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私の特撮定義と「トラ!・トラ!・トラ!」

墨氏の愛した特撮、NO,1

 映画の特殊撮影にもいろいろあり、合成やCG処理なども特撮ですが、私の言う「特撮」はミニチュア特撮に限定します。

 その「特撮」には子供のころから確固たる定義が私なりに存在していて、その一大信念は「本モノに見えること」、「実写と見間違えること」です。この大前提を基に、私の愛した特撮シーンを紹介します。まずこの映画。

 20世紀フォックス映画の「トラ!・トラ!・トラ!」の特撮は、1971年当時、中学生1年生だった私に、アメリカ人の真珠湾攻撃に匹敵するようなショックを与えました。

 日本軍の攻撃を受け、パールハーバーに汚れた船底を見せて横たわる艦船。海面で引火し燃える、漏れた油の炎。あの煙と炎は、まさに「実写と見間違える」光景でした。

Dscf0021_medium 巨大野外プールで、青空のホリゾントをバックに5倍以上のハイスピート撮影によるアメリカ艦隊の残骸(ミニチュア)炎上シーン。これを実物大による実写と思っている人が大分居るようです。湾の波の演出も申し分ない。

 圧巻は「戦艦アリゾナ」爆破カット。

Dscf0017_medium この三つの火球、火煙の点火タイミングの素晴らしさ。飛び散る火花の演出と、物理的に見合った燃焼速度による爆発・ハイスピード映像は、カラー撮影された実際の記録フィルムと見間違えるものです。これには完全に「参りました」。もう40年も愛している特撮カットです。

 垂直に長く吹き上がる爆破水柱も見事です。このパイロには細かい水煙の効果を出すため、火薬の上に銀粉が混ぜてあるとのことです。

Dscf0019_medium 至近距離で爆破水柱を受ける艦船。飛行機からの映像を模した俯瞰撮影は円谷特撮の影響大。しかし、私はこちらの映像を高く評価する。

 真珠湾の特撮以外でも素晴らしいものがあります。一部の空母の映像も、実写と見間違えます。

Dscf0013_medium Dscf0015_medium この嵐の中を進む日本海軍空母は、霞んだ空気感の描写もさることながら、海面の白波の演出も、洗剤などの薬品による手の込んだもので、ホンモノらしく見せる努力に脱帽。

私は真珠湾攻撃のミニチュア特撮では、この映画をベスト1にあげます。

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コメント

ミニチュア特撮に対するアラン・墨さんの確固たる定義、よく分かるつもりです。
この映画の特撮は、仰る通り、現実と間違うような迫真力がありましたね。私も今も印象強いカット。シーンが多いです。

投稿: アスカパパ | 2009年12月22日 (火) 14時49分

アスカパパさん。いつもありがとうございます。
この映画について検索してみますと、攻撃シーンはすべて実写だと思っている方もいるようです。これは特撮監督への最大の賛辞でしょうね。アメリカの特撮マンは特撮と気づかれないことに誇りを持っています。日本人の大部分の人はハリウッドの特撮が見抜けないので、分かりやすい日本の特撮が世界一だと勘違いしているのではないでしょうか。「王様の耳は ロバの耳」ではないですが、私は世界には、目立たない所で、日本の特撮より優れたものがあると主張していきたいです。

投稿: アラン・墨 | 2009年12月22日 (火) 20時10分

日本空母のミニチュアはどのくらいの大きさだったのでしょうか?恐らく、東宝映画「山本五十六」の赤城よりは小さかったのでは?プールも東宝の方が大きいと思いますが‥。1カットにかけられる時間と予算が違うのでしょうか?

投稿: 池田 | 2011年2月23日 (水) 17時16分

池田さん。かなり前の記事にコメントありがとうございます。
「トラ・・」の特典映像を確認したところ、船舶ミニチュアの巨体なものは15メートルと言っていました。これは赤城のサイズでしょう。あの赤城はアメリカ空母のデザインに近く、正確な形ではないそうで、戦艦マニアには不評です。撮影したプールは東宝のプールより大きく見えました。
「山本・・」の最大ミニチュアは「飛龍」で13メートルですので日米のミニチュアセットは、ほぼ同等だと思います。
「山本」には「太平洋の嵐」の特撮が再利用してありますが、米映画「ミッドウェー」にもチャッカリ使われていますね。
最も巨大な戦艦ミニチュアは「太平洋の鷲」の「飛龍」でしょうか。漁船を改造していましたが、湖で、恐らく銀レフも当てず撮影したのでしょうか、巨大感がありませんでした。
何かの映画で、同じく湖で撮影した戦艦大和の巨大ミニチュアのカットを記憶していますが、これも巨大感を感じなかったですね。
独映画「Uボート」では巨大ミニチュア本体にカメラを取り付け、実際の海で撮影していましたが、あれは効果がありました。本モノにしか見えませんでした。
円谷特撮では同じ縮尺率のミニチュアの撮影でも、カットによって、高速度撮影のコマ送りの倍率が違っていて、爆発現象でも速かったり遅かったりとマチマチで混乱します。
「トラ」は全カットのハイスピード撮影が安定しています。

投稿: アラン・墨 | 2011年2月23日 (水) 23時20分

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 その時、館内は超満員だった。私の体は右側通路の壁に密着した儘。人の頭と頭の隙間から銀幕を凝視した2時間半だった。「これは事実に基づく物語である」と冒頭に出る。  確かに懐かしい名前がぞろぞろと出てくる。  「メッサー・シュミット」「旗艦赤城」「スピット・ファイアー」「零戦」「オクラホマ」「B17」「ネバダ」「Z旗」「カリフォルニア」「エンタープライズ」「レキシントン」・・。  前半は開戦前の葛藤。英語と日本語のショットが激しく交錯する。確かにこれは記録映画に近い。但し民間機の米国民が吃驚するフ... [続きを読む]

受信: 2009年12月22日 (火) 14時51分

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