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雪国

雪国 [DVD] DVD 雪国 [DVD]

販売元:東宝
発売日:2005/10/28
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邦画メモ、NO,54、LD

1957年、東宝、134分、スタンダード、白黒

監督- 豊田四郎、撮影- 安本淳、 音楽- 團伊久磨、脚本- 八住利雄

出演- 池部良、岸恵子、八千草薫、加東大介、森繁久彌、田中春男、中村彰、久保明、浪花千栄子、東郷晴子、千石規子、三好栄子、市原悦子

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 岸恵子さんが、フランスに渡る直前で撮影された映画。豊田監督に大分絞られたそうだが、映画出演はこれでお終いと思ってか、彼女渾身の演技。 泣き、笑い、怒り、すねる、訝る、等々の演技表現はまるで動物だと猫のようだ。三味線はほんとうに弾いていると見た。

 池部良さんはボソボソと喋っていて、芝居がうまいのか下手なのか良く分からない人だが、雰囲気はいいと思う。

 八千草薫さんの葉子は、駒子より歳が若い設定だと思うが、実際は岸恵子さんより年上で、当時26歳である。でも十代にしか見えない。ウィキで検索したら、松本零士さんの描く、か弱い少女はこの人がモデルだという。納得。

 置屋のお姉さん(女優名が分からない)の演技にも観るたびに「うまいなー」と感心している。

 若い市原悦子さんがオタフク芸者役で出演していて、この映画唯一のお笑いシーンを好演している。

 新潟・湯沢町の豪雪の風景がすごい。電柱の街灯の高さまで雪が積もっているが、あの丸い大きい街灯は、どうやら撮影用に取り付けたものと思う。光糧が多いので。

 撮影では国鉄、消防署、消防団、警察や湯沢町のみなさんが全面協力。出演している現地の子供たちも今は還暦を越えている。

 そこでは一発勝負の撮影があり、スタッフ一同緊張したことだろう。

 ロケでの雪のシーンは、本当に降雪時に行っているが、それは自然相手のこと、どうしても、時間軸は同じなのにカットによって雪の降る量が違う。同じく、火事のシーンでもカットによって燃えている火の勢いが違う。監督やスタッフはこういうことに頭を悩ます。映画の内容とは関係のないことだが、撮影状況を想像するのも映画を見る楽しみだ。

 團伊久磨さんの音楽は、この映画を初めて観た当時、オープニングで「タ・ターン」というモチーフを多用しているな、というだけの印象だったが、今、観直すと、劇中の弦楽器を使った音楽は、ヨーロッパやハリウッドのロマンス映画音楽のようにウットリとするいいものだった。 尚、私の感じたところ、團氏は、このモールス符号でいう「ト・ツー」(Aまたはイ)のモチーフが好きなようで、氏の担当した他の映画音楽でも良く耳にする。

 日本の旅館、日本間の部屋のたたずまいがいい。夜祭の景色も幻想的で美しい。「美しい日本」を味合うため、この映画をたびたび観る。

 また、ラッセル車の活動シーン(カメラが飛ばされた雪で埋まってしまうところでカット)や、ホームで電車とSLが連結して停車しているシーンも観られるので、鉄道マニア必見の映画でもある。

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コメント

新年おめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

イヴ・シャンピ監督の許に走った岸惠子さん。当時の驚きが甦ります。「雪国」の彼女は今も印象深いです。
池部良さん。仰る通りですね。そう言えば「青い山脈」もそのような雰囲気だったと思います。
八千草薫さん。今ふと思いました。あの広いおでこも若く見える要因かな?と。「雪国」の2年前に観た日伊合作映画「蝶々夫人」の可憐さも忘れられません。
置屋のお姉さん。私も分かりません。確かめたいと思いましたが、残念ながら「雪国」のソフト、手持ちのリストにありませんでした。

ほんとうにあの雪国の撮影は大変だったでしょうね。新潟の雪の凄さは、現役時代に体験しました。工場の敷地の境界が分からなくなります。7万ボルトの変圧器の碍子近くまで積もると冷や汗ものでした。

団伊玖磨さんの音楽は大好きです。テレビの無い時代。ラジオから流れてきた「輪になって、輪になって…」という歌詞のラジオ歌謡。何という題名か?ど忘れしましたが、ほのぼのします。

投稿: アスカパパ | 2010年1月 8日 (金) 16時24分

すみません。書き忘れたコメントがありますので、再度お訪ねしました。
市原悦子さん。実は大ファンでして、TVドラマ「家政婦は見た」は見逃したことがありません(笑)。
「わらびのこう 蕨野行」(2003年)での、従来のイメージからの豹変にも驚きました。「良きところならば未練残らず。苦しみの土地なればこそ、もう一度此処で生きたい」の台詞には、ガ~ンと来ました。その多才ぶりを発見した思いです。

投稿: アスカパパ | 2010年1月 8日 (金) 17時37分

アスカパパさん。いつもコメントありがとうございます。本年もよろしくお願いします。
岸恵子さんの駒子は最初、固い感じがしますが、本当の芸者になってからは堂に入って見えます。その変化がうまいです。個人的には日本髪の駒子より小津「早春」の金魚のほうが好きなのですが。
「蝶々夫人」は少し観た事がありますが、八千草さんはほんとうに可憐でしたね。歌は吹き替えでした。
置屋のお姉さん芸者は万代峯子さんのようです。出番は少ないですが、置屋で熱燗を一杯やっていたり、お茶漬け食べながら喋ったりが上手いんです。
7万ボルトのトランスの近くまで雪が積もったらどうなるでしょうか、怖いですね。こちらでも大雪がありますが、背丈の小さな子供の頃はこの「雪国」のような景色に見えたものです。
團さんの音楽は伊福部さんのように重厚でなく、芥川さんのように華麗でもないようで、中庸が保たれていると感じました。「輪になって・・・」は私もNHKの「みんなの歌」で聴いたことがあります。「みんなで手をつなごう」というフレーズもあったような気がします。
市原悦子さんは当時、20歳くらいなのですが、この映画ではアドリブに近い演技で、すごいインパクトがあり、将来への天分を予想できます。残念ながら彼女の映画は観ていませんが、名女優ですね。
今、原作を読み直していますが、旧仮名遣い表記でで、「そうゆう」が「さふゆう」となり、また漢字も旧漢字で実に風情があります。

投稿: アラン・墨 | 2010年1月 8日 (金) 23時04分

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