« 宇宙からのメッセージ | トップページ | エアポート‘80 »

渚にて

【第3弾50万ポイント山分け】渚にて 【第3弾50万ポイント山分け】渚にて

販売元:楽天ブックス
楽天市場で詳細を確認する

洋画メモ、NO,73、NHKBS

1959年、ユナイテッドアーティスツ、ビスタサイズ、白黒、140分

監督- スタンリー・クレイマー、撮影- ジュセッペ・ロトゥン、音楽- アーネスト・ゴールド

出演- グレゴリー・ペック、エヴァ・ガードナー、フレッド・アステア、アンソニー・パーキンス

---------------------------------------------

SF映画ベストテンでは、たいてい10位あたりにランクされる作品。このソフトもなかなか手に入らないものだが、ようやく観ることができた。ただし、NHKBSのこの放送も3回目くらいではないだろうか。あの放送局は2.3年の間に同じ映画をシャーシャーと、(再)の文字を新聞のテレビ欄に付けずに何度も放送する。これは日本テレビの宮崎アニメの再放送もそうである。

その再・再放送のおかげで観ることができたので、文句も言えないが。

この映画、被爆国、日本国民の目には、放射線障害の描写が、ある部分ではあまりにも甘く、別の部分では大げさで不正確だと感じる。原作者と脚本家はもっと取材すべきだ。

それとも、1959年という時代では、あの程度の情報しか入手できなかったのだろうか。

それにしても、核戦争による死の灰で、北半球の人類が死滅するという設定は、現在では一笑に付されるし、当時の専門家も首を振っただろう。

ただし、当時の人の、深く静かに進行する放射能への漠然とした恐怖が、SF的にうまく演出されていた。

やがて都市の建物だけ残り、人も死体もいないということは、死体だけが散乱しているより恐ろしいことだ。潜望鏡で写される都会の静止した映像はショックだった。(どうやって人や車を消したのだろうか、スチル写真には見えなかったが)。

フレッド・アステアがダンスだけでなく、演技もうまいことが、この映画で証明された。ちょっとアルコールが入ったような、脂っぽい顔の疲れた表情がいい。

撮影監督は、フェリーニ映画などで活躍のイタリア人だが、なかなか巧いカメラワーク。斜めの構図で不安感を演出。タワーズとモイアが窓辺で会話しているシーンでは、その斜めの構図が左から右へシフトする。カメラの架台はどういうシカケなのだろうか。ヒッチコックが好きそうなテクニック。

モイアが酔っ払って、アステアのフェラーリの車庫を訪ねるシーンは、ほんとうにイタリア映画のようだ。エヴァ・ガードナーがイタリア女優っぽいのも一因だが。

この、映画。今の正確な科学資料にてリメイクされるべきもの。話はだいぶ変わってしまうだろうが。

ただし、テレビ作品でのリメークはあるようだ。

|

« 宇宙からのメッセージ | トップページ | エアポート‘80 »

洋画メモ」カテゴリの記事

コメント

スタンリーさんのレビューを拝読していて、確かにこの映画は、被爆していない国が1950年代末に作ったという環境条件が影響しているなぁと、思い直しました。角度を変えてみれば、そういう中で、あれほどテーマを貫き通したのは立派だと思います。未だハリウッド・スタイルの影響があったと思われる時期だけに。スタンリー・クレイマーの骨の太さを感じます。

投稿: アスカパパ | 2009年8月 4日 (火) 10時00分

>SF映画ベストテンでは、たいてい10位あたりにランク
え~、そうなんですか。う~ん、どうなんだろ・・・。
設定が現実ばなれしているのに、登場人物たちは妙に真面目に演技していましたね。 フレッド・アステアとアンソニー・パーキンスの演技は凄く良かったと思うのですが、グレゴリー・ペックの顔が涼しすぎて、テーマとミスマッチに感じました。
聖職者が自殺を肯定した後に、毒薬が配られるというのも、どうなんでしょ。あれだと、キリストの教えを否定していることになると思うのですが・・・。辛口のことを書いて申し訳ないですsweat01

投稿: マーちゃん | 2009年8月 4日 (火) 11時55分

アスカパパさん。こんばんは。
クレイマー監督は仰るとおり、芯のしっかりした映画を作りますね。この映画も死期が近づいているのに市民生活を楽しみ、なおかつ安楽死の薬を受け入れるという、冷たい怖さがありました。北半球の人類が死滅するというのも、何割かは生存しているという中途半端な状況を排除した、骨太のシナリオだと言えるかもしれません。

投稿: スタンリー | 2009年8月 4日 (火) 21時02分

マーちゃん。こんばんは。
そうでしたね。キリスト教では自殺はいけませんね。それにちょっと死の灰への恐怖がオーバーです。第五副竜丸の乗り組み員は、直接、死の灰を皮膚に受けたのですが、すべての人が直ぐ亡くなったわけではありません。望みは十分あるはずですが、なんだか古い日本人のような運命の決め方だと思います。ホント、ペックは家族を亡くしたのにクールすぎました。ステアとパーキンスは良かったですね。ステアが車庫でフェラーリと一緒に死を共にする場面は印象にあります。

投稿: スタンリー | 2009年8月 4日 (火) 21時14分

すっかりご無沙汰しております。


公開当時観ています。
MGMとありますが厳密にはUA(ユナイト)だと思います。娯楽性がないからある種いかにもUAらしい作風です。

昨今は放射能が毎日話題になっていますが実は僕は癌との闘病で79個のマイクロカプセル状になった放射性物質が腹の中に入っていますから、ちっとも怖くないですよ(笑)。


ちなみに《On the Beach》(渚にて)とは「水に浸かるかギリギリの線」とか「落ちぶれるかどうか」だったと思いますよ。


パーキンス、サイコ風ではなく「緑の館」同様に「借りてきたコリー(犬)」のようなイメージだった記憶です。

投稿: ロンリー・マン | 2011年5月26日 (木) 23時06分

ロンリーマンさん。お久しぶりです。
これはユナイトの作品ですか。訂正しておきます。
オン・ザ・ビーチの意味は後ほど何かで知りました。兵士たちの間で使われた隠語だったと思います。
そうですか。放射線治療されているのですね。お元気でなによりです。
最近は中間子や陽子の放射でがん細胞をやっつけるようですが、高額なようで、治療費がもっと安くなってほしいですね。

投稿: アラン・墨 | 2011年5月27日 (金) 20時54分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/412224/30798773

この記事へのトラックバック一覧です: 渚にて:

» 渚にて [アスカ・スタジオ]
 考えようによってはこんな怖ろしい映画は無い。 [続きを読む]

受信: 2009年8月 4日 (火) 09時34分

« 宇宙からのメッセージ | トップページ | エアポート‘80 »