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第2話、「ジェットモグラ号の活躍」

サンダーバードの特撮、NO,2

原題- PIT OF PERIL.(穴の危機)

監督- デスモンド・サンダース

IRメカ- 磁力牽引車、モール(ジェットモグラ)、リモコンVTOLカメラ

ゲストメカ- サイドワインダー(ゴング)、ヘリジェット、タンデムローターヘリ

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アフリカの大地を4本足で進む、米陸軍の大型マシン「サイドワインダー」は重量500トン。

冒頭ではこのマシンの足だけを見せて期待感を煽る、うまい演出。巨大物体がゆっくり進行している時のバリー・グレイの音楽もいい。この音楽は後の作品に「クラプロッガー」の移動でも使用されていたと記憶する。

正体を現した四本足の機械が進む様は、亀虫のようで、多少コッケイでもあるが、4本の脚がテレスコピックに伸び縮みするメカの操演がちゃんと成されているので、納得いくものである。

この「サイドワインダー」が地割れから滑落するシーンは、例によって小さいミニチュアにもかかわらず、適切なハイスピード撮影と、臨場感ある効果音で、物理感と巨大感を損なわない優れた撮影となっている。

Dscf0076_medium 滑落した「サイドワインダー」周囲で燃える炎の大きさから、このミニチュアが40センチ四方程度の小さなものであることがうかがわれる。

ここで注目すべきは、滑落し、破壊されたた機体から噴出する黒煙のすばらしさ。この黒煙はゴムなどの燃焼ではなく、明らかに特殊な火薬を利用しているようだ。石油施設の火災などで見られるような実写感を与えている。東宝「東京湾炎上」のようなパイロシーンなどで、ただ炎だけの押し売りで済ます中野特撮に足らないのは、こういう「気配り」とアイデアである。

Dscf0074_mediumハイスピード撮影に伴って、見事な黒煙の巻き上がりを演出している。

このエピソードでは、アメリカ軍の航空機として、タンデムローターのヘリと、ジェットによるVTOL機、ヘリジェットが初めて登場する。これらの垂直離着陸では、地面に風圧による砂埃が手抜かり無く演出されているが、どうやっているのだろうか。

私が想像するに、ミニチュアの中にフロンガスなどの高圧ボンベがセットしてあり、無色のガスを噴出させているのだと思う。

これはサンダーバード全作品中に登場する、車両の下から噴出される砂埃も、同じ仕掛けではないだろうか。

その砂埃を巻き上げ、2号コンテナから出現する「モール」、ジェットモグラ。

Dscf0075_medium キャタピラの下から噴出する砂埃の良いこと。

ジェットモグラのウェザリング(汚し)の見事なこと。

このジェットモグラが地中に潜るシーンでは、ドリルを駆動するモーターの反トルクで、下部キャタピラメカが引っ繰り返ってしてしまうので、地面に固定されてあるはずである。

ドリルメカを進ませるには、糸で斜め下に引っ張っていけばよいが、カタパルトからドリル部分が離れると、胴体が逆回転してしまうので、その部分は撮影されていない。そして、あらかじめ付けてある穴の脇からは、エアガンなどで、土砂を吹き飛ばしている。

Dscf0077_medium 4つの車軸のキャタピラメカは、今回に登場する「磁力牽引車」や他のサンダーバード装備に共用されているもので、イギリスで販売されていたキットの流用だと記憶している。

このキャタピラ部分のアップ映像や、土砂を巻き込んで空回りしている映像は、昭和40年代当時のプラモデル好きの少年たちをワクワクさせた。

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サンダーバードの特撮」カテゴリの記事

コメント

こんばんは。先日の続きを此方に寄せますね。

あれから少しばかり考えて、取り合えず呼び方に関して私からは“墨さん”と決めさせて頂きました。改めましてどうぞ宜しくお願いします。

それから私の方も敬称は結構ですよ^^;本当は私の方が“墨様”とお呼びしなければならないところをすっかり親しげな言い回しをして今になって大分失礼な態度を反省しています(苦笑)。私の方も気軽にどうぞ呼んで下さいね。因みにHNの由来はごくごく単純なもので自分の本名の一部を取り、それを英語に変えただけの話なんです。最初は“one”とアルファベットで表わしていたのですが、その内面倒になって片仮名に変更した次第です。私も墨さん同様、大体数十秒で考えた代物ですね^^;でも長い間使い続けてくるとそれでも愛着が湧いてしまう辺りも同じです。

という理由でワン、とは犬の愛称でも王選手の事でも何でもありません(苦笑)。更にどうでもいい話として、我が家では動物を確かに飼っていますが、残念ながら犬ではなく猫だったりします(汗)。犬と仲良く散歩している姿を見ると一方で「犬も良いなあ」と思ったりもします。本質的に“猫のつれなさ加減”が自分のツボに嵌ってはいるんですが(笑い)。

閑話休題。再びのサンダーバードの話題ですが、今回もじっくり興味深く拝見させて頂きました。火炎や煙などの自然現象をミニチュアの尺度に合わせて撮影するのは困難を極める作業だと聞いた覚えがあります。当時の技術の限界を補って余りあるアイデア、発想には作り手の並々ならない熱意と細やかな配慮が良く伺えますね。それはひとつの“良心”とでも言って良いもので受け手は素直に優れた表現に対し感嘆驚嘆の溜息をつける寸法でしょうね。

サンダーバードは人形を主体にした作品である以上始めから「作り物」と分かる構成ですよね。にも関わらずメカビーグル群の描写に全く手を抜かず、徹底したリアリズムを追及する制作方針や姿勢には改めて少なくない感心を抱いてしまいます。寧ろ各種機体のリアルな所作が「作り物」である人形キャラクターに(精巧な作りこみと相俟って)瑞々しい命を吹き込む事に成功しているのではないでしょうか。

これが本邦のスタッフであれば、人形、それも子供向けという事情ともなれば一層等閑、有態に「好い加減」に仕上げてしまう懸念は払拭できません^^;

怪獣怪物などの造形にしても着ぐるみのチャックが丸見えだったり生物感がまるでないゴムの塊のような大味の表現を「手作りの良さ」として変に伝統付けて正当化する考え風潮が私にはどうも納得できませんでした。レイ・ハリーハウゼンの一連のクリーチャー、モンスターの動きはぶれのないコマ撮りでも(それでも着ぐるみよりリアルに見えました)毛並や皮膚の質感はとても秀逸でした。サンダーバードのスタッフやハリーハウゼンの職人気質溢れる取り組みのようにスクリーンの向こう側の「リアル」な世界の構築の為の丁寧な工夫配慮は怠って欲しくはないものです。

それに、子供でも「作り手の真剣み」を嗅ぎ分ける感性はあると思うんです。ある程度長じてから今回のお話にも触れている中野氏の特撮場面を見て「爆発の中野」という異名(だったと思いますが)に相応しく矢鱈火薬を大量に用いてミニチュアを派手に爆発させる様子に驚くより些か白けてしまった覚えがあります。

「ミニチュア」の粗さを誤魔化すために早々と爆発させているのではないか、とその時は感じたからです。まさに「煙に巻かれた(煙に巻く)」心境でしたね。

大分前の映画になりますが、ローランド・エメリッヒ監督の「インディペンデンス・デイ」でのホワイトハウスの爆破シークエンスは飛び散る破片やゆっくりと膨張拡大する爆炎がとても臨場感があり、充分納得のいく出来でした(ただ残念ながら内容そのものは特筆すべき点はありません。2001年のパロディの挿入には少し笑えましたけど)。

パイロテクニックひとつ取っても(爆発する状況、対象に合わせた)繊細で緻密な技術とセンスを必要とする、という内容にまたも私は頷いてしまいました。若しも「大量に用いればそれだけで迫力に繋がる」という考えであれば、尚の事私は失望してしまいますね。火薬の“取り扱い”に長けてはいても火薬の“演出”が覚束ないのであればそもそも話にならない、そんなところでしょうか・・・?

先日の「オネアミスの翼」もそうですけど、実写(特撮)よりアニメ、二次元の表現世界の方に「重さ」の歩があるのはどうも腑に落ちない自分がいます(アニメを「軽く」見ている訳でもないですけど)。この話はまた後日に・・・。

内田光子演奏:シューベルト作曲ピアノ・ソナタ第21番変ロ長調D.960を聴きながら

投稿: ワン | 2009年10月 8日 (木) 22時35分

ワンさん、こんばんは。
するどいご指摘にドキッとしました。「サンダーバード」はライブ物ではなく、マリオネーションの世界なのですね。ほんとうの人間の世界の話ではないので、特撮やミニチュアもどうしても人形のスケール感や質感と付いて廻ります。同じアンダーソン作品の「UFO」では人間によるライブアクションに付随してミニチュア特撮が「サンダーバード」と同様にありますが、私はあの特撮には違和感を少し感じたものでした。生身の人間と合っていないのです。これは、たぶんジェリー氏もメディングス氏も同じ思いがあったと私は思います。
とはいえ、メディングスの特撮は当時の日本のライブアクションを伴った「ウルトラ」特撮より優れていることは間違いないですね。
「インディペンデンス・・・」のホワイトハウスのパイロやビル群のバイロテクニックについては全く同感でして、改めてハリウッドの技術に感嘆したものです。
中野氏は「爆発の中野」と言われているようですが、火薬の使い方はどうでしょうか。私は「ガソリンの中野」と言いたいですね。(o^-^o)
仰るようにミニチュアの粗さを誤魔化すためにガソリンを大量に入れた爆発のファイヤーボールで画面を覆っているのが中野バイロ特撮です。

投稿: アラン・墨 | 2009年10月 9日 (金) 20時32分

スタンリー改めアラン・墨さん、お久しぶりです。
 ゴング本体のデザインはまだしも、珍妙な歩き方をするあの4本足はどうも好きになれません。スターウォーズのAT-ATのような、もう少し納得できる動きだったら良かったのですが。
 ご指摘の通りローター式のヘリとジェット式のヘリが登場しますが、「サンダーバード・メカニックファイル(双葉社)」の中で、古いものと新しいものが混在する端境期を表現することで、リアリティが増していると述べられているのを思い出しました。
 黒煙や砂塵、ウェザリングによる表現の見事さだけでなく、上記のような設定まで深く考えられていたことも、サンダーバードを名作にした要素の一つなのでしょう。

投稿: 雷おやじ | 2009年10月14日 (水) 22時31分

雷おやじさん。こんばんは。
仰るとおり、コングの歩行はカメレオンみたいにヨチヨチしていて、ちょっとメカ設定に失敗したとスタッフも感じたでしょうね。そのせいか全景歩行カットは僅かしかありません。
ローターヘリとヘリジェットの端境期を設定したのですね。なるほど。軍隊というのはアメリカのB52もそうですが、いい物は意外と長く使いますね。エンジンの効率ではヘリのほうが良いのですが、この時期はもう化学燃料ではなく、民間のジェットにもIRメカのように、放射能汚染の無い原子力が使われ始めたのかもしれません。
それにしてもDVD映像は鮮明ですね。この「サンダーバードの特撮」は特に思い入れのものをテーマにしますので、全作品を載せられないと思いますが、また、お気づきの点、お知らせください。

投稿: アラン・墨 | 2009年10月14日 (水) 22時58分

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