« 麗しのサブリナ | トップページ | トヤ峠・続き・こんなところに民家あり »

シェーン

名画DVD シェーン VCDD-138(監督:ジョージ・スティーヴンス/出演:アラン・ラッド) 名画DVD シェーン VCDD-138(監督:ジョージ・スティーヴンス/出演:アラン・ラッド)

販売元:激安サンタ
楽天市場で詳細を確認する

洋画メモ、NO,70、NHKBS

1953年、バラマウント、スタンダード、カラー、113分

監督- ジョージ・スティーヴンス、撮影- ロイヤル・グリグス、音楽- ヴィクター・ヤング

出演- アラン・ラッド、ジーン・アーサー、ヴァン・ヘフリン、ブランドン・デ・ワイルド、エミール・メイヤー、ジャック・パランス

---------------------------------------------

あまりにも有名な映画なので、あえて観なかったものの一つ。大変いい映画だった。出だしから終わりまで実にスマートな脚本。もっと若い頃に観ればよかったと悔やむ。

山本晋也氏は日本の小津か成瀬監督が西部劇を作ったらこんなだったろうと語っていた。私もまったく同じ考え。インディアンや強盗とのドンパチだけに終わらず、家庭内のこと、子供の視線と母親の気持ちと父親の責任も描いている。

以前にこういう西部劇はあったのだろうか。このスタイルは初かどうか知らないが、以後のテレビ番組「名犬ラッシー」や「大草原の小さな家」などはこの映画の影響を受けているかもしれない。

もう一つ、縄張り争いがテーマとなると、この映画の翌年、1954年公開のテックス・エィブリーのアニメ、「西部の大決闘」・・・ http://www.youtube.com/watch?v=4nqPLSwF9ZM ・・・ もこの映画からいただいたのかもしれない。

アラン・ラッドは、いかつい、小汚いガンマンではなく、中肉中背でなで肩のヤサ男。 あまり強そうに見えない男が、殴り合いでファィトし、早撃ちもスゴイ。それに作業服のパンツが腰の上まであり、足が長く見えてカッコイイ。

一方、ジャック・パランスは出番は少ないが、出て来るだけて、犬も尻尾を垂れて逃げ出すという、氷のように凍結してしまいそうな画面を作る。あのツラでは無理もないが、この演出のうまさ。黒澤作品「生きる」で宮口精二が演じたヤクザの親分も、何もしなくとも迫力があったものである。

ジョーイの母親がシェーンに気があるという演出も細かい。それも、ダンナのスターレットにヒヤヒヤするような場面も無く、抑制がとれた脚本。

ジョーイのクロースアップカットが多いが、西部劇で子供の顔が何度もスクリーン一面に出るというのはこの映画が初めてだろう。

西部劇おなじみの酒場での殴りあいは、今まで観たものでは一番迫力があった。あのシーンを撮るだけでも数日間かかったかもしれない。

ライカーがスターレットに昔の苦労話を語るシーンでは、その場面を想像してしまい、ちょっとシンミリとなった。彼の言っていることも分かり、観ている我々も心が揺れてしまう。なんとかならないものだろうかと。こういう観客の心理をくすぐる脚本もうまい。

アメリカが独立した後の話であり、確立された法律が人々になじみはじめていることがよく分かる。 ライカーは以前なら問答無用に入植者を撃ち殺し、もっともらしい理由をデッチアゲていただろう、それを今は殺人罪のウラをかこうと知恵をしぼる。

それにしてもシェリフが100マイル先にしかいない町だとは物騒なことだが、わざといない設定にしたことにより、テーマの絞れた良い脚本となっていると思う。

|

« 麗しのサブリナ | トップページ | トヤ峠・続き・こんなところに民家あり »

洋画メモ」カテゴリの記事

コメント

コメントありがとうございました。
スタンリーさんのレビューを読ませて頂いて、日本映画の影響についてよく理解できました。
西部劇で、こういうスタイルは恐らく「シェーン」だけではないでしょうか?。
なお、TBさせて頂いた私のレビューに、幼稚な文で恥ずかしながら、当時を思い出すために私がこの映画を初めて観た時に書き記したものを追記しました。
その中に、やはり画期的なスタイルだったことが伺われる内容を見出しました。
なお、7.の埋葬シーンは黒沢監督の「七人の侍」(1954/04/26初公開)を思い出します。
が、「シェーン」は1953/10の公開。
奇しくも近接した時期というのがまるで奇跡のようです。

投稿: アスカパパ | 2009年7月 3日 (金) 12時48分

アスカパパさん。ありがとうございます。
私は西部劇はあまり観ていないのですが、他の映画ではこのスタイルはあまりないのですね。情報ありがどうございます。
アスカパパさんの追加記事のすべての項目で、私自身、うなずくことばかりです。埋葬シーンは長い尺をさいていますね。当時の習慣を丁寧に描写しています。また、南北戦争から合衆国の設立にまで映画は触れています。なんと細かい脚本と演出でしょう。これだけ盛り込むと、下手な監督では3時間の映画になります。ほんとうによく練られた脚本と演出でした。ジョン・フォードやマカロニウエスタンばかりが西部劇ではないんですね。

投稿: スタンリー | 2009年7月 3日 (金) 20時36分

気に入られたようで何よりです。いい映画ですものね。昔の子供(私のこと・笑)は「カムバック、シェーン」と、唱えて喜んでいました。当時はTVで度々放送されていて、誰もが知っている映画でした。そんな中、敢えてご覧にならなかったのはスタンリーさんの美学ですね。
この映画の少し後に作られた西部劇『帰らざる河』も少年にスポットが当たっていましたっけ。あれも面白い映画でした。

投稿: マーちゃん | 2009年7月 3日 (金) 23時15分

マーちゃん。おはようございます。
そうでした、そうでした。「シェーン、カンバック」は映画を観ていないのに子供はやっていましたね。昔は何かの映画特集では必ず、ラッドの早撃ちシーンとラストシーンが紹介してあり、「ああ又これか」と思ったものです。ということでヒネクレ物の私はレンタルで気軽に観られる今日でも見なかったのです。でも、この歳で初めて名作を観るというのもいい体験ですね。「帰らざる河」も観たいですね。モンローは好みではないんですが。笑
「ターミネーター4」は我が土肥中の留之介さん(中子真治さん)がブログで期待はずれだったと書いていて、観るのをやめました。テレビ放映を待ちます。

投稿: スタンリー | 2009年7月 4日 (土) 09時47分

sunスタンリーさんお久しぶりです♪
なかなかご返事も出せずスミマセンでした。m( _ _ )m
ホントにいつもありがとうございます。

仰るように「シェーン」は日本人の精神に最もしっくりいく
詩情豊かな西部劇でしたね。(^∀^)
昔、ビデオなんか到底無い時代、シェーンが大好きだった叔父が、劇場にカメラを持ち込み、最後の決闘シーンをコマ撮りしてたのを
思い出します。
全部カメラにおさめるために確か10回くらい劇場に通ってました。

そういえば、間違い探し好き?のスタンリーさん。
前にも言ったか忘れてしまいましたが、本に書いてた事ですが、巻頭のテーマ曲が終わった後に、荒野の全景が映った時、遠くに横切るように砂煙があがるのですが
それが西部に存在するハズのないバスなんだそうです。笑
私はよくわかりませんでしたが。。。苦笑

機会がございましたら、スタンリーさんの千里眼でお確かめください。

投稿: ぱんだうさぎ | 2009年7月 4日 (土) 11時33分

ぱんだうさぎさん。ひさしブリブリ・ブリトニー。マイッタマイッタ・マイケル逝っちゃった。
御気になさらないよう、お時間の空いてるときにオコシヤス。
「シェーン」は期待以上の映画でした。みなさんのブログを参考させていただいたおかげです。そうでしたね。マーちゃんの記事へのぱんださんのコメントで、バスらしきものが砂塵を上げて走っているカットがあると頭にメモしておりましたが、3倍で録画したためよく見えませんでした。次回、DVDで再確認いたします。私が見つけたものでは、トーリの埋葬中、家が放火されているのに気づくシーンでは人物にカメラの陰がモロかぶさっているカットがありました。笑

投稿: スタンリー | 2009年7月 4日 (土) 20時04分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/412224/30377893

この記事へのトラックバック一覧です: シェーン:

» シェーン [アスカ・スタジオ]
最近は西部劇というジャンルの映画が見られなくなった。寂しい限りである。あれから52年、人間の感性も随分と移り変わった。今もしこの映画を初めて見る方が居られたら、どのような感想を持たれるかは甚だ疑問ではあるが、1953年10月7日、京都宝塚劇場で初めて見たこの映画の興奮は、今も私の胸に息づいている。 何処からともなくふらりと現れたシェーン(アラン ラッド)が、スターレット(ヴァン・ヘフリン)一家の窮地を救って、また何処かへ去っていくというストーリーは、日本映画で言えば差詰め『座頭市』か。所謂股旅... [続きを読む]

受信: 2009年7月 3日 (金) 12時44分

« 麗しのサブリナ | トップページ | トヤ峠・続き・こんなところに民家あり »