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「トコリの橋」、謎のシーン

墨氏の愛した特撮、NO,2

 1954年公開、バラマウント制作の「トコリの橋」はアカデミー特殊効果賞を得ているが、その爆撃シーンにはいつも感嘆している。

 私がテレビで初めて観たのは高校生の頃だったが、当時はジェット戦闘機がトコリの橋の谷を攻撃するシーンは実写なのか、特撮なのか見分けが難しかった。ただ、谷間から発射される対空砲火の火花がポンポン花火状のものなので、かろうじてミニチュア撮影だと感じたものである。

Dscf0009_medium  アメリカのミニチュア特撮がいかに優れていたか、スタッフがいかに本モノに見せることに努力しているかが分かる。

 私は、日本国内では、やたら日本映画の当時の特撮ばかり評価されるのが今もって不思議なのだが、これは日本の観客が、ハリウッドの特撮シーンを本モノと勘違いして特撮だと気づかないことがあるせいだとも思っている。(あるいは特撮と分かってもあえて無視する)

 ほんとうに特撮だと気づかないシーンやカットが向こうの映画には沢山ある。

 一方、日本映画の特撮では、実写と見間違えてしまうシーンは極めて少ない。

 さて、この「トコリの橋」では、何度繰り返してチェックしても、実写なのか特撮なのか判別できない謎のシーンが一つある。

 それはホールデンの操縦するF9F戦闘機が胴体着陸するシーンで、以下がそのカット。

Dscf0008_medium Dscf0005_medium Dscf0004_medium

                                 ・・・ 第二次攻撃から胴体着陸までの動画シーンはコチラ。 

http://www.youtube.com/watch?v=lF-SC-9b7tc

 もし、このシーンが実機を使った実際の胴体着陸だとしたら、現場の撮影スタッフは極めて危険である。どこに突っ込んでくるか予測できないからだ。また、パイロットはもっと危険であるが、それは無線操縦という手もあるだろう。しかし、その場合でも、この映画のようにカメラの前に、あつらえたようにピタリと停止させることは極めて困難である。

 それに、機体が実機よりかなり堅牢に見える。私は飛行機に少し詳しいが、実機だったら最初の地面への激突でかなり破損してバラバラになるものだが、このシーンではその後の数度の激突でも原型をとどめていて変だ。

 つまり、私は、この戦闘機は頑丈に作られたラージスケールのモデルと睨んでいる。大きさは実機の二分の一くらいだろうか。映画では停止した戦闘機からホールデンが脱出しているカットがあるが、その時の大地の様子や草などが、前の戦闘機がカメラの前で停止したカットと違う。だから同一場所での撮影ではないことが分かる。

 しかし、モデルによるミニチュア特撮だとして、どうやって飛ばしているのだろうか、何度、画面をチェックしてもガイドしているワイヤーは見えない。(谷の攻撃シーンではワイヤーが見えるカットがある)

 今もって謎の特撮シーンであるが、もし、私の見当はずれで、特撮ではなく本当の実機による撮影だとしたら、それはそれで驚嘆すべきスタントアクションだ。

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コメント

こんにちは。
動画を拝見して、観た当時を思い出しました。懐かしかったです。
空中の戦闘場面が素晴らしかった。としか言えない私ですが、撮影については詳しいアラン・墨さんの解説を拝読して、「なるほど」と頷けます。
ただ、この特撮とは関係はありませんが、日本国内の撮影だけは、他の多くの洋画と同じように、日本を全く理解していない撮影で、がっかりだったことも、いま思い出しました。
なお、ウィリアム・ホールデンが、改めて可哀想に想いました。

投稿: アスカパパ | 2010年1月30日 (土) 14時21分

アスカパパさん。こんばんは。
動画をご覧になられたのですね。ミニチュア撮影でもオープンセットの太陽光直下で撮影すると、ほんとうに実写のように見えますね。
この映画のラストは悲劇的なので、案外人気が無く、忘れさられているかもしれません。
ただ、仰るとおり日本人には目を伏せたくなるシーンがあるのは残念です。あれは別に必要とするシーンではないので、脚本家や監督の意図するところが分かりません。グレース・ケリーは日本ロケには参加していないそうですから、彼女のいるシーンはアメリカのスタジオで撮影されたそうで、そこでまた可笑しな日本考証になったのかもしれません。

投稿: アラン・墨 | 2010年1月30日 (土) 21時17分

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