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少年の目から見た円谷特撮、その2

円谷英二の特撮、NO,2

「なぜ、24コマ撮影なのか」・・・

少年のころの私は映画による円谷特撮、テレビのサンダーバード特撮、L.B.アボット特撮での爆発燃焼シーンを観るのが大好きだった。

こういうミニチュア撮影では、撮影するカメラのフィルム送りは、本編撮影の1秒間24コマではなく、3倍・5倍・10倍と早く送り、縮小したミニチュアのサイズに対して、物理的に妥当な実写感覚を得るようにするのが常識である。

つまり、物が爆発したときの火球はゆっくりと上昇するし、飛び散る破片も水しぶきもゆっくり動く。これには「遅すぎる」ということはなく、極端にスローモーな動きとなっても、それなりに迫力があるものだ。(テレビ「マイティジャック」でのMJ号離水シーンなど)

小学校4年生のときだったか、私はようやく夕方のテレビ再放送で「ウルトラQ」や「ウルトラマン」を全編鑑賞することが出来た。これらの番組が始まった当時、私は小学校2年生であったが、日曜夜7時が放送時間ということで、その時間帯は親爺がNHKのニュースを独占したためリアルタイムで見られなかったことによる。(親爺が怪獣嫌いだということも原因の一つ)

それら円谷プロの特撮番組を観ていて、当時「オヤ?」と感じた。巨大な怪獣やヒーローがバトルするシーンでは、ハイスピード撮影ではなく、24コマ撮りになっていたことだ。バトルシーンの前の怪獣登場ではハイスピード撮影であるのに。

そのバトルシーンでは、石油タンクが爆発したり、ビルが蹴倒されるのだが、見ていると燃え上がる炎はただ「ポン!」と瞬時に上昇し、ビルは「ポロッ」とアッケナク崩れ、踏み潰される家は「クシャン」となるだけで全く実写のように見えなかった。

これはどうしたものかと子供心に感じた。もっとユックリとした迫力ある破壊や燃焼・爆発を見せてほしいと思った。もったいないのではないかと思った。ウルトラマンと怪獣のスピーディーな動きを見せるためなのだろうか。ユックリと動くとバトルがドンクサク見えるためだろうか。

これは、ハイスピード撮影はフィルムを大量に消費するので、予算に制限のあるテレビ番組だけの止む終えない事情によるものだと解釈していたが、後に映画「キングコング対ゴジラ」「モスラ」などの特撮でも、同様にバトルシーンでは24コマ撮影のシーンがあり、どうしてこうなのかと驚いたものである。

Dscf0024_medium ハイスピード撮影されず、24コマで撮られたコングとゴジラのバトルシーン。燃えあがる火災は、まるでスタジオで焚き火を焚いているようにしか見えない。

後の富士山バトルでもチョコマカした24コマ撮影がある。

ただし、円谷特撮の怪獣バトルでは、すべてのシーンが24コマ撮影ということもなく、「サンダ対ガイラ」などでは迫力のあるハイスピート撮影の格闘シーンもあり、私は円谷特撮での、このムラのある演出に子供のころから疑問を感じている。

、「ゴジラの逆襲」では怪獣のバトルシーンを24コマ撮影どころか、一部「コマ落とし」撮影をやってしまい、ネズミ同士が闘っているようなチョコマカした映像を見せてしまっている。これは明らかに失敗である。

追記: この件については、カメラマンがコマ送りの設定を間違えて撮影してしまったという解説があるが、コマ落とし撮影とハイスピード撮影ではカメラの作動音・・・(ハイスピード撮影では、カメラから「ジャー」という大きな音が出る)・・・がまるで違うので、撮影監督(カメラマン)と撮影助手の二人の人間がその違いを気が付かないわけが無く、言い訳の説明にすぎない。

この「キングコング対ゴジラ」での最も優れたミニチュア特撮映像は、麻酔によって倒れたコングと国会議事堂周辺をヘリからの俯瞰移動で捕らえたもので、ほんの2カットの一瞬のものだが、ほんとうに実写と言ってもよく、円谷特撮でも最高のシーンの一つである。

Dscf0025_medium この細かいミニチュア照明のすばらしいこと。少しスモークが焚いてあるのか、空気感のあること。車両のテールランプやスポットライトなどの演出は、後年のダグラス・トランブルの特撮を彷彿とさせる。またクレーンのカメラが微妙に揺れていて、ヘリからの映像を思わせ、実写感を増している。

Dscf0027_medium ライトをつけた車両の動きなど実写そのもの。

この、あたかも航空機で撮影したかのような、クレーンを使った俯瞰移動撮影は「ハワイ・マレー沖海戦」来から、円谷特撮の優れた映像テクニックの一つである。

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