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第3話、「ロケット”太陽号”の危機」

サンダーバードの特撮、NO,3

原題- SUN PROBE..

監督- デビット・レーン

IRメカ- 、サンダーバード3号、2号、ブレインマン、セーフティビーム発射雪上車(XJ:157?)、サンダーバード1号は珍しくお休み。

ゲストメカ-、太陽号(SUN PROBE)、テレ・ラジオカメラ(画面には映らず)

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サンダーバード3号の初登場のエピソードであるが、その前の「太陽号」打ち上げシーケンスが素晴らしい。

大型ロケット、「太陽号」のデザインは、当時のNASAや、ソ連のロケットのいずれにも属さないユニークなものだが、若干、下のシェル部分は、当時開発中のサターン1B型に似ていないでもない。またリフト・オフ時は、3つのエンジンで上昇しているが、噴射穴は3つばかりでなく、同心円上に沢山並んでいて、ソ連が後で月ロケットとして開発したN1ロケットの第一段目の噴射穴にソックリである。サンダーバードが先取りしている。

まず、宇宙飛行士の乗り込み。とても小さいミニチュアを仰ぎで撮影し、巨大感を演出。乗り込んだエレベーターのミニチュアが小さいため、停止では、多少ギクシャクしているのが残念。

Dscf0062_medium 発射シーケンスでは、ロケットエンジンの点火がマイナス10分前くらいから開始され、多少、首をかしげる。点火は5秒前くらいが普通であるが、推力アップに長い時間のかかるエンジンということである。

発射台からの人員退避では、白いワゴン車が発射台の下から発進するのだが、このミニチュアのクルマが、とても上手に、スムーズに発進・加速していて、スタッフの操演感覚、物理感覚のセンスに拍手を送りたい。日本のミニチュア特撮では、大概、いきなりゴトッと動かしてオモチャ然とさせてしまうものだ。

Dscf0079_medium

Dscf0064_medium 燃料注入チューブの退避と、この設備の描写もまた、スタッフがよくロケット施設の勉強をしていて感心してしまう。設備が地下に潜っていくのも納得のいくことで、わざわざその操作をさせる気配りに頭が下がる。このロケット燃料はTOXと描いてあるので毒性のようで、ビドラジン系なのだろうか。未来の話としてはチョット古いロケットエンジンである。

私が、最も驚くのは、リフトオフ直前で、アンビリカル・コード(発射までの制御や電源を供給するコード)の切り離しと、打ち上げロックピンの解除の描写がされていることで、特にアンビリカル・コードが外れ、それを支えるクレーンが倒れる動きは実写そのものと言っていい見事なものである。尚、現在の打ち上げでは、この倒れるクレーンは使われていないが、NASAの初期のロケットではよく見られた。

Dscf0065_medium コードがロケット本体から外れ、クレーンが倒れていく。コードがダラーンと揺れていく動きは実写そのもの。ハイスピード撮影が極めて適切。後退する発射台の精密なこと。

アンダーソン作品では映画「決死圏SOS宇宙船」のロケット発射台がこれより巨大かつ緻密で、ミニチュア特撮史上、最高の作品といってよい。

サンダーバード3号の初登場では、隊員がソファに座ったまま乗り込んでしまうメカが紹介され、少年のころ面白がったものだが・・・(替わりの空のソファが上昇して行くが、オフセットしているのに、どうやって元の位置にはまるのだろうか)、・・・ここでは3号の下部だけ精密に作られたミニチュアが出てくる。リフト・オフでは、一つのエンジンに推進火薬が3個点火しているように見えるが、1個では火炎が小さすぎる為だろう。そうするとエンジンが合計9個のクラスター型ロケットといえる。

Dscf0066_medium 同時に9個の火薬をうまく点火させるには、何度もテークを繰り返したかもしれない。堂々とした迫力のある上昇シーン。

Dscf0067_medium ゆっくり離れる地球をバックに、ロケット噴射のガスだけを見せるアイデアは素晴らしい。現在でも、実際の打ち上げでは、このシーンと同じ構図で噴射のようすをライブ中継することがあり、先見の明がある。尚、実際の宇宙空間では燃焼ガスは、ほとんどカメラに写らない。

このカットや、ブレンインマンの起動音、太陽のギラつく音などに電子音が使われているが、これはバリー・グレイのもので、以後のアンダーソン作品には頻繁に効果音として使われる類のものである。個人的には彼の作る効果音は私の好みではない。

尚、この回より、危機に遭遇したときなど、打楽器のボンゴを使ったエキサイティングな音楽が挿入されるようになった。以下参照。

http://www.youtube.com/watch?v=IjkRXierOQE&feature=PlayList&p=13BB57700166CBDA&playnext=1&playnext_from=PL&index=3

「太陽号」の先端には3人の宇宙飛行士が乗船しているが、太陽の破片を採取するために、本体より分離され、一緒に太陽の付近まで飛んでいってしまっている。あのキャビンの先端がさらに分離し、採取してくるという描写が省かれている。ちょっとしたミスである。

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コメント

 太陽号の発射シーンは、なかなか見応えがありますね。乗員が昇るエレベーターや噴射、倒れるタワーやコードの切り離しなどなど、またDVDを見たくなりました。
 

投稿: 雷おやじ | 2009年11月 1日 (日) 22時38分

雷おやじさん。こんばんは。
ロケットの発射準備をこれほど長い時間で紹介したのはこの作品が最初ではないでしょうか。当時はこのような大型ロケットは無かったのに、後年のアポロの発射をほうふつとさせる描写に驚きます。また、記述を省きましたが、発射までのグレイの音楽がワクワクして素晴らしかったですね。秒読みの緊張感と、発射設備の巨大さが音楽に表現してありました。サンダーバードは何回観ても、新しいものを発見します。

投稿: アラン・墨 | 2009年11月 2日 (月) 20時55分

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