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「サンダーバード6号」のパイロシーン

- 墨氏の愛した特撮、NO,4

ミニチュア特撮史上、もっとも優れた爆発シーン。

 映画「サンダーバード6号」は既に5回は鑑賞しているが、いつも楽しみにしているのはスカイシップ-1が引っ掛かっていたタワーから墜落して、ミサイル基地が爆発・炎上するシーンである。

 このシーンの特撮はデレク・メディングスの最高傑作、いやミニチュアパイロシーン史上の最高傑作と私は断言したい。 照明、ミニチュアの精度(2段式のミサイルが倒れると2つに分裂するという細かさ)、モデル・道路の汚し、ハイスピート撮影(10倍以上と推測する)、燃料を含む爆薬のセットと点火タイミング、ファイヤーボールの迫力、退避する車両の発進・移動、どれをとっても完璧である。

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 退避する2台の車両は、停止状態からスムーズに発進加速、手前に向ってから右へカーブする動きは実写そのもの。バックのミサイルと発射台も本モノと見間違える。

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 私が見てきたミニチュア特撮・パイロシーンの中で、これだけ盛りだくさんの優れたパイロカットがある映像がちょっと思い当たらない。しかも、メディングスはスタジオの小さなセットでこれを実現させているのだ。

 完全に脱帽します。参りました。

 この映画のコメンタリーで、シルビア・アンダーソンと監督のデビット・レインがこのような内容の発言をしていた。

・・・ 「子供騙しの特撮をしてはいけない。子供騙しということを子供はすぐ気がつく。 5歳児に5歳向けの特撮を見せてもだめで、彼らは10歳向けの特撮を見たがるものだ。」 ・・・

追記: さらにコメンタリーによると、メデイングスがもっとも苦労したシーンは、引っ掛かったスカイシップ-1の下でよじれ砕ける鉄骨部分の描写だそうで、うまく撮るのに2週間かかったという。 このカットがそう。

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コメント

こんばんは。

ロケットの爆発シーンの静止画像は何れもスケール感を実感させる迫真の場面ですね!小さな(どの程度かは分かりませんが)スタジオでの撮影、という件がとても信じられない位です。逆にこれが東宝特撮の場合では、“アジア最大”と言われていた(たしか)第9ステージで撮影されたミニチュア特撮がどうにも矮小に見えたものでした。「広大」である筈のステージの規模が全く鑑賞時には伝わらなかったのです。

少し前の記事で取上げた「ブレードランナー」のミニチュアの未来都市の俯瞰ショットが僅か1メートル四方のスタジオで撮影された、という事実を拝見してこれもまた随分驚きましたね。完成画面はとても限定された小さな空間を感じさせない、物々しいビル群の密集する夜の都会以外には最早感じられませんでした。まさしく「本物」のぴんと張り詰めたような空気感に溢れたショットですね。勿論、今回の「サンダーバード」も同様です。

様々な多岐に渡る効果を高い精度で纏め上げた特撮担当のメディングスは思い描くイメージを忠実に再現する為に余程緻密な計算に基づいて撮影を進めたのでしょうね。“最高のショット”を得るためにどれだけ胃に穴の空ける思いをしたのか、容易に想像も出来ません。

職人の手練を形容する“経験と勘”という言葉を良く耳にしますが、メディングスにとっての“経験と勘”は全て「本物(に見せる)」の技と感性に結びつくのでしょう。大人の目で見ても充分に遜色ない表現は子供の目を当然欺かせ、スペクタクルな眼前の光景に目を奪わせる。「子供騙し」ではなく「子供を騙し通す」創意工夫が昂じてひとつのアート、芸術へと昇華する。子供の豊かな感性、感受性はときに大人の等閑な態度思考を看破するものですね。

恐らくメディングスはその事実を知り抜いていたのでしょう。もしかすると自分自身が「子供のころ」に見たかった映像の再現を大人になった自分自身が試みたのかもしれませんね。それも“徹底して壮大で精密”な映像を再現したという事でしょうか・・・。

だから、墨さんの目を年月を越えて尚捉えて放さない メディングスの創り出すミニチュアパイロ映像のマジックは鑑賞に相応しい「芸術」の域に到達しているのでしょう。

投稿: ワン | 2010年3月16日 (火) 20時13分

訂正です。

ロケットではなくミサイルでしたねsweat01
そそっかしくてすみません(苦笑)。

投稿: ワン | 2010年3月16日 (火) 20時33分

ワンさん。こんばんは。
この映画のオーディオ・コメンタリーでリード監督が、アルプスのスキー・シーンが一番大きなセットを使った撮影で、30フィートのサイズだったと語っていました。つまり特撮スタジオは横長で最大9メートルくらいですね。テレビでの撮影シーンを写した写真を見ると、特撮シーンのセットは4畳半くらいのものです。ほんとうに小さいセットで迫力ある撮影をしています。パペット撮影のセットのほうがもっと大きいようです。東宝の特撮が巨大感に欠けているというのは、「平成ゴジラ」を鑑賞した押井監督と樋口監督のコメントでもありました。やはりスタジオで撮影を見学しているような映像なのですね。カメラアングルが高すぎるのです。
私はもう少し早く生まれていれば、この頃のメディングスに弟子入りしたかったですね。絶対に日本の特撮監督にはマネのできないセンスを彼は持っていました。でも、彼の才能が開いたのは「スティングレイ」からですね。それ以前のものでは、ユーチューブで、「XL-5」などかいつまんで見た所、ちょっと日本の特撮テレビシリーズ・・・「高速エスパー」・・・のような5歳向けの特撮がしばしば見受けられます。
「5歳児は10歳向けの特撮を見たがるものだ」は言い得て妙で、私は10歳児は大人向けの特撮を見たがるものだと、自分に照らし合わせて感じました。

投稿: アラン・墨 | 2010年3月16日 (火) 23時36分

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