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H-ⅡBロケット打ち上げ成功を祝う

ロケットエンジン Book ロケットエンジン

著者:中村 佳朗,鈴木 弘一
販売元:森北出版
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H-ⅡBロケットより分離された、国際宇宙ステーション・補給船、HTV(H-Ⅱ.Transfer.Vehicle)が無事、ISSにドッキングして、ミッションが成功した。

おめでとうございます。

ロケットの打ち上げは、目的の衛星が機能を果たしてこそ成功といえる。

よく、打ち上げをモニターで見守っているJAXA以外の方々を見ていると、カウントダウンがゼロとなり、エンジンに点火、リフトオフして数秒後に「ヤッタ・ヤッタ・バンザーイ」と大喜びをしているが、私はとてもそんな気持ちになれない。

それに私ばかりか、JAXAや三菱重工の携わった人も、そんな彼らにはシラケタ目を送っているのではないだろうか。

ロケットの打ち上げは、始まったばかりであり、これからが勝負。メインエンジンは、例えば450秒間燃焼するとすれば、449秒でターボポンプに不具合が生じ、爆発するかもしれない。燃焼終了の一秒前まで喜んでいられないのだ。

燃焼が終了しても、第二段エンジンに点火するか、いやそれ以前にSRBがうまく分離するか、一段目と二段目がうまく分離するか、衛星のフェアリングがうまく開くか・・・等々、心配ごとが沢山なのである。「バンザイ」などしていられない。

ということで、私は、打ち上げが終了しても、HTVがドッキングするまでは、喜ぶのを控えていた。

ところで、今回のH-ⅡBロケットはメインエンジンを2個くっつけ、日本初のクラスター型とし、さらにSRBを4本として、総推力、約1000トン以上の、ほんとうに大型のロケットとなった。

推力、約1000トン以上とアイマイにしたのは、現在の推力表示がトンからキロ・ニュートンとなって、極めて生活観から離れた、分かりにくい単位になったためだ。

キロ・ニュートンの数字から、トンにするには、1割引けばいいようだが、ピンとこない。それに比較してトンは1キロの1000倍であり、65キロの体重がある私は、0.065トンである。極めて分かりやすい。私を空中に持ち上げるには、約0.07トンの推力のロケットエンジンを背中にしょえばいいわけだ。

話は変わるが、私はガキのころからロケットの打ち上げや、噴射する燃焼ガスを見るのが大好きで、毎回、打ち上げ映像はロケットの下ばかり注視しているが、H-ⅡBロケットでは、SRBが4本あるせいで、その固体燃料の大量の煙りが発射台に充満し、肝心のメインエンジンの美しい、昼間だと、ほぼ透明の燃焼ガスが見えず、残念だった。

これはSRBの本体への配置が、丁度撮影するカメラの方向に向いていて、メインエンジンを隠してしまっているのにも原因がある。また、SRBの炎が明るすぎるも一因だ。

スペース・シャトルもそうだが、この固体燃料ロケットの燃焼というのは、ケムリ・モクモクで、炎も大きく広がってしまい、ロケットファン(少なくとも私)にはあまり評判のいいものではない。

燃焼ガスの見事な眺めは、固体燃料を使わないロケットで見られ、なんといってもアポロを月へ送った、サターン5型・第一段がナンバーワンである。

そのエンジン、F-1は燃料にケロシン(灯油)を使い、総推力は約3500トン。燃焼ガスの噴射速度は秒速3000メートルで、水素を燃料にしたスペース・シャトルのメーンエンジンの秒速4000メートルよりは遅いが、それでもファンジェット・エンジンの噴射エア速度より10倍という速さでガスを発射台に叩きつける。

--- アポロ11号、サターン5型の打ち上げ、超ハイスピード撮影・発射台映像。3分30秒過ぎからの映像が圧巻。

http://www.youtube.com/watch?v=wSv5383Dpvs&feature=related

--- アポロ8号打ち上げ、通常撮影の映像。もっとも状況が分かりやすい。

http://www.youtube.com/watch?v=XKtH0uzg8wU&feature=related

音速の約8倍の速度の燃焼ガスが、発射台のガス抜き穴などにブチ当たると、衝撃波が発生し、ソニックウェーブのベイパー(霧)が飛び散るのが時々見られ、これまたロケットファンを喜ばせる。

衝撃波は上昇中にも発生し、地上に達すると「タン・タン・タン・・・・」という太鼓を叩くような音として耳に聞こえる。この音もロケット打ち上げの醍醐味である。ロケット・エンジニアもこの音が大好きらしい。

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コメント

こんばんはー。少し間を空けてまた失礼します。私の方はシルバーウィークを尻目に仕事に専ら従事していました。その間休日も一日しかなく、最早「連休」の呈を成していませんけど、務めとあれば仕方のないところ。それで温かい御飯を食べられるのだから、そうそう文句も言えません(ははは)。それにお目当てのクラシックコンサートはまだ先なので、自分の「イベント」はこれから、になりますね。

と、どうでも良い私事はさておき、スタンリーさんの精力的な記事更新、一通り目を通させて頂きました。何れ他の記事にもコメントを寄せさせて頂きたいと思いますが、今回は此方に。ロケットを発射させる光景は壮観ですよね。「リフトオフ」の掛け声と共に力強く上昇していく模様を見て私も思わず「ヤッター」と無邪気な(無思慮な・笑)歓声を上げる口に間違いありません(ハイ)。

でも、大分前に鑑賞した「オネアミスの翼」というアニメーション映画で「軌道速度を出している、衛星になった」という天文台からの連絡を受けたスタッフ技術陣が“初めて”成功の確信を得て総勢歓声に沸くシーンがありまして、今スタンリーさんのお話と照らし合わせ「なるほど確かに・・・」と改めて深く納得しましたね。劇中では打ち上げ直後からロケットブースター(なんでしょうか?)格段の燃焼切り離し作業を緊張感を持って計測、報告し続けていました。スタンリーさんの仰られる通り、その時点ではまだ「成功」とは言えないのですね。かなり好きな部類の作品なのに、指摘されるまで全然気付きませんでした(;´∀`)ゞ

因みにyoutubeで当該作品のロケット打ち上げシークエンスがアップされていますので、此方にリンクしておきますね。時間のある時にでもどうぞご覧下さい。

http://www.youtube.com/watch?v=JgVi_I-w2Lc


さて、今回の特撮話ですが私が「最大最高」だと思う映画作品を一つ挙げるとするならば、「2001年宇宙の旅」なんですね。特撮、というカテゴリーに縛られることなく、究極至極の映像には何度観ても驚嘆されますし、制作上映年代の技術力、表現性の枠組みを遥かに越えたあの凄まじいまでの映像の質、クオリティーは今でも充分以上に通用するほど高度な表現だと思います。

いえ、未だにあの作品以上に「先鋭的」な作品には少なくとも自分にとりお目にかかった事はないですね。多分今後もないだろう、と拙くも「推測」しています。どれだけ技術力、表現力が向上しようとも最早次元の異なる内容は色褪せない普遍性を持っているように思えます。

少し前にスタンリーさんの2001年関連の記事を拝見しました折には、スタンリーさんの当作品に対する深い「愛着」をひしひしと感じて思わず嬉しくなりましたけど。またもや同じ感慨、感想を目にして改めて此方のブログを知った僥倖を感じています(大袈裟ではなく・・・)。

投稿: ワン | 2009年9月25日 (金) 01時10分

ワン様、こんばんは。「ネオアミスの翼」
拝見いたしました。1987年の作品なのですね。タイトル名だけは知っていましたが、これほど描写の優れた作品だとは知りませんでした。ご紹介ありがとうございます。
6分少々の映像でしたが、作画と演出は私のもっとも気にするところの物理感が自然に表されていて、感動いたしました。これも箇条書きにしますと、
① 戦闘機、弾丸の軌跡、爆発などがリアルであること。戦闘機(震電のようなエンテ翼機)が被弾や破壊される映像、また弾丸の曳航弾の飛翔が実際映像に近い見事な描写。
② ロケットはロシアのクラスター型(エンジンを32個束ねたタイプ)を良く取材した緻密なブースターの描写。
③ サターン5型の燃料注入バルブの解除、上昇ロックの解除などの記録映像を詳細に取材し、それを利用した発射シーケンスの見事な映像。
等々・・・思わずロケットファンとしても納得する描写に感動しました。この監督さんはたぶん私のような飛行機・ロケットファンではないでしょうか。「サンダーバード」の中のロケット打ち上げでも、発射前の燃料チューブの解除やアンビリカルコードの解除の描写が丁寧にされていたものです。円谷特撮にはこういう気配りは無かったですね。
リフトオフで「バンザイ」するのではなく、衛星離脱で成功とするシーンも、仰るとおりリアルでした。
「2001年宇宙の旅」についてはワン様とまったく同じ感慨をもちつづけております。哲学的内容を外しても、ハードウェアとしてあの映像は私にとっては小学校4年生のとき、少年マガジンの、この映画のグラビア写真を見、20歳で本編を観てからも、あれを超えるものはありません。特撮の神様、円谷英二さんは、あの映画に対して、どのようなコメントをさせているのか知りたいものですが、何一つ発言されたものを見た事がありません。

投稿: スタンリー | 2009年9月25日 (金) 21時27分

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