょっと耳にするだけでも涙腺が緩んでくる。 

 「革命のエチュード」は日本人にもおなじみだが、バラードの4番まで知っている人は少ないと思う。しかし、恐らくポーランド人全員はこの曲を知っているのではないか。 音楽家はその後、下降していく何かダブル・オクターブの曲も弾くのだが、私はこの曲は知らない。

 兵器メカファンには、この映画は注目されていて、それは「ゴリアテ」というリモコンで動くミニ戦車が登場するからだ。 よくこのオモチャみたいな実際にあった兵器を再現したものだ。あるいは、撮影時は戦後からまだ12年しか経っていないので、どこかに保存されていた可能性もある。因みに英語では「ゴライアス」と発音する。

 しかし、兵器の描写ではちょっと疑問なシーンもあった。バズーカ砲の発射では背後に人がいる。砲筒の後ろから爆風が飛び出るので後ろの兵士は吹っ飛んでしまうだろう。あんな場面はありえないのではないか。(それとも、あのような水平に構える迫撃砲が実在したのだろうか)

 まあ、それにしても彼らは、まともな武器というと少量の小銃と一丁の軽機関銃、バズーカ砲だけで、あとはサブ・マシンガンと拳銃でよく闘ったものだ。どうみても勝ち目はないと思うがこれは映画のとおりだったようだ。 

 夜の市街戦シーンでは、実弾の曳航弾が宙を飛んでいる。あの速い火の玉は合成処理には見えない。

 下水道内の描写は撮影監督の腕の見せ所で、恐らく撮影用に作ったセットだと思うが壁に反射する光の処理が秀逸。

 汚泥まみれの兵士の描写も悪臭が漂ってきそうだ。しかし、泥水からドライアイスのポコポコ煙が湧いているのは興ざめである。なんとかならなかったか。これさえなければ黒澤的リアリズムを感じる。

 ラストカットのマンホールから突き出す拳銃を構えた腕は、なんだか当時の東側のスローガンのポスターのように意味深に見え、多少ワザとらしく感じたが、ポーランド当局の検閲や要求を通すため、止む終えずあのようにした可能性もある。

 結局、みんな惨めな最期を迎える。冒頭のナレーションで「彼らの死に方を見せる」と解説しているので、けっして彼らを英雄視する映画でないことが分かる。あのナレーションもポーランド語のニュアンスが分からないが、「どうしようもなかった彼らを見て欲しい」と聴こえるような、なにか皮肉っぽい喋り方のように感じた。

 本多監督作品の東宝「美女と液体人間」の下水道シーンは、この映画の影響があるだろうか。

 

 

 

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「サンダーバード6号」のパイロシーン

- 墨氏の愛した特撮、NO,4

ミニチュア特撮史上、もっとも優れた爆発シーン。

 映画「サンダーバード6号」は既に5回は鑑賞しているが、いつも楽しみにしているのはスカイシップ-1が引っ掛かっていたタワーから墜落して、ミサイル基地が爆発・炎上するシーンである。

 このシーンの特撮はデレク・メディングスの最高傑作、いやミニチュアパイロシーン史上の最高傑作と私は断言したい。 照明、ミニチュアの精度(2段式のミサイルが倒れると2つに分裂するという細かさ)、モデル・道路の汚し、ハイスピート撮影(10倍以上と推測する)、燃料を含む爆薬のセットと点火タイミング、ファイヤーボールの迫力、退避する車両の発進・移動、どれをとっても完璧である。

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 退避する2台の車両は、停止状態からスムーズに発進加速、手前に向ってから右へカーブする動きは実写そのもの。バックのミサイルと発射台も本モノと見間違える。

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 私が見てきたミニチュア特撮・パイロシーンの中で、これだけ盛りだくさんの優れたパイロカットがある映像がちょっと思い当たらない。しかも、メディングスはスタジオの小さなセットでこれを実現させているのだ。

 完全に脱帽します。参りました。

 この映画のコメンタリーで、シルビア・アンダーソンと監督のデビット・レインがこのような内容の発言をしていた。

・・・ 「子供騙しの特撮をしてはいけない。子供騙しということを子供はすぐ気がつく。 5歳児に5歳向けの特撮を見せてもだめで、彼らは10歳向けの特撮を見たがるものだ。」 ・・・

追記: さらにコメンタリーによると、メデイングスがもっとも苦労したシーンは、引っ掛かったスカイシップ-1の下でよじれ砕ける鉄骨部分の描写だそうで、うまく撮るのに2週間かかったという。 このカットがそう。

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サンダーバード6号

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特撮メモ、NO,37、DVD

1968年、ユナイテッド・アーティスト、シネスコサイズ、89分

監督- デビット・レイン、 音楽- バリー・グレイ、 特撮- デレク・メディングス

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 イギリス風ジョークというのだろうか、内容とオチは粋なものだが、公開当時の子供たちには受けなかった。結局、サンダーバード6号とは「なーんだ」ということで。

 DVDへの日本語吹き替えは、恐らく2000年ごろに録音されたと推測するが、ペネロープ役の黒柳徹子さんは、舌のもつれた老いたその声で20歳代の令嬢役は完全にミスキャストだと感じた。ジェフ・トレーシー役の声優も40年前と同じで、まだお元気なのはうれしいが、明らかに老いた声で、これも痛々しい。 テレビ時代の頃のブレインズ役・大泉滉さんなど亡くなった方や引退した方もいるので、オリジナルの声にこだわることはないと思う。

追記: ジェフ・トレーシー役、小沢重雄さんは2008年に故人となられていた。

 グレイの音楽とメディングスのミニチュア特撮が相変わらず優れている。

 グレイのスカイシップのテーマには、リズムにタンバリンか鈴が使われていて、そのシャン・シャンという音はまるでクリスマスソングみたいで明るく楽しい。

 メディングスの特撮はこの時期のものがピークではないだろうか。この映画でも、特に優れているのはミサイル基地のパイロシーンで、私の選んだものではミニチュア特撮の中でも最高傑作と言ってもいい。

 また、実写シーンとミニチュア特撮の繋がりが自然で、映像が切り替わった違和感がほとんど感じられない。それはタイガーモス号が高速道路を疾走するシーンで顕著だ。

まずは実写カット。

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オープンミニチュアセットでラジコンを使った特撮カット。

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 ミニチュアのシーンでは、良く見ると道路にセットの繋ぎ目が確認され、ミニチュアと分かってしまうが、それは一瞬のことで、大概の観客は気づくことなく一連の実写シーンだとして観るだろう。

 道路をスレスレで飛んだり、タッチ・アンドゴーなどをするシーンは、すべて実写による航空スタントで撮影される予定だったが、特撮になったのは、タイガーモスのパイロットが警察との規定違反を犯して橋の下を浮いて飛行してしまい、以後撮影禁止になったことによる止む終えない手段だったのだ。

 それにしても、この映像の繋がりの良さといったらない。結果的に撮影禁止によって、スタッフの優れた特撮が披露されたわけで、怪我の功名ではなかろうか。

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第14話、「火星ロケットの危機」

サンダーバードの特撮、NO,4

原題- DAY OF DISASTER.

監督- DAVID ELLIOTT.

IRメカ- 4号、牽引クレーン(2号)、腕時計式テレビ電話、コンパクト式テレビ電話

ゲストメカ- 火星ロケット

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 火星ロケットをトレーラーで移送するシーンはいつもの事ながら堂々としていていい。

このシーンの音楽は前作「スティングレイ」で使われた名曲”オイスターマーチ”が流れる。巨大な物体がゆっくり動いている様に実にマッチした選曲。

-- 映像音楽・参照 http://www.youtube.com/watch?v=fahl6Lb0UCg

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 いつも感心するのはミニチュアの表面の「汚し」。サンダーバードのスタッフはモデルの出来立てを撮影に使うようなヤボなことはしない。丁寧に時間をかけて汚す。 この「汚し」-ウェザリングを省くとどういうことになるか。 プラモデルのように照明の光を表面で反射させてしまい、オモチャ然となってしまう。 吊橋の「汚し」も素晴らしい。

 ところでMSPとはなんだろうか。MARS. SURVEY. PROJECTだろうか。

 このエピソードでの特筆すべきは、実際の建築物の剛性をうまく表現していることで、小さいミニチュアで鉄骨構造のひねり、ゆがみ、耐久力を上手に再現し、トレーラーでゆっくり搬送している重量物体がどうなるか、また、それによって吊橋の運命がどうなるかと、ハラハラ・ドキドキさせてくれることだ。(吊橋のワイヤーが次ぎ次ぎに切れていくところでピークに達する)

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 冒頭の俯瞰カットで、強い風雨によりこの吊橋が前後左右にひねり、煽られている状況を見せる。ミニチュアを硬い材質で作成するのではなく、剛性を弱くして実物に近い動きを見せる細かい演出に驚く。 建築物のみならず飛行機、自動車などのミニチュアを柔に制作し、壊れやすくすると実物感が増すということを示している。

 ロケットと橋の崩落も、小さなミニチュアにもかかわらず、適正なハイスピード撮影とともに圧倒的な迫力を演出している。ここでも橋の鉄骨材料や、弱い橋げたの砕け落ちる状況が計算されている。

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「トゥルーライズ」の特撮

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- 墨氏の愛した特撮、NO,3 

完全に騙されたミニチュア特撮

 アメリカ・ハリウッドのミニチュア特撮はあまりにも出来がよくて、特撮にはとうてい見えず、完全に実写だと思っていたのに、後で特撮だと聞かされ驚き、バンザイ・降参したものがたくさんある。その中でも、えり抜きのものを順次抜粋します。

まずは、キャメロン監督の「トゥルーライズ」。

テロリストのトラックが海上の例の有名な道路を爆走していて、ハリヤーの攻撃を受けるシーン。

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このオープンセットで創られたラージスケールのミニチュアの出来のよさといったらない。

 再び観て、海面の波の大きさ・形から分析したところ、橋の幅は2メートル近い巨大なミニチュアだと推測する。爆発し飛散するコンクリート状の破片で、極力実写に見えるように考えて制作されている。

 ハイスピード撮影、バイロテクニック、タイミングとも申し分ない。吹っ飛ばされたトラックがうまく橋に乗っかるには、よほど計算されてセットされたに違いない。

 劇場では当時、実際のスタントアクションだとして見ていたが(実際に橋は崩落している)、爆破シーンはミニチュア特撮だったとは。 

完全にマイリマシタ。

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